柿の施肥は「いつ入れるか」で効き方が大きく変わるため、まず年間の型を押さえます。島根県の技術情報では、元肥(12月上旬〜2月上旬)・追肥(6月上旬〜下旬)・秋肥(9月上旬〜9月中旬)という時期区分が示されています。
さらに和歌山県の資料では、6〜8月は養分吸収力が極めて強い一方、この時期の窒素の過剰吸収が着色遅延など果実品質に悪影響を及ぼす可能性が高いとされています。
この2点を合わせると、鶏糞を「追肥で効かせたい」と考えるほど、窒素の入れ過ぎ・効かせ過ぎに注意が必要です。
参考)島根県:(2)施肥管理(トップ / 農業技術センター / 技…
実務では、施肥は一度にドカンと入れず、樹勢・葉色・結果量を見て“分ける”発想が安全です。
参考)https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/763928_62443948_misc.pdf
「鶏糞を何kg入れるか」は、本来は“窒素を何kg入れるか”から逆算します。島根県の例だと10a当たりの年間施肥量は、窒素20kg・リン酸15kg・カリウム20kg程度とされています。
一方で鶏糞堆肥は、窒素(N)が2〜4%前後、リン酸(P)が4〜6%前後、カリウム(K)が2〜4%前後という目安が紹介されています(製品で変動)。
参考)鶏糞(鶏ふん)とリン酸の関係性と過剰蓄積等の施用注意点
ここで重要なのは、鶏糞はリン酸が相対的に高めに出やすい点で、窒素だけ見て量を増やすとリン酸を積み増ししやすいことです。
計算の例(考え方だけ、園の設計に合わせて調整してください)。
つまり「窒素目的で鶏糞を増やすほど、リン酸が先に効いて(溜まって)しまう」構造を理解しておくと失敗が減ります。
家畜ふん堆肥の成分は畜種で大きく異なること、N:P:Kのバランスが作物の要求(概ね1:1:1)とズレやすいことも指摘されています。
鶏糞は使い方を誤ると、短期の「効いた感」と引き換えに長期の不具合を抱えやすい資材です。鶏糞堆肥はリン酸を多く含むことが示されており、過剰蓄積の注意が語られています。
また、県の技術資料では土壌pHを適正(6.0前後)に保持するために石灰資材を入れることが示され、酸性圃場が多いのでpH矯正が必要とも述べられています。
ここで「鶏糞は石灰分も多い」タイプがあるため、石灰資材でのpH矯正と鶏糞の投入が重なると、想定よりpHが上がるケースも想定しておくと安全です。
参考)https://www.pref.saga.lg.jp/kiji003101843/3_101843_up_t1p0bn8d.pdf
そして見落としがちなのがガス障害で、有機質肥料や未熟な有機物を多量に施用すると分解で生成したアンモニアが土壌中にたまり、pHが高い場合や温度上昇でアンモニアがガス化して被害が急激に出るとされています。
参考)https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/423596_2722884_misc.pdf
現場向けの注意喚起として、未熟家畜ふん堆肥はアンモニアや亜硝酸などの有毒ガスが発生しやすく根や葉に障害を与えること、また家畜ふん堆肥の中でも鶏ふんはガス障害や肥やけが出やすいので播種・定植間近の施用を避けるべき、という具体的注意も示されています。
参考)https://www.ja-chichibu.jp/pdf/JAchichibu-yamanami/JAchichibu-yamanami-einou26.07.pdf
柿園では「根が動く時期に効かせたい」気持ちが強いほど、未熟鶏糞の危険が増えるので、完熟確認と施用時期の設計をセットで考えます。
参考:ガス障害(アンモニアガス)の発生原因と対策がまとまっている(未熟有機物、多量施用、高pH・急昇温が危険など)
岡山県資料:ガス障害の発生と対策
同じ10aでも、樹齢・結果量・土壌条件で適量はズレるので、「基準→観察→微調整」の順が現実的です。福岡県の果樹施肥基準では、根群域が小さく根量も少ないため施肥回数を多くし、一度に多量の施肥を行わない、といった留意事項が示されています。
また、和歌山県の資料が示すように6〜8月は養分吸収が強く、この時期の窒素過剰が品質に悪影響を与える可能性があるため、葉色が濃い園ほど“追肥で鶏糞を足す”判断は慎重に行うべきです。
現場で使いやすいチェック項目(入れ子なしで整理します)。
参考)施肥の基本的な考え方
独自視点として、鶏糞は「速く効かせたい」ほどリスクが増える資材なので、追肥で使うなら“量を少なめに、完熟を徹底、土壌分析でリン酸とpHを毎年見る”の3点をルール化すると、担当者が変わってもブレが小さくなります。
参考:柿の施肥時期と、6〜8月の窒素過剰が品質へ悪影響になり得る点が整理されている(施肥設計の根拠づくりに便利)
和歌山県:施肥の基本的な考え方(カキ)

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