柿に肥料と時期と元肥と追肥と礼肥

柿に肥料を入れる時期(元肥・追肥・礼肥)と、窒素やカリの考え方、樹勢や品質への影響を現場目線で整理し、失敗しにくい施肥判断まで落とし込んだ記事です。あなたの園では今、どのタイミングの肥料を見直しますか?

柿に肥料と元肥と追肥と礼肥

柿の肥料は、地域と品種に合う年間体系を一つ選び、その量を元肥・追肥・礼肥または秋肥に分けます。島根県の西条成園の年間成分量と、和歌山県の礼肥中心体系を足し合わせないこと、秋は葉・新梢・着果量と根の状態を確認してから施すことが重要です。

柿に肥料の時期と元肥と追肥と礼肥の基本

柿に肥料の時期と元肥と追肥と礼肥の基本柿の施肥は、地域と品種に合った年間体系を一つ選び、その年間量を時期別に配分します。島根県の西条成園と、和歌山県の礼肥中心体系を足し合わせる方法ではありません。
地域・品種・年間量・時期の比較は次のとおりです。

  • 島根県・西条成園:目標収量3t/10aの施肥例。年間成分量は窒素20、リン酸15、カリ20、苦土12kg/10a。元肥は12月上旬~2月上旬、追肥は6月上旬~下旬、秋肥は9月上旬~中旬です。年間量を元肥・追肥・秋肥へ分ける体系です。
  • 和歌山県・刀根早生、平核無:礼肥は9月下旬~10月上旬、元肥は11月上旬。6月追肥は樹勢が弱っている場合だけ行う考え方です。ここで引用する公開本文では年間施肥量の表の数値を確認できないため、島根県の年間量を当てはめません。
  • 和歌山県・富有:礼肥は10月中下旬、元肥は11月上中旬。6月追肥は同じく弱樹に限ります。本文中の窒素16.6、リン酸3.1、カリ20.0kg/10aは、収量2.5t/10aの成木の年間養分吸収量の報告であり、年間施肥量ではありません。

島根県の例で「秋肥」と配分説明の「礼肥」は、別々に追加する2回分ではありません。また、和歌山県の礼肥・元肥に、島根県の6月追肥30%を上乗せすることも避けます。施肥記録には、採用した体系、年間成分量、各回に施した製品量をまとめて残してください。
出典:島根県・西条柿の施肥管理、和歌山県・施肥の基本的な考え方。

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柿に肥料と窒素と追肥の効かせ方(樹勢と品質)

柿に肥料と窒素と追肥の効かせ方(樹勢と品質)6月追肥を毎年必ず行うかどうかは、採用した体系で違います。島根県の西条成園例は年間量の一部を6月に配分するのに対し、和歌山県は果実品質への悪影響を考慮し、樹勢が弱っている場合だけとしています。どちらか一方を柿全体の共通ルールにしないことが大切です。
葉色が薄くても、すぐに窒素不足とは決めません。乾燥、過湿、根傷み、着果過多でも生育は弱ります。一方、新梢が止まらず二次伸長している株は、「伸びているから元気なので追加してよい」とは判断しません。

  1. まず、その年に施した肥料と堆肥を確認し、年間計画のうち窒素をどこまで入れたか整理します。
  2. 葉色・葉の大きさ・葉量に、新梢の伸びと停止の状況を重ねます。濃い葉と盛んな二次伸長がそろう場合は、窒素追加を見送る方向で検討します。
  3. 薄い葉や弱い伸びがあっても、土が乾き切っている、排水が悪い、根が傷んでいる場合は、その原因の改善を先に行います。
  4. 根域環境に問題がなく、樹勢低下が確認できた場合に、採用体系の年間量内で追肥を検討します。株元への一点集中を避け、樹冠下へ分散します。

和歌山県は、高い塩類濃度や窒素濃度によって新根が枯死する場合があると説明しています。「弱っているので濃く施す」は、回復させたい根をさらに傷めるおそれがあります。出典:和歌山県の根の特性・6月追肥、島根県の年間配分。

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柿に肥料とカリとリン酸の考え方(施肥量と配分)

島根県の西条成園例を成分量で分解すると、次の配分になります。単位はすべてkg/10aで、肥料製品の重量ではありません。

  • 元肥:窒素8、リン酸15、カリ8、苦土6。
  • 6月追肥:窒素6、リン酸0、カリ6、苦土6。
  • 9月秋肥:窒素6、リン酸0、カリ6、苦土0。
  • 年間合計:窒素20、リン酸15、カリ20、苦土12。

