ピーマン斑点細菌病の症状と対策・農薬の選び方

ピーマン斑点細菌病は梅雨時期に多発し、放置すると落葉・収量激減の原因になります。症状の見分け方から農薬選択、耕種的防除まで詳しく解説。あなたの圃場は正しい対策ができていますか?

ピーマン斑点細菌病の症状・原因・対策と農薬の選び方

発病してから農薬を撒いても、斑点細菌病は手遅れになることが多く、予防散布をしない圃場は収量が3割以上落ちるケースもあります。


ピーマン斑点細菌病 3つのポイント
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原因菌と発生条件

原因菌はXanthomonas campestris pv. vesicatoria。気温20〜25℃で降雨が続く梅雨期(6〜7月)と秋雨時(9月)に多発します。

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症状の特徴

葉裏に水浸状の小斑点が現れ、拡大すると黄色のハローを伴った褐色斑点に変化。 若葉は奇形になり、進行すると落葉します。

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防除の基本方針

発病後の防除は難しく「予防」が原則。梅雨入り前からカスミンボルドーやコサイドなど登録農薬を7〜10日間隔で散布します。

ピーマン斑点細菌病の症状と他の病気との見分け方



斑点細菌病の初期症状は、葉の裏側にやや盛り上がった水浸状の小さな斑点として現れます。 直径は数mmほど、消しゴムのカス程度の大きさです。


参考)ピーマン・ししとう 斑点細菌病 : こう…


その後、斑点は拡大・融合し、周囲が暗褐色でやや盛り上がり、中央部が褐色でへこんだ形状に変化します。 表面からは最初に黄色の変色として確認でき、のちに黄色のハロー(縁どり)を伴う褐色斑点に変わります。


これが見分けのポイントです。



盛夏になると病斑の中央部が白く変色しやすい特徴があります。 若い展開中の葉では葉脈に沿って不整形の病斑が出て、葉が奇形になることも珍しくありません。


参考)ピーマン斑点細菌病


病気 発生部位 病斑の特徴 発生時期
斑点細菌病 葉・葉柄・茎 黄色ハロー+褐色陥没、落葉あり 6〜7月、9月
炭疽病 果実 オレンジ色の胞子塊、果実陥没 高温多湿期(7〜9月)
葉枯細菌病 葉・茎 褐色病斑、蛍光性色素産生菌が原因 雨〜夏

葉柄や茎にも症状が出た場合、はじめは水浸状の条斑が形成され、のちに表面が裂けてかさぶた状の淡褐色病斑になります。 「葉に斑点がある=斑点病(糸状菌)」と判断してダコニールだけを撒いても、細菌性の斑点細菌病には不十分なため、黄色ハローの有無を必ず確認しましょう。


ピーマン斑点細菌病の発生条件と感染経路を正確に理解する

病原菌は種子伝染と土壌伝染の2つのルートで広がります。 種子に菌が付着している場合、定植直後から発病リスクがあります。つまり圃場の衛生状態だけでなく、種子の由来にも注意が必要です。


気温20〜25℃で降雨が続くと多発します。 これは一般的な夏野菜の生育適温とほぼ同じ帯域であるため、「ピーマンが元気に育つ時期=病気も活発化する時期」と覚えておくと実用的です。


病原細菌は主に気孔から侵入します。 そのため台風や大雨の後は特に感染リスクが上昇します。風雨で葉が傷つくと非気孔部位からも侵入しやすくなるからです。


発生が多い条件をまとめると。

  • 露地栽培(ハウス栽培より発生リスクが高い)
  • 梅雨期(6〜7月)と秋雨時(9月)の長雨
  • 排水不良・過湿の圃場
  • 窒素肥料の過多
  • 連作圃場(土壌中に残った被害残渣が伝染源になる)

肥料が不足した株も発病を助長します。 不足でも過多でも問題が生じるため、施肥管理のバランスが重要です。


ピーマン斑点細菌病の耕種的防除と圃場管理のポイント

農薬だけに頼らない耕種的防除が、長期的な防除コストを抑えるカギになります。


参考)https://www.pref.kagoshima.jp/ag04/sangyo-rodo/nogyo/gizyutu/kankyo/noyaku/documents/64868_20250911132455-1.pdf


まず連作を避けることが基本です。 収穫後に残った被害茎葉(残渣)は土壌中に菌を残す伝染源になるため、ていねいに取り除いて圃場の外で処分します。これだけで翌年の初発を遅らせる効果が期待できます。


