梅を冬に剪定すると、翌年の実がほぼつかなくなります。
庭木の剪定でまず押さえたいのは「木の種類によって適期がまったく違う」という点です。農作業で慣れ親しんでいる農業従事者の方でも、庭木については「とりあえず冬に切れば大丈夫」と思いがちです。しかし、常緑樹を冬に強く切ると養分不足で枯れこむことがあります。木のタイプ別の剪定適期を以下の一覧表で確認しましょう。
| 木のタイプ | 主な剪定時期 | 代表的な樹種 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 落葉広葉樹 | 12月〜2月(冬の休眠期) | モミジ、ハナミズキ、柿、ブルーベリー | 花芽がある樹種は花後に軽剪定を追加する |
| 常緑広葉樹 | 3月下旬〜6月(春〜初夏) | キンモクセイ、ツバキ、サザンカ、シマトネリコ | 冬の強剪定は避ける。葉を減らすと養分不足になる |
| 常緑針葉樹 | 3月〜4月上旬(新芽前) | マツ、スギ、ヒノキ、コニファー | 古い枝から芽吹きしにくいため、切りすぎ厳禁 |
| 花木(花後剪定) | 花が終わった直後 | ツツジ(5〜6月)、サクラ(6〜7月)、アジサイ(6〜7月)、梅(6〜7月) | 花芽が形成される前に剪定を終えることが必須 |
| 果樹 | 落葉後の冬(12月〜2月) | 柿、ブルーベリー、レモン(3〜4月)、キウイ(2〜3月) | 実の収穫後に不要枝を整理し、翌年の結実を促進する |
木のタイプ別に適期が異なるのは、「養分の蓄え方の違い」が理由です。落葉樹は冬に休眠して養分をたっぷり蓄えているため、冬に枝を切っても回復が早い。一方、常緑樹は葉で養分を常時作り続けているため、冬に葉を大量に切り落とすと養分の製造量が激減し、枯れこむリスクがあります。これが基本です。
農業では果樹の剪定経験がある方も多いですが、庭木の花木(ツツジ・アジサイなど)は「花後すぐに剪定しないと翌年の花芽が取れてしまう」という特殊なルールがあります。花が咲き終わってから花芽を形成するまでの期間が非常に短く、ツツジは花後6〜7月中旬までが剪定のタイムリミットです。この窓を逃すと翌年の花数が激減します。
【一覧表】庭木の適切な剪定時期はいつ?自分で剪定するコツ|ミツモア
落葉樹・常緑広葉樹・常緑針葉樹の剪定時期の違いと、新芽が活発な4〜5月を避けるべき理由を詳しく解説しています。
庭木の剪定作業を年間スケジュールとして計画したい場合、月別に「どの木が剪定適期か」を把握しておくと実用的です。月ごとに剪定できる代表的な樹種をまとめます。
| 月 | 剪定できる主な樹種 | 作業のポイント |
|---|---|---|
| 1月 | カキ、モミジ、ハナミズキ、ヤマボウシ、サルスベリ、ブルーベリー、ウメ(花前の軽剪定) | 落葉樹の強剪定の中心月。樹液が少なく木への負担が最小 |
| 2月 | 1月と同様の落葉樹全般、キウイ、コニファー(軽剪定) | 冬剪定の仕上げ月。気温が上がり始める前に作業を完了させる |
| 3月 | キンモクセイ、ツバキ、サザンカ、オリーブ、マツ・ヒノキ(針葉樹強剪定)、レモン | 常緑樹の剪定スタート月。新芽が動く前が最適 |
| 4月 | コニファー、オリーブ、シマトネリコ(強剪定)、月桂樹、ロウバイ | 春の整枝の最終タイミング。下旬以降は新芽が出るため強剪定は控える |
| 5月 | ツツジ(花後)、コデマリ(花後)、ユキヤナギ(花後)、フジ(花後) | 花木の「花後剪定」がスタートする月 |
| 6月 | サクラ、ウメ、アジサイ(花後)、シマトネリコ、キンモクセイ(軽剪定) | 一年で最も剪定対象が多い月。梅雨前の風通し改善も目的に |
| 7月 | サクラ(本格剪定)、ハナモモ、モクレン、ナンテン | 夏剪定の中心。強剪定は避け、混み枝の間引きが中心 |
| 8月 | サクラ(夏剪定終盤) | 真夏の猛暑日は切り口が乾燥しやすく強剪定はNG |
