牧草地 管理 更新 完全更新簡易更新施肥雑草防除

牧草地 管理 更新の基本から、完全更新と簡易更新、施肥や雑草防除の工夫、意外な観察ポイントまで押さえたうえで、自分の牧場ではどこから手を付けるべきでしょうか?

牧草地 管理 更新の基本戦略

牧草地 管理 更新の全体像
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牧草地劣化のサインと更新判断

収量・牧草割合・雑草割合・裸地化など、更新のタイミングを見極めるための基本指標と現場でのチェック方法を整理します。

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完全更新と簡易更新の選び方

耕起を伴う完全更新と、追播などの簡易更新の特徴・コスト・リスクを比較し、ほ場条件に合わせた使い分け方を解説します。

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施肥設計と雑草防除のポイント

草種構成やマメ科割合に応じた施肥と、耕種的雑草防除・除草剤利用の勘所を具体例とともに紹介します。

牧草地 管理 更新 劣化サインの見方と更新サイクル

 

牧草地の更新を検討する際、最初に押さえたいのは「どれくらい劣化したら更新なのか」という目安です。
一般的に、草地は更新後3年目に収量がピークとなり、その後、年数の経過とともに収量や主要牧草の割合が低下し、不良草種や雑草の増加、裸地の拡大が目立ち始めます。
更新の判断指標として現場でよく使われるのが、次のような項目です。

 

参考)https://www.tokachi.pref.hokkaido.lg.jp/fs/2/1/9/0/3/9/5/_/tikusan03.pdf

  • 収量(年間乾物収量)が更新当初から2〜3割以上落ちている。
  • 主要牧草(チモシー、オーチャードグラスなど)の被度が5割以下になり、シバムギやリードカナリーグラスなどの地下茎雑草が目立つ。
  • 雑草・不良草種の割合が増え、裸地が増加して機械作業時のわだちやぬかるみが目立つ。
  • 家畜の採食ムラが大きくなり、「食べ残し」と「食い尽くし」が極端なパッチとして現れる。

北海道や東北などの事例では、「更新による増収が必要な草地」の割合が年々増えているという調査結果もあり、3〜7年程度のサイクルで計画的に草地更新を行うことが推奨されています。

 

参考)https://souchi.lin.gr.jp/skill/pdf/20110323souchi.pdf

意外なポイントとして、更新前に土壌硬度やpHを測っておくと、更新後の改善効果を定量的に比較でき、次の更新計画や施肥設計の精度が高まることが報告されています。

 

参考)https://www.nemuro.pref.hokkaido.lg.jp/fs/1/0/2/9/8/4/7/7/_/03_V-3(1)(2)_%E8%8D%89%E5%9C%B0%E6%9B%B4%E6%96%B0%E3%81%AE%E6%8A%80%E8%A1%93%20%E6%84%8F%E7%BE%A9%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88_%E5%AE%8C%E5%85%A8%E6%9B%B4%E6%96%B0(%E5%B9%B3%E8%89%AF%E6%9C%A8)240205b%E2%97%86.pdf

牧草地 管理 更新 完全更新と簡易更新の特徴と選択基準

草地更新は大きく「完全更新(耕起更新)」と「簡易更新」に分けられ、それぞれ作業内容とリスクが異なります。
完全更新(耕起更新)の特徴

  • 前植生を除草剤などで枯殺し、その後プラウなどで全面耕起して新たに播種床をつくる方法。
  • 土壌の物理性・化学性を大きく改善でき、pH矯正や有機物投入、暗渠補修などをまとめて実施しやすい。
  • 地下茎雑草が多い圃場や、裸地化が進んだ低生産性草地では特に効果的。
  • 一方で、時間・労力・コストが大きく、更新年は収量が低下するリスクがある。

簡易更新の特徴
参考)https://www.kankyou-marc.jp/fukyuu/pdf/780107.pdf

  • プラウによる反転耕起を伴わず、ロータリーハローや簡易草地更新機で表層を処理し、追播によって草生を回復する方法。
  • 作業コストが比較的低く、更新後の収量は完全更新と同程度に回復した事例も報告されている。
  • 更新時期の目安は9月中旬〜10月上旬で、オーチャードグラスの場合は1〜2kg/10a程度の播種量が推奨されている。
  • 既存牧草の刈り取り後に行うことで、越冬性確保と当年の草量確保、スプリングラッシュの回避に役立つ。

どちらを選ぶかは、次のような視点で判断すると整理しやすくなります。

 

参考)https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/448943.pdf

  • 地下茎雑草(シバムギなど)が優占している場合:完全更新+徹底した前植生処理が基本。
  • 主要牧草はまだ残り、雑草も中程度で土壌も極端に悪くない場合:簡易更新や追播で延命し、次回の完全更新までの「つなぎ」とする。
  • 傾斜地や石の多い圃場で耕起リスクが高い場合:簡易更新+放牧管理・刈り取り回数の調整で対応する。

北海道などの研究では、「更新しなかったがために事故(収量急減・裸地化)が起きた」例も報告されており、更新を先送りしすぎるリスクも指摘されています。

 

参考)https://www.aeca.or.jp/01course/pdf/20240209ken02.pdf

そのため、牧草地 管理 更新では、年ごとの観察データをもとに「簡易更新であと何年持たせるか」「どのブロックをいつ完全更新するか」という中期計画を立てることが重要です。

牧草地 管理 更新 施肥設計とマメ科活用による収量・品質向上

牧草地の更新時は、土壌改良と施肥設計を見直す絶好のタイミングです。
永年牧草地では、更新時の基肥施用量を基準にしつつ、放牧利用か採草利用かで窒素リン酸・カリの配分を変えることが推奨されています。
アグリポートWebの解説では、「刈り取り後の追肥」と「草種構成に合わせた施肥」が、良質な採草地を長期間維持するためのポイントとして挙げられています。

