ジャガイモ マルチシート 栽培 地温 収量 早熟

ジャガイモのマルチシート栽培を、資材選びから張り方、病害対策、収穫タイミングまで現場目線で整理します。土寄せ省力と品質を両立するコツ、試してみませんか?

ジャガイモ マルチシート

ジャガイモ マルチシートの全体像
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狙いは省力と品質

雑草・土寄せ・地温の3点を同時に管理し、作業時間とロスを減らします。

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地温が効く作型がある

早植え・早掘りを狙うと効果が出やすい一方、遅れ掘りは障害の引き金になります。

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収穫は「時期」を決める

積算温度の考え方を入れると、圃場ごとの収穫計画が立てやすくなります。

ジャガイモ マルチシート 栽培の効果と地温


ジャガイモのマルチシート栽培は、「地温を確保して生育を促す」「雑草を抑える」「土寄せの回数を減らす(または不要にする)」という省力化の狙いが大きい方法です。特に春先の低温期にスタートする作型では、地温が上がることで出芽・初期生育が安定しやすく、早掘りにつなげやすいのが強みです。
一方で、マルチは“地温を上げ続ける”資材でもあります。作が進んで気温が上がってからもマルチを貼ったままにすると、地温過多が起きやすく、品質面のトラブル(障害いも・腐敗など)を誘発しやすくなります。実際に、暖地向けの栽培マニュアルでも「堀取りが遅れるとマルチによって地温が上がり過ぎ、疫病や二次生長、休眠覚醒による輸送中の萌芽等の障害が出やすい」と明記されています。


現場では「早く植えるためにマルチ」「早く掘るためにマルチ」という組み立てが基本です。つまり、マルチ栽培は“収穫時期まで含めて設計する技術”で、貼った瞬間に得をする万能技術ではありません。圃場条件(排水、土質、日当たり)と作型(植付け時期、出荷の山)を先に決め、そのうえでマルチの効果が過剰にならない設計にすると失敗が減ります。


ジャガイモ マルチシート 黒マルチと緑化

ジャガイモでマルチ資材を考えるとき、最初に押さえるべきキーワードが「緑化」です。イモが光に当たると緑化し、有毒成分(ソラニンやチャコニン)が増えるため、通常栽培では土寄せで塊茎部を覆います。黒マルチは、この“光を遮って塊茎部を守る”目的と相性が良く、土寄せ省力と安全性確保を同時に狙いやすい資材です。
種苗会社の解説でも、黒マルチでイモに光を当てない省力栽培法が紹介されており、土寄せ作業を減らしつつ収量増も期待できる、という整理になっています。もちろん、圃場条件や栽植密度で結果は変わりますが、「光を遮る」という要点は普遍です。透明系資材は地温上昇が強い反面、光を通すため、表面近くに塊茎が出ると緑化リスクを上げます。


ここで大事なのは、黒マルチを使っても“完全に土寄せゼロで安全”と決めつけないことです。マルチ下でストロンが浅い位置に走ったり、雨の叩きで畝表面が削られたりすると、塊茎が地表に近づきます。マルチ栽培では「畝の高さ・形」「マルチの張り具合」「穴の位置」「株元の土の締まり」が緑化と直結するので、植付け直後の仕上がりを丁寧に作るほど後が楽になります。


緑化対策の実務ポイント(チェック項目)
✅ 穴あけ位置が畝肩に寄っていないか(肩寄りは露出しやすい)
✅ マルチがピンと張れているか(たるみは風でめくれやすい)
✅ 収穫前にマルチ破れが増えていないか(光が差し込みやすい)
✅ 雨後に畝表面が流亡していないか(露出のサイン)

ジャガイモ マルチシート 施肥と排水

マルチ栽培を安定させる“裏側の主役”は、施肥設計と排水です。マルチを張ると、降雨が畝内へ入りにくくなったり、畝間に流れたりして、同じ雨量でも土の水分分布が変わります。さらに地温が上がるので、根の動きが早まり、養分吸収のリズムも変わります。結果として「同じ施肥量でも効き方が変わる」ことが起きます。
九州沖縄農業研究センターの栽培マニュアルでは、圃場の準備として「排水良好で、前作にナス科作物等を栽培していない圃場を選ぶ」こと、また施肥は堆肥2~3t/10a散布や、配合肥料の施用量目安(熟畑120kg/10a、普通畑160kg/10a、新開地200kg/10a)など具体的な記述があります。さらに「畝立て・マルチ」を行う工程が栽培体系に組み込まれており、マルチが“単独技術ではなく、圃場準備・施肥・防除とセット”で語られている点が重要です。


マルチ栽培の施肥でよくある落とし穴は、初期生育が良く見えて追肥や管理を遅らせ、後半にバランスを崩すことです。特に窒素が効きすぎると地上部が茂りすぎ、病害のリスクが上がったり、塊茎肥大が遅れたりして「収穫が遅れる→地温過多」という悪循環に入りやすくなります。排水が悪い圃場では、マルチで地温だけ上がって根域が過湿のままになり、根の活性が落ちて“見かけの勢い”と“地下の停滞”が同居します。