| 9月 | キンモクセイ(開花前の軽剪定)、レッドロビン、プリペット | 常緑樹の軽い整枝が中心。花芽を落とさない程度にとどめる |
| 10月 | マツ(古葉取り)、常緑樹の軽剪定全般 | 松の「もみあげ」作業の適期。落葉樹の本剪定はまだ早い |
| 11月 | 落葉樹全般(葉が落ち次第)、ノウゼンカズラ | 落葉を確認してから剪定開始。本格的な冬剪定の準備月 |
| 12月 | 落葉樹全般(カエデ、サルスベリ、ハリエンジュ、ムクゲなど) | 冬の本格剪定の開始。常緑針葉樹の強剪定は避ける |
6月は「一年で剪定対象が最も多い月」です。落葉樹の花後剪定と常緑樹の夏前整枝が重なるため、農作業の繁忙期とも重なりやすい時期です。全部を一度にやろうとすると時期を逃す木が出てくることがあります。優先順位をつけるなら「花後剪定が必要な花木(ツツジ・アジサイなど)を先にやる」が原則です。花芽の形成タイムリミットがあるためです。
剪定してはいけない時期も覚えておく必要があります。新芽が盛んに伸びる4月下旬〜5月は、落葉樹・常緑樹を問わず強剪定を避けるべき時期です。この時期は養分を新芽の生長に集中投入しており、枝を切られたダメージから回復する余力がありません。真夏の猛暑日(7月下旬〜8月)と、氷点下が続く厳冬(1〜2月上旬)の強剪定も同様にリスクが高く、切り口が回復しないまま傷んでいくことがあります。
庭木剪定 時期一覧表 季節別・月別(完全保存版)|川合造園
1月〜12月の月別に剪定適期の庭木を樹種名リストで網羅しており、作業計画を立てる際の参考として非常に実用的な内容です。
剪定時期の間違いは「見た目が崩れる」だけでは済みません。農業従事者の方にとって特に気になる「花・実への影響」を中心に、具体的に何が起きるかを整理します。
🌸 リスク① 翌年の花・実がほぼゼロになる
花木や果樹は、花が終わった後に「次の年に咲く花芽(はなめ)」を作ります。この花芽が形成される前に剪定すると、花芽ごと切り落としてしまいます。ツツジは花が終わる5月から6月の間に花芽を形成します。7月以降に剪定すると、翌年の花芽をほぼ全て切り落とすことになり、翌春の開花数が激減します。
梅・サクラ・アジサイも同様です。「花が終わってから切ればいいだろう」と秋まで放置してしまうと、すでに花芽が形成済みの枝を切ることになります。翌年ほぼ咲かない、という失敗につながるということです。農業での果樹剪定と同様に「いつ花芽が形成されるか」を把握することが根本的に重要です。
🌿 リスク② 木が枯れこむ(最悪、丸ごと枯れる)
真夏(7月下旬〜8月)や厳冬期(1〜2月)に強剪定を行うと、切り口が回復する養分が木に残っておらず、枝先から枯れこんでいきます。これは「枯れこみ病」ではなく、栄養不足と環境ストレスが重なった状態です。
特に注意が必要なのは「常緑樹の冬剪定」です。常緑樹は葉で光合成をして年間を通じて養分を補給しています。冬に葉を大量に切ると光合成量が一気に落ち、春に新芽を出すための養分が確保できなくなります。「落葉樹を冬に切るのと同じ感覚」で常緑樹のキンモクセイやシマトネリコを冬に強剪定してしまうのは、よくある失敗パターンです。
🌱 リスク③ 徒長枝が暴れて樹形が崩れる
剪定のタイミングを間違えると、木の生長力が「暴走」することがあります。木に強いストレスがかかると、生き残ろうとして切り口から細い枝(徒長枝)を大量に発生させます。これが増えると数ヶ月で樹形が乱れ、逆に見た目が悪くなります。この徒長枝を抑えるために、また切って…という悪循環に入ってしまいます。徒長枝が出た場合は、木へのストレスが少ない適期まで待ち、落ち着いた状態で整枝するのが正解です。
剪定時期の基本と庭木・樹種別一覧早見表|もみじ庭
キンモクセイ・ツツジ・シマトネリコなど人気庭木の剪定適期と、剪定時期を外したときの失敗例・リカバリー方法が詳しく解説されています。
農業で果樹(ミカン・ブルーベリー・柿など)の剪定をしている方は、庭木剪定にも一定の知識が活かせます。ただし、農業果樹と庭の花木・庭木では考え方が異なる部分があります。この違いを意識するだけで、失敗が大幅に減ります。
