うどんこ病は、葉の表面に「うどん粉をまぶしたような白いかび」が円形に出るのが典型で、進むと株全体が汚白色のかびに覆われ、最終的に枯れ上がります。これはカボチャで最初に見落とされやすい初期サインなので、「白い点が数個=まだ軽い」と決めつけないのが安全です。施設では葉裏から発生することもあるため、上から眺める巡回だけだと初動が遅れます。
現場で役立つ“初期の見分け”は、白い粉が「葉の表面に乗っている」感じで、周囲の緑との境界が比較的はっきりする点です。葉の退色や栄養障害のように全体が均一に薄くなるのではなく、斑点が増えて面になっていくイメージです。さらに、うどんこ病は茎や果実にも出ることがあるため、葉だけに注意が偏ると、収穫物の品質面で痛手になりやすい点も押さえてください。
巡回のコツは「下葉」「葉が込み合った場所」「葉裏」を丁寧に観察することです。病害虫の早期発見として、下葉や葉裏を丁寧に観察する重要性が示されています。特に、圃場の端や風当たりの違う場所など、条件差が出るところは発生の起点になりやすいので、毎回同じルートで同じ株だけ見る巡回は避け、観察点をローテーションすると発見率が上がります。
うどんこ病は、やや乾燥した条件で多発しやすく、露地でも夏季の高温乾燥時に多発しやすい性質があります。雨で広がる病気というより、乾き気味でも一気に進むタイプなので、「雨が少ない年=病害が少ない」と油断すると手遅れになりがちです。特に施設やトンネルなど、直接雨が当たりにくい環境で被害が大きいことが知られています。
もう一つの盲点が「多肥」です。多肥栽培で多発する傾向があるため、草勢を上げて果実肥大を狙った施肥設計が、結果的にうどんこ病の追い風になるケースがあります。ここで大事なのは“肥料を減らすべき”という単純論ではなく、葉の込み合い・株内の風通し・葉面の乾湿リズムを含めて、病気が走る条件を作っていないかを点検する視点です。
また、うどんこ病の菌は胞子が飛散して伝染するタイプとされ、白く見える菌体上に形成される胞子が飛散して広がります。つまり、1株で見つけた時点で、その周辺は「まだ見えていないだけ」で既に曝露している可能性があります。圃場内の発生ムラがある場合でも、対応は“点”ではなく“面”で設計するのが結果的に安上がりになります。
うどんこ病は多発すると防除が難しくなるため、発病初期に薬剤を散布して防除を徹底する、という原則が重要です。言い換えると「見えてから考える」ではなく、「見え始めた瞬間に手を打つ」ほうが、散布回数も失敗コストも小さくなります。施設では葉裏から発生する場合があるので、発見が遅れやすい前提で、初期防除のタイミングを逃さない体制が必要です。
散布の実務で差が出るのは、薬液の当て方です。病害虫防除の基本として、薬剤散布は十分量の薬液で、葉裏や下葉、株元にもよくかかるように行うことが重要とされています。うどんこ病は「白い部分だけ狙い撃ち」しても、未発症部位や葉裏に残った菌で再燃しやすいので、散布むら(特に葉裏のかかり不足)があると、見かけ上は止まったのに数日~1週間で戻ってきます。
薬剤選定は地域・作型・登録内容で変わるため、個別商品名を丸暗記するより、運用ルールを持つほうが強いです。例えば、登録内容は時期や地域で異なり、使用時期・使用回数・希釈倍数などを確認すべきこと、登録条件以外の使用は農薬取締法上禁止され得ることが注意喚起されています。現場では「前回と同じでいいだろう」が一番危険で、収穫前日数や回数制限で“使えると思っていた薬剤が使えない”事態が、後半の防除崩れにつながります。
参考:症状・発生条件(乾燥で多発、施設で被害大、多肥で多発傾向)と、発病初期の防除の考え方
タキイ種苗「カボチャうどんこ病」
参考:散布の当て方(葉裏・下葉・株元まで)と、同一分類(コード)剤の連続散布を避ける考え方
JA全農いばらき「カボチャ栽培における病害虫の防除対策」
うどんこ病対策で後半に効きが落ちる原因として多いのが、同一系統の連用による耐性リスクです。同一分類(コード)は作用点が同じなので連用を避ける、という注意が示されています。つまり「効いたから同じ薬剤を続ける」ほど、次に効かなくなる確率を自分で上げてしまう設計になりがちです。
ローテーションの基本は、“作用点が同じものを続けない”ことです。実務では、圃場が忙しいほど「在庫があるから」「希釈が楽だから」と同じ剤に寄りやすいので、作業計画の段階でローテ枠を作っておくとブレません。加えて、混合剤は「2つコードが付いている」ことがあり、片方だけを見て連用扱いを見落とす事故が起きやすいので、ラベルの分類(FRAC等)まで確認する癖が必要です。
また、連用回避は“きれいごと”ではなくコスト対策でもあります。耐性が疑われる年は、結果的に散布回数が増え、葉の老化や薬害リスク、作業時間の増加といった二次被害が重なります。最初からローテーション前提で組むほうが、シーズン終盤まで安定しやすいという考え方です。
ここは検索上位にありがちな「薬剤名の列挙」ではなく、現場で効く“運用の独自視点”として、観察ルールの固定化を提案します。うどんこ病は多発すると防除が難しく、施設では葉裏から発生することもある、さらに下葉や葉裏を丁寧に観察する重要性が示されています。つまり、勝負は薬剤以前に「いつ見つけるか」で、同じ圃場でも発見タイミングで結果が分かれます。
おすすめは、圃場で再現できる簡単な点検手順を、毎回同じ形で回すことです(人が変わっても同じ精度に寄せるため)。例えば、次のように“観察の抜け”を減らします。
✅ 観察ルール例(そのまま掲示できる形)
・圃場に入ったら最初に下葉を10枚見る(葉表と葉裏の両方)
・葉が込み合う場所を必ず1か所選び、葉裏を重点確認する
・白い粉状斑点を見つけたら、その株だけでなく周辺数株も同じ深さで確認する
・「見つけた位置(畝番号・株間)」をメモし、次回はそこから逆方向に巡回する
この運用が効く理由は、うどんこ病が胞子飛散で広がる性質があること、乾燥条件で多発しやすいこと、葉裏発生があり得ることが重なるためです。つまり“見えるところだけ見る”巡回だと、病気の性質に負けます。逆に、観察の型を作ってしまえば、経験が浅い担当でも初期発見の確率を底上げでき、結果として初期防除の成功率が上がります。