シストセンチュウ農薬の選び方と正しい防除対策

シストセンチュウの被害に悩む農業従事者向けに、効果的な農薬の選び方や土壌消毒の方法、対抗植物との組み合わせ防除まで詳しく解説。あなたの圃場を守るための正しい知識を確認できていますか?

シストセンチュウへの農薬と防除の総合対策

農薬だけ散布しても、シストは土壌中で10年以上生き残ります。


シストセンチュウ農薬と防除対策まとめ
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農薬の種類と使い分け

土壌くん蒸剤(クロルピクリン・D-D剤)と粒剤(ネマトリンエース・ネマクリーン)では効果・使用時期が異なります。 圃場の密度に応じた選択が重要です。

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対抗植物との組み合わせ防除

クリムソンクローバーや緑肥用ダイコンなどの対抗植物は、農薬単独より防除効果が劣りますが、化学農薬の使用量削減に有効な補助手段です。

⚠️
無登録農薬・適用外使用の危険性

登録外農薬を使用すると3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。必ず農薬ラベルの登録内容を確認して使用してください。

シストセンチュウの特徴と農薬が効きにくい理由


シストセンチュウは、ネコブセンチュウとは根本的に異なる構造を持ちます。雌成虫が死ぬと体が硬い「シスト(殻)」に変わり、内部に300〜500個の卵を閉じ込めたまま土の中に残ります。 この殻の硬さが農薬防除を難しくしている最大の理由です。


参考)シストセンチュウ(しすとせんちゅう)とは? 意味や使い方 -…


シスト内の卵は0℃以下の低温や乾燥にも耐え、土壌中で5年以上〜10年以上もの長期間生存し続けることが確認されています。 長さにして0.5mmほどの幼虫が根から出る化学物質を感知して一斉にふ化し、根に侵入するため、作物がない期間に農薬処理しても密度低下効果には限界があります。つまり農薬だけでの完全根絶は極めて困難ということです。hokuren+1
農薬が効きにくいもう一つの理由は、シスト内の卵には薬剤が浸透しにくい構造があるためです。 土壌くん蒸剤のD-D剤やクロルピクリンは揮発したガスが土壌中に拡散してシスト内の卵を死滅させる仕組みですが、 高密度圃場での効果は処理量や時期に大きく左右されます。対策は一度だけでは終わらない、継続的なアプローチが基本です。boujo.agrinews+1


  • 🔬 シスト(殻)の直径は約1mm以下、ケシ粒大のサイズ

  • ⏳ 土壌中での生存期間:最低5年、場合によっては10年以上

  • 🥚 1シスト内に300〜500個の卵を格納

  • 🌡️ 0℃以下の低温・乾燥にも耐える強い休眠

シストセンチュウの生態をまず理解することが、適切な農薬選択への第一歩です。


シストセンチュウ農薬の種類と土壌くん蒸剤の使い方

土壌くん蒸剤は、シストセンチュウ対策における主力農薬の一つです。代表的なものはクロルピクリン、テロン(D-D剤)の2種類で、いずれも作付け前に土壌に注入し、気化したガスで線虫を駆除します。 処理は地中15〜20cmの深さに薬液を注入し、ローラーで覆土してガスを逃がさないようにする専用機が必要です。jppa+1
D-D剤などの灌注処理はシストセンチュウ密度の低下に効果があり、北海道では前年秋のほ場への薬剤灌注処理として実施されています。 処理量はジャガイモシロシストセンチュウの緊急防除では40L/10aが基準とされています。 東京ドーム1個分(約46,000㎡)の圃場を処理するなら、膨大な薬液量になるため、正確な圃場面積の把握が欠かせません。jppa+2
くん蒸剤は土壌条件・気温・処理時期によって効果が大きく変わります。6〜9月の温暖な時期に処理するのが最も高い効果を得やすく、 低温期の処理では薬剤のガス化が不十分になるリスクがあります。


くん蒸剤のみに頼るのは危険です。


高密度圃場では粒剤との体系処理が推奨されています。ibj.iskweb+1
くん蒸剤の注意点をまとめると以下の通りです。


  • 🗓️ 処理時期:6〜9月の温暖期が最適

  • 🚜 専用の土壌消毒機が必要(北海道では農協や行政が機材提供)

  • 📏 注入深度は15〜20cm、直後にローラーで鎮圧

  • ⚠️ 高密度圃場ではくん蒸剤単独では不十分なケースあり

シストセンチュウ農薬の粒剤タイプ:ネマトリンエース・ネマクリーンの特徴

くん蒸剤が使えない状況や、くん蒸後の補完対策として有効なのが粒剤タイプの殺線虫剤です。代表的な製品としてネマトリンエース粒剤(ホスチアゼート)とネマクリーン粒剤(フルオピラム)があります。 両製品ともジャガイモシストセンチュウへの適用登録があります。boujo+1
ネマトリンエース粒剤は線虫と薬剤が接触することで線虫の活動を阻害し、殺線虫効果を発揮します。 土壌条件の違いや処理後の土壌水分の変動に左右されにくい安定性が特長で、ネコブセンチュウに対しては60〜80日の長期残効性が確認されています。 ジャガイモシストセンチュウへの使用量は30〜40kg/10aで、植付け前の全面土壌混和が基本です。 これはかなりの量であり、コスト計算に事前に組み込むことが大切ですね。ibj.iskweb+2
ネマクリーン粒剤は、従来の殺線虫剤とは異なる新しい作用性を持つフルオピラム系の農薬です。 広範囲のセンチュウ類に安定した防除効果を発揮するとされており、抵抗性が発達しにくい点でも注目されています。


