半促成栽培トマトの定植時期と収量確保のポイント

半促成栽培トマトは10~1月播種で3~7月収穫を行う作型ですが、定植時期の判断や温度管理、葉先枯れ症など特有の課題があります。収量と品質を両立させる栽培管理のコツとは何でしょうか?

半促成栽培トマトで収量と品質を両立する方法

2月定植透明マルチを3月下旬まで使わないと葉先枯れで2割減収します


この記事で分かる3つのポイント
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半促成栽培の作型と時期

10~1月播種、12~3月定植で3~7月収穫を行う作型の特徴と、促成栽培・抑制栽培との違いが分かります

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地温管理と葉先枯れ対策

2月定植時の透明マルチ被覆による地温上昇が葉先枯れ症を軽減し、収量確保につながる具体的な方法

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品種選定と収量向上

半促成栽培に適した品種の特徴と、春先の草勢維持による収量アップのテクニック


半促成栽培トマトの定植時期と作型の特徴


半促成栽培は10月から1月にかけて播種を行い、12月から3月に定植、3月から7月まで収穫する作型です。促成栽培と抑制栽培の中間に位置する栽培方法で、加温の有無によって細かく作型が分かれます。加温する作型では3~4月に収穫を始め、無加温の作型では4月中旬以降から収穫が開始されます。


促成栽培との違いは播種時期にあります。促成栽培は8月下旬から9月上旬に播種して11月から6月まで長期栽培を行うのに対し、半促成栽培は秋から冬にかけての播種となるため、栽培期間がやや短くなります。つまり促成栽培より遅く、抑制栽培より早い時期に収穫できる作型ということですね。


定植時期の判断が収量を左右する重要なポイントです。6~7月播種で高温期に定植する抑制栽培では、本圃での苗の活着を優先させるため、根の活力が旺盛な本葉5~6枚の若い苗を植え付けます。対して9月以降、地温が落ち着いてきた後の定植苗は、開花苗が基本となり、元肥も10a当たり12~15kg程度施します。


半促成栽培では育苗期間中の温度管理が特に重要になります。育苗期は高温・多日照の環境から、定植時期には気温が低下する環境へと変化するため、定植7~10日前から順化を始めるなど、苗の管理には細心の注意が必要です。スムーズな活着を促すことが、その後の生育と収量に直結します。


作型を問わず、初期の根張りが良いと安定した栽培になり収量が上がります。深層に十分な土壌水分がある状態で定植できるように本圃の畝立てをすることが、トマトの根張りを良くする上で大変重要です。特に抑制栽培では高温乾燥時期の定植になるので、定植日の前日に畝立てを行い、土壌水分が飛ぶ前に植え付けるのが基本です。


タキイ種苗の冬春トマト栽培管理資料では、作型別の詳細な管理方法が解説されており、播種から収穫までの温度管理や肥培管理の具体的な基準が示されています。


半促成栽培トマトの透明マルチ活用で葉先枯れを防ぐ

2月に定植する無加温半促成栽培では、3月以降に葉先枯れ症が発生しやすく、果実肥大に悪影響を及ぼします。この生理障害の原因は葉中のカリウム不足で、特に「桃太郎」系統のような品質の良い品種では、果実肥大期に果実のカリウム要求量が特に高まり、葉先に欠乏症が発生しやすくなります。葉先枯れ症が発生すると、その部位が灰色かび病の一次感染源となり、やがて茎や果実にも感染が広がって収量が減少するため、産地で深刻な問題となっています。


岡山県の研究によると、2月定植の無加温半促成栽培で発生する葉先枯れ症を軽減するには、定植前から3月下旬まで株元を透明ポリマルチで被覆し、地温を上昇させることが効果的です。透明マルチ被覆により、2月下旬から3月中旬までの平均地温は無処理区に比べて約1.5℃上昇しました。たった1.5℃ですが、これは室温で例えると20℃と21.5℃の差に相当し、体感的にはっきり分かる温度差ですね。


