寒い時期に定植するトマトは、地域と加温設備に合った半促成作型を選び、増肥より先に地温・水分・根の状態を整えます。葉先枯れでも土のカリ不足とは限らず、朝の結露と摘葉の進め方も、活着後の生育を左右する確認項目です。
2月定植で透明マルチによる地温確保を、地域と作型に合わせて検討します
寒い時期の定植を扱う半促成栽培と、夏に定植して秋以降に収穫する抑制栽培は、温度対策が逆になります。低温期定植の説明に、7月定植など高温期の抑制作型を混ぜないでください。
地域と設備が明記された公的資料では、次の日程が確認できます。ただし、下記資料には播種・定植・収穫の全日程がそろっていないため、未記載の収穫期を別地域の数字で埋めてはいません。
関連用語・資料:播種 / 収穫 / 抑制栽培 / 元肥 / 育苗 / 順化 / 土壌 / 畝立て / トマト / タキイ種苗の冬春トマト栽培管理資料
定植後の伸びが鈍いときは、追肥の前に地温、水分、根の順で確認します。新潟県の加温半促成資料では、地温は定植から活着まで17~18℃、活着後14~15℃が目安です。ハウス中央の気温だけでなく、実際の植え付け位置の地温を確かめます。これは新潟県の当該作型の目安で、全品種共通の設定値ではありません。
例えば、仮に窒素成分12kg/10aを窒素8%の肥料だけで供給する設計なら、製品は150kg/10aです。製品12kg/10aなら窒素は0.96kg/10aにすぎません。この計算は単位の説明であり、12kg/10aの施用を勧めるものではありません。
出典:新潟県の地温・活着管理、農林水産省の定植・かん水管理。
葉先枯れが出ても、まずカリを増やすとは限りません。岡山県の平成11~12年度研究では、2月定植の無加温半促成トマトを対象に、透明ポリマルチ、カリ肥料、ピートモスなどを比較しました。原資料に品種名は記載されていません。
この試験が示すのは、葉のカリ含有率が低いことと、土にカリが足りないことは同じではない、という判断です。低地温期には、定植前の土壌分析と根域の保温を先に確認します。ただし、透明マルチによる葉中カリ含有率の変化は原資料でも検討課題であり、吸収改善の機構まで実証済みとは書けません。3月下旬の高温期には取り外す条件も併記します。岡山県の試験原資料
関連用語・資料:生理障害 / 灰色かび病 / ピートモス / ケイ酸 / 追肥
12月から3月ごろまでの冬季は、半促成栽培において最も慎重な温度管理が求められる時期です。朝は日の出前に1時間程度の早朝加温を行い、光合成の準備をします。早朝加温は12~13℃を目標にし、午前中の気温は23~26℃とやや高めにして光合成を促進します。午後は20~23℃とやや下げて樹を固くしめ、空洞果防止に努めます。
日没後は最低気温を8~10℃に設定し、呼吸による同化養分の消耗を減らします。前夜温は葉から果実への養分転流を促すため10℃にし、後夜温は8℃にします。ただしマルハナバチで交配する場合は、最低気温を12℃に保たないと花粉の出が悪くなるので注意が必要です。つまり受粉方法によって温度設定を調整することが大切ということですね。
樹勢に応じた温度調整も重要なテクニックです。樹勢が強い場合は夜温を1℃程度上げ、逆におとなしい場合はやや下げて草勢の調整を行います。冬季は日照量が少ないため、効率的に同化養分を獲得するよう厳密な温度管理が必要になります。
ハウスを密閉する時期から頭を悩ませるのが灰色かび病です。適正な農薬で予防散布を励行し、発生を未然に防ぐことが重要です。この病原菌は多湿な条件を好むので、耕種的防除として、ハウスの通路に敷きわらなどを敷いたり、早朝の結露を防ぐため早朝加温時間を長くしたりして、ハウス内の湿度を下げるようにします。
地温が低下する時期に発生が目立つ5段花房前後の葉先枯れは、灰色かび病の発生源になるため、これを出さない管理が大切です。
発生した小葉は手間でも摘み取りましょう。
カリウムを補給するため、4~5段花房の開花期に「トマト元気液肥」(N:P:K=0:5.5:8、アミノ酸配合)を根から吸わせます。ただし地温を極端に下げないようにするため、潅水は晴天日の午前中に行い、潅水量は1株500ml程度までにとどめます。
また週1回程度、カリウムを含む葉面散布剤を定期的に散布するのも効果的です。厳しいところですが、こまめな管理が品質の高いトマトを収穫する鍵となります。
早朝加温と換気は、同じ作業の代わりではありません。加温は夜間に冷えた植物体の温度を上げ、朝の生育を支えるために使い、換気は施設内の湿った空気を外へ出すために使います。加温して相対湿度が下がっても、水蒸気そのものが施設外へ出たことにはなりません。
新潟県は、日の出後に空気だけが急に暖まると、冷えた茎葉・果実との温度差が生じ、結露から病気や裂果につながりやすいと説明しています。朝は気温の上昇だけで判断せず、葉・果実の結露と湿度を確認し、必要な加温と段階的な換気を組み合わせます。外気を一気に入れて株を冷やす操作も避けます。新潟県の結露対策
早朝加温は、すべての施設で毎日必須という意味ではありません。平成22~24年度の新潟県の加温養液栽培試験では、活着後の2段変温管理が慣行4段変温と同等の商品果収量を保ち、燃油消費量を約15%削減しました。42平方メートルの温室と当時の供試品種での比較であり、現在の土耕・別品種に同じ結果を保証するものではありません。活着前の約10日間は13℃一定管理としており、定植直後から同じ低温管理を行った試験でもありません。新潟県の平成25年度成果
