サビダニ類の被害・防除・農薬選びで収量を守る方法

サビダニ類は体長0.2mm以下と極めて微小で、気づいた時には圃場全体に広がっていることも。ミカン・トマト・ブドウなどで深刻な被害をもたらすサビダニ類の生態・発生時期・農薬ローテーションまで、農業従事者が知っておくべき防除の知識をまとめました。あなたの圃場は大丈夫ですか?

サビダニ類の生態と防除・農薬の選び方

サビダニに気づいた時、実は被害を自分で広げているかもしれません。


サビダニ類の防除ポイント3選
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肉眼では見えない極小サイズ

サビダニ類の体長は0.1〜0.3mm。被害が出て初めて気づくことが多く、発見時には圃場全体へ拡大していることも珍しくありません。

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高温乾燥期が最も危険

7〜8月の梅雨明け後は密度が急上昇。予防的な農薬散布と早期発見が収量を守る最大のポイントです。

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ローテーション防除が必須

同一系統の農薬を連用すると抵抗性を持つダニが出現します。系統の異なる薬剤を組み合わせた計画的な防除が重要です。

サビダニ類の形態・種類と農業現場での位置づけ


サビダニ類は、ダニ目フシダニ科に属する植物寄生性のダニです。 農業害虫としてハダニ類に次ぐ重要ダニとして位置づけられており、日本国内では51種のフシダニ科ダニが記録され、そのうちサビダニの名前がつく種は25種にのぼります。


参考)https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20030221


一般的なダニといえば8本脚をイメージしますが、サビダニ類は脚が4本しかありません。これは意外な特徴で、ハダニや他のダニとは一目で区別できます。 体はクサビ形(楔形)をしており、体長は0.1〜0.3mm、体幅は約0.05mmと針の先ほどの大きさです。


農業現場で特に問題となる代表種は以下のとおりです。


チューリップやトマトのサビダニは、国内に持ち込まれた侵入害虫という点が見落とされがちです。それだけに、苗の持ち込みルートに注意することが最初の防衛線になります。


サビダニ類の発生条件と圃場で見落とされがちな拡散ルート

サビダニ類は高温乾燥条件を好み、特に7〜8月の雨明け後から密度が急上昇します。 ミカンサビダニであれば多発時期は7〜8月の高温乾燥時で、梅雨明け直後の薬剤散布が特に効果的とされています。


参考)サビダニ|KINCHO園芸


トマトサビダニは施設栽培で多く、露地では発生が少ない傾向があります。 25℃における卵から成虫までの発育期間はわずか6〜7日と非常に短く、発生すると短期間で爆発的な高密度になります。 東京ドーム1個分(約46,755㎡)のハウス全体に広がるまで、条件が整えば1〜2週間もかかりません。sanatech-seed.co+1
農業従事者が見落としやすい拡散ルートがあります。体長0.2mmのサビダニは体に付着しても気づくことができません。 被害株に触れた後、そのまま圃場内を移動することで、自分自身が拡散源になってしまうのです。


参考)憎っくきトマトサビダニ! (農業)|農業大好き❗ 小川隆宏


これは特に注意が必要です。


被害が数本の段階であれば、その株を圃場の外に抜き取って処分することが有効です。 数十本〜数百本に広がっている場合は、即座にダニ剤の散布に切り替える判断が必要になります。


つまり「初発時の迅速な対処」が原則です。



サビダニ類の被害症状と見分け方・早期発見のポイント

サビダニ類の被害は、発生初期には病気と見間違えることが多くあります。 被害が出て気づいた時には既にダニが他の部位へ移動していることもあり、病気として対処されてしまう例が後を絶ちません。


被害症状は種類と加害時期によって異なります。


種類 主な被害部位 症状の特徴
ミカンサビダニ 果実・葉 青い時期の加害→収穫時に灰色、着色期加害→茶褐色に変色
トマトサビダニ 葉・茎・果実

葉裏が褐変して光沢、茎も褐変、果実表面が灰褐色でひび割れ
参考)トマトサビダニ

ブドウサビダニ 葉が赤黒く変色、生育不良

ミカンサビダニによる被害果は、味・栄養価・保存性などの内容品質には全く影響がなく、人体への影響もありません。 しかし見た目だけで商品価値が大きく下がるため、農家にとっては収入に直結する深刻な問題です。見た目の問題、と甘く見ると痛い損失になります。


