ウリハムシ類の被害と対策方法

ウリ科野菜に深刻な被害をもたらすウリハムシ類。葉を食害する成虫の対策だけでは不十分で、実は根を食べる幼虫による枯死リスクも潜んでいます。効果的な防除方法や発生時期、農薬選びまで徹底解説。農家の収量を守るための実践的な情報をご存知ですか?

ウリハムシ類の被害と対策

成虫だけ追いかけても株は枯れます


この記事の3つのポイント
🐛
幼虫被害が深刻

見えない土中の幼虫が根を食害し、株が枯死することもある

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発生時期は5〜6月と8月

成虫のピーク時期に合わせた防除で被害を最小化できる

🛡️
複合的な対策が効果的

シルバーマルチ、コンパニオンプランツ、農薬の組み合わせで防除効果が高まる


ウリハムシ類の生態と被害の特徴



ウリハムシ類はキュウリ、スイカ、カボチャメロンなどウリ科作物を栽培する農家にとって、避けて通れない難防除害虫です。体長7〜9ミリ程度の小さな甲虫で、成虫は鮮やかな黄褐色から橙黄色をしており、素早く飛んで逃げるため「ウリバエ」とも呼ばれています。成虫は成虫態のまま石垣や建物の隙間、草むらなどで集団越冬し、気温が上昇する4月頃から活動を開始します。


成虫による葉の食害は目に見えやすく、円形の食痕が特徴的です。しかし農家にとってより深刻なのは、実は土中に潜む幼虫の存在なのです。成虫が株元の地面に産卵すると、孵化した幼虫は白いウジのような姿で根を食害し始めます。最初は細根を食べていた幼虫も、成長するにつれて太い根や株元の茎に潜り込んで食害するようになるのです。


つまり成虫対策だけでは不十分ということですね。


幼虫による根の被害が進行すると、地上部の生育が衰え、株全体が萎れて最悪の場合枯死してしまいます。この被害は6月下旬から7月にかけて多く発生し、農家が突然の枯れに気づいた時には既に手遅れというケースも少なくありません。1雌あたりの産卵数は100〜500個にも達するため、放置すれば爆発的に被害が拡大するリスクがあります。


発生は年1回が基本ですが、西南暖地などの温暖な地域では年2世代を経過することもあり、9〜10月に2世代目の成虫が発生して被害期間が長期化します。越冬した成虫は3月下旬頃から離脱を開始し、まずソラマメ、インゲン、ダイコンハクサイなどを食害してからウリ科作物へ飛来するという行動パターンを持っています。


ウリハムシ類の発生時期と被害のピーク

ウリハムシ類の活動は4月から10月にかけて活発化しますが、特に注意すべきは5月から6月の第1ピークと、8月から9月の第2ピークです。この2つの時期を理解して防除スケジュールを組むことが、被害を最小限に抑える鍵となります。


5月から6月は越冬明けの成虫が産卵する最盛期で、被害が多く見られる時期は5月下旬から6月です。この時期の産卵は4月下旬から7月上旬まで続き、産卵最盛期は6月上旬頃になります。成虫は1か所当たり数十個の卵を土中に産みつけ、卵は作物の株元の土中に数十粒の卵塊として産まれます。幼虫期間は3〜5週間で、その間ずっと根を食害し続けるため、この時期の対策が極めて重要です。


7月から8月は新成虫が発生する時期です。


土中で蛹となった幼虫は1〜2週間の蛹期間を経て、7〜8月に新成虫として地上に現れます。この新成虫が8月から9月の第2ピークを形成し、葉や果実への食害が特に顕著になるのです。スイカやマクワウリでは果実の表面を浅く不規則に食害するため、商品価値が著しく低下してしまいます。


温度の低い朝方はウリハムシの動きが鈍くなるため、この時間帯を狙った捕殺作業が効果的です。また、雨に雨が続いたり夏に暑い日が続いたりすると、圃場での作業が難しくなり、気づいたときには大量発生していたという事態にもなりかねません。発生時期を見越した予防的防除が、農家の労力とコストを削減する上で欠かせないのです。


