近年、施設園芸や室内での育苗、さらには家庭レベルの本格的な水耕栽培において、「PARライト(パーライト)」と呼ばれる形状のLED照明が急速に普及しています。ここで言うパーライトとは、舞台照明だけでなく農業分野でも利用される「Parabolic Aluminized Reflector(パラボラ状アルミ反射鏡)」の構造を持つ、指向性の高い電球型LED(主にPAR30やPAR38規格)を指します。従来の土壌改良材である「パーライト」とは異なり、こちらは強力な光を植物に届けるための「光の農具」です。この照明を適切に使いこなすことで、天候に左右されない安定した収穫や、徒長のない健全な苗作りが可能になりますが、間違った使い方をすると葉焼けや生育不良を引き起こす諸刃の剣でもあります。本記事では、農業従事者や本格的な栽培者が知っておくべき、科学的根拠に基づいたパーライト照明の具体的な運用方法を深掘りします。
参考)【326更新】植物育成LEDライトに悩むsince2019|…
参考:室内キッチンガーデンが劇的に変わる!E26 PARライトの実力検証(PARライトの具体的な設置事例と効果)
パーライト照明を導入する際に最も多くの栽培者が悩み、かつ失敗しやすいのが「植物と光源の距離(設置距離)」の決定です。この距離が不適切だと、光合成に必要なエネルギーが届かなかったり、逆に強すぎて植物の細胞を破壊したりする可能性があります。
光の強さは距離の二乗に反比例して減衰します。つまり、光源からの距離を2倍離すと、光の強さは半分ではなく4分の1にまで低下します。逆に、距離を半分に縮めれば光量は4倍になります。PARライトはレンズによって光を集光させているため、一般的な蛍光灯や拡散型のLEDバーライトに比べて、距離による光強度の変化が極めて激しいという特徴があります。わずか5cmの位置ズレが、PPFD(光合成光量子束密度)に数百μmolの違いを生むことをまずは理解してください。
人間の目が感じる明るさ「ルクス(lux)」ではなく、植物が光合成に利用できる光の粒の数を示す「PPFD(単位:μmol m⁻² s⁻¹)」を基準に距離を調整するのが現代農業のスタンダードです。
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kaki/flower/attach/pdf/f_japanflower-24.pdf
適切な測定器(照度計やPPFDメーター)がない場合、植物の生理反応「生体反応モニタリング」が距離決定の指標になります。
参考:【水耕栽培とLED】最適な距離と角度の調整方法(BARRELによる詳細な距離ガイド)
光の「強さ(距離)」と同様に重要なのが、光を浴びせる「時間(照射時間)」の管理です。植物にとって光は食事のようなものであり、どれだけの量をどのくらいの時間をかけて摂取させるかによって、成長速度や開花のタイミングが決定づけられます。
近年、プロの農家の間ではPPFD(瞬間の光の強さ)に加えて、1日トータルでどれだけの光を浴びたかを示す「DLI(Daily Light Integral)」という指標が重視されています。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6211714/
例えば、弱い光であっても長時間照射することで、強い光を短時間浴びせるのと同等の成長を得られる場合があります(相反則)。逆に、どんなに強いPARライトを使っていても、照射時間が短すぎればDLIが不足し、植物は十分に育ちません。一般的に、多くの農作物において1日あたり12〜16時間の照射が推奨されます。24時間連続で照射し続けることは、植物の呼吸や代謝のリズム(概日リズム)を崩し、逆に生育障害を引き起こす可能性があるため、必ず「暗期(光のない時間)」を設けることが重要です。
PARライトを補光として使用する場合、照射時間は植物の開花反応(光周性)に直接影響します。
参考)https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/515328.pdf
「使い方のコツ」として最も推奨されるのが、スマートプラグやアナログタイマーによる自動化です。人間の手動操作ではどうしても「消し忘れ」や「点灯時間のバラつき」が発生します。不規則な光サイクルは植物にとって大きなストレスとなり、雄花・雌花のバランス異常や成長の停滞を招きます。毎日正確に「朝6時に点灯、夜20時に消灯」といったリズムを刻むことで、植物の体内時計が安定し、光合成効率が最大化されます。
参考:Increasing Growth of Lettuce under Sole-Source LED Lighting(DLIと照射時間に関する学術論文・英語)
PARライトの最大の特徴は、光源の前面にレンズやリフレクター(反射板)を備えている点です。これにより光の広がり方(配光角)をコントロールできますが、栽培環境や目的に応じて適切なレンズを選ぶことが、「使い方」の成否を分けます。
市販されている植物育成用PARライトには、主に以下のようなレンズ角度のバリエーションがあります。
光を一点に集中させるタイプです。光が遠くまで届きやすいため、天井が高いハウスからの吊り下げ設置や、背の高い植物(トマトやキュウリなど)の下葉まで光を届けたい場合に適しています。ただし、照射範囲が狭くなるため、広い面積をカバーするには多数のライトが必要になります。また、中心部の光が強烈になりすぎる傾向があり、直下の葉だけが焼ける「ホットスポット」現象が起きやすいので注意が必要です。
参考)パーライト一覧
