スプリンクラー設置基準と共同住宅と消防庁告示

共同住宅でスプリンクラーが必要になる条件や、共同住宅用スプリンクラー設備の技術基準(消防庁告示)を、設置範囲・点検・運用まで整理します。見落としがちな「特例」や設計の落とし穴も確認しませんか?

スプリンクラー設置基準と共同住宅

共同住宅のスプリンクラー設置判断の全体像
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まず「何階のどこに必要か」を確定

共同住宅は「11階以上の階」など階数トリガーが中心で、特例運用(220号通知)も絡みます。

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次に「共同住宅用スプリンクラー設備」かを判定

住戸単位の制御弁や音声警報など、共同住宅に適した機能構成が告示で細かく決まっています。

🛠️
最後に「維持管理・点検」の設計を入れる

点検性(外部操作・表示)を最初から織り込むと、後工程の手戻りや運用トラブルを減らせます。

スプリンクラー設置基準で共同住宅の11階以上の階


共同住宅のスプリンクラーは、実務ではまず「11階以上の階」を軸に要否判断するケースが多いです。共同住宅等の特例運用を示した消防庁の通知(いわゆる220号通知)は、スプリンクラー設備が必要となる地階を除く階数が11階以上となる共同住宅等の「11階以上の階」について、原則として設置を要すると整理しています(一定条件を満たす二方向避難・開放型等では、設置しないことができる旨も併記)。
ここで注意したいのは「共同住宅だから一律で全館」ではなく、“どの階のどの場所”に設置するかが、共同住宅等の型(開放型、二方向避難型など)と内装等の条件で変動し得る点です。このため、建物の基本計画段階で「廊下の開放性」「二方向避難の成立」「住戸等と共用部分の防火区画」の成立を、消防同意・事前相談で早めにすり合わせることが、結果的に最短ルートになります。
参考:共同住宅等の特例(11階以上の階の設置範囲、開放型・二方向避難の考え方)
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/assets/071005yo220.pdf

スプリンクラー設置基準で共同住宅用スプリンクラーヘッド

共同住宅用スプリンクラー設備の“中身”は、消防庁告示(告示第17号)で技術基準が定義され、ヘッドの種別や設置間隔まで数値で指定されています。例えば、スプリンクラーヘッドは「小区画型ヘッド(感度種別一種)」に限定され、天井の各部分から一のヘッドまでの水平距離が2.6m以下、かつ1ヘッドの防護面積が13㎡以下となるよう設ける、と明記されています。
また、デフレクターから下方0.45m以内の範囲や壁面までの範囲に、散水を著しく妨げる物品を置かない(=棚・ダクト・梁などの干渉に注意)という条件も入り、意外と「設備図は成立しているのに、内装や収納計画でアウトになる」落とし穴があります。共同住宅は入居後に家具配置が変わるため、設計・管理の段階で“置いてはいけない範囲”を掲示物や管理規約で具体化しておくと、トラブル予防になります。
参考:共同住宅用スプリンクラー設備の技術基準(ヘッド・制御弁・警報など)
https://www.fdma.go.jp/laws/kokuji/assets/h18_kokuji17.pdf

スプリンクラー設置基準で共同住宅の制御弁と表示

共同住宅用スプリンクラー設備は、住戸ごとに「制御弁」を設ける設計思想が明確で、これが一般のスプリンクラーと運用感覚を変えるポイントになります。告示第17号では、制御弁は住戸・共用室・管理人室ごとに、床面から0.8m以上1.5m以下の箇所に設け、パイプシャフト等の中に設置しつつ外部から容易に操作でき、みだりに閉止できない措置(いたずら防止)が必要とされています。
さらに、制御弁の直近には「共同住宅用スプリンクラー設備の制御弁である旨」および、どの住戸等のものか識別できる標識を設けることが要求されます。現場ではこの“識別”が弱いと、誤閉止や復旧ミスが起きやすく、漏水や誤作動よりも「止めたはずの住戸が止まっていない/別住戸を止めた」事故が怖いので、表示ルール(号室・系統・点検日)を管理側で統一しておくのが安全です。

スプリンクラー設置基準で共同住宅の音声警報と自動警報装置

共同住宅用は「散水」だけでなく、住戸内の人に確実に伝えるための“警報”がかなり重視されています。告示第17号では、自動警報装置はスプリンクラーヘッドの開放により音声警報を発することが原則で、住戸等ごとに発信部(流水検知装置または圧力検知装置)を設ける構成が示されています。
また、音声警報の音圧は、住戸・共用室・管理人室では「1mで70dB以上」など具体要件があり、設置個数も“有効に伝わらないおそれがある部分”には補助音響装置を追加する考え方です。ここは検索上位記事でも触れられがちですが、実務で意外に見落ちるのが「共同住宅用自動火災報知設備により音声警報が発せられる場合は、(告示側の)音声警報装置を設けないことができる」という整理で、設備の二重投資や機器干渉を避ける調整ポイントになります。

スプリンクラー設置基準で共同住宅の特例と農業施設の独自視点

共同住宅は“住まいの集合体”である一方、構造によって火災危険が著しく少ないと認められるものがある、という問題意識から、消防庁は特例運用(令32条適用の考え方)を通知として整理してきました。220号通知は、共同住宅等の構造(住戸間等の防火区画、二方向避難、避難経路の開放性等)に応じる形で、早期発見・初期消火(自動火災報知設備、消火器、スプリンクラー設備)を重視しつつ、その他設備の特例を組み立てる基本方針を示しています。
ここから農業従事者向けに、検索上位では出にくい“独自視点”として強調したいのは、共同住宅に付随する施設(例:直売所、加工所、冷蔵庫室、農機具・資材の保管スペース)を同一敷地・同一棟で計画する場合です。220号通知は「用途が独立した部分」の取扱いとして、独立用途部分を住戸とみなして特例基準を当てる考え方に触れつつ、当該部分は床面積150㎡以内ごとに防火区画されていること、などの条件を示しています。
つまり、共同住宅の計画に“農業系の用途”が混ざると、スプリンクラーの要否判断や区画計画が一気に難しくなるため、最初に「用途の切り分け(独立用途か、併用か)」「区画の取り方」「階数算定(みなし規定で他用途階も含む場合がある)」を、消防・建築・設備で同じ図面を見ながら合意形成するのが事故を防ぐコツです。この段階を飛ばすと、後からスプリンクラー範囲が拡大して、配管・水源・電源容量・工期がまとめて膨らむことがあります。




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