カーボンファーミング日本で農業が脱炭素と収入を両立する方法

カーボンファーミングとは何か、日本の農業従事者がJクレジットで収入を得る仕組みや、中干し延長・バイオ炭など具体的な手法を徹底解説。あなたの農地が"稼ぐ農地"に変わるチャンスとは?

カーボンファーミングで日本の農業が変わる:仕組みと実践ガイド

中干しを1週間延ばすだけで、あなたの水田が1ヘクタールあたり2万8,000円の副収入を生み出せます。


この記事でわかること
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カーボンファーミングの基本

農地の土壌に炭素を固定・貯留することで、温室効果ガスを削減しながら農業を続ける「脱炭素農業」の仕組みをゼロから解説します。

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農家が収入を得る方法

Jクレジット制度を活用して、中干し延長やバイオ炭施用などの取り組みが「売れる炭素クレジット」に変わる具体的な手順を紹介します。

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2030年に向けた市場展望

矢野経済研究所の予測では2030年度の国内市場規模は92億円超。今から動く農業者ほど先行者優位を取れる理由を解説します。


カーボンファーミングとは何か:日本の農業従事者が知るべき基礎知識


カーボンファーミング(Carbon Farming)とは、大気中の二酸化炭素(CO₂)を農地の土壌や植物に取り込み、固定・貯留することで温室効果ガスの排出削減に貢献する農業手法の総称です。


これまで農業は、耕耘や化学肥料の使用によって土壌中の炭素を大気に放出する「排出源」として位置づけられてきました。しかしカーボンファーミングは、農業を「吸収源」へと転換させる取り組みです。つまり農業が、環境問題の「加害者」から「解決者」に変わる可能性を秘めています。


日本の温室効果ガス(GHG)排出量は2022年度で二酸化炭素換算11億3,500万トン。そのうち農林水産分野は約4,790万トンで、全排出量の4.2%を占めています(農林水産省データ)。この4.2%を削減するだけでなく、農地が吸収源になれれば、数字の上では二重の効果が生まれます。


これが大きなポイントです。


実はこの考え方は、国際的にも2015年のパリ協定後から加速しています。フランス政府主導で始まった「4‰(フォーパーミル)イニシアチブ」では、「土壌炭素量を毎年0.4%増加させれば大気中のCO₂濃度上昇を止められる」という科学的根拠が示されました。


日本もこの潮流のなかに入っています。


農林水産省が推進する「みどりの食料システム戦略」でも、2050年までの温室効果ガスの農林水産業からのゼロエミッション化が明記されており、カーボンファーミングはその中核的手法として位置づけられています。難しい話に感じるかもしれませんが、要は「いつもの農作業を少し変えることが、地球と収入に貢献する」という考え方です。


農林水産省「みどりの食料システム戦略」公式ページ:制度の概要と技術カタログが確認できます


カーボンファーミングが日本で注目される背景:気候変動と農業の接点

気象庁のデータでは、日本の年平均気温は100年あたり1.35℃のペースで上昇しています。2024年夏は統計開始以来最高水準の高温を記録しました。高温障害による米の品質低下、豪雨による農地被害など、農業従事者がすでに実感している変化は、気候変動と切り離せません。


これは他人事ではありません。気候変動が進めば、作付け可能な時期がずれ、病害虫の発生パターンも変わり、収量のリスクが高まります。農業は気候変動に最も影響を受ける産業のひとつです。


一方で、農業は気候変動対策の「担い手」にもなれます。世界の農業・畜産用途に使われている農地は、砂漠・氷河を除く陸地の46%に及びます(野村證券FABCレポート)。この広大な土壌を活用して炭素を固定すれば、工場や発電所の排出削減とは別の形で脱炭素に貢献できます。


日本国内でもこの動きが本格化しています。三菱商事による水田メタン削減の大規模プロジェクト、Green Carbon株式会社が展開する稲作コンソーシアムへの参加農家8,000ha・120社超(2023年度初年度実績)など、具体的な事例が積み上がってきました。2024年度の国内カーボンファーミング市場規模はすでに3億9,600万円に達しており、矢野経済研究所は2030年度に92億2,100万円まで拡大すると予測しています(2024年12月発表)。


市場は動いています。


ITmedia「カーボンファーミングの日本市場、2030年度に92億円規模に」:矢野経済研究所の市場予測の詳細が読めます


カーボンファーミングの主要手法①:日本の水田で使える中干し期間の延長

最も多くの稲作農家が取り組みやすい方法が、「水稲栽培における中干し期間の延長」です。


中干しとは、稲の栽培中に一時的に水田の水を抜いて田面を乾かす作業のことです。過剰な分げつを抑えるために慣行的に行われてきました。この中干し期間をさらに1週間程度延長するだけで、水田から発生するメタン(CH₄)を約3割削減できることが農研機構の研究で明らかになっています。