参考)https://ameblo.jp/studio-ma/entry-12225511986.html


早期発見には10倍程度のルーペが有効です。 葉の裏面や茎の下部など、被害が出始める場所を重点的にチェックする習慣をつけることが大切です。スマートフォン用のマクロレンズ(1,000〜2,000円程度)を活用すれば、ルーペ不要で手軽に確認できます。


参考)ダニ目に見える?種類別の判別法と確認手順で今すぐ安心【見分け…


参考リンク(フシダニ科・サビダニ類の生態と症状について、シンジェンタジャパンの技術顧問による詳細解説)。
フシダニ科(フシダニ、サビダニ類)の特徴と防除対策 | シンジェンタジャパン

サビダニ類の農薬選びとローテーション防除の実践法

サビダニ類の防除で最も重要なのは、同一系統の農薬を連続使用しないことです。 ダニは生長サイクルが早いため抵抗性を持ちやすく、同じ農薬を使い続けると効果がゼロになる抵抗性個体が急速に増えます。


参考)トマトサビダニを駆除、防除する農薬について


ローテーション防除とは、RACコード(作用機構の分類番号)の異なる農薬を順番に使う方法です。


代表的な系統は以下のとおりです。


  • 💊 コロマイト水和剤(ビフェナゼート系):サビダニに対する速効性が高く、7月前後に使いやすい
  • 💊 マイトコーネフロアブル(ビフェナゼート系):コロマイトとの同系統なので、単独ではなくローテーションの1つとして活用
  • 💊 アファーム乳剤・マッチ乳剤:シンジェンタのサビダニ剤として適用あり
  • 💊 コテツフロアブル(ピロール系):卵〜成虫まで幅広い発育ステージに効果
  • 💊 マシン油乳剤:薬剤抵抗性の心配がなく、ローテーション全体の軸として取り入れやすい

これが基本のローテーション設計です。


ミカンの柑橘園では、4月のマシン油乳剤、7月の殺虫剤、9月の殺ダニ剤という3段階の散布体系が標準的です。 前年に多発した圃場では梅雨前の予防散布も有効とされています。pref+1
農薬の最新の登録情報と使用回数は必ずラベルと農林水産省の農薬登録情報提供システムで確認してください。 作物によって登録内容が異なるので注意が必要です。


参考リンク(トマトサビダニに効く農薬の系統別一覧とIPM活用法について)。
トマトサビダニにおすすめの農薬について | のうかweb

天敵・生物農薬を活用したサビダニ類のIPM(総合的害虫管理)

化学農薬に頼り続けるだけでは、抵抗性を持つサビダニが増え、長期的に防除コストが上昇するリスクがあります。 IPM(Integrated Pest Management:総合的害虫管理)という概念では、化学農薬・生物的防除・耕種的管理を組み合わせます。


ミカンサビダニに対しては、土着天敵を活用した防除体系が静岡県農業試験場などで研究されています。 土着天敵の密度が高い4〜6月は天敵に影響の少ない農薬を選択し、7月以降は通常の防除へ切り替えるという体系です。


これは使えそうです。



参考)https://www.pref.shizuoka.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/054/613/669.pdf


一方、トマトサビダニについては現時点では有望な天敵は確認されていないのが実状です。 マルハナバチや天敵を使用するハウスでは逆に薬剤使用が減るため、トマトサビダニが発生しやすくなるという皮肉な側面もあります。


IPMの実践で押さえるポイントをまとめます。


  • 🌱 耕種的管理:密植を避け、適切な水分・肥料管理でサビダニが好む乾燥・過繁茂環境を作らない

    参考)ミカンサビダニ対策の完全ガイド


  • 🐛 生物的防除:柑橘類では土着天敵の温存を意識し、天敵に影響の少ない農薬を選ぶ
  • 🔬 早期発見:圃場の定期巡回と重点部位の確認を週1回以上行い、初発を見逃さない

    参考)トマト トマトサビダニ : こうち農業ネ…


  • 🔄 ローテーション:RACコードの異なる農薬を3系統以上組み合わせて使う

IPMが条件です。コスト削減と薬剤抵抗性の両方を同時に防ぐ、農業現場で最も現実的なアプローチになります。


参考リンク(静岡県農業試験場によるミカンサビダニの土着天敵活用と総合防除体系の技術情報)。
土着天敵を活用したミカンサビダニの総合的防除体系 | 静岡県




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