アミスターを1シーズン同じ病害に連用すると、耐性菌が発現して防除効果が急低下します。
参考)https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20220325_06
農薬の世界で「デッキ」とは、1シーズンの防除スケジュールに複数の殺菌剤を組み合わせた防除体系のことを指します。 アミスターはその中核をなすストロビルリン系殺菌剤であり、予防・浸透・治療・浸達という4つの働きを1剤で持ちます。nogyoya+1
これは使えそうです。
アゾキシストロビンを含む「アミスター20フロアブル」は、子のう菌・担子菌・不完全菌・べん毛菌類という幅広い糸状菌に効果を発揮するため、単剤で多くの病害を同時防除できるのが大きな強みです。 しかし、その汎用性の高さゆえに「これ1本で年間全散布をカバーできる」と思われがちなのが落とし穴です。
アミスターをデッキの唯一の柱にすると、耐性菌の発現リスクが上昇します。 正しいデッキ構成とは、アミスターを主力としながら、他系統の殺菌剤と組み合わせてローテーションするものです。
アミスター系の製品群は大きく3タイプに分かれます。 それぞれ有効成分の組み合わせが異なるため、病害の種類・作物・耐性菌の発現状況に応じて使い分けることがデッキ構成の基本です。cp-product.syngenta.co+1
つまり「とりあえずアミスター20」では不十分なケースがある、ということです。
| 製品名 | 主な有効成分 | 特徴 | 主な適用場面 |
|---|---|---|---|
| アミスター20フロアブル | アゾキシストロビン20% | 幅広い病害への予防・治療効果 | 野菜・畑作物・茶の多病害同時防除 |
| アミスター10フロアブル | アゾキシストロビン10% | 果樹向けに濃度調整 | 各種果樹の病害防除 |
| アミスターオプティフロアブル | アゾキシストロビン+TPN | 耐性菌リスクを大幅低減 | 耐性菌懸念がある圃場・連作圃場 |
アミスターオプティフロアブルは保護殺菌成分TPNとの混合剤であり、アゾキシストロビン耐性べと病菌の密度が高い条件下でも防除効果を維持することが2007年のシンジェンタ試験で確認されています。 耐性菌が出やすいきゅうり・トマトのほ場では、デッキの中にオプティを積極的に組み込むことが推奨されます。
以下の参考リンクでは、製品ごとの適用表をPDFで確認できます。希釈倍数・使用時期・使用回数を作物別に照合するのに役立ちます。
アミスター20フロアブル 適用作物・希釈倍数・使用回数一覧(グリーンジャパン)
アミスター20フロアブルを使う際、「本剤の使用回数」と「アゾキシストロビンを含む農薬の総使用回数」の2つの制限が同時に課されています。 例えばにんにくのさび病では本剤は20倍希釈ですが、使用回数の上限は作物によって異なります。
これが原則です。
農薬取締法では、登録された使用回数を超えた散布は違法となります。 同じシーズンに「アミスター20」と別のアゾキシストロビン含有製剤を混用・連用すると、知らないうちに「アゾキシストロビン総使用回数」の上限を超える場合があります。デッキを組む前に必ず適用表で確認する習慣が必要です。
菌核病・灰色かび病対策でアミスター20フロアブルをまめ類に使う場合、2000倍希釈で収穫前日まで使用可能ですが、使用回数は3回以内という制限がある例が確認されています。 3回という上限はカレンダー1枚に収まるほど少なく、散布のタイミング設計が重要です。
参考)https://www.ja-kitakawachi.or.jp/uploads/mame3.pdf
以下のリンクでは農薬登録情報の公式データベースから最新の適用情報が確認できます。ラベル改訂後の最新データはここを起点にするのが確実です。
アミスター20フロアブル 農薬登録情報(農林水産省 農薬登録情報提供システム)
アミスターを同一病害に連用すると耐性菌が発現・まん延し、「昨年まで効いていたのに今年は全く効かない」という状況が実際に起きます。 これはFRACコード11(Qoインヒビター系)に共通する弱点であり、アミスター特有の問題ではありませんが、効果が高いだけに連用しがちです。
厳しいところですね。
耐性菌対策のローテーション防除は3ステップで設計します。
ローテーションの「間隔」についても注意が必要です。同一系統の薬剤を連続2回以上散布しないことが基本ルールとされており、1散布ごとに系統を切り替えることが理想です。 デッキを設計する段階で、各薬剤のFRACコードを並べた散布カレンダーを作ることをおすすめします。
以下のリンクでは耐性菌リスクとアミスターオプティの実証データが詳しく解説されています。ローテーション設計の根拠を理解するのに役立ちます。
耐性菌対策のポイントとアミスターオプティの優位性(シンジェンタジャパン)
アミスターは安全性が高い殺菌剤と認知されていますが、高温・多湿の栽培環境下では薬害が発生する場合があります。 これは多くの農業従事者が見落としているリスクです。
参考)https://www.syngenta.co.jp/cp/articles/20220325_07
意外ですね。
具体的には、散布後に薬液が乾きにくい状態が続くと葉面への薬剤滞留が長くなり、薬害が助長されます。 夏場のハウス内で気温が35℃を超えるような条件や、雨後すぐの散布は特に注意が必要です。
薬害を防ぐ実践的な対処法は以下の通りです。
フロアブル製剤という剤型は水に溶けやすく散布しやすい一方、「フロアブルだから安全」という思い込みが油断につながるケースがあります。 作物の生育段階・気象条件・栽培形態に応じて使用液量を調整することが、薬害回避の基本です。
以下のリンクでは薬害発生のメカニズムと具体的な対策が公式に詳しく解説されています。
散布前に一度確認しておきましょう。