白さび病対策に有効な薬剤と予防方法

農業従事者が知っておくべき白さび病の原因、症状、効果的な予防策と防除方法について解説します。薬剤選択から耐性菌対策まで、安定生産のポイントは万全ですか?

白さび病の対策と防除方法

同じ薬剤を3回以上続けると耐性菌が発生します


この記事の3つのポイント
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白さび病の症状と発生条件

低温多湿環境で発生しやすく、葉裏に白色のいぼ状突起が形成される糸状菌による病害です

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効果的な薬剤防除の方法

耐性菌を防ぐため異なる系統の薬剤をローテーション散布し、気象条件に応じた適期防除が重要です

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予防対策と栽培管理

排水性改善、適切な株間確保、頭上潅水の回避により感染リスクを大幅に低下させられます


白さび病の症状と被害状況



白さび病はアブラナ科野菜やキク類に発生する重大な病害です。初期症状として、葉の表面に1~2mm程度の乳白色から黄白色の小さな斑点が現れます。これはちょうど消しゴムのかすをまぶしたような見た目です。


病気が進行すると、葉の裏側に白色から黄白色の粉状物質が盛り上がって付着します。この盛り上がりは冬胞子堆と呼ばれ、無数の胞子が集まってできたものです。触るとざらざらした感触があり、粉が指に付きます。


発病した葉は光合成能力が低下し、やがて黄化して枯死に至ります。ダイコンでは青首部分に感染すると「わっか症」と呼ばれる症状が発生し、商品価値が完全に失われます。ハクサイコマツナでは葉全体に病斑が広がると出荷不可能になり、収量損失は発生程度によって30~80%にも達します。これは10アール当たり数十万円の損失につながる深刻な被害です。


キクの場合、上位葉や花蕾付近まで病斑が進展すると切り花として出荷できません。


結論は早期発見と迅速な対応が必須です。


白菜における白さび病の詳細な症状写真と解説(ベジパレット)


白さび病が発生する原因と条件

白さび病の病原菌は低温多湿を好む糸状菌です。発生に適した温度は10~23℃で、最適温度は15~20℃とされています。つまり春先の3~5月と秋の10~11月に多発しやすくなります。真夏の高温期には病原菌の活動が抑制されるため、発生は一時的に減少します。


病原菌の胞子は雨や風によって飛散し、葉の表面に付着します。葉が濡れた状態が続くと胞子が発芽して植物体内に侵入し、感染が成立します。相対湿度90%以上の多湿条件では胞子形成が活発になり、感染リスクが急激に高まります。


圃場環境も発生に大きく影響します。排水不良で常に土壌が湿っている圃場、密植で風通しが悪い栽培、頭上から水をかける潅水方法などは、いずれも多湿環境を作り出し病原菌の繁殖を助長します。感染リスクの高い時期と環境条件が重なると、爆発的な蔓延につながります。


土壌中に残った病原菌は越冬して翌年の伝染源となります。前作で白さび病が発生した圃場では、翌年も発生しやすい傾向があります。


多湿が基本条件です。


白さび病に効果的な農薬と薬剤選択

白さび病防除には予防効果の高い殺菌剤を選択することが重要です。アミスター20フロアブル(アゾキシストロビン)は幅広い作物に登録があり、予防効果に優れています。ダイコンやカブの白さび病に高い効果を示し、雨に強い特性を持つため降雨前の散布が効果的です。


ストロビーフロアブル(クレソキシムメチル)はキクの白さび病に卓効を示します。散布後の残効性が長く、定期的な予防散布に適しています。メジャーフロアブル(ピコキシストロビン)も同様に予防効果が高く、各種作物の白さび病対策に使用できます。


予防剤と治療剤を組み合わせる方法も効果的です。オペラフラワー乳剤やラリー乳剤は予防と治療の両方の効果を持ち、キクの白さび病に高い防除効果を発揮します。発病初期であれば病勢進展を抑えることが可能です。