ウリハムシ類に効果的な農薬と使用方法

ウリハムシ類の防除には、成虫と幼虫の両方に対応できる農薬戦略が必要です。成虫を確認したら5〜7日間隔で2〜3回、種類の異なる農薬をローテーションして散布することが推奨されています。これは農薬抵抗性の発達を防ぎ、高い防除効果を維持するためです。


成虫防除に効果的な代表的農薬として、有機リン系のマラソン乳剤やスミチオンがあります。マラソン乳剤は素早い効き目が特徴で、幅広い作物とさまざまな害虫に使える汎用性の高さから、家庭菜園でも使いやすい薬剤です。ネオニコチノイド系のモスピラン顆粒水溶剤、ダントツ水溶剤、スタークル顆粒水和剤は、速効性と浸透移行性の両方を兼ね備えており、農家がよく使う薬剤です。


幼虫対策が重要ですね。


毎年ウリハムシの被害に遭っている圃場では、植えつけ時に土壌混和する農薬を使って幼虫を防除する方法が効果的です。サンケイダイアジノン粒剤3を土に混和させておくことで、ウリハムシの幼虫を退治できます。この予防的処置により、後から見えない土中で進行する根の被害を未然に防ぐことができるのです。


近年注目されているのがコテツフロアブルで、きゅうりに有効です。ウリハムシを含めたコウチュウ目はもちろん、チョウ目、アザミウマ目、ダニ目など幅広い害虫に殺虫効果を示します。また、ベニカXネクストスプレーやアースガーデン野菜うましといったスプレータイプの製品は、面倒な調合をせずにそのまま吹きかけて使えて便利です。


農薬使用時の注意点として、同じ農薬を連続して使用すると耐性を持ってしまう可能性があります。耐性を持つと薬剤が効かなくなってしまうので、作用機構の異なる農薬をローテーションすることが重要です。また、それぞれの農薬には使用できる作物が農林水産省に登録されており、その種類がラベルやパッケージに記載されているため、必ず確認してから使用しましょう。


参考リンクとして、農薬の適正使用に関する詳細情報は農林水産省の農薬コーナーで確認できます。


農林水産省 農薬コーナー


ウリハムシ類の物理的防除とシルバーマルチ活用法

農薬に頼らない防除方法として、シルバーマルチの活用が高い効果を発揮します。シルバーマルチとは銀色の反射シートで畝の表面を覆うマルチング資材で、ウリハムシの成虫は銀色の反射光を嫌うため、飛来を防止する効果があるのです。この光の乱反射がウリハムシの行動を妨げ、作物への侵入を効果的に阻止します。


シルバーマルチの利点は害虫忌避だけではありません。成虫が株元に産卵する機会を少なくする効果もあるため、幼虫による根や地面に接した部分の食害も抑制できます。さらに夏の地温上昇抑制効果もあり、ウリハムシだけでなくアブラムシハダニの飛来も阻止する効果があるため、無農薬の夏野菜栽培には非常に有効な資材といえます。


家庭菜園ならアルミホイルも使えます。


プランター栽培であれば、簡単にアルミホイルで土の表面を覆う方法も試せます。アルミホイルもシルバーマルチと同様に光を乱反射させて防除効果を発揮し、手軽に導入できる点がメリットです。また、シルバーテープを作物の周囲に張り巡らせる方法も、銀色の反射光が害虫の目をくらませて侵入を防ぐ効果が期待できます。


もう一つの物理的防除として、防虫ネットやアンドン(行灯)で苗を囲う方法があります。ウリハムシは水平方向から飛来する性質があり、真上から降下することはできないため、苗の周囲を少し狭く囲うだけでも防除効果があるのです。特に定植直後の幼苗期は食害による影響が大きいため、この時期だけでもアンドンで保護することで被害を大幅に軽減できます。


手での捕殺も馬鹿にできない効果があります。ウリハムシは逃げる時に転がる習性があるため、ペットボトルの口部分を近づけて手で誘導するだけで捕獲できます。温度の低い朝方は虫の動きが鈍いので、その時間帯を狙うとよいでしょう。葉の裏などにじっとしている個体を見つけやすく、捕虫網やガムテープを使えば効率的に捕獲できます。