この対策の効果は数値でも明確に示されています。各種処理を比較した結果、葉先枯れ症の発生程度は、慣行区が最も多く、次いでピートモス施用区、ケイ酸カリ基肥施用区と続き、硫酸カリ追肥区と透明ポリマルチ被覆区が最も発生が少なくなりました。硫酸カリの定期的追肥も効果がありますが、土壌中カリウム含量が過剰になる恐れがあるため、透明ポリマルチ被覆の方が望ましいと考えられています。


葉先枯れの発生パターンには特徴があります。1段果房肥大期に3~4段果房間の葉に発生し始め、8段果房までの葉に発生しますが、特に3~6段果房間の葉に発生が多くなります。つまり栽培の前半から中盤にかけて注意が必要ということですね。


透明マルチを使用する際の注意点として、高温期の3月下旬には被覆を取り外す必要があります。地温上昇効果が高い透明マルチは、気温が上がる時期には逆に地温を上げすぎてしまい、根を傷める原因となるためです。また定植前には土壌分析を行い、土壌中のカリウム含量を確認しておくことも重要です。


岡山県農業試験場の研究報告には、透明マルチ被覆による地温変化や葉先枯れ発生程度の詳細なデータが掲載されており、実践的な栽培管理の参考になります。


半促成栽培トマトの厳寒期温度管理と病害対策

12月から3月ごろまでの冬季は、半促成栽培において最も慎重な温度管理が求められる時期です。朝は日の出前に1時間程度の早朝加温を行い、光合成の準備をします。早朝加温は12~13℃を目標にし、午前中の気温は23~26℃とやや高めにして光合成を促進します。午後は20~23℃とやや下げて樹を固くしめ、空洞果防止に努めます。


日没後は最低気温を8~10℃に設定し、呼吸による同化養分の消耗を減らします。前夜温は葉から果実への養分転流を促すため10℃にし、後夜温は8℃にします。ただしマルハナバチ交配する場合は、最低気温を12℃に保たないと花粉の出が悪くなるので注意が必要です。つまり受粉方法によって温度設定を調整することが大切ということですね。


樹勢に応じた温度調整も重要なテクニックです。樹勢が強い場合は夜温を1℃程度上げ、逆におとなしい場合はやや下げて草勢の調整を行います。冬季は日照量が少ないため、効率的に同化養分を獲得するよう厳密な温度管理が必要になります。


ハウスを密閉する時期から頭を悩ませるのが灰色かび病です。適正な農薬で予防散布を励行し、発生を未然に防ぐことが重要です。この病原菌は多湿な条件を好むので、耕種的防除として、ハウスの通路に敷きわらなどを敷いたり、早朝の結露を防ぐため早朝加温時間を長くしたりして、ハウス内の湿度を下げるようにします。


地温が低下する時期に発生が目立つ5段花房前後の葉先枯れは、灰色かび病の発生源になるため、これを出さない管理が大切です。


発生した小葉は手間でも摘み取りましょう。


カリウムを補給するため、4~5段花房の開花期に「トマト元気液肥」(N:P:K=0:5.5:8、アミノ酸配合)を根から吸わせます。ただし地温を極端に下げないようにするため、潅水は晴天日の午前中に行い、潅水量は1株500ml程度までにとどめます。


また週1回程度、カリウムを含む葉面散布剤を定期的に散布するのも効果的です。厳しいところですが、こまめな管理が品質の高いトマトを収穫する鍵となります。


半促成栽培トマトで選ぶべき品種と収量アップの秘訣

半促成栽培(10~12月播種、6月終了)では品種選択の幅が広いため、手癖や市場のニーズに合った品種を選択できます。おすすめ品種には「ハウス桃太郎」「桃太郎はるか」「桃太郎ヨーク」「桃太郎ファイト」「桃太郎コルト」「T-193」などがあります。低段果房が大玉になる「桃太郎ヨーク」は、収量をねらうのに最適の品種で、3~4段果房収穫の低段密植栽培でも広く用いられています。