 

参考)肥料の基礎知識⑧~牧草地の窒素管理 - アグリポートWeb

  • チモシー主体の草地では、1番草収穫後10日頃までの追肥が、翌年の1番草収量・品質を維持するうえで特に重要。
  • マメ科牧草の割合が高い草地では、窒素施肥量を抑えつつ、リン酸・カリを中心に施肥することで、マメ科の窒素固定を最大限活かせる。
  • 更新時には石灰や堆肥、スラリーの投入によってpHと有機物を調整し、更新後数年分の「貯金」として土壌環境を整える。

また、簡易更新機による草生回復の事例では、更新前の年間乾物収量462kg/10aの草地が、更新後に大きく収量を回復した報告もあり、適切な施肥と組み合わせることで、簡易更新でも十分な増収効果が得られることが示されています。

意外な視点として、窒素施肥のタイミングを「家畜の栄養要求ピーク」と合わせることで、同じ施肥量でも乳量や増体量への効果が高まり、結果として飼料自給率と経済性を同時に改善できるという指摘もあります。

牧草地の窒素管理の考え方と施肥時期の具体例が整理された技術解説です(施肥設計セクションの参考になります)。

 

肥料の基礎知識⑧~牧草地の窒素管理 - アグリポートWeb

牧草地 管理 更新 雑草防除と放牧管理の工夫

牧草地における雑草は、単に収量を落とすだけでなく、稲作など他の作物の病虫害の発生源となることもあり、耕種的防除を基本とした総合的な対策が重要です。
飼料作物の雑草防除の手引きでは、次のような耕種的防除法が推奨されています。

 

参考)https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/196785.pdf

  • 刈り取り時期・回数を適正化し、牧草の再生力を活かして雑草の伸長を抑える。
  • 放牧強度を適正にし、踏み荒らしや食い尽くしによる裸地化を防ぐことで、雑草の侵入余地を減らす。
  • 掃除刈りを利用し、再生力の差を利用して雑草だけを弱らせることで、牧草密度を高く維持する。
  • 初期生育の良い品種を導入し、播種量をやや多めにすることで、出芽直後の雑草を物理的に押さえ込む。

更新時には、除草剤による前植生の確実な枯殺が重要で、不十分な処理は更新後の雑草優占草地を招くリスクがあるとされています。

地下茎雑草が多い圃場では、更新前に数年かけて放牧強度や刈り取りタイミングを調整し、「雑草のスタミナを削ってから」更新に入ると、除草剤の効き方やその後の牧草の立ち上がりが安定しやすいという報告もあります。

山口県の飼料作物栽培の手引きでは、草地・飼料作物の雑草対策を「安全性・防除コスト・牧草密度維持」の観点から解説しており、耕種的防除と化学防除のバランスを考えるうえで有用です(雑草防除セクションの補足資料)。

 

飼料作物栽培の手引き|山口県

牧草地 管理 更新 現場観察とデータ活用による独自改善

ここでは、検索上位にはあまり出てこない、「現場観察と簡易データ活用」を軸にした牧草地 管理 更新の独自視点を紹介します。
多くの技術資料では、更新の判断に「牧草被度」「収量」「雑草割合」「土壌pH」などの指標が挙げられていますが、実際の牧場では忙しさもあって詳細な調査が続かないことがよくあります。

そこで、次のような“ミニ指標”を毎年同じタイミングで記録するだけでも、更新判断の精度が大きく上がります。

 

  • 1番草のロール数・乾草庫の埋まり方をブロックごとにメモする(前年との比較)。
  • 放牧後の「食べ残しパッチ」の位置を、ざっくりとスケッチや写真で残す。
  • 雨後にできる水溜まりやぬかるみの位置を、更新候補ブロックとしてマークする。
  • 裸地や草の薄いエリアにだけ、試験的に追播や追肥を行い、翌年の変化を確認する「実験区」をつくる。

また、岩手県や北海道、福島県などの資料では、草地更新の技術とともに、更新前後の乾物収量を比較した事例が示されており、簡易更新でも適切な前植生処理と追播を行えば、「更新前462kg/10a → 更新後は大幅増収」といった改善が見込めることが報告されています。

 

参考)農作物技術情報 第5号 畜産(令和5年7月27日発行)|いわ…

これらの知見を現場で活かすうえで有効なのが、「1ほ場1ページの草地カルテ」を作る方法です。

 

  • 左半分に圃場図と観察メモ(裸地・雑草・水溜まり・家畜の動き)を書き、右半分に収量・施肥量・放牧日数を記録する。
  • 更新や追播を行った年には、使用した機械・播種量・施肥内容・天候をメモし、更新後3年間の変化を同じページで追う。
  • カルテを並べて眺めることで、「この条件のときは簡易更新が長持ちする」「この雑草が出始めたら完全更新のサイン」といった牧場独自のパターンが見えてくる。

こうした小さな観察と記録の積み重ねが、行政や試験研究機関の一般的な指針と、自分の牧場の実態との差を埋める“ローカル技術”につながっていきます。

 

牧草地 管理 更新を単なる「一度きりの大仕事」と考えるのではなく、「毎年の観察と小さな改善の先にある節目」として位置づけることで、更新の失敗リスクを減らしつつ、牧草地の寿命と牧養力をじわじわと底上げしていくことができます。

草地更新の意義や完全更新・簡易更新の違い、更新時の注意点などをまとめた技術資料で、この記事全体のベースとなる考え方の参考になります。

 

草地更新について|北海道十勝総合振興局

 

 


豊かな牧草地へ: 絶望的なむなしさから尽きることのない豊かさへ