ホスチアゼートは、粒剤製剤として登録されている例(石原ネマトリンエース粒剤:有効成分ホスチアゼート1.5%)があり、登録情報には作物名・適用病害虫名・使用量・使用時期・使用回数・使用方法・総使用回数が明記されています。
たとえば、いちじくでは「ネコブセンチュウ」「20kg/10a」「収穫60日前まで」「樹冠下処理」「本剤1回(総使用回数1回)」のように、収穫前日数と処理位置(樹冠下)が具体的に決まっています。
かんしょ(さつまいも)では、ネコブセンチュウやネグサレセンチュウに対し「植付前」「作条土壌混和」や「全面土壌混和」など複数の使用方法が並び、苗床と本圃を通じた総使用回数の上限が設定されています。
ばれいしょでは線虫だけでなく「アブラムシ類」にも適用があり、植付前の土壌混和で使う設計になっています。
ここが重要で、同じホスチアゼートでも“作物×対象×時期×方法”がセットで適用条件になるため、現場判断での「似た作物だから同じで良い」は事故のもとです。
参考:登録情報(適用表・使用量・使用時期・使用回数の原典)
農林水産省 農薬登録情報提供システム(石原ネマトリンエース粒剤)
ホスチアゼート粒剤の中心は土壌処理で、登録上も「全面土壌混和」「作条土壌混和」「は種溝土壌混和」「植溝土壌混和」「樹冠下処理」など“土にどう入れるか”が使用方法として指定されています。
特に粒剤は、処理層に薬剤を均一に分布させるほど効き方が安定し、ムラがあると線虫が残る帯ができて被害が続く(=効かないと感じる)パターンが出やすいので、「散布→規定の層まで混和」を作業標準に落とし込むのが実務的です。
いちじくのように「樹冠下処理」となっている作物では、根域(細根が多いゾーン)に合わせて樹冠下へ処理する考え方が前提で、畝全面に撒く発想とは設計が違います。
また、すいか・メロン・トマト・ピーマンなどでは総使用回数や“定植前混和は1回以内/土壌灌注は1回以内”のように、同成分の使い分け上限が明示されるため、前年・前作の履歴も含めて作業計画に組み込む必要があります。
ホスチアゼートは有機リン系殺虫剤で、作用機構は中枢神経系のアセチルコリンエステラーゼ活性阻害と整理されています。
この「神経系の酵素阻害」という性格は、線虫に効く理由の説明にもなりますが、同時に“人や家畜が曝露しない設計”が必要な理由にも直結します。
現場でありがちな誤解として「線虫剤=土に撒くから安全」という感覚がありますが、作用点が神経系である以上、飛散粉じん・手指汚染・着衣汚染が起きる作業(袋開封、ホッパー投入、散布機清掃)ほどリスク管理の優先度が上がります。
また、線虫が直接の原因に見えても、線虫が傷口を作ることで土壌病害が入りやすくなる“複合被害”が問題になる圃場では、線虫密度を落とすことが結果的に病害を抑える方向に働く、という説明も現場の納得感を作りやすい論点です。
ホスチアゼート(CAS 98886-44-3)のGHSモデルSDSでは、急性毒性(経口・経皮・吸入ミスト)が区分3、皮膚感作性が区分1、特定標的臓器毒性(単回・反復)が区分1(神経系など)とされ、注意喚起語は「危険」とされています。
同じSDSで、毒物及び劇物取締法上は「劇物」に該当すると整理されており、保管は施錠管理、取扱いは保護手袋・保護衣・眼の保護具・必要に応じ呼吸用保護具の着用、汚染作業衣を作業場外へ持ち出さない等が注意書きとして並びます。
この情報を“現場ルール”に翻訳するなら、最低限つぎの3点が効きます(意味のないルール増やしを避け、事故率が下がる所だけに絞るのがコツです)。
・🧤 投入担当は「耐薬品手袋+袖口が覆える作業着」を固定化し、投入・清掃は同じ人がやらない(曝露が集中しやすい工程の分離)。
・👓 風のある日・粉立ちが出る日(乾いた土、ホッパー詰まり対応)はゴーグル優先度を上げる(眼刺激の区分があるため)。
・🔒 保管は“施錠+食品・飼料と同送しない”を徹底し、空袋も「内容物除去→自治体/法令に沿って処分」を作業手順に入れる(輸送・廃棄の注意が明記)。
参考:GHS分類・応急措置・保護具・法令の根拠(現場教育に使える)
厚生労働省 職場のあんぜんサイト(GHSモデルSDS:ホスチアゼート)
検索上位の解説は「適用表」「使い方」「注意事項」に寄りがちですが、現場で差がつくのは“線虫の密度ムラ”を前提にした記録の取り方です(ここが独自視点として効きます)。
線虫は圃場内で局所的に増えることが多く、「畑全体に効かなかった」ではなく「被害帯に薬剤層が乗らなかった/混和層が浅かった/投入量が実はズレていた」など、ムラが原因のケースが現実的に頻出します。
そこで、ホスチアゼートを使う圃場では、次の“3点セット”だけでも記録しておくと、翌年の判断が一気にラクになります。
・🗺️ 被害マップ:ネコブの出た畝・列をスマホで撮り、位置が分かるように残す(「全面」か「作条」かの選択に効く)。
・⚙️ 混和条件:耕深(目標○cm)、作業機、走行速度、土の水分感(乾きすぎで粉立つ等)を一行で残す(ムラの再発防止)。
・📦 ロットと量:使用量(kg/10a換算)と袋数、余りの有無を残す(“計算上は合っている”の思い込みを潰せる)。
最後に、ホスチアゼートは登録情報上「総使用回数」まで条件化されるため、薬剤単体の出来不出来ではなく、輪作・前作・苗床(かんしょ)なども含めた“年間の使用設計”として見直すと、効き目のブレが減りやすいです。
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石原バイオ ネマトリンエース粒剤 5kg IB-2056914 殺線虫剤 ホスチアゼート粒剤 殺線虫剤 ホスチアゼート粒剤