これは目標収量3t/10aの西条成園の例です。別地域の施肥体系や家庭の柿1本に、そのまま移す数字ではありません。10aは1,000平方メートルです。1本当たりに換算するには、樹齢、樹冠と根域の広がり、植栽本数などが必要で、「成園の年間量を適当な本数で割る」だけでは家庭樹の推奨量になりません。島根県の原資料
製品量への換算は、必要な成分量を成分率で割ります。例えば、別途決めた今回の窒素量が1本当たり40gだったと仮定します。神奈川県の成分表に掲載された相模肥糧「柿配合867」は窒素8%・リン酸6%・カリ7%なので、製品量は40÷0.08=500gです。この500gにはリン酸30g、カリ35gも含まれます。40gという窒素量は計算用の仮定であり、家庭の柿1本への推奨ではありません。
500gを施した後に、リン酸30gやカリ35gを別に足す必要があるわけではありません。堆肥やほかの配合肥料から入る成分も合わせ、すでに供給した分を差し引きます。製品の成分は購入した袋の保証票で確認してください。神奈川県施肥基準・肥料成分表

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柿に肥料と土づくりと有機物(乾燥と流亡の対策)

施肥が効かない、効きすぎる、ムラが出る──その多くは土壌側の問題です。和歌山県の資料では、柿園は急傾斜地が多く、表土が硬く締まり透水性が低下している園が多いことから、降雨による肥料流亡や夏季干ばつ被害が見られる、とされています。肥料を入れても流れる、乾いて根が止まる、これでは設計以前の話になります。


柿は深根性で地力依存度が高い一方、乾燥に弱く土壌の乾湿変化が大きいと生理障害が出やすい、とも述べられています。だから「施肥=成分」だけでなく、「根が働ける水分環境」とセットで考えるべき作物です。7〜8月は光合成が最も活発な時期で、この時期の土壌乾燥は光合成活性を低下させ果実肥大を抑制する、という指摘もあり、夏場の乾燥対策は“品質管理”そのものです。


土づくりの具体として、和歌山県は深耕と有機物投入で土壌の物理性・化学性を改善し、根域拡大と細根密度増加を図ることが、施肥量削減や干ばつ軽減につながる、としています。ただし深耕は断根の恐れがあるため、主幹から2m程度離し、3〜5年で樹冠を一周する程度が望ましい、と位置まで踏み込んでいます。ここは「意外と知られていないが効く」実務情報です。


島根県も有機質肥料について、年内の地温が高いうちにある程度分解させる必要があるので遅くとも12月上旬までに施用、施用量は10a当たり1.5〜2トン程度、地表が堅いと新根発生が妨げられるので中耕を同時に行うと効果が高い、と述べています。化成だけで押すより、有機物と物理性を整える方向に寄せたほうが、結果として肥料事故が減ります。


🌾土づくりの優先順位(現場用)

  • 表土が締まっている:中耕や浅い改良から始め、いきなり深耕で根を切らない。
  • 乾燥しやすい:敷ワラ・敷草で蒸散を抑え、必要ならスプリンクラー等で20〜30mmのかん水(県の目安)を検討。
  • 傾斜地:分施・分散施用で流亡を減らし、雨前の一発施肥を避ける。
  • 有機物:投入“だけ”でなく、分解が進む時期・土温も考える。

柿の秋の施肥を葉・新梢・着果量から判断する

秋の施肥は、葉、新梢、着果量を一緒に見て判断します。翌春の発芽から開花・着果に使う養分は、主として前年秋に蓄えた貯蔵養分です。ただし、肥料を足すだけで貯蔵量が増えるわけではなく、働く葉と健全な根を残す必要があります。

  1. 葉が保たれ、新梢の二次伸長が目立たず、着果量も適正だった樹:採用した地域・品種の体系どおりに礼肥・秋肥を配分します。収穫後だからと、年間計画外の追加分を作りません。
  2. 葉が濃く、新梢の二次伸長が盛んな樹:秋肥を控える側に判断します。島根県は、秋肥時に二次伸長が著しい場合、着色不良や成熟遅延を招きやすいため施用量を少なめにするよう示しています。
  3. 着果量が多く、葉が小さい・薄い・新梢が弱い樹:着果による消耗を疑います。ただし、先に乾燥・排水・根傷みと、その年の施肥量を確認します。根が働ける状態なら、決めた年間量と品種別時期の中で回復を図り、翌年は早めの摘蕾・摘果で負担を調整します。
  4. 病害虫で早く落葉した樹:礼肥の増量だけで葉の働きを代替しようとしません。原因の防除と翌年の葉の保護を優先し、健全な葉が残る樹と同じ回復を期待しないようにします。
  5. 土が乾き、しおれや根傷みがある樹:濃い肥料を追加せず、水分と根域環境を先に改善します。乾燥に弱く、高濃度では新根が傷むという柿の特性に合わせた順序です。

和歌山県の礼肥時期は、刀根早生・平核無が9月下旬~10月上旬、富有が10月中下旬です。遅い収穫の品種まで「全て収穫し終わってから」と一律に待つのではなく、品種別の時期と葉・根の状態を照合します。出典:和歌山県の貯蔵養分・礼肥時期、島根県の二次伸長時の注意。

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