光を広範囲に拡散させるタイプです。育苗トレー全体を均一に照らしたり、棚栽培で高さがあまり取れない環境に適しています。光が柔らかく広がるため、照射ムラが起きにくく、複数の苗を同時に管理する際に重宝します。ただし、距離が離れるとPPFDが急激に低下するため、植物にかなり近づけて設置する必要があります。
参考)https://www.omcon.co.jp/wp-content/uploads/2025/04/611d52df02e540356474d470bffd1b31.pdf
農業生産において重要なのは、全ての個体が同じ品質で育つことです。PARライト単体では、どうしても「中心は明るく、周辺は暗い」というガウス分布的な配光になります。これを解消するための使い方のテクニックとして、「オーバーラップ照射」があります。隣り合うライトの光の端同士が重なり合うように設置間隔を調整することで、全体の光強度を均一化させます。
参考)https://www.mdpi.com/2311-7524/9/11/1187/pdf?version=1698677630
また、最新のPARライトには、レンズの表面に特殊な加工(フロスト加工やハニカム構造)を施し、光を攪拌して色ムラや光量ムラを減らす工夫がされているものもあります。安価なクリアレンズのモデルは、赤色LEDと青色LEDの色が混ざりきらず、場所によって「赤い光しか当たらない葉」「青い光しか当たらない葉」ができてしまうことがあるため、レンズの品質にも注目してください。
「ただ明るければ良い」というのは過去の話です。LED照明の真骨頂は、特定の「波長(スペクトル)」を選択的に出力できる点にあります。PARライトを選ぶ際や使用する際には、そのライトがどの波長を含んでいるかを理解し、植物の成長ステージに合わせて使い分けることがプロのテクニックです。
植物の光合成(クロロフィルa/bの吸収ピーク)に最も効率的に働くのが、赤色と青色の光です。
多くの植物育成用PARライトは、この赤と青をブレンドした紫色(ピンク色)の光を出しますが、最近では視認性を高めるために緑色光などを加えた「フルスペクトル(白色)」タイプが主流になりつつあります。白色タイプは病害虫の発見が容易で、作業者の目にも優しいため、普段の管理作業を行う場所では白色タイプ(演色性の高いRa90以上のもの)の使用を強く推奨します。
上級者向けのテクニックとして、遠赤色光(FR)を含むPARライトの使用があります。遠赤色光は、光合成そのものにはあまり寄与しませんが、「エマーソン効果」による光合成促進や、植物に「影」を感じさせて茎を伸ばす、あるいは開花スイッチを入れるといった調整役を果たします。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11091871/
例えば、レタスの栽培において、収穫前の数日間だけ遠赤色光を含むPARライトを照射することで、葉の面積を急激に拡大させ、収量をアップさせるといった技術も研究されています。ただし、常時過剰に当てすぎると極端に徒長してしまうリスクもあるため、使用するタイミングが重要です。
参考:Paradise by the far-red light(遠赤色光と赤・青色光の比率が収量に与える影響に関する最新研究)
最後に、意外と見落とされがちなのが「熱」の問題です。「LEDは熱くならない」というのは誤解で、発光面からは赤外線(熱線)が出ないものの、電気エネルギーを光に変換する基盤部分(素子)は高熱を持ちます。特にPARライトのような密閉型に近い形状の高出力LEDは、放熱設計が寿命と性能を左右します。
PAR38などの大型LED電球は、側面にギザギザとしたフィン(ヒートシンク)がついています。これは空気との接触面積を増やして熱を逃がすためのものです。
使い方の注意点として、「密閉器具には絶対に入れない」ことが挙げられます。ダウンライトのような埋め込み式の器具や、カバーで覆われた照明器具に高出力のPARライトを装着すると、熱が逃げ場を失い、LED素子が熱暴走を起こして短期間で故障します(短寿命化)。最悪の場合、回路が焼損する恐れもあります。
農業現場、特にビニールハウスの上部などは熱気が溜まりやすい場所です。サーキュレーターや循環扇を併用し、常にライト周辺の空気が動いている状態を作ることで、ライトの冷却効率が高まり、カタログスペック通りの長寿命(約40,000時間など)を維持することができます。
参考)https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpls.2023.1215919/full
植物育成用PARライトは、一般的な家庭用電球に比べて重量があります(300g〜500gを超えるものも)。安価なクリップライトやフレキシブルアームのスタンドでは、重さに耐えきれずにお辞儀をしてしまったり、ソケット部分に物理的な負荷がかかって接触不良を起こしたりすることがあります。
設置には、E26口金の陶器製ソケットや、重量に耐えうるしっかりとしたライティングレール(ダクトレール)用のスポットライト器具を使用してください。また、水やり時の水跳ねや、ハウス内の高湿度による漏電を防ぐため、防水性能(IP65など)を持つPARライトを選ぶか、ソケット周りの防水対策を徹底することが、安全な運用の大前提となります。
参考:Close-canopy lighting energy-saving strategy(近接照明における熱管理とエネルギー効率に関する研究)

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