立枯病の主な原因は、土壌中に生息する糸状菌(カビ)です。代表的な病原菌として、リゾクトニア菌(Rhizoctonia solani)、フザリウム菌(Fusarium spp.)、ピシウム菌(Pythium spp.)の3種類が知られています。これらの病原菌は土壌中で長期間生存し、発病株や残渣、種子を通じて次作に伝染します。
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病原菌の種類によって症状や発生時期に違いがあります。リゾクトニア菌とピシウム菌は幼苗段階で被害を起こしやすく、フザリウム菌は育苗後期から大きくなった苗にも影響を与えるのが特徴です。病原菌は根や地際部から侵入し、維管束を侵して植物全体を枯死させます。
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立枯病は高温多湿で排水性の悪い圃場で発生しやすくなります。特にピシウム菌やリゾクトニア菌による立枯病は、気温が25~35℃で湿度が高い環境で活発化します。降雨が続く年や灌漑による過湿状態は、病原菌の増殖を促進する大きな要因です。
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連作も立枯病の発生リスクを高める重要な要因です。同じ圃場で同じ作物を繰り返し栽培すると、土壌中の病原菌密度が上昇し、被害が拡大します。また、土壌のpHが6.0以上になると立枯病の発病が激増する傾向があり、pH管理も重要なポイントです。
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立枯病はトマト、ナス、ピーマンなどのナス科作物をはじめ、キュウリ、キャベツ、オクラ、ネギ、タマネギなど幅広い野菜類で発生します。特にナス科作物は青枯病と並んで立枯病の被害を受けやすく、施設栽培では問題となるケースが多く見られます。
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水稲でも苗立枯病として発生し、発芽から育苗期に大きな被害をもたらします。花き類ではストックやトルコギキョウなど、多くの品目で立枯性病害が確認されています。イネ科作物では小麦でも立枯病が発生し、輪作による防除が推奨されています。
参考)https://www.zennoh.or.jp/ib/contents/make/einou/3229.pdf
立枯病の初期症状は、葉のしおれや黄化から始まります。日中に葉が垂れ下がり、夜間に一時的に回復することがありますが、病気が進行すると回復しなくなります。地際部の茎が褐色に変色し、くびれたように細くなるのも特徴的な症状です。
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根部を観察すると褐色に腐敗しており、維管束が変色していることが確認できます。株全体が立ったまま枯れる「立ち枯れ」状態になることが病名の由来です。発病初期に発見して対処することが、被害拡大を防ぐ重要なポイントとなります。
立枯病の予防には輪作が最も効果的な方法です。発病地では3年以上の輪作を行い、病原菌の密度を低下させることが推奨されます。トウモロコシやヘアリーベッチなどを輪作に組み込むことで、防除効果がさらに高まります。
参考)https://www.pref.miyagi.jp/documents/38680/5-1.pdf
土壌の排水性改善も重要な予防策です。高畝栽培や排水路の整備により過湿を防ぎ、病原菌の増殖を抑制します。堆肥や腐葉土の施用で土壌の団粒構造を改善し、通気性と排水性を高めることも有効です。
参考)https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/stem_blight_and_storage_tuber_rot_of_sweetpotator04.pdf
コンパニオンプランツとしてニンニクやネギを一緒に植えると、根に共生する拮抗菌が立枯病の病原菌を抑える効果があります。また、土壌pHを6未満に保つことで発病の増加を防ぐことができます。
土壌消毒は立枯病の予防に非常に効果的な方法です。クロルピクリン剤やバスアミド微粒剤などの土壌燻蒸剤を使用することで、土壌中の病原菌を大幅に減少させることができます。ただし、土壌消毒から播種・定植までには十分な日数が必要なため、計画的に実施する必要があります。
参考)苗立枯病の原因と対策!おすすめの農薬と予防方法
マイナビ農業の立枯病対策記事では、播種前の土壌消毒方法と薬剤の選び方が詳しく解説されています。
種子消毒も効果的な予防策です。オーソサイド水和剤などを用いて播種前に種子消毒を行うことで、ピシウム菌やリゾクトニア菌による苗立枯病を防ぐことができます。用土はバーミキュライトなど清潔なものを使用し、できるだけ新しいものを用いることが重要です。
参考)苗立枯病の防除方法|発芽直後の作物を病原菌から守るには?
立枯病の防除には、病原菌の種類に応じた農薬の選択が重要です。リゾクトニア菌にはタチガレン液剤やリゾレックス水和剤が効果的で、圃場に処理後に播種することで予防できます。フザリウム菌とピシウム菌では有効な薬剤が異なるため、症状から病原菌を区別することがポイントです。
参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/asp/disease/tatikare/
農家webの立枯病農薬解説では、病原菌別の推奨農薬と使用方法が詳しく紹介されています。
発病初期であれば、タチガレエースM粉剤などの健苗育成効果を持つ農薬が苗立枯病防除とムレ苗防止に安定した効果を発揮します。水稲育苗では播種前や播種時の育苗箱施用が基本で、予防防除を重点的に行うことが推奨されます。農薬を使用する際は、必ずラベルの使用基準を守って活用しましょう。
参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E8%8B%97%E7%AB%8B%E6%9E%AF%E7%97%85/
抵抗性品種や台木の利用は、立枯病の発生を軽減する効果的な手段です。トマトやナスでは青枯病や立枯性病害に対する抵抗性台木への接木苗を用いることで、発病を大幅に抑制できます。台木品種は病害抵抗性を持ちながら、栽培品種の食味や収量に悪影響を与えないものが選抜されています。
参考)土壌病害の効果的な防除法~栽培管理や微生物を利用した防除~|…
iPlant Journalの土壌病害防除記事では、耐病性品種や台木を活用した総合的な防除戦略が紹介されています。
キュウリ、スイカ、メロンでもつる割病などの土壌病害を回避するために台木選抜が行われており、安定した生産に貢献しています。播種時期を適期より遅らせることや、抵抗性品種を用いることも立枯病の発生を抑える耕種的防除として有効です。