メタンは非常に強力な温室効果ガスです。


CO₂の28倍の温室効果を持ちます。


そのため、少量の削減でも大きな効果があります。


2023年3月、この中干し期間延長がJ-クレジット制度(国が認証するカーボンクレジット制度)の新たな方法論として正式承認されました。これにより、中干し延長で削減できたメタン量をクレジットとして認証・販売できるようになりました。


福島県のある村では、最大800haで中干し延長を行った場合、農家への還元金額は最大2,240万円(1ヘクタールあたり2万8,000円)と試算されています(日本農業新聞、2025年10月)。東京ドーム約170個分の水田面積が生み出す副収入として考えるとイメージしやすいでしょう。


中干し延長で得た副収入を受け取るためには、Jクレジットへの登録・申請が必要です。ただし、個人単独で登録するには「100トン以上のCO₂削減・吸収見込み」の条件を満たす必要があり、登録・クレジット発行費用に数百万円かかることもあります。


単独参加はハードルが高いです。


そこで活用したいのが「稲作コンソーシアム」です。複数農家が合同申請できるため、規模の小さな農家でも参加できます。Green Carbon株式会社が国内最大規模のコンソーシアムを運営しており、申請手続きの代行も行っています。


農林水産省「J-クレジット制度を活用して稲作の中干し期間延長に取り組もう」:申請の仕組みがわかるパンフレット(PDF)


カーボンファーミングの主要手法②:日本の農地に合うバイオ炭施用の仕組み

バイオ炭とは、木材・竹・稲わらなどのバイオマス(植物由来の有機物)を酸素の少ない環境下で350℃超の温度で加熱処理した炭化物です。農地に施用(すき込む)することで、炭素を土壌中に長期間——100年単位——閉じ込めることができます。


バイオ炭は2020年9月、J-クレジット制度で炭素貯留の有効な方法として承認されました。農研機構の研究(2025年3月)でも、農地へのバイオ炭施用による炭素貯留量の算出方法が確立され、実務への応用が進んでいます。


これは使えそうです。


バイオ炭施用には炭素固定以外にも土壌改良の副次効果があります。多孔質構造を持つバイオ炭は、土壌の保水性・通気性・透水性を高め、微生物の住み処にもなります。酸性土壌を弱アルカリ性に矯正する効果もあり(pH8~10程度)、特に酸性化した農地で作物の収量・品質改善につながる場合があります。


ただし、バイオ炭単体では土壌へ混入できる量が全体の2%程度に限られるという制約がありました。この課題を克服したのが、愛知県のスタートアップTOWING社が開発した「宙炭(そらたん)」です。微生物を付与した高機能バイオ炭で、2%以上の混入率を実現しつつ、収量も下げないという特徴があります。同社はカーボンクレジット申請代行も行っています。


バイオ炭の施用コストは現状では比較的高く、高単価農作物(有機野菜・施設園芸など)での活用が現実的です。


バイオ炭が条件です。


ただし、今後の技術革新によるコスト低下と市場拡大が期待されており、日本のバイオ炭市場は2034年までに現在の約3倍規模(約4億ドル)に成長する予測も出ています(IMARC Groupデータ)。


農研機構「バイオ炭の農地施用による炭素貯留量を簡便に算出する手法の開発」:科学的な算出方法の最新研究成果


カーボンファーミングの主要手法③:不耕起栽培・カバークロップによる炭素固定

不耕起栽培とは、作付け前の土壌反転・攪拌(耕耘)を行わない農法です。通常の耕耘は土壌中の有機物を空気にさらし、微生物による分解を通じてCO₂として大気に放出させます。これを止めることで、炭素を土壌に蓄積し続けるのが基本的な発想です。


世界規模では大きな実績があります。2020年にはブラジルだけで約3,600万ヘクタール(日本の農地全体の約15倍)で不耕起栽培が行われており、遺伝子組換え作物と組み合わせることで二酸化炭素排出量を2020年単年で2,343万トン削減したという報告があります(ブルックス・バーフット論文、2022年)。ガソリン車1,568万台分の年間排出量に相当する数字です。