薬剤散布のタイミングは感染前の予防散布が基本となります。降雨が予想される前日や、朝露で葉が濡れやすい時期の定期散布が推奨されます。散布間隔は7~10日が目安ですが、長雨が続く場合は間隔を短くします。


予防散布が効果の鍵です。


キク白さび病に対する各種殺菌剤の防除効果試験結果(奈良県農業研究開発センター)


白さび病対策で耐性菌を防ぐ方法

同じ系統の薬剤を連続使用すると、その薬剤が効かない耐性菌が出現します。キクの白さび病では過去にストロビルリン系薬剤(QoI剤)に対する耐性菌の発生が確認されており、広島県の調査では実際に防除効果が低下した事例が報告されています。


耐性菌対策の基本は薬剤のローテーション散布です。作用機構(FRAC コード)が異なる系統の薬剤を交互に使用することで、特定の薬剤に対する耐性発達を遅らせることができます。例えばストロビルリン系(FRAC 11)を使用した後は、別系統のカルボキサミド系やトリアゾール系の薬剤に切り替えます。


QoI剤は耐性菌が出現しやすい特性があるため、1作当たりの使用回数を1~2回程度に制限することが推奨されています。複数回散布が必要な場合は、必ず異なる系統の薬剤を挟みます。


薬剤散布後は防除効果を観察し、期待した効果が得られない場合は耐性菌発生の可能性を疑います。その場合は直ちに別系統の薬剤に変更し、同じ薬剤の使用を中止します。


ローテーションが必須です。


キク白さび病菌のストロビルリン剤感受性検定結果(広島県立総合技術研究所)


白さび病の予防対策と栽培管理

排水性の改善は白さび病予防の最重要ポイントです。高畝栽培を行い、畝の高さを通常より5~10cm高くすることで、圃場の滞水を防ぎます。圃場周囲や畝間に排水溝を設けて、降雨後の速やかな排水を確保します。これにより土壌の過湿状態を避け、病原菌の繁殖環境を作らせません。


適切な株間確保による通風改善も効果的です。推奨株間より狭い密植状態では株間の湿度が高まり、葉の濡れが長時間続きます。ハクサイやダイコンでは標準的な株間を守り、必要に応じて間引きを行って風通しを良くします。


頭上潅水は絶対に避けるべき管理方法です。株の上から水をかけると葉全体が濡れて、病原菌の胞子飛散と感染を促進します。潅水は株元にチューブを這わせる点滴潅水や、畝間に水を流す方法を採用します。


これだけで感染リスクを大幅に低減できます。


マルチ資材の活用も有効な対策となります。畝上に黒マルチやシルバーマルチを張ることで、土壌からの跳ね上がりによる病原菌の付着を防ぎます。発病株は圃場内に放置せず、袋に密封して圃場外で焼却処分します。


残渣をすき込むと翌年の伝染源になります。


点滴潅水がポイントです。


白さび病に重曹を使った防除方法

重曹炭酸水素ナトリウム)は家庭菜園や小規模栽培で使える代替防除資材です。アルカリ性の重曹が病原菌の生育を抑制する効果があり、化学農薬を使いたくない場合の選択肢となります。


重曹水の作り方は簡単です。水1リットルに対して重曹1グラム(小さじ約1/5)を溶かし、よく撹拌します。これは0.1%濃度の重曹水で、環境省の資料でも推奨されている濃度です。


霧吹きやスプレーボトルに入れて使用します。


散布は葉の表面だけでなく、裏側にも丁寧に吹きかけます。病原菌の胞子は主に葉裏に形成されるため、裏側への散布が特に重要です。予防目的では週1回程度、発病している場合は3~5日おきに繰り返し散布します。


重曹散布後は葉に白い結晶が残ることがあります。これは重曹が乾燥して結晶化したもので、葉焼けを防ぐため散布翌日に水で軽く流します。効果は化学農薬より劣るため、発病初期や予防的使用に限定します。


