柿の肥料は、地域と品種に合う年間体系を一つ選び、その量を元肥・追肥・礼肥または秋肥に分けます。島根県の西条成園の年間成分量と、和歌山県の礼肥中心体系を足し合わせないこと、秋は葉・新梢・着果量と根の状態を確認してから施すことが重要です。

柿の施肥は、地域と品種に合った年間体系を一つ選び、その年間量を時期別に配分します。島根県の西条成園と、和歌山県の礼肥中心体系を足し合わせる方法ではありません。
地域・品種・年間量・時期の比較は次のとおりです。
島根県の例で「秋肥」と配分説明の「礼肥」は、別々に追加する2回分ではありません。また、和歌山県の礼肥・元肥に、島根県の6月追肥30%を上乗せすることも避けます。施肥記録には、採用した体系、年間成分量、各回に施した製品量をまとめて残してください。
出典:島根県・西条柿の施肥管理、和歌山県・施肥の基本的な考え方。
関連用語・資料:施肥 / 元肥 / 追肥 / 果樹 / 収穫 / 窒素 / リン酸 / 土壌 / 早生
6月追肥を毎年必ず行うかどうかは、採用した体系で違います。島根県の西条成園例は年間量の一部を6月に配分するのに対し、和歌山県は果実品質への悪影響を考慮し、樹勢が弱っている場合だけとしています。どちらか一方を柿全体の共通ルールにしないことが大切です。
葉色が薄くても、すぐに窒素不足とは決めません。乾燥、過湿、根傷み、着果過多でも生育は弱ります。一方、新梢が止まらず二次伸長している株は、「伸びているから元気なので追加してよい」とは判断しません。
和歌山県は、高い塩類濃度や窒素濃度によって新根が枯死する場合があると説明しています。「弱っているので濃く施す」は、回復させたい根をさらに傷めるおそれがあります。出典:和歌山県の根の特性・6月追肥、島根県の年間配分。
関連用語・資料:徒長
島根県の西条成園例を成分量で分解すると、次の配分になります。単位はすべてkg/10aで、肥料製品の重量ではありません。
これは目標収量3t/10aの西条成園の例です。別地域の施肥体系や家庭の柿1本に、そのまま移す数字ではありません。10aは1,000平方メートルです。1本当たりに換算するには、樹齢、樹冠と根域の広がり、植栽本数などが必要で、「成園の年間量を適当な本数で割る」だけでは家庭樹の推奨量になりません。島根県の原資料
製品量への換算は、必要な成分量を成分率で割ります。例えば、別途決めた今回の窒素量が1本当たり40gだったと仮定します。神奈川県の成分表に掲載された相模肥糧「柿配合867」は窒素8%・リン酸6%・カリ7%なので、製品量は40÷0.08=500gです。この500gにはリン酸30g、カリ35gも含まれます。40gという窒素量は計算用の仮定であり、家庭の柿1本への推奨ではありません。
500gを施した後に、リン酸30gやカリ35gを別に足す必要があるわけではありません。堆肥やほかの配合肥料から入る成分も合わせ、すでに供給した分を差し引きます。製品の成分は購入した袋の保証票で確認してください。神奈川県施肥基準・肥料成分表
関連用語・資料:光合成
施肥が効かない、効きすぎる、ムラが出る──その多くは土壌側の問題です。和歌山県の資料では、柿園は急傾斜地が多く、表土が硬く締まり透水性が低下している園が多いことから、降雨による肥料流亡や夏季干ばつ被害が見られる、とされています。肥料を入れても流れる、乾いて根が止まる、これでは設計以前の話になります。
柿は深根性で地力依存度が高い一方、乾燥に弱く土壌の乾湿変化が大きいと生理障害が出やすい、とも述べられています。だから「施肥=成分」だけでなく、「根が働ける水分環境」とセットで考えるべき作物です。7〜8月は光合成が最も活発な時期で、この時期の土壌乾燥は光合成活性を低下させ果実肥大を抑制する、という指摘もあり、夏場の乾燥対策は“品質管理”そのものです。
土づくりの具体として、和歌山県は深耕と有機物投入で土壌の物理性・化学性を改善し、根域拡大と細根密度増加を図ることが、施肥量削減や干ばつ軽減につながる、としています。ただし深耕は断根の恐れがあるため、主幹から2m程度離し、3〜5年で樹冠を一周する程度が望ましい、と位置まで踏み込んでいます。ここは「意外と知られていないが効く」実務情報です。
島根県も有機質肥料について、年内の地温が高いうちにある程度分解させる必要があるので遅くとも12月上旬までに施用、施用量は10a当たり1.5〜2トン程度、地表が堅いと新根発生が妨げられるので中耕を同時に行うと効果が高い、と述べています。化成だけで押すより、有機物と物理性を整える方向に寄せたほうが、結果として肥料事故が減ります。
🌾土づくりの優先順位(現場用)
秋の施肥は、葉、新梢、着果量を一緒に見て判断します。翌春の発芽から開花・着果に使う養分は、主として前年秋に蓄えた貯蔵養分です。ただし、肥料を足すだけで貯蔵量が増えるわけではなく、働く葉と健全な根を残す必要があります。
和歌山県の礼肥時期は、刀根早生・平核無が9月下旬~10月上旬、富有が10月中下旬です。遅い収穫の品種まで「全て収穫し終わってから」と一律に待つのではなく、品種別の時期と葉・根の状態を照合します。出典:和歌山県の貯蔵養分・礼肥時期、島根県の二次伸長時の注意。