牧草地の更新を検討する際、最初に押さえたいのは「どれくらい劣化したら更新なのか」という目安です。
一般的に、草地は更新後3年目に収量がピークとなり、その後、年数の経過とともに収量や主要牧草の割合が低下し、不良草種や雑草の増加、裸地の拡大が目立ち始めます。
更新の判断指標として現場でよく使われるのが、次のような項目です。
参考)https://www.tokachi.pref.hokkaido.lg.jp/fs/2/1/9/0/3/9/5/_/tikusan03.pdf
北海道や東北などの事例では、「更新による増収が必要な草地」の割合が年々増えているという調査結果もあり、3〜7年程度のサイクルで計画的に草地更新を行うことが推奨されています。
参考)https://souchi.lin.gr.jp/skill/pdf/20110323souchi.pdf
意外なポイントとして、更新前に土壌硬度やpHを測っておくと、更新後の改善効果を定量的に比較でき、次の更新計画や施肥設計の精度が高まることが報告されています。
草地更新は大きく「完全更新(耕起更新)」と「簡易更新」に分けられ、それぞれ作業内容とリスクが異なります。
完全更新(耕起更新)の特徴
簡易更新の特徴
参考)https://www.kankyou-marc.jp/fukyuu/pdf/780107.pdf
どちらを選ぶかは、次のような視点で判断すると整理しやすくなります。
参考)https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/448943.pdf
北海道などの研究では、「更新しなかったがために事故(収量急減・裸地化)が起きた」例も報告されており、更新を先送りしすぎるリスクも指摘されています。
参考)https://www.aeca.or.jp/01course/pdf/20240209ken02.pdf
そのため、牧草地 管理 更新では、年ごとの観察データをもとに「簡易更新であと何年持たせるか」「どのブロックをいつ完全更新するか」という中期計画を立てることが重要です。
牧草地の更新時は、土壌改良と施肥設計を見直す絶好のタイミングです。
永年牧草地では、更新時の基肥施用量を基準にしつつ、放牧利用か採草利用かで窒素・リン酸・カリの配分を変えることが推奨されています。
アグリポートWebの解説では、「刈り取り後の追肥」と「草種構成に合わせた施肥」が、良質な採草地を長期間維持するためのポイントとして挙げられています。
参考)肥料の基礎知識⑧~牧草地の窒素管理 - アグリポートWeb
また、簡易更新機による草生回復の事例では、更新前の年間乾物収量462kg/10aの草地が、更新後に大きく収量を回復した報告もあり、適切な施肥と組み合わせることで、簡易更新でも十分な増収効果が得られることが示されています。
意外な視点として、窒素施肥のタイミングを「家畜の栄養要求ピーク」と合わせることで、同じ施肥量でも乳量や増体量への効果が高まり、結果として飼料自給率と経済性を同時に改善できるという指摘もあります。
牧草地の窒素管理の考え方と施肥時期の具体例が整理された技術解説です(施肥設計セクションの参考になります)。
牧草地における雑草は、単に収量を落とすだけでなく、稲作など他の作物の病虫害の発生源となることもあり、耕種的防除を基本とした総合的な対策が重要です。
飼料作物の雑草防除の手引きでは、次のような耕種的防除法が推奨されています。
参考)https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/196785.pdf
更新時には、除草剤による前植生の確実な枯殺が重要で、不十分な処理は更新後の雑草優占草地を招くリスクがあるとされています。
地下茎雑草が多い圃場では、更新前に数年かけて放牧強度や刈り取りタイミングを調整し、「雑草のスタミナを削ってから」更新に入ると、除草剤の効き方やその後の牧草の立ち上がりが安定しやすいという報告もあります。
山口県の飼料作物栽培の手引きでは、草地・飼料作物の雑草対策を「安全性・防除コスト・牧草密度維持」の観点から解説しており、耕種的防除と化学防除のバランスを考えるうえで有用です(雑草防除セクションの補足資料)。
ここでは、検索上位にはあまり出てこない、「現場観察と簡易データ活用」を軸にした牧草地 管理 更新の独自視点を紹介します。
多くの技術資料では、更新の判断に「牧草被度」「収量」「雑草割合」「土壌pH」などの指標が挙げられていますが、実際の牧場では忙しさもあって詳細な調査が続かないことがよくあります。
そこで、次のような“ミニ指標”を毎年同じタイミングで記録するだけでも、更新判断の精度が大きく上がります。
また、岩手県や北海道、福島県などの資料では、草地更新の技術とともに、更新前後の乾物収量を比較した事例が示されており、簡易更新でも適切な前植生処理と追播を行えば、「更新前462kg/10a → 更新後は大幅増収」といった改善が見込めることが報告されています。
参考)農作物技術情報 第5号 畜産(令和5年7月27日発行)|いわ…
これらの知見を現場で活かすうえで有効なのが、「1ほ場1ページの草地カルテ」を作る方法です。
こうした小さな観察と記録の積み重ねが、行政や試験研究機関の一般的な指針と、自分の牧場の実態との差を埋める“ローカル技術”につながっていきます。
牧草地 管理 更新を単なる「一度きりの大仕事」と考えるのではなく、「毎年の観察と小さな改善の先にある節目」として位置づけることで、更新の失敗リスクを減らしつつ、牧草地の寿命と牧養力をじわじわと底上げしていくことができます。
草地更新の意義や完全更新・簡易更新の違い、更新時の注意点などをまとめた技術資料で、この記事全体のベースとなる考え方の参考になります。