排水の良い肥沃地を選び、有機物を十分に施すことも大切です。 排水が悪いと過湿になりやすく、菌の増殖・感染を促します。圃場が低地にある場合は高畝にする、暗渠を設けるといった対策が効果的です。


敷きわら(マルチング)も有効な対策です。 雨が降ったときの泥はねを防ぎ、土壌中の菌が葉や茎に飛散するリスクを大幅に減らせます。面積が広い露地圃場でも、畝間の主要な部分だけ施工するだけで効果が変わります。


  • 🌱 連作しない(非ナス科作物との輪作を組む)
  • 💧 排水整備・高畝にして過湿を防ぐ
  • 🌾 敷きわら・マルチングで泥はね防止
  • ✂️ 発病した茎葉はすぐ圃場外で処分
  • 🔬 種子消毒・健全種子の使用で種子伝染を防ぐ

窒素過多の施肥は発病を助長するため、施肥設計を見直すことも効果的です。 使用している肥料の成分表を確認し、窒素量が多い場合は配合を調整しましょう。


参考)https://www.pref.osaka.lg.jp/documents/84837/2503_09_28_pi-man.pdf


ピーマン斑点細菌病に登録のある農薬と散布タイミング

斑点細菌病は発生が多くなってからの防除が難しい病気です。


予防に重点を置くことが原則です。



農薬選択で重要なのは「ピーマン」への登録があるかどうかの確認です。登録作物を守らない使用は農薬取締法に抵触します。


代表的な登録農薬は以下の通りです。


agro+1

農薬名 有効成分 希釈倍数 使用回数
カスミンボルドー カスガマイシン+塩基性塩化銅 1,000倍 5回以内
カッパーシン水和剤 カスガマイシン+塩基性塩化銅 1,000倍 5回以内
コサイド3000 水酸化第二銅 2,000倍 規定回数内
Zボルドー 塩基性硫酸銅 規定倍数 規定回数内

散布タイミングは梅雨入り前から、7〜10日間隔での予防散布が基本です。 発病を確認してから慌てて散布しても手遅れになるケースが多いため、カレンダーで散布予定日をあらかじめ設定しておくと管理しやすくなります。


薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統の農薬を連用せず、ローテーション散布を心がけましょう。 銅剤だけを繰り返し使うと、耐性菌が出現するリスクが上がります。


農薬を散布する場合は、必ず農薬容器のラベルを確認し、作物名・希釈倍率・使用時期・使用回数を守ってください。


参考)ピーマンの斑点病被害の対策と農薬について


参考:農林水産省 農薬登録情報提供システムで最新の登録情報を確認できます。


農林水産省 農薬登録情報提供システム(pesticide.maff.go.jp)

ピーマン斑点細菌病を種子消毒で初期感染から断ち切る独自視点

多くの農業従事者は定植後の薬剤散布に注力しますが、斑点細菌病の感染経路のひとつは種子伝染です。 苗を購入して定植する場合でも、苗床での感染が定植前から始まっていることがあります。


種子消毒を行うことで、発病の起点そのものを断ち切れます。これは定植後の防除回数削減にもつながります。


大規模圃場では農薬コストが10aあたり数千円単位で積み上がります。予防散布の回数を1〜2回抑えられれば、実質的なコスト削減になります。


コスト削減が条件です。


ハウス栽培の場合は、発病株をできるだけ早期に発見し、ハウス内への持ち込みを防ぐことが最優先です。 苗を外部から導入する際には仕入れ先に病害検査の実施状況を確認することも重要です。


参考)ピーマンの6つの病気 原因から予防法・対処法を詳しく解説!


種子消毒の方法としては以下が参考になります。

  • 🌡️ 温湯浸漬処理(50℃・25分):化学農薬を使わない物理的消毒法
  • 🧪 種子消毒登録農薬の使用:各都道府県の防除指針を確認して適用農薬を選択
  • 🔍 採種時の健全株選抜:自家採種する場合は発病株由来の種子を使わない

都道府県の農業試験場や病害虫防除所が発行する「防除指針」には、地域ごとの発生時期・推奨農薬が詳しく記載されています。 大阪府や高知県のように毎年更新される公的資料は、最も信頼性の高い情報源です。


参考:高知県農業振興部が公開するピーマン・ししとう 斑点細菌病の病徴写真と発生条件の解説ページ
こうち農業ネット:ピーマン・ししとう斑点細菌病(nogyo.tosa.pref.kochi.lg.jp)
参考:農業害虫や病害の防除・農薬情報サイト「防除net」によるピーマン斑点細菌病の農薬情報まとめ
防除net:ピーマン斑点細菌病(boujo.net)




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