不耕起栽培は「土を耕さずにそのまま種まきや定植を行う」栽培法で、通路や畝を繰り返し耕さないことで土壌構造を安定させ、団粒構造が育つのが大きな特徴です。 その結果、土中の微生物やミミズなどの土壌動物が豊かになり、保水性と排水性が両立したフカフカな土になりやすく、家庭菜園でも水やりや追肥の手間を減らせるケースが増えています。
一方で、不耕起家庭菜園は導入初期に収量がやや不安定になったり、雑草や害虫の管理が難しく感じられることがあります。 特に従来の「耕してリセットする」発想に慣れていると、表層に残る雑草の種子や残渣に不安を覚えやすく、土壌状態の観察や栽培計画に一定の学習コストが必要になる点はデメリットと言えます。
参考)家庭菜園を始めるなら不耕起栽培で
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 土壌 | 団粒構造が発達し、通気性・保水性が向上。土壌侵食や泥はねが減り、雨後でも作業しやすい畑になる。 | 初期は土が締まっている場合もあり、根の張りや水の浸透が安定するまで数シーズンかかることがある。 |
| 作業・コスト | 耕うん・整地作業が不要で、燃料代や機械費・労働時間を大幅に削減できる。 | 雑草取りや残渣マルチづくりなど、別種の手作業が増えるため、作業内容の組み立て直しが必要。 |
| 環境・健康 | 土壌炭素の蓄積や温室効果ガス排出削減に寄与し、有機物マルチと組み合わせれば農薬・化学肥料を減らしやすい。 | 雑草や病害虫のバランスが崩れた場合、かえって農薬使用量が増えるリスクもあり、観察と工夫が欠かせない。 |
不耕起家庭菜園の要は「耕さない代わりに、地表を有機物で覆い続ける土づくり」にあります。 畝の上に完熟堆肥や腐葉土、刈り草、粉砕した剪定枝などを厚めに敷く「堆肥マルチ」は、雑草の発芽を抑えつつ、時間をかけて土中に有機物を供給する方法として世界的にも広く使われています。
イギリス発の「ノー・ディグ菜園」では、地表に段ボールを敷いてから堆肥を重ねることで、雑草と光を断ち切りながら新しい畝を立ち上げる手法が普及しており、小面積で高い収量を得ている事例も報告されています。 日本でも、段ボール+堆肥マルチによる不耕起栽培は、雑草抑制と土のフカフカ化を同時に進められる方法として紹介されており、家庭菜園レベルでも応用しやすいのが特徴です。
参考)世界的に注目される”耕さない菜園(ノーディグ菜園)”の普及を…
また、家庭菜園では「土作り専用の区画」を一部に設け、剪定枝や生ゴミコンポスト、落ち葉を集中的に積む山を作ると、2〜3年後には極めて肥沃な土を得られます。 そこからスコップ一杯分ずつ畝に「移植」していく感覚で土を配ると、不耕起でも短期間で土壌改良の効果を体感しやすくなります。
参考)8. 不耕起栽培から見えてくる「土の力」
不耕起家庭菜園で多くの人がつまずきやすいのが雑草管理ですが、「雑草ゼロ」を目指すのではなく「作物より背丈を低く保つ」ことを目標にすると現実的です。 雑草を小さいうちに抜いてその場に敷き、日当たりと養分を主作物に優先配分しながら、抜いた草をマルチ材として再利用するやり方は、労力の割にリターンが大きいとされています。
病害虫対策では、土壌中の多様な生物相を維持することで特定の病原菌や害虫だけが大発生しにくい環境を作ることが重要です。 例えば、ネコブセンチュウ対策としてマリーゴールドを畝間に混植したり、マメ科・セリ科・キク科など異なる科の野菜を組み合わせたコンパニオンプランツ栽培を行うと、根圏の微生物相が多様になり、病害虫リスクを下げやすいと報告されています。
参考)第2回 無施肥・不耕起の草生栽培 - 自然農法センター
不耕起では「残渣を残す=病気が残るのでは」という不安もありますが、適度な輪作と有機物の供給を続けることで、病原菌を抑える拮抗菌や捕食者も増え、長期的には病害虫が安定する事例も示されています。 単年の結果に一喜一憂せず、「3〜5年単位で畑全体の生き物バランスを育てる」視点を持つことが、不耕起家庭菜園を続けるコツです。
不耕起栽培は、耕うんに使う燃料や機械稼働を減らすことで、栽培当たりのCO₂排出を抑えられる農法として注目されています。 さらに、耕さずに地表を有機物マルチで覆うことで、土壌有機炭素の分解速度が抑えられ、炭素が土中に貯蔵されやすくなるため、気候変動対策としての「土壌炭素固定」の観点からも研究が進んでいます。
家庭菜園レベルでも、有機物マルチや緑肥を取り入れた不耕起栽培は、土壌侵食の抑制や豪雨時の表土流亡防止に効果があるとされています。 裸地を減らして地表を常に何かしらの植物や有機物で覆うことで、雨粒の衝撃が和らぎ、保水と浸透が改善し、近年増えているゲリラ豪雨の際の水たまり・ぬかるみ・泥はね被害を減らすことができます。
参考)畑を耕さなくても野菜が育つ!? 自然の力を活かした農業「不耕…
近年の研究では、家庭菜園やホームガーデンが平時の食費節約だけでなく、非常時の食料セーフティネットとしても機能していることが示されています。 不耕起家庭菜園は、耕うん機や燃料に依存せず、手作業と少量の資材で維持できるため、災害や物流寸断時にも「動かせる範囲で生産を続けやすい菜園の形」として位置付けることができます。
また、土壌を乱さず有機物を積み上げる不耕起のスタイルは、家庭から出る残渣や地域の落ち葉、剪定枝などをエネルギーをかけずに資源化する仕組みと相性が良く、地域ぐるみのコンポストステーションや共有菜園と組み合わせることでレジリエンス(回復力)の高いフードシステムを築きやすくなります。 例えば、平時は区画ごとの家庭菜園として利用しつつ、災害時には収穫物やノウハウを持ち寄って炊き出しや保存食づくりを行う、といった運用は、すでに海外のホームガーデン研究でも地域コミュニティ強化の一形態として報告されています。
参考)https://www.foodsystemsjournal.org/index.php/fsj/article/download/fd-what-gardens/597
不耕起家庭菜園の技術を地域に共有し、「誰か一人の畑」ではなく「エリア全体の食と土を支える知恵」として蓄積していくことは、農家だけでなく都市住民を含めた広い意味での食の安全保障に繋がる可能性があります。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6701066/
不耕起栽培の基礎や家庭菜園での具体的なステップを詳しく学びたい場合に役立つ解説。
家庭菜園を始めるなら不耕起栽培で
堆肥マルチや「耕さない庭」の考え方、暮らしと菜園を一体にした実践例を知りたいときに参考になる記事。
参考)ゆとりが生まれる畑の土づくり「不耕起栽培」のすすめ
ゆとりが生まれる畑の土づくり「不耕起栽培」のすすめ
不耕起栽培のメリット・デメリットや環境負荷低減の観点を、営農事例も交えつつ整理している技術解説。
参考)Re+ │ 地域と楽しむ、挑戦する。新しい農業のカタチをつく…
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不耕起栽培と土壌動物・微生物の関係、「土の力」を引き出すための考え方を学べる有機農業の入門解説。
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