ウリハムシ類対策に有効なコンパニオンプランツ戦略

コンパニオンプランツを活用した防除法は、農薬を減らしながら効果的にウリハムシを抑制できる環境配慮型の方法です。コンパニオンプランツとは相性の良い植物同士を一緒に植える栽培法で、害虫の忌避だけでなく、病害の予防や作物の生育促進にもつながることがあります。


ウリハムシ対策で最も推奨されるコンパニオンプランツはネギです。ウリハムシはネギの匂いを嫌うため、ウリ科の作物とネギを混植することで被害を軽減できます。ネギはウリ科植物との相性が良く、ウリハムシが嫌う特有のニオイがあるため、発生の抑制効果が期待できるのです。植え付け時はキュウリの株元にネギを植えるだけで、ネギ特有のにおいでウリハムシの飛来を抑制できます。


ネギの効果は複合的です。


ネギの根には共生する「拮抗菌」がおり、この菌が抗生物質を分泌して土壌中の病原菌を減らします。そのため、きゅうりの代表的な連作障害である「つる割れ病」などの病害を予防する効果も期待できるのです。ネギの根は土の中の菌を減らすので、畑の清浄化にも効果的といえます。


ネギを植える場所がない場合は、玉ねぎやラディッシュの皮をウリ科野菜の株元にまくという方法もあります。これらの野菜もネギ類と同様に独特な香りに防御物質が含まれており、ウリハムシを寄せ付けにくくする効果があるとされています。また、ニンニクやバジルなど強い香りのする植物を周囲に植えることも、お互いの生育を助けながら害虫を寄せ付けない効果が期待できます。


ただし実際の効果については検証事例もあり、ネギを株元に置いてもウリハムシが完全に来なくなるわけではないという報告もあります。そのため、コンパニオンプランツは単独の防除法として過信せず、シルバーマルチや農薬散布など他の対策と組み合わせて使うことが現実的です。複合的なアプローチにより、防除効果を高めながら農薬使用量を減らすことができるのです。


参考として、コンパニオンプランツの組み合わせや効果については以下のサイトが詳しく解説しています。


タキイ種苗 コンパニオンプランツ活用法


ウリハムシ類の発生を抑える圃場管理のポイント

ウリハムシの発生を根本から抑えるには、圃場環境の管理が欠かせません。害虫が繁殖しやすい環境を作らないことが、長期的な被害軽減につながるのです。


最も重要なのは雑草管理です。ウリハムシは草むらや枯葉の下で越冬し、春になると活動を開始するため、畑の周囲や作物の近くに雑草が多いと繁殖しやすい環境を作ってしまいます。定期的に雑草を刈ってウリハムシの隠れ場所を減らすことが、予防の第一歩となります。積極的に落ち葉や雑草を除去し、ウリハムシが隠れる場所を減らしていくことで、越冬個体数そのものを削減できるのです。


株間管理も効果的ですね。


作物の株間を適度に開けることで風通しを良くし、害虫が集まりにくい環境を作ることも重要です。密植状態では湿気がこもり、害虫が集まりやすくなるだけでなく、農薬散布時の薬液到達性も悪くなります。適切な株間を保つことで、害虫の早期発見もしやすくなります。


輪作(ローテーション)の実践も発生抑制に有効です。例えば、同じ場所にウリ科作物を連作すれば、土壌内はウリハムシが繁殖する条件が整ってしまいます。連作を続けると、ウリハムシが発生しやすくなり、被害が拡大する可能性があるため、輪作を行うことで害虫の繁殖を抑え、被害を軽減できるのです。


黄色の粘着トラップの設置も補助的な対策として有効です。ウリハムシは黄色に引き寄せられる性質があるため、黄色の粘着トラップを利用すると効果的に捕獲できます。ただし粘着シートにくっついてもしばらくすると脱出することがあるという報告もあり、あくまで発生モニタリングや補助的な捕獲手段として位置づけるべきでしょう。


また、ほかの場所から移動した土の中にウリハムシの卵がある場合もあるため、外部から持ち込む土や堆肥には注意が必要です。圃場の清潔を保つことが、ウリハムシの予防対策を行う上で最も基本的で重要なポイントなのです。


参考として、総合的病害虫管理(IPM)の考え方については農林水産省のIPM実践指針が参考になります。


農林水産省 総合的病害虫・雑草管理(IPM)の推進




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