施肥・排水の現場メモ(マルチ前提)

  • 砕土は丁寧に(大きい土塊はマルチ下で乾湿ムラになりやすい)。
  • 高畝は排水の保険(畝の高さが根域を守る)。
  • 元肥偏重にしすぎない(効きすぎる圃場は後半が伸びない)。
  • マルチの下は見えないので、植付け前に“土の状態を作り切る”。

参考:青枯病に強い品種と栽培法、施肥量目安、畝立て・マルチ工程、遅れ掘りによる地温過多のリスクがまとまっています。


九州沖縄農業研究センター:バレイショ栽培技術マニュアル

ジャガイモ マルチシート 病害と収穫

マルチ栽培は省力化に寄与する一方、病害虫の考え方は「いつも通り」では足りません。理由は単純で、マルチで圃場の微気象(地温・湿度・風の当たり方)が変わり、病害の出方と作業タイミングが変わるからです。先ほどのマニュアルでも、遅れ掘りが地温過多を通じて疫病や二次生長などの障害を招きやすいことが示され、収穫期の重要性が強調されています。
ここで使えるのが「積算温度」という視点です。長崎県の成果情報では、暖地バレイショ主要品種の春作マルチ栽培において、収量と出芽期から収穫日までの日平均気温の積算値に強い相関があり、積算温度で目標収量に達する時期を予測できる、とされています。つまり、カレンダー日付だけでなく「出芽してからどれだけ温度を積み上げたか」で収穫計画を組みやすく、産地内の収穫労力配分にも応用しやすい考え方です。


積算温度の考え方を入れると、マルチ栽培の“強み”が整理されます。マルチは地温を上げるので、同じ作型でも積算温度の到達が早まりやすい→早掘りがしやすい。逆に、積算温度が十分に積み上がったのに掘らない場合、マルチで地温が高くなりすぎて障害が出る、というリスク管理にも使えます。


収穫の段取りで意外に差が出るのが「掘った後の扱い」です。マニュアルでは、堀取り後に長時間日光に当てると緑化による品質低下の原因になるため、表面が乾いたら早めに収納する、とされています。マルチ栽培は“収穫まで省力化できる”と思われがちですが、掘り取り後の動線(コンテナ、仮乾燥、選別場所)が弱いと、最後の最後で品質を落とします。


参考:春作マルチ栽培における「積算温度で収穫時期を予測する」考え方が要約されています(産地の収穫計画にも役立ちます)。


長崎県:暖地バレイショ春作マルチ栽培の収穫期予測(積算温度)

ジャガイモ マルチシート 生分解性マルチ

検索上位で多いのは「黒マルチで省力」「張り方」「土寄せ不要」といった実践記事ですが、現場の経営目線で“次の一手”になりやすいのが生分解性マルチです(ここは独自視点として掘ります)。マルチの回収・廃棄は地味にコストがかかり、特に忙しい時期に作業が後ろ倒しになりやすい工程です。さらに、破れたマルチが圃場内に残ると、次作の耕起播種定植の邪魔にもなります。
長崎県の成果情報では、脂肪族ポリエステルを主成分とする透明または乳白色の生分解性マルチフィルム(例:キエ丸、セルグリーン、ビオマルチ)が、春作バレイショのマルチ栽培において慣行の透明ポリエチレンマルチと比べて出芽期・地温・収量の差がないこと、さらに「マルチを展張したまま機械収穫ができ、そのまま鋤込むことができる」とされています。これは、収穫後の“回収作業の省力化”に直結する大きなメリットです。


ただし、生分解性マルチは「分解の速さ」が資材や条件で変わります。崩壊が早すぎると、栽培後半に雑草が出たり、畝面が乾きやすくなったりして管理が変わります。逆に遅すぎると、鋤き込み時に残渣が多くなり作業性が落ちます。導入するときは、いきなり全面ではなく、圃場の一部で「破れ方」「収穫時の扱いやすさ」「次作への影響」を観察してから面積を広げると安全です。


生分解性マルチ導入のチェック項目

  • 収穫体系(手掘りか機械か、どこまで圃場で選別するか)。
  • 圃場の残渣管理(鋤き込み時期、分解を促す水分・温度)。
  • 資材コストと回収費の差(“資材単価”ではなく“作業込みの総コスト”)。
  • 透明・乳白色の運用時は緑化リスク(光を通す資材は畝形と管理がより重要)。

参考:生分解性マルチの種類、出芽期・地温・収量が慣行マルチと同等、展張したまま機械収穫・鋤き込み可能、が整理されています。


長崎県:春作バレイショのマルチ栽培に利用できる生分解性マルチ




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