根腐萎凋病トマトの症状・原因・対策と予防法

トマト栽培で深刻な被害をもたらす根腐萎凋病。症状の見分け方から発生原因、抵抗性品種の選び方、土壌管理まで農業従事者が知っておくべき対策を網羅しました。あなたのハウスは大丈夫ですか?

根腐萎凋病とトマトの症状・原因・対策

土壌消毒をしっかりやっても、低温期の秋冬ハウスでは根腐萎凋病が再発するケースが少なくありません。


根腐萎凋病 トマト:この記事でわかること
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症状と見分け方

萎凋病との違い・根腐れの進行段階・地上部サインを解説します。

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発生原因と助長要因

低温・連作・センチュウ・塩類集積など、発病を招く主な要因を整理します。

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防除・対策の具体策

抵抗性品種・接ぎ木・土壌消毒・栽培管理の実践的な方法をまとめます。

根腐萎凋病のトマトへの症状と萎凋病との違い



根腐萎凋病は、学名 Fusarium oxysporum f. sp. radicis-lycopersici というカビ(糸状菌)が引き起こす土壌病害です。 病名に「根腐れ」と「萎凋」が両方入っているように、根が激しく腐敗しながら地上部も枯れていくのが特徴です。


参考)トマト根腐萎凋病とは?症状や発生原因は?


症状は段階的に進行します。


  • 🌿 初期(地下部):細根の付け根に黒褐色の病斑、根が褐変して脱落し始める
  • 🌿 中期(地下部):褐変が根全体へ拡大、細根がほとんど失われる
  • 🌿 後期(地上+地下):主根から地際部の茎も黒褐変・腐敗、地上部は葉先から萎凋・黄化して枯死に至る

地上部の初期サインは「晴れた日中だけしおれ、夜間には戻る」という状態の繰り返しです。 これを見落として「水切れかな?」と灌水を増やすと逆効果になりかねません。


これは危険なサインです。



参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/atm/disease/konpuichou/


萎凋病との決定的な違いは3点あります。
参考)トマト根腐萎凋病


比較項目 根腐萎凋病 萎凋病
導管の褐変範囲 地上15〜20cmまで 発病した葉の高さまで全体に及ぶ
根腐れの程度 非常に激しい 比較的軽い
主な発生時期 低温期(晩秋〜早春) 高温期(25〜28℃)

根腐れが激しいかどうか。


これが見分けのポイントです。


株を引き抜いて根の状態を必ず確認してください。


農薬の登録情報や最新の症状識別については、農林水産省や都道府県の病害虫防除所の情報が参考になります。


高知県農業ネット「トマト 根腐萎ちょう病」症状・対策の詳細ページ

根腐萎凋病のトマトへの発生原因と助長要因

病原菌は土壌中で数年から数十年生存し続けます。 つまり、一度発病したほ場は長期間にわたってリスクを抱えることになります。


主な助長要因は以下のとおりです。nogyo.tosa.pref.kochi+1

  • 連作:同じほ場でのトマト栽培を繰り返すことで菌密度が上がる
  • センチュウの加害:根に傷がつき、そこから菌が侵入しやすくなる
  • 中耕・土寄せによる根傷み:作業中の機械的なダメージが感染口になる
  • 塩類集積窒素肥料の多用や湛水不足で土壌に塩類がたまると発病を助長
  • 土壌の過乾燥・過湿:水分管理の乱れが根を弱らせ免疫力を下げる
  • 土壌の物理性不良:通気性・保水性が低い硬い土では根が十分に張れない

特に注意が必要なのが「低温」です。 本病は晩秋から早春の低温・寡日照条件で発生が集中します。夏季のトマトをイメージしている農家ほど、秋冬ハウスでの初期症状を見落としやすい傾向があります。


施肥面では、窒素肥料を多用すると発病を明確に助長することが確認されています。 肥料が多ければ元気に育つという考えは、この病気には逆効果になります。


適正施肥が原則です。



参考)トマト 根腐萎ちょう病 : こうち農業ネ…


防除ネット「トマト根腐萎凋病」発病助長要因と農薬登録情報のまとめ

根腐萎凋病に対するトマトの抵抗性品種と接ぎ木の選び方

最も確実な予防策は、抵抗性品種の選定または抵抗性台木への接ぎ木です。 土壌消毒だけに頼るのではなく、品種・台木の選択を組み合わせることが防除の基本となります。


群馬県農業技術センターの試験では、台木品種「マイティ」「ティーエムワン」は「デュエットO」と比較して根腐萎凋病に対する抵抗性が高いことが確認されています。 台木品種によって抵抗性に差があるため、地域の農業改良普及センターや種苗会社で最新の推奨品種を確認することが重要です。