ただし、日本での普及はハードルがあります。


日本の農地の特性は欧米と大きく異なります。


1経営体あたりの農地面積が小さく、年間数回の作付けが必要な野菜作が中心のため、不耕起栽培をそのまま適用すると収量低下のリスクがあります。北海道など農地が比較的大規模な地域では導入の余地があるとされています。


カバークロップ緑肥)も有効な方法です。本作物の収穫後に素早く育つマメ科植物(ヘアリーベッチクローバーなど)やソルガムを作付けし、その残渣を土壌にすき込むことで炭素を固定しながら地力を回復させます。化学肥料の使用量を削減できる効果もあり、CO₂より265倍の温室効果を持つ亜酸化窒素(N₂O)の排出削減にもつながります。


岡山県の研究では、不耕起稲作と中干しを組み合わせた場合、水田のメタン排出を最大87%削減できるという結果が得られています。複数の手法の組み合わせが効果的ということですね。


カーボンファーミングとJクレジット:日本の農業従事者が収入を得るまでの流れ

カーボンファーミングが「取り組みで終わる」のではなく、「収入につながる」のがJ-クレジット制度の役割です。


J-クレジット制度とは、温室効果ガスの排出削減量・吸収量を国が認証し、その数値を「クレジット(証書)」として企業や個人が売買できる仕組みです。農業分野では現在、①バイオ炭の農地施用、②水稲栽培における中干し期間の延長、③家畜排せつ物管理方法の変更、④アミノ酸バランス改善飼料の給餌、⑤肉用牛へのバイパスアミノ酸給餌の5つの方法論が認証されています。


農業者が収入を得るまでの大まかな流れは以下のとおりです。


  • 🌱 STEP1:方法論を選ぶ 自分の農地・畜産の状況に合ったJ-クレジット方法論(中干し延長、バイオ炭など)を選択する
  • 📋 STEP2:プロジェクト登録 単独またはコンソーシアム経由でJ-クレジット制度に登録申請する(必要書類の作成・提出)
  • 📊 STEP3:取り組み実施・モニタリング 中干し延長の実施期間や、バイオ炭の施用量などを記録し、クレジット量を算出する
  • STEP4:クレジット発行・販売 国の審査・認証を受けてクレジットが発行され、仲介事業者を通じて企業に販売する
  • 💴 STEP5:収益還元 クレジット販売収益から手数料を差し引いた金額が農業者に還元される


現在のJクレジット価格(農業分野)は1トンあたり6,000~6,300円前後で取引される事例があります(脱炭素貨値両替所データ)。中干し延長の場合、10haの水田で取り組むと年間で6万円前後の副収入になると試算できます。


個人で申請するよりも、コンソーシアム経由のほうが手続きが簡単で、費用も抑えられます。


稲作コンソーシアムに注目すれば大丈夫です。


日本のカーボンファーミングに適した地域と作物:北海道と水田地帯の可能性

カーボンファーミングの効果は「農地の規模と種類」に大きく左右されます。


農地面積が小さく野菜作が中心の日本では、欧米型の大規模不耕起栽培やカバークロップ手法はそのまま適用しにくい面があります。しかし、日本の農業地域ごとに見ると、大きな可能性を持つエリアが存在します。


北海道は日本の中でも農地面積が突出して大きく、1経営体あたりの耕作面積が本州と比べてはるかに広い地域です。道東カーボンファーミングプロジェクトでは、人口1万4,273人のうち20%以上が農業に従事する地域で、酪農と組み合わせた脱炭素型農業が実証されています。不耕起栽培やカバークロップ、草地管理の手法を検討できる可能性があります。北海道カーボンファーミング推進協議体も設立され、行政・農業者・企業が連携しています。


水田地帯(東北・北陸・九州)は、中干し延長によるメタン削減クレジットの最有力地域です。日本の全耕作地の約54%が水田であり、国内で最大358万トン(二酸化炭素換算)のメタン削減ポテンシャルがあると推計されています(野村證券試算)。水田の2割に普及しただけで80億円規模のクレジット創出になるとも言われています。


施設園芸・果樹地帯は、高機能バイオ炭(宙炭など)の活用が現実的です。高単価農産物であれば、バイオ炭のコストを吸収しやすく、土壌改良効果と炭素固定効果の両方を得られます。果樹農家では剪定枝のバイオ炭化・還元という循環的な取り組みも始まっています。


地域特性が条件です。


カーボンファーミングの課題と注意点:日本の農業者が見落としがちなリスク

カーボンファーミングには明確なメリットがある一方、現実的な課題も存在します。


正確に把握しておくことが重要です。


課題① 土壌炭素量のモニタリングが難しい


バイオ炭を除くほとんどのカーボンファーミング手法では、土壌中の炭素量を正確に測定するための土壌分析が必要です。土壌の炭素量を低コストで精確に測定するのは技術的に難しく、現状では専門機関への依頼コストがかかります。海外では中性子線や赤外線を使った大規模計測システムがありますが、小規模農家が多い日本への適用は困難です。