まず「剪定の目的」が違います。農業果樹の剪定は「収穫量の最大化・品質向上」を第一目的にします。それに対して庭木の剪定は「樹形の美観・病害虫の予防・適切な大きさの維持」が主な目的です。そのため、農業果樹では収穫後に思い切った強剪定をすることがありますが、花木の庭木では花芽を守ることが優先されます。強さよりも「タイミング」が問われるということです。
次に「剪定後のケア」の考え方です。農業では剪定後に殺菌剤や癒合剤(ゆごうざい)を切り口に塗布することがあります。庭木でも同じ処置が有効で、特に太い枝(直径3cm以上)を切った場合は、切り口から雨水や病原菌が侵入するリスクがあります。市販の「トップジンMペースト」などの癒合剤を塗布すると、切り口の回復が早まります。これは農業の感覚がある方にとって自然にできるポイントです。
また、農業では「作業道具の消毒」が病害予防の基本ですが、庭木剪定でも同様です。剪定バサミや鋸を複数の木で使い回す場合、消毒せずに使うと病原菌を木から木へ移してしまう可能性があります。特にサクラやウメは病気に弱いため、アルコール消毒や次亜塩素酸水での消毒が有効です。道具の清潔さが木の健康を守ります。
さらに、果樹で重視される「外芽の方向を考えた剪定」も庭木に活かせます。外側に向いた芽(外芽)の少し上で枝を切ると、枝が外に向かって伸び、内側が混み合いにくい樹形を作れます。これは農業果樹でも庭木でも共通した技術です。農業の剪定経験がある方は、この「外芽残し」の感覚をすでに持っているはずです。
主枝を理解すれば剪定が怖くない!果樹の骨格づくりの基本|マイナビ農業
果樹の骨格剪定の基本解説。農業で果樹を扱う農業従事者の方が、庭木剪定との考え方の違いを整理する参考資料として有用です。
一覧表で適期がわかっても、「その日に作業できるかどうか」は天候や道具にも影響されます。剪定に向いている日と向いていない日を把握しておくと、作業の質が上がります。
📅 剪定に向いている日・向いていない日
| 条件 | 向いている | 向いていない |
|------|-----------|------------|
| 天気 | 晴れ・曇り(湿度が低め) | 雨の日・翌日が雨の予報の日 |
| 気温 | 15〜25℃程度 | 真夏の猛暑日(35℃以上)・氷点下 |
| 時間帯 | 午前中〜昼過ぎ | 夕方以降(夜露で切り口が濡れるリスク) |
雨の日の剪定は避けるべきです。切り口が濡れたままになると、そこから病原菌が侵入しやすくなります。農業での作業と同じく、晴れた日の午前中に作業を完了させるのが理想的です。
✂️ 庭木剪定に必要な道具と使い分け
庭木の剪定に必要な道具は用途によって変わります。適切な道具を使うことで、木へのダメージを最小限に抑えられます。
| 道具 | 用途 | 目安の太さ |
|------|------|-----------|
| 剪定バサミ | 細い枝の切り戻し・整枝 | 直径1cm未満 |
| 植木バサミ | 新芽・細枝の細かい整形 | 5mm未満 |
| 刈り込みバサミ | 生垣・ツツジなどの全体形成 | 表面を揃える作業 |
| 剪定ノコギリ | 太い枝の切断 | 直径3cm以上 |
| 高枝切りバサミ | 脚立なしで高い枝を処理 | 2m以上の高さ |
剪定バサミの切れ味は木への影響が大きいです。切れ味が悪いハサミで切ると、切り口がつぶれて組織が傷み、回復が遅れます。農業で鎌や刈り払い機の刃を管理するのと同じ感覚で、定期的な研ぎ直しと消毒を習慣にするとよいでしょう。
太い枝(直径3cm以上)を切った後は、必ず切り口に癒合剤を塗ることをおすすめします。市販の癒合剤「カルスメイト」や「トップジンMペースト」を切り口に薄く塗るだけで、病原菌の侵入を防ぎ回復を早める効果があります。農業での知識がある方には違和感なく取り入れられる処置です。