参考)ネマクリーン粒剤


































製品名 有効成分 主な使用方法 残効性の目安
ネマトリンエース粒剤 ホスチアゼート 植付前 全面土壌混和 30〜40kg/10a 60〜80日程度
ネマクリーン粒剤 フルオピラム 植付前 土壌混和 新規作用性で安定
ガードホープ液剤 生育期 灌注処理 定植後の補完向け
バスアミド微粒剤 ダゾメット96.5% 播種前 土壌混和 広範囲の病害虫雑草にも有効

無登録農薬・適用外使用が招く法的リスクと正しい農薬登録確認

農薬の適用外使用や無登録農薬の使用は、食の安全を脅かす行為として厳しく規制されています。農薬取締法に基づき、農薬使用者が無登録農薬を使用したり適用外で使用した場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。 法人が違反した場合は罰金が1億円になることもあります。 これは知らなかったでは済まされない重いペナルティです。


シストセンチュウ対策では「他の作物で効果があったから」と登録外の農薬を流用したくなるケースがあります。しかし作物ごとに農薬登録は異なり、ある農薬が「ばれいしょ」に登録されていても「だいず」には使えないケースがあります。 農薬の登録内容は農林水産省の「農薬登録情報提供システム」で無料で確認できます。 使用前に必ず同システムで確認することが原則です。boujo+1
また、ポテモン(捕獲作物)に対しては登録された農薬自体が存在しないため、緊急防除として実施される場合を除き一般栽培での農薬使用が制限されるケースもあります。 こういった複雑な例外も存在するため、農業改良普及センターや農協の防除暦・農薬登録システムを活用する習慣をつけましょう。jrt+1
農薬登録確認の手順。

  1. 農林水産省「農薬登録情報提供システム」にアクセス
    参考)農薬登録情報提供システム

  2. 対象作物名と病害虫名で絞り込む
  3. 使用時期・使用回数・使用量を必ずラベルで再確認
  4. 地域の防除暦・病害虫防除所の最新情報も参照する
    参考)ダイズシストセンチュウ


シストセンチュウ防除における対抗植物と農薬の組み合わせという独自視点


化学農薬への依存を減らしつつシストセンチュウ密度を継続的に下げる手段として、対抗植物(センチュウ抑制作物)の活用が注目されています。 ただし、対抗植物の効果は農薬単独より劣ることが明確にされており、 万能策ではありません。

これが盲点ですね。


参考)https://www.takii.co.jp/tsk/saizensen_web/cultivation/sentyu_2022/

対抗植物には複数のメカニズムがあります。クリムソンクローバー「ディクシー」やあかクローバー「メジウム」は、ダイズシストセンチュウのふ化促進物質を根から分泌してシスト内卵を強制的にふ化させますが、これらの作物は寄主に不適なため、ふ化した幼虫は根に寄生できずそのまま餓死します。 このメカニズムを理解して使えば、農薬処理前の密度低減準備として非常に効果的です。

テンサイシストセンチュウには緑肥ダイコン「コブ減り大根」が有効なことが近年の研究で明らかになっており、 外来種のテンサイシストセンチュウが侵入した北海道の一部地域では実用化が進んでいます。一方でナス科植物(トマト野生種やハリナスビ)は不適寄主メカニズムによりジャガイモシストセンチュウ密度を60〜80日間の栽培で大幅低減できる効果も確認されています。hokuren+1

  • 🌿 ふ化促進型:クリムソンクローバー・あかクローバー →ダイズシストセンチュウに有効

  • 🌿 不適寄主型:えん麦野生種「ネグサレタイジ」・ギニアグラス「ナツカゼ」 → 多くのセンチュウに対応

  • 🌿 生物くん蒸型:緑肥用チャガラシ「いぶし菜」・からしな「黄花のちから」→ イソチオシアネートが土壌に拡散

  • 🌿 テンサイシストセンチュウ向け:緑肥用ダイコン「コブ減り大根」

農薬の使用量を削減しつつ圃場のシスト密度を継続的に下げるには、対抗植物→土壌くん蒸剤→粒剤という3段階の体系防除が最も現実的です。圃場の密度診断(8歩幅法による土壌サンプリング)を年1回行い、 その結果をもとに農薬の選択・投入量を判断するサイクルを作ることが、長期的なコスト削減と収量安定につながります。


参考)301 Moved Permanently


シストセンチュウ対策の参考情報として、以下の公的機関の情報が非常に有用です。
農研機構(NARO)によるジャガイモシストセンチュウ研究・防除技術情報。
農研機構|大量合成可能なジャガイモシロシストセンチュウふ化促進物質の開発について
日本農業新聞「みんなの防除」によるシストセンチュウの効果的防除解説。
日本農業新聞|線虫類の効果的な防除は?(石灰窒素・農薬の使い方含む)
タキイ種苗による緑肥を用いたセンチュウ抑制効果の詳細解説。
タキイ種苗|農作物におけるセンチュウ被害と緑肥による抑制効果






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