課題② 農業生産性への影響


不耕起栽培やカバークロップは、導入初期に収量が下がるリスクがあります。野菜作の場合は特に影響が大きく、炭素クレジットの収益だけでは生産性低下による損失を補いきれないケースもあります。中干し延長も品種によっては収量・品質に悪影響が出る場合があります。


事前の試験栽培や品種選択の確認が必要です。


課題③ 申請・登録コストと手続きの複雑さ


J-クレジット登録には「100トン以上のCO₂削減・吸収見込み」の条件があり、個人単独では数百万円の費用が発生することもあります。コンソーシアム経由であれば負担は大幅に軽減されますが、それでも申請書類の作成・管理、モニタリング記録など、手間はゼロではありません。


厳しいところですね。ただし、これらの課題は技術・制度の進化によって年々緩和されつつあります。農研機構が2025年3月に発表した「炭素貯留量の簡便算出手法」のような技術革新が続けば、モニタリングコストは将来的に下がる見込みです。


三菱総合研究所「GHG排出削減のカギ:カーボンファーミングと炭素貯留」:課題と対策が詳しく解説されています


カーボンファーミングによる農産物の付加価値向上:独自視点で見るブランド戦略との接続

多くの解説記事ではカーボンクレジットの「収入」としての側面が語られます。しかし、カーボンファーミングの本質的な価値はもうひとつあります。それは「農産物そのものの付加価値向上」との融合です。


TOWINGの「宙炭」を使って生産された野菜は、「ネットゼロ野菜」として高付加価値商品として販売されています。カーボンインセット方式(サプライチェーン上での排出量相殺)を使い、農産物自体に「脱炭素」の証明を付けるこの手法は、食品メーカーとの直接取引や高単価販売につながります。


これは使えそうです。


また、キリンホールディングスやネスレ、ペプシコなどのグローバル食品メーカーが、原料調達先の農場に対して再生農業・カーボンファーミングの取り組みを求め始めています。農業者側がカーボンファーミングに取り組んでいるという実績は、大手食品メーカーとの契約・取引交渉でも武器になります。


さらに、メルシャンのワイナリーでは下草を活用した再生農法が「ネイチャーポジティブ」としてブランド化に成功した事例があります。土壌や生態系の回復を「ストーリー」として訴求できる作物では、価格競争からの脱却にもつながります。


カーボンファーミングに取り組むことで得られる副収入(クレジット収益)+農産物ブランド価値の向上+土壌改良による長期的な生産性向上という「三重の恩恵」を正しく理解することが重要です。


まさに一石三鳥ということですね。


脱炭素に関心のある食品メーカーや商社との取引開拓を考えているなら、カーボンファーミングへの取り組みを営業資料に活用する価値があります。


カーボンファーミングの日本における先進事例:稲作コンソーシアムと北海道の取り組み

国内での実践事例が急速に増えています。


代表的な取り組みを見ていきましょう。


Green Carbon「稲作コンソーシアム」(全国展開)


2023年4月に発足した稲作コンソーシアムは、同年度末時点で参画農家の総水田面積8,000ヘクタール、加盟法人数120社超にまで拡大しました(2023年12月発表)。大手農業メーカー、大手商社、地方銀行、JA農業協同組合、大手テック系企業など多様な主体が参画しています。8,000haは東京ドーム約1,700個分の面積です。農家単独ではなく、広域での面積集約がJクレジット取得のカギとなっています。


北海道カーボンファーミング推進協議体


北海道では、農業・畜産・乳業が集積する地域特性を活かし、道を挙げたカーボンファーミング推進体制が整いつつあります。酪農における排泄物管理の改善、牧草地の草地管理、バイオ炭施用など複数の方法論を組み合わせたプロジェクトが動いています。農地規模が大きい北海道だからこそ、全国の先行モデルになり得ます。


東京都「吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業」


東京都は都市に立地する企業のカーボン中和ニーズと、農村部の農業者をマッチングさせる事業を推進しています。農業者が创出したクレジットを都内企業が購入することで「地産地消型」の脱炭素が生まれています。


地域連携型の仕組みが重要です。


JAXA「だいち4号」による水田モニタリング(2025年)