なお、剪定の作業量が多い場合や、高さ5m以上の高木がある場合は、専門の造園業者への依頼を検討することも選択肢の一つです。高木の剪定は脚立での作業になり、転落事故のリスクが伴います。業者への依頼費用の目安は、高さ3m未満の低木が1本あたり3,000〜6,000円、3〜5mの中木が6,000〜12,000円、5〜7mの高木が12,000〜20,000円程度です。見積もりを複数社で比較してから依頼するのが安心です。
【早見表】剪定時期がすぐわかる!健康な生育を手助けする基本剪定|シェアリングテック
庭木の年2回剪定の基本と、夏季・冬季それぞれの剪定の目的・注意点について体系的にまとめられています。
夕方に水やりすると、翌朝に根が凍結して枯れることがあります。
「冬は木が眠っているから水やりは一切不要」と思っている方が多いですが、これは大きな誤解です。
冬になると多くの庭木は「休眠期」に入り、生長のペースをぐっと落とします。ただし、これは完全に活動をゼロにするわけではありません。人間が眠っている間も呼吸し続けるのと同じように、植物も体内の水分をじわじわと蒸散させる活動を続けています。特に太平洋側では冬は乾燥した「からっ風」が吹きやすく、気温が低くても意外なほど土が乾くスピードが速いことがあります。
この状態を長期間放置すると、植物の細胞内の水分が少しずつ失われていきます。結果として、春に暖かくなって「さあ、芽を出そう」というタイミングで、すでに細胞がカラカラに干上がってしまい、芽吹けずに枯れてしまうという悲しいことになるのです。
冬に水やりゼロは危険です。
とくに注意すべきは「植え付けてから1〜2年以内の若木」です。まだ根が十分に広がっていないため、地中の深いところから自力で水を探して吸い上げる力が弱い状態です。樹ぐらし(株式会社国分農園・橋本昌博代表)の情報によると、植付け直後の常緑樹は「根からの水の吸収量が著しく低い状態」にあり、降雨がなければ週に1回程度の水やりが推奨されています。根付いた後の地植えは雨水だけで足りますが、若木の冬越しには人の手によるサポートが欠かせません。
参考情報として、植木の秋冬の水やり管理については以下のページが参考になります。
植木を枯らさない水やり ~秋冬~ | 樹ぐらし(株式会社国分農園)
冬の庭木の水やりで最もやりがちな失敗のひとつが「庭にある全部の木を同じペースで管理してしまう」ことです。
庭木は大きく「常緑樹」と「落葉樹」の2タイプに分かれます。この違いを理解しておくことが、冬の管理をうまく乗り切るための基本中の基本です。
常緑樹(シマトネリコ・オリーブ・ソヨゴ・アラカシなど)
常緑樹は、文字どおり冬でも葉が残っています。葉がついている以上、葉の裏にある気孔からは水分が絶えず蒸発しています。これが「蒸散」と呼ばれる現象で、根からの水の吸い上げが必要な理由です。冬の冷たい北風が連日吹いた後は、葉が内側にくるんと丸まってきたり、本来の光沢が失われてカサカサした質感に変わったりします。これが水分不足のサインです。
常緑樹への注意が必要ですね。
落葉樹(モミジ・ヤマボウシ・アオダモ・コナラなど)
一方、落葉樹は秋から冬にかけて葉をすべて落とします。葉がなければ蒸散はほぼゼロになるため、必要とする水の量は極端に少なくなります。盆栽ガイドの情報によれば、休眠期に入った樹木は根からの水分吸収量が「夏場の10分の1程度まで減少する」とされています。つまり、常緑樹と同じペースで落葉樹に水を与え続けると、余った水が土の中に長くとどまり、これが根腐れの原因となるわけです。
根付いた地植えの落葉樹なら、冬は雨水だけで十分です。鉢植えの場合は3日に1回程度を目安にしながら、実際の土の乾き具合を見て判断するのが安全です。
| 樹種タイプ | 代表例 | 冬の水やり必要度 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 常緑樹 | オリーブ・シマトネリコ・ソヨゴ | やや必要 | 寒風による葉の乾燥・水分不足 |
