ウリキンウワバ専用の登録農薬は存在しないため、薬剤だけに頼る防除は通用しません。
ウリキンウワバの幼虫は、慣れれば一目でわかるほど独特の外見を持ちます。終齢幼虫は体長約40mm(名刺の短辺=約44mmとほぼ同じ)で、全体に淡緑〜黄緑色をしています。 体の各所にイボ状の突起があり、そこから剛毛が生えているため、一見「毒がありそう」に見えます。しかし、この突起と毛には毒性はなく、触っても腫れやかぶれは起きません。boujo+1
頭部に向かって細くなる独特の体型が目印です。
腹脚は2対しかなく、シャクトリムシと同じように体を伸縮させながら歩きます。 キュウリやカボチャの茎葉にも同様の突起があるため、若い幼虫は葉の上にいても意外と見つけにくい点に注意が必要です。jpmoth+1
キュウリの葉の色と幼虫の緑色が同化するため、見落としが起こりやすいということですね。
幼虫は終齢に近づくと、葉柄付近の葉脈を2〜3本噛み切って葉を萎れさせ、その「傘状に垂れた葉」の陰に隠れて食害を続けます。 一見すると病気のように見えるため、病害と勘違いして見逃すケースもあります。萎れた葉を見つけたら、内部に幼虫がいないか確認するのが基本です。
参考)ウリキンウワバ 傘を作って身を隠す害虫 – FO…
成虫は6月〜11月に出現し、年間3〜4回発生を繰り返します。 1ヶ月で次世代が出現する適温条件下では、9月以降に個体数が急増するため、秋作の露地栽培では特に注意が必要です。 卵期間は4〜8日、幼虫期間は2〜3週間、蛹期間は8〜14日という短いサイクルで増殖します。kyoyu-agri.co+2
サイクルが速いということですね。
一般的にウリ科専門の害虫と思われがちですが、実はウリ科以外にも多くの植物を加害します。キュウリ・カボチャ・メロン・スイカ・ユウガオといったウリ科が主体ながら、ハクサイ・キャベツ・ダイコン・ブロッコリーなどアブラナ科にも発生します。 さらにシソ科・ナス科・スイカズラ科など幅広い作物種に分布しており、「ウリだけ守れば安心」という考え方は危険です。
参考)ウリキンウワバ
とくに冬季はハクサイの内部に幼虫が潜り込み、越冬しながら食害を続けることがあります。 外見からは被害が確認しにくいため、収穫直前になって初めて気づく農家も少なくありません。秋に個体数が多かった圃場では、冬のハクサイを出荷前に内葉まで確認する習慣が重要です。
若齢幼虫は葉の裏側から食害を開始し、表皮を残しながら葉肉だけを食べます。 この段階では食害面積も小さく、発見が遅れやすいのが問題です。しかし成熟幼虫になると摂食量が急増し、葉に孔があく、葉がボロボロになるなど目に見える被害が広がります。jpmoth+1
これが農業従事者にとって痛いところです。
発見のポイントは「ふん」と「食痕」です。葉裏を丁寧にチェックして、小さな黒いふんや白い薄膜状の食痕が見つかれば、その付近に幼虫がいる可能性が高いです。 単独行動が基本で群生しないため、1頭ずつ丁寧に捜して捕殺する方法が確実です。
🌿 被害を見つけるチェックポイント。
幼虫は身の危険を感じると、口から緑色の液体を体を振って飛ばすという防衛行動も知られています。 捕殺作業中に突然液体を飛ばしてくることがあるので、目に入らないよう注意が必要です。
参考)http://www.jpmoth.org/Noctuidae/Plusiinae/Anadevidia_peponis.html
ウリキンウワバに直接登録された専用農薬は現在存在しません。 これは農業従事者にとって盲点になりやすい事実です。「農薬さえ撒けば大丈夫」と考えていると、効果のない薬剤を散布し続けることになりかねません。
参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/ank/bug/urikinuriba/
農薬は弱点です。
ただし農薬に対する感受性は高く、他害虫向けに登録されている薬剤(例:ワタヘリクロノメイガ=ウリノメイガ向け薬剤)が散布されている圃場では、ウリキンウワバの発生が少ないことが多いです。 アブラナ科野菜向けにはグレーシア・ディアナSC・プレオフロアブルなどがキャベツやハクサイで使える薬剤として知られています。 薬剤を使う場合は、必ず使用作物と登録内容を農林水産省の農薬登録情報提供システムで確認してください。takii.co+1
農薬よりも確実な方法が物理的防除です。施設栽培では開口部を寒冷紗(目合い1mm以下が目安)で覆うことで成虫の侵入を防げます。 露地では防虫ネットで成虫の飛来を阻止することが推奨されています。幼虫が単独で葉裏に隠れる習性を利用して、ふんや食痕を目印に1頭ずつ捕殺するのが最も手確実です。
参考)協友アグリの害虫図鑑
ウリキンウワバの防除は「登録薬剤の確認」→「防虫ネット設置」→「捕殺」という3段階が基本です。
農薬の葉裏への到達も重要なポイントで、ウリキンウワバは葉裏に潜んでいるため、薬剤散布時は葉裏まで届くよう丁寧に散布する必要があります。 散布角度や量が不十分だと防除効果が大きく落ちます。
農薬散布の際は「葉裏まで届いているか」が条件です。
農林水産省の農薬登録情報提供システムで最新の登録情報が確認できます。薬剤選定の際はこちらを必ず参照してください。
農林水産省 農薬登録情報提供システム(農薬の登録作物・用途の確認に活用できる公式データベース)
ウリキンウワバ幼虫には、他の害虫にはほとんど見られない独特な行動があります。成熟が近づくと葉柄付近の太い葉脈を2〜3本噛みちぎり、葉を萎れさせて「傘状」にたわませます。 その中に入り込んで数日間食い続け、さらに蛹になる場所としても利用します。
これは単なる偶然ではありません。
農家がこの萎れた葉を見たとき、最初に疑うのは「病気では?」という判断です。知人の家庭菜園でも、病気と勘違いして薬剤散布を繰り返してしまったという実例が報告されています。 実際には内部に幼虫が潜んでいるだけなので、葉をそっと広げて確認し、見つかれば幼虫ごと葉を除去するのが正解です。
傘を作った葉ごと取り除くのが最も確実な方法です。
この「傘作り」行動は、天敵の鳥などから身を隠すためと考えられています。 言い換えれば、農業従事者が「萎れ」に気づいても幼虫を見逃しやすいのは、ウリキンウワバの側が意図的に病害と見分けにくい状態を作り出しているためとも言えます。梅雨明け後や秋口に原因不明の葉の萎れを発見した場合、まず内部を確認する習慣を持つことが被害拡大を防ぐ鍵になります。
foocom.net「ウリキンウワバ 傘を作って身を隠す害虫」(葉脈を噛みちぎって傘を作る習性について詳しく解説されている記事)
防除ハンドブック「ウリキンウワバ」(形態・発生時期・登録農薬の詳細情報が掲載されている専門的な解説ページ)