2025年には宇宙航空研究開発機構(JAXA)の衛星「だいち4号」を活用し、衛星データで水田の中干し実施状況をリモートセンシングするプロジェクトが始まりました。農家が毎回現地確認・記録する手間が大幅に削減される仕組みで、JクレジットのMRV(測定・報告・検証)コスト削減につながります。


ITはこういうところで役立ちます。


Green Carbon「稲作コンソーシアム」公式サイト:参加方法と実績データが確認できます


カーボンファーミングを日本で始めるための具体的なステップ:農業従事者向け行動ガイド

「興味はあるけど、どこから始めればいいかわからない」という方に向けて、具体的な行動ステップをまとめます。


ステップ1:自分の農地・畜産の状況を整理する


水田があるのか、畑作・施設園芸なのか、畜産なのかによって使える方法論が変わります。まず「自分に適用できるJ-クレジット方法論はどれか」を農林水産省や農研機構の技術カタログで確認しましょう。


ステップ2:コンソーシアムまたは支援事業者に相談する


Green CarbonやフェイガーなどのJ-クレジット支援事業者に問い合わせると、自農地でのクレジット創出可能量の試算・申請代行サービスを受けられます。「農業分野のJ-クレジット制度説明会」は農林水産省や各都道府県でも定期的に開催されています。


まずは無料相談から始めるのが原則です。


ステップ3:モニタリング体制を整える


中干し延長の場合は実施日・期間・面積の記録が必須です。スマートフォンのカメラで水田の状態を記録しておくだけでも、後の申請書類作成に役立ちます。


記録をつけることが条件です。


ステップ4:クレジット販売先・価格を確認する


クレジットは入札販売または相対取引で企業に販売します。現状では仲介事業者(オフセット・プロバイダー)を通じた取引が主流で、販売価格から手数料が引かれた金額が農業者に還元されます。複数の事業者の条件を比較してから選ぶことをお勧めします。


ステップ5:農産物の付加価値戦略とセットで考える


クレジット収益だけでなく、「脱炭素農業への取り組み」を農産物のラベル・パッケージや直売所のPOPに活用する方法も検討しましょう。


消費者の環境意識は年々高まっています。


取り組みを「見える化」することで販売単価の向上につながります。


  • 🔗 農林水産省J-クレジット制度ポータル:japancredit.go.jp(取り組みの登録・申請書類の確認ができます)
  • 🌿 みどりの食料システム戦略支援事業:農林水産省「グリーンな栽培体系転換サポート」などの交付金制度も活用できます
  • 🤝 Green Carbon稲作コンソーシアム:green-carbon.co.jp(水田農家向けの参加窓口)


J-クレジット制度「農業分野の温室効果ガス削減に向けた取り組みのご紹介」(農林水産省・J-クレジット事務局):農業者向けの具体的な申請ガイド(PDF)


カーボンファーミングの将来展望:2030年に向けた日本農業の変化と農家が今すぐ準備すべきこと

矢野経済研究所は2030年度の国内カーボンファーミング市場規模を92億2,100万円と予測しています。2024年度の3億9,600万円と比較すると、わずか6年で約23倍に拡大するという計算になります。この成長速度は、太陽光発電の普及初期に似た急拡大のパターンと言えます。


2025年度まで市場を牽引するのは「水稲栽培による中干し期間の延長」プロジェクトです。2026年度以降は「バイオ炭の農地施用」が成長の中心に移行するとされています。


国際的な需要も膨らんでいます。AI産業の急拡大に伴うデータセンターの電力消費増加を背景に、MicrosoftやGoogleなどのグローバルテック企業が大量のカーボンクレジットを必要としています。Microsoftは2024年に世界最大のバイオ炭事業者Exomad Greenと3.2万トン分の売買契約を締結しました。農業由来クレジットは今後、IT企業の需要とつながっていきます。


日本でも2026年度から本格導入される排出量取引制度により、国内企業のクレジット需要が急増する見通しです。農業者が今からプロジェクト登録を進めておけば、需要が本格化した際に「売り手」として有利な立場に立てます。


先行者が有利なのは間違いありません。


2050年の脱炭素社会に向けて、農業の役割は「食料を作る」だけから「炭素を固定する」にまで広がっています。カーボンファーミングへの参加は、環境対応であると同時に、農業経営の多角化でもあります。今のうちに情報収集と第一歩を踏み出しておくことが、5年後・10年後の農業経営の安定につながります。


矢野経済研究所「カーボンファーミング市場に関する調査(2024年)」:2030年度までの市場規模予測と参入企業動向




カーボンファーミング: 人と地球を養う緑の力