| 落葉樹 | モミジ・ヤマボウシ・アオダモ | 少量でよい | 水の与えすぎによる根腐れ |
| 植付け直後の木 | 全樹種 | 週1回程度が必須 | 根が広がっておらず吸水力が低い |
冬の水やりで一番大切なのは「何時にやるか」です。結論から言うと、晴れた日の午前9時〜11時が最も安全な時間帯です。
これには明確な理由があります。Garden office Terra(愛知県名古屋市のエクステリア・ガーデンプランナー)のコラムによると、気温が氷点下に落ちる夜間は「土壌中の水分が凍結して体積を膨張させ」、植物の根が地表に持ち上げられたり切断されたりという物理的なダメージを受けます。特に水分を吸収する最前線にある「根毛」はその細さゆえに、凍結膨張のダメージを受けやすい部分です。
怖いのはそれだけではありません。土中の水分が凍ると、残った液体部分の濃度が高まります。すると浸透圧の関係で、逆に根の中の水分が土のほうへ引き出されてしまうことがあるのです。つまり、せっかく与えた水が凍ることで、植物はむしろ乾燥ダメージまで受けてしまうという二重のリスクがあります。
午前中の水やりが原則です。
午前中に水を与えておけば、日中の温かい時間帯に根がしっかり水分を吸収し、余分な水は土の表面から自然に蒸発していきます。夕方までに土中の水分量が安全な水準に落ち着くため、夜間に急激に冷え込んでも凍結のリスクを最小限に抑えられます。
一方、夕方や夜間に与えた水は、吸収されないまま土中に残ります。そこに夜の冷え込みが直撃すれば、前述した凍結ダメージが起きやすくなるというわけです。寒い地域では特に、「水やりは朝のうちに完結させる」というルールを徹底してください。
土壌中の水分の凍結が植物に与えるメカニズムについては、以下のコラムが詳しく解説しています。
土壌中の水分の凍結が植物に与える影響 | Garden office Terra
頻度については、地植えの庭木(根付き済み)の場合、まとまった雨が2週間以上降らない異常乾燥のとき以外はほぼ不要です。鉢植えは週に1回程度を目安に、土の乾き具合を指で確認してから判断しましょう。重要なのは「カレンダーで曜日を決めて機械的にやる」のではなく、「土の状態をみて判断する」習慣を持つことです。
「水やりが必要かどうか」を判断する最も確実な方法は、自分の指で土を確かめることです。
まず、土の表面が白っぽくカサカサに乾いているかを目で確認します。次に、人差し指を第一関節(根元から約2〜3cm=はがきの厚み10枚分くらいの深さ)まで土に差し込んでみます。この時点で土がまだ湿っていてひんやり感じるなら、表面が乾いていても水やりは必要ありません。中まで乾ききっている場合にのみ、午前中の時間帯にたっぷりと水を与えてください。
鉢植えの判断に便利なのが「竹串チェック法」です。スーパーで手に入る竹串を鉢の土の深めのところに差し込み、数分後に抜いてみます。竹串の先端が湿っていたり、冷んやりした感触があれば土中にまだ水分が残っています。カラリと乾いた状態で抜けてきた時が水やりのタイミングです。これは水分計を購入しなくてもできる方法で、費用はほぼゼロです。
これは使えそうです。
もうひとつ、鉢植えは「重さ」でも判断できます。水やり直後の鉢を持ち上げた時の重さを体で覚えておき、その鉢が明らかに軽く感じるようになったら水分が抜けてきたサインです。この「重さ感覚」は慣れると非常に精度が高くなる方法で、熟練した農業従事者や造園のプロが日常的に使っている技術です。
根腐れを防ぐためのチェックポイントをまとめると以下の通りです。
- 🔍 土の表面の色 → 白くカサカサ=乾燥サイン、濃い色でしっとり=まだ水分あり
- 👆 指差しチェック → 第一関節まで入れて湿り気があれば水やり不要
- 🍡 竹串チェック → 抜いた竹串が湿っていれば水やり待ち
- 🪴 鉢の重さ → 水やり直後より明らかに軽くなったら補水タイミング
- 🌿 葉の状態 → 常緑樹の葉が丸まり始めたら水分不足のサイン