参考)https://www.pref.gunma.jp/uploaded/attachment/45939.pdf


品種を選ぶ際のポイントは以下の通りです。


接ぎ木後の中耕・土寄せ作業では根を傷つけないよう丁寧に行うことが必須です。 作業時の小さな根傷みが感染の入り口になるからです。


これは見落としがちなポイントですね。



群馬県農業技術センター「根腐萎凋病に対する抵抗性台木品種の選定」試験報告PDF

根腐萎凋病を防ぐトマトの土壌消毒と栽培管理

発病リスクを下げる根本的な手段は土壌消毒です。登録されている土壌消毒剤としては、ガスタード・ダブルストッパー・ディ・トラペックス油剤・バスアミド微粒剤などがあります。 農薬を使用する際はラベルを必ず確認し、地域の防除暦や病害虫防除所の指導に従ってください。yuime+1
農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の研究では、95℃の熱水を土壌表面から200L/㎡注入すると、地下30cmの地点でも50℃以上が8時間持続し、フザリウム菌が死滅することが確認されています。 化学農薬を使いたくない場合や有機農業への転換を検討している農家にとって、熱水土壌消毒は有力な選択肢となります。


参考)熱水土壌消毒法によるトマト萎凋病の防除


また、種子からの感染リスクに備えて種子を乾熱処理(70℃・3日間)することも有効です。


意外と見落とされがちな対策です。



栽培管理面での対策をまとめます。


  • 連作を避ける:発病ほ場での連作は菌密度を高める最大の要因
  • 栽培時期をずらす:発病適温を外すため、高温期栽培または短期栽培を検討する
  • センチュウ防除を徹底する:感染口となる根傷みをなくすためネコブセンチュウ等の防除が重要
  • 適切な灌水管理:過乾燥・過湿のいずれも根を傷める。テンションメーター(土壌水分計)で客観的に管理するのが有効

    参考)トマト_栽培管理ポイント_生理障害


  • 栽培終了後に湛水除塩を行う:塩類集積の解消は翌作への引き継ぎリスクを下げる

土壌水分管理は感覚だけに頼らないことが条件です。灌水量の目安として、点滴灌水チューブによる少量多灌水は根域の安定管理に適しています。


農研機構「熱水土壌消毒法によるトマト萎凋病の防除」成果情報

根腐萎凋病が発生したトマトほ場の応急処置と翌作への備え

発病株を確認したら、すぐに抜き取って圃場外で処分することが最初の行動です。 病株を放置すると土壌中の菌密度がさらに上がり、周辺株や翌作への被害が拡大します。


これが基本です。



発病確認後の対応フローとして、以下を押さえておくと翌作の被害を最小限に抑えられます。


  1. 発病株を即座に抜き取り、ほ場の外で焼却または密閉袋で処分する
  2. 発病箇所の記録(GPS・ほ場マップ等で位置を記録しておく)。翌作の土壌消毒ポイントを絞るために役立つ
  3. 収穫後に土壌還元消毒(夏季の高温期に実施すると効果が高い)

    参考)https://www.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/2/6/8/7/1/4/2/_/HP%E5%9C%A7%E7%B8%AE%20%E3%80%90%E5%AE%8C%E6%88%90%E7%89%88PDF%E3%80%91%20R07%208%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%96%B6%E8%BE%B2%E6%8A%80%E8%A1%93%E5%AF%BE%E7%AD%96.pdf


  4. 翌作の台木品種・穂木品種を見直す。今作で使用した台木の抵抗性が不十分であれば品種変更を検討する
  5. 土壌診断を実施して塩類集積・pH・物理性を数値で把握してから作付けを判断する

発病率が高い場合、ほ場全体の土壌消毒だけでは追いつかないケースもあります。その際は土壌還元消毒(稲わらなどの有機物を土壌にすき込んで湛水する方法)と接ぎ木栽培の組み合わせが推奨されています。 化学農薬に頼りすぎない体系的な防除が、長期的なほ場管理には効果的です。dojokairyo-media+1
発病リスクの把握には、各都道府県の農業試験場や農業改良普及センターが公開している病害虫防除暦の活用がおすすめです。地域ごとの気候特性に応じた防除時期と農薬情報が確認できます。


愛知県「知ってとくとくトマト土壌病害の見分け方」根腐萎凋病を含む複数病害の識別と対策PDF




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