同じ場所に5年以上アスターを植えると、収量が激減して回収不能になります。
宿根アスターは、北米原産のキク科アスター属の多年草で、品種によって草丈が30cmのコンパクトタイプから180cmを超えるものまで幅広くあります。 栽培の基本は「日当たり」と「水はけ」の2点です。
参考)【宿根アスターの育て方】プランターでもOK!初心者向け栽培ガ…
一年を通して直射日光が当たる場所を選びましょう。品種によってはマイナス10℃程度の寒さにも耐えられるほど耐寒性が高く、夏の強い日差しにも特別な遮光対策は不要です。 暑さにも寒さにも強い、というのは使えそうな性質ですね。
土壌はpH6〜7の中性に近い状態に整えることが必須です。 定植前には10a当たり堆肥2,000kgを施用し、酸性土壌の場合は苦土石灰を1㎡あたり150g程度すき込んでpHを調整してください。 基肥の目安は窒素・リン酸・カリのいずれも成分で10a当たり10kg程度です。
土づくりが基本です。
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水はけの悪い過湿な場所は根腐れや萎凋病の温床になります。 浅根性で乾燥と過湿の両方に弱いため、排水溝の設置や高畝栽培も有効な対策です。 庭植えや地植えの場合、根付いた後は真夏の極端な乾燥期以外はほぼ水やり不要です。sc-engei.co+2
宿根アスター栽培において、最も注意すべき問題が連作障害です。同じ場所でアスターを繰り返し栽培すると、萎凋病(フザリウム菌)と立枯病(ピシウム菌)が土壌中に蓄積し、生産が困難なほど株が衰弱します。
アスターを栽培した後に再びアスターを植えるまでには、最低5年以上の期間を空けることが原則です。 これはA4用紙の長辺が約29.7cmであるように、5年という時間は感覚的に長く感じますが、萎凋病菌は土壌中で長期間生き残るためこの期間が必要です。同じほ場で毎年アスターを植え続けると、土中の病原菌密度が指数関数的に上昇し、殺菌剤を使っても発病を防げないレベルに達することがあります。takii+1
やむを得ず連作する場合の対策として、クロルピクリンによる土壌燻蒸処理・熱水土壌消毒・還元土壌消毒(フスマまたは米糠を10a当たり1〜2t散布後、灌水・被覆して3週間処理)などが有効とされています。 ただしいずれも完全な対策とは言えないため、年次別の作付計画と輪作が基本です。takii+1
▶ 青森県農業ナビ|アスター栽培技術マニュアル(連作障害・作型・病害虫防除の詳細データ)
切り花として出荷する場合、摘心と仕立て方が品質と収量を大きく左右します。
これが条件です。
定植から4週間後に、10節の位置で摘心を行い、その後4〜5本程度に仕立てます。 摘心のタイミングは草丈10〜15cmに達した頃が目安で、この時期に行うことで植物はエネルギーを側枝の成長に振り向け、花数が大幅に増加します。 実際に摘心した株は、しない株に比べて分枝数が明らかに増えます。chibanian+1
倒伏防止も重要な管理作業です。アスターは上部に花が多くつき倒れやすいため、草丈30cm頃に土寄せを行い、必要に応じてフラワーネットやマイカー線でネットを補強します。 枝が密生するほど上部が重くなるため、こまめにフラワーネットを上げていく作業が欠かせません。
追肥は発蕾期までを目安に行います。前作の肥料が残っている場合や遅いタイミングでの追肥は、茎葉の徒長や開花遅延を招くため施肥量を減らすことが重要です。
肥料のやりすぎは花つきを悪くします。
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宿根アスターにかかりやすい病気は複数あります。特に気をつけたいのが、うどんこ病・萎凋病・菌核病の3つです。
参考)アスターが被害に遭いやすい害虫・病気をエゾギクと宿根アスター…
うどんこ病は葉の表面に白い粉状のカビが広がる病気で、風通しが悪く多湿な環境で発生しやすいです。 株間を広げて風通しを確保し、窒素分が多い肥料を控えめにすることが予防になります。発生した葉はすぐに摘み取り、市販の殺菌剤(例:重曹スプレーによる初期対応も有効)を散布しましょう。
早期発見が原則です。
参考)要注意!葉が白い粉に覆われる「うどんこ病」の予防・対策方法
菌核病は茎が茶色く腐敗し、株全体がしおれて枯れる深刻な病気です。発病株は速やかに抜き取って処分し、周囲の株への拡散を防ぐことが最優先です。 害虫ではアブラムシとヨトウムシの被害が多く、アブラムシはウイルス病を媒介するリスクもあります。
見つけ次第対処するしかありません。
収穫は朝夕の涼しい時間帯に行い、高温期は2〜3輪開花した段階で採花します。その他の時期は4〜5輪開花したところが目安です。 採花後は3時間程度水揚げし、規格別に切りそろえ下葉を取り除いて10本1束に結束してから出荷します。
▶ カインズ園芸マガジン|アスターの病害虫一覧(エゾギク・宿根アスター別の病名と症状詳細)
宿根アスターは株分けで簡単に株数を増やすことができ、農業経営上のコストダウンに直結します。同じ場所で3〜4年育てると株が混み合い、花数や切り花品質が低下するため、このタイミングが株分けの目安です。
株分け作業は、新芽が動き出す前の早春(2〜3月)が最適です。 株を掘り上げた後、古くなった中央部を避け、生育の良い外側の部分を3〜5芽で1株になるように切り分けて植え付けます。 これによって株が若返り、再び多くの花を咲かせます。
株分けは無料です。
農業経営の観点では、10a当たりの粗収益は約152万円(青森県の試験データ)、所得率は82.4%という試算があります。 ただし1作あたりの作業時間は合計688.8時間にのぼり、その内訳は収穫・調製が434.1時間と全体の約63%を占めます。
これは想像以上の重労働ですね。
品種選定では萎凋病(フザリウム菌)に強い「松本シリーズ」や耐病性があり作りやすい「くれないシリーズ」が農業利用に向いています。
▶ タキイネット通販|アスターの上手な栽培方法(品種選定・病害・生理障害の詳細解説)