「乾湿のサイクルを作る」ことが、丈夫な根を育てる基本です。常に土が湿った状態を保つのではなく、しっかり乾かしてから水を与えるリズムが、植物を強く育てるコツになります。
水やりの管理と並んで、冬の庭木を守る上で重要なのが「根元の保護」です。ここでは、水やりの効果を最大化しながら乾燥と凍結の両方から庭木を守る方法を紹介します。
最も手軽で効果的な方法が「マルチング」です。バークチップ(木の皮を砕いたもの)や腐葉土を、庭木の根元の土の上に3〜5cmの厚さで敷き詰めるだけでできます。これは、毛布を根元にかけてあげるようなイメージです。マルチングには以下の効果があります。
- 🌡️ 保温効果 → 夜間の急激な冷え込みによる土の凍結を緩和する
- 💧 保湿効果 → 土表面からの水分蒸発を大幅に抑える(水やり頻度を下げられる)
- 🌱 根の保護 → 霜柱による根の浮き上がりダメージを軽減する
特に植え付けて1〜2年以内の若木や、寒さが苦手な常緑樹のシンボルツリーには効果絶大です。農林水産省の果樹の予防減災情報でも、寒害対策として樹体保護やかん水管理の重要性が示されており、プロの現場でも広く活用されているアプローチです。
マルチングが基本です。
参考情報として、農林水産省の果樹の寒害・凍害対策については以下のページが参考になります。
もうひとつ見落とされがちなのが「鉢植えの置き場所」の工夫です。鉢植えは地植えと違い、鉢の側面全体から外気の冷たさが直接伝わってきます。北風が当たりにくい建物の南側や軒下に移動するだけで、土の凍結リスクと乾燥の速度を大きく抑えることができます。地植えと鉢植えでは対策のアプローチが変わります。この一手間が、春の芽吹きの美しさを左右します。
また、霜柱が立ってしまった朝に足で踏み固めるのは厳禁です。太陽が高くなり霜が自然に溶けてから、浮き上がった株元の土を手で優しく押さえ直してください。焦って作業すると、かえって根を傷つけてしまいます。
ここ数年で冬の気温が変わってきました。農業や園芸の現場でも、従来の「冬の教科書」が通じないケースが増えています。
気象庁のデータによると、日本の平均気温は過去100年間で約1.3℃上昇しており、特に近年は暖冬の傾向が顕著です。冬でも日中の気温が15℃を超える日が珍しくなくなってきた地域も多く、植物の蒸散量や土の乾き具合が昔の常識とは大きく変わってきています。
暖冬は油断が禁物ですね。
気温が高ければ、植物の蒸散は活発になります。また、土の表面からの水分蒸発も速くなるため、「冬だから水やりは不要」と思って放置していると、知らないうちに深刻な乾燥ダメージが進行してしまうことがあります。特に晴れた日が1〜2週間以上続くような「冬の乾燥シーズン」には要注意です。
逆に暖冬で注意したいのは「冬でも根腐れのリスクが上がる」点です。気温が高いと落葉樹でも根の活動が完全に止まらないため、水分の消費は夏よりは少ないものの、土が乾ききらないうちに次の水やりをしてしまうリスクが高まります。結果的に、常に土が湿った状態が続いて根腐れを起こすケースが出てきます。
暖冬の年の管理ポイントをまとめると次の通りです。
- 📅 カレンダーではなく気温で判断する → 日中15℃以上が続くなら土のチェック頻度を増やす
- ☀️ 乾燥注意報が出た日は意識的に確認する → 晴れた低湿度の日は土が乾くスピードが速い
- 🌡️ 落葉樹でも完全放置は危険 → 暖冬では完全な休眠に入らないケースがある
- 🪴 鉢植えは特に要警戒 → 鉢の側面から乾燥が進むため予想以上に早く土が乾く
「冬だから大丈夫」という先入観が最大のリスクです。毎年同じルーティンを繰り返すのではなく、その年の気候と目の前の植物の状態を見て柔軟に対応することが、現代の庭木管理に求められる姿勢です。農業の現場でも同様で、データと現場の観察を組み合わせた判断が質の高いケアにつながります。
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