半促成栽培(10~12月播種、6月終了)では品種選択の幅が広いため、手癖や市場のニーズに合った品種を選択できます。おすすめ品種には「ハウス桃太郎」「桃太郎はるか」「桃太郎ヨーク」「桃太郎ファイト」「桃太郎コルト」「T-193」などがあります。低段果房が大玉になる「桃太郎ヨーク」は、収量をねらうのに最適の品種で、3~4段果房収穫の低段密植栽培でも広く用いられています。
東京都の研究では、無加温半促成栽培における有望品種の選定試験が行われ、収量性や品質、食味を含む総合評価が実施されました。7月中旬以降はすべての品種で収量が少なくなりますが、「麗容」や「桃太郎ファイト」は他の品種と比べて3段および4段花房の上物収量が高い結果が得られています。食味を求めるなら「桃太郎ファイト」が適しています。
「桃太郎コルト」と「T-193」は、葉かび病の安定した耐病性を持っているのが特徴です。病害リスクを軽減しながら安定生産を目指す場合に有効な選択肢となります。収量重視か品質重視か、あるいは耐病性を優先するかによって、最適な品種が変わってきますね。
春先の草勢維持が収量確保のカギとなります。3月に入ってからの気温上昇は急激で、この時期に軟化玉の発生が問題になります。草勢が弱い状態で一度に多量の潅水を行うと軟化玉が多発するため、冬季中から積極的に追肥を施して草勢の維持を図ることが大切です。特に「桃太郎はるか」は春先の草勢の低下が早いので気をつけましょう。
日中のハウスが蒸し込まないよう積極的に換気することも重要です。逆に「ハウス桃太郎」はすじ腐果の発生が多いので、追肥は少量ずつ施し、チッソが急激に効かないよう注意します。品種ごとの特性を理解した上で、それぞれに適した肥培管理を行うことが、収量と品質を両立させる秘訣となります。
定植後の肥培管理では、1段果房が500円硬貨~ピンポン玉大(直径約4cm)の時点で3果に摘果し、その後、草勢が低下する3~4段花房開花期から本格的な追肥を開始するのが基本です。追肥での早めの追い込みが、高い品質を保ちながら草勢を維持する重要なポイントになります。
6月までの長期栽培の場合は、下葉の摘葉をしてずり下ろしをしなければなりません。ただし一時に本葉6枚以上を摘葉してずり下ろすと、草勢が極端に低下するので、こまめに下げるようにします。その場合、「くきたっち」などの誘引資材を利用すると省力化できます。下の方の葉は古くなると光合成をしなくなり、栄養を使うだけになってしまうため、葉を取り養分と水分を実に回るようにします。
下の葉を取ることで通気性が良くなって病気の発生を予防できます。トマトの実から下の葉は全部なくなりますが、トマトはしっかり大きくなるので大丈夫です。摘葉のタイミングは果実が赤くなった花房より下の葉を順次摘み取るのが基本で、こまめな管理が求められますね。
3月以降の温度上昇期には生理障害対策が重要になります。やせた土壌でも元肥は10a当たり20kg程度が上限です。あまり多くの元肥を入れると、春先の地温上昇期に必要以上のチッソ肥料が効いて、すじ腐果の発生を助長します。栽培後半に肥料が足りなくなった分は、追肥で補うのが基本となります。
天候に合わせた細かな肥培管理も欠かせません。雨が少なく高温で乾燥した年は、しり腐果、ホウ素欠乏、放射状裂果が多くなります。潅水量を増やしてハウス内が乾燥しすぎないようにし、2~3回程度ホウ素とカルシウムを葉面散布して予防します。逆に雨の多い湿潤な年は草勢が旺盛になり、空洞果や着色不良果が多発するため、潅水量を控えてしめぎみに作ります。
葉がちになりすぎた場合は、チッソ成分の入っていないリン酸・カリウムの葉面散布剤を施すか、1株につき2枚程度の摘葉も必要です。年ごとの環境条件に合った管理を行うことが、安定した収量と品質を確保する上で不可欠となります。生理障害が発生しないようこまめに管理し、品質の高いトマトを収穫する体制を整えましょう。
半促成栽培は促成栽培と抑制栽培の中間に位置し、比較的栽培しやすい作型とされていますが、定植時期の地温管理や春先の草勢維持など、細かな注意点が多い栽培方法です。特に2月定植の場合は透明マルチによる地温確保が収量に直結するため、忘れずに実施することが重要です。品種特性を理解し、それぞれに適した管理を行うことで、安定した収益が期待できる作型といえます。

【熊本県南部園芸出荷組合様より発送】 わけありトマト4kg箱入り通風を良くするためでも、健全な葉を一度に取り過ぎないようにします。新潟県の栽培概要には、第1段着果後に第1段下の葉を2~3枚、第2段開花後にさらに2~3枚、第3段開花時までに第1段下の葉を取り終えるよう、約3回に分ける例があります。果房より上の葉は、混み具合に応じて判断します。
これは下葉整理の一例です。葉が小さい、葉数が少ない、草勢が弱い株では、日程と枚数だけを合わせず、まず傷んだ葉や病葉を対象にします。結露している朝、雨天、降雨前後は摘葉を避け、切り口が当日中に乾く日に作業します。下葉を取った直後に別の健全葉まで続けて除くのではなく、株の反応を見て次の作業を決めます。出典:新潟県の段階的葉かき例、農林水産省の摘葉条件。