東京都の研究では、無加温半促成栽培における有望品種の選定試験が行われ、収量性や品質、食味を含む総合評価が実施されました。7月中旬以降はすべての品種で収量が少なくなりますが、「麗容」や「桃太郎ファイト」は他の品種と比べて3段および4段花房の上物収量が高い結果が得られています。食味を求めるなら「桃太郎ファイト」が適しています。


「桃太郎コルト」と「T-193」は、葉かび病の安定した耐病性を持っているのが特徴です。病害リスクを軽減しながら安定生産を目指す場合に有効な選択肢となります。収量重視か品質重視か、あるいは耐病性を優先するかによって、最適な品種が変わってきますね。


春先の草勢維持が収量確保のカギとなります。3月に入ってからの気温上昇は急激で、この時期に軟化玉の発生が問題になります。草勢が弱い状態で一度に多量の潅水を行うと軟化玉が多発するため、冬季中から積極的に追肥を施して草勢の維持を図ることが大切です。特に「桃太郎はるか」は春先の草勢の低下が早いので気をつけましょう。


日中のハウスが蒸し込まないよう積極的に換気することも重要です。逆に「ハウス桃太郎」はすじ腐果の発生が多いので、追肥は少量ずつ施し、チッソが急激に効かないよう注意します。品種ごとの特性を理解した上で、それぞれに適した肥培管理を行うことが、収量と品質を両立させる秘訣となります。


定植後の肥培管理では、1段果房が500円硬貨~ピンポン玉大(直径約4cm)の時点で3果に摘果し、その後、草勢が低下する3~4段花房開花期から本格的な追肥を開始するのが基本です。追肥での早めの追い込みが、高い品質を保ちながら草勢を維持する重要なポイントになります。


半促成栽培トマトの長期栽培管理と収穫期の注意点

6月までの長期栽培の場合は、下葉の摘葉をしてずり下ろしをしなければなりません。ただし一時に本葉6枚以上を摘葉してずり下ろすと、草勢が極端に低下するので、こまめに下げるようにします。その場合、「くきたっち」などの誘引資材を利用すると省力化できます。下の方の葉は古くなると光合成をしなくなり、栄養を使うだけになってしまうため、葉を取り養分と水分を実に回るようにします。


下の葉を取ることで通気性が良くなって病気の発生を予防できます。トマトの実から下の葉は全部なくなりますが、トマトはしっかり大きくなるので大丈夫です。摘葉のタイミングは果実が赤くなった花房より下の葉を順次摘み取るのが基本で、こまめな管理が求められますね。


3月以降の温度上昇期には生理障害対策が重要になります。やせた土壌でも元肥は10a当たり20kg程度が上限です。あまり多くの元肥を入れると、春先の地温上昇期に必要以上のチッソ肥料が効いて、すじ腐果の発生を助長します。栽培後半に肥料が足りなくなった分は、追肥で補うのが基本となります。


天候に合わせた細かな肥培管理も欠かせません。雨が少なく高温で乾燥した年は、しり腐果、ホウ素欠乏、放射状裂果が多くなります。潅水量を増やしてハウス内が乾燥しすぎないようにし、2~3回程度ホウ素とカルシウムを葉面散布して予防します。逆に雨の多い湿潤な年は草勢が旺盛になり、空洞果や着色不良果が多発するため、潅水量を控えてしめぎみに作ります。


葉がちになりすぎた場合は、チッソ成分の入っていないリン酸・カリウムの葉面散布剤を施すか、1株につき2枚程度の摘葉も必要です。年ごとの環境条件に合った管理を行うことが、安定した収量と品質を確保する上で不可欠となります。生理障害が発生しないようこまめに管理し、品質の高いトマトを収穫する体制を整えましょう。


半促成栽培は促成栽培と抑制栽培の中間に位置し、比較的栽培しやすい作型とされていますが、定植時期の地温管理や春先の草勢維持など、細かな注意点が多い栽培方法です。特に2月定植の場合は透明マルチによる地温確保が収量に直結するため、忘れずに実施することが重要です。品種特性を理解し、それぞれに適した管理を行うことで、安定した収益が期待できる作型といえます。




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