週1回の散布が基本です。


白さび病の温湯処理による育苗段階防除

キクの白さび病対策では温湯浸漬処理が効果的な育苗技術として確立されています。これは挿し穂を45℃の温湯に1分間浸漬することで、穂に付着した病原菌を死滅させる方法です。福島県の試験では障害発生なく、発病株率を83%から10~27%まで大幅に低減させました。


処理手順は厳密な温度管理が必要です。まず穂を40℃程度の湯で1分間予備加温し、次に45℃の温湯に正確に1分間浸漬します。処理後は直ちに冷水に1分間浸けて熱を取り除きます。温度が46℃を超えたり処理時間が長すぎると、穂に障害が発生する危険があります。


温湯処理後の穂は光合成能力が一時的に低下しているため、2日間の暗黒処理が必要です。シルバーシートで覆い、温度15~20℃を保ちます。その後1週間程度かけて遮光率50%の資材で順化させ、徐々に光に慣らします。


この技術は育苗段階の菌密度を下げ、圃場への持ち込みリスクを低下させますが、定植後の持続効果はありません。したがって定植後も薬剤散布による防除を継続する必要があります。


温度管理が成功の鍵です。


キク白さび病防除マニュアル詳細版(福島県農業総合センター)


白さび病の発生時期と気象条件に応じた防除

白さび病の感染リスクが高まるのは気温と湿度の組み合わせによって決まります。アブラナ科野菜では3~5月の春季と10~11月の秋季に多発し、特に雨が多い年は被害が拡大します。この時期は気温が病原菌の最適温度15~20℃に合致し、降雨によって葉が濡れる時間が長くなるためです。


結露による感染にも注意が必要です。朝露や夜間の結露で葉が濡れると、たとえ降雨がなくても胞子が発芽して感染します。施設栽培では換気不足によって湿度が高まりやすく、結露が頻繁に発生します。朝の換気を徹底して、施設内の湿度を85%以下に保つ管理が求められます。


気象予報を活用した適期防除が効果を高めます。向こう数日間に降雨が予想される場合、雨の前日に予防剤を散布しておきます。長雨が続く予報では、散布間隔を通常の10日から7日程度に短縮します。雨入り前と秋雨期の開始前には必ず予防散布を実施します。


高温期の防除は省略できる可能性があります。7~8月の盛夏期は気温が25℃を超え、病原菌の活動が大幅に抑制されます。ただし冷夏の年は例外で、気温が低めに推移する場合は夏でも発生リスクがあります。


気温20℃前後が危険信号です。


白さび病の感染株処理と残渣管理

発病株を発見したら速やかに圃場から除去することが感染拡大防止の鉄則です。病斑のある葉だけでなく、株全体を根ごと引き抜きます。作業時は病原菌の胞子が飛散しないよう、静かに丁寧に行い、ビニール袋に密封します。


圃場内での処分は絶対に避けるべき行為です。発病株を圃場脇に放置したり、土壌にすき込んだりすると、大量の胞子が圃場に残留して翌年以降の伝染源となります。袋に入れた病株は圃場外に持ち出し、焼却処分するか自治体の指示に従って廃棄します。


収穫後の残渣処理も重要な対策となります。収穫が終わった後の株や落ち葉には病原菌が残っています。これらを放置すると越冬して次作の感染源になるため、収穫後はできるだけ早く残渣を回収します。圃場をきれいに片付けることが次作の発生を減らします。


前作で白さび病が多発した圃場では、次作前に土壌消毒を検討します。太陽熱消毒は夏季に透明マルチで被覆して地温を50℃以上に上げる方法で、薬剤を使わない防除法として有効です。ローテーション栽培で非寄主作物を挟むことも病原菌密度を下げる効果があります。


早期除去が鉄則です。




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