アセフェート乳剤の使い方と注意点を農家が徹底解説

アセフェート乳剤の正しい使い方・希釈倍数・使用時期・作物別の注意点を農業従事者向けに解説。あなたが知らないと損する登録変更情報とは?

アセフェート乳剤の使い方と基礎知識

アセフェート乳剤の残留基準が改正され、以前の使い方では基準違反になる作物があります。


参考)有機リン剤アセフェートの残留基準が改正、使えなくなる作物も …


アセフェート乳剤 3つのポイント
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浸透移行性で葉の裏側の害虫も駆除

散布した薬剤が植物組織の内部を移行するため、葉の表裏・新芽まで行き渡り、隠れた害虫にも効果を発揮します。

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作物ごとに使用回数・時期が厳格に決まっている

アセフェートを含む農薬の「総使用回数」が規制されており、複数の商品を使うと合算で超過するリスクがあります。

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残留基準が大幅に見直された

短期暴露評価の導入でトマト・ナス・ブロッコリーなど主要野菜の残留基準が軒並み厳しくなり、以前の使用方法では基準違反になるケースがあります。

アセフェート乳剤とはどんな農薬か・作用機序の基本


アセフェート乳剤は、有機リン系浸透移行性殺虫剤です。 有効成分のアセフェートが植物の葉・茎から吸収され、維管束を通じて植物体全体へ移行します。 これにより、葉の表面に触れていない害虫にも薬剤が届くという仕組みです。arystalifescience+1
作用機序は「アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害」です。 害虫の神経系でアセチルコリンが分解されなくなり、神経筋の機能不全を引き起こして害虫を死に至らしめます。


つまり、接触毒と食毒の両方を持ちます。



参考)https://www.pomais.com/ja/product/acephate-insecticide/


代表的な商品名は「オルトラン」で、農業現場では広く知られています。 アブラムシコナジラミアザミウマヨトウムシハモグリバエなど幅広い害虫に効果を持ち、野菜・果樹・茶・花き類など多品目に登録されてきました。 意外かもしれませんが、乳剤・水和剤・粒剤など複数の剤型が存在し、作物や使用場面によって使い分けが必要です。pomais+1

アセフェート乳剤の希釈倍数と正しい散布方法

希釈倍数は作物と害虫の種類によって異なります。 例えば、ばらのアブラムシ・チュウレンジハバチに対しては250〜500倍が基本で、使用液量は100〜300mL/㎡です。 倍数を誤ると薬害の原因になるため、ラベルの確認が必須です。


参考)https://www.sc-engei.co.jp/assets_shelf/7/16f97253.pdf


散布は「発生初期」に行うのが原則です。 害虫の数が少ない段階で使うほど少量で効果が出るため、圃場を週1〜2回巡回してアブラムシや葉の変色を確認する習慣が重要です。


これは使えそうですね。



参考)農薬ガイドNO.93_g


散布時の注意点をまとめると以下のとおりです。


  • 📌 風の弱い早朝か夕方に散布する(高温期の昼間散布は薬害リスクあり)
  • 📌 保護具(ゴム手袋・マスク・ゴーグル)を必ず着用する
  • 📌 散布後は石鹸で手・顔をよく洗う
  • 📌 ミツバチの活動時間帯(日中)の散布は避ける
  • 📌 隣接するニンジン畑には飛散しないよう注意する(ニンジンは適用外のため一律基準0.01ppmが適用される)

アセフェート乳剤の作物別・使用時期と使用回数の制限

使用回数の制限は商品単体ではなく、「アセフェートを含む農薬の総使用回数」で管理されます。


これが重要なポイントです。



参考)https://www.ja-tomisato.or.jp/wp-content/uploads/2019/04/ea1089da1c1033801deebfec4ae1bf5b-1.pdf


たとえばトマトでは、アセフェートを含む農薬の総使用回数は1回のみで、使用量は1g/株(定植時の植穴処理)に限定されています。 これは東京ドームのグラウンド面積(約13,000㎡)規模の畑であっても1シーズンで1回しか使えないことを意味します。


なすも同様に2g/株・定植時1回のみです。



参考)https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000197280.pdf


かぶについては、使用時期が「収穫14日前まで」から「収穫21日前まで」に変更されています。 以前のつもりで使うと残留基準違反になります。


厳しいところですね。



参考)https://www.s-boujo.jp/kihon/file/bakuro/%EF%BC%99%E6%9C%88%EF%BC%91%EF%BC%98%E6%97%A5%EF%BC%88%E3%82%A2%E3%82%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%89.pdf


作物ごとの主な使用制限を確認できる参考情報として、農林水産省の農薬登録情報と各都道府県の普及センターが発行する変更チラシの確認が有効です。特に平成26年11月17日の大規模な登録変更以降、多くの作物で使用回数・時期が見直されています。


参考)https://www.ja-maku.com/manager/wp-content/uploads/2023/03/tanki20171017-1.pdf


農林水産省の農薬情報ページでは、最新の登録内容・変更履歴を作物別に検索できます。


農林水産省 農薬コーナー(農薬登録情報検索システム)

アセフェート乳剤を使ってはいけないケースと登録削除作物

適用のない作物への使用は農薬取締法違反です。 出荷後に残留農薬が検出されれば、流通を止めて全量回収・損害賠償の対象になる場合もあります。 生産地全体のイメージ損失につながるため、1件の違反が産地全体を巻き込む事態になりかねません。


参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/gap/attach/pdf/risk_survey-17.pdf


令和7年(2025年)6月25日からは、アセフェート粒剤の適用作物から「ピーマン」が削除されました。 同日以降はピーマンへの使用ができなくなっています。実は乳剤も含めた各剤型ごとに登録作物が異なるため、「粒剤はOKだったから乳剤も大丈夫」という判断は危険です。


参考)【農薬登録情報】アセフェート粒剤の使用制限について - 農な…


除外された作物の一例として確認しておきたいのが「ニンジン」です。 以前からニンジンへの適用登録がないため、一律基準の0.01ppmが適用されます。隣接圃場からの農薬漂流(ドリフト)でも基準超過につながるリスクがあります。


これは知らないと損です。



農薬の適用外使用に関するリスクと農薬取締法の解説は、農林水産省のGAP推進資料が参考になります。


農林水産省「農薬の安全使用について」(残留基準超過時の影響・回収・損害賠償リスクの解説)

アセフェート乳剤の残留基準改正と現場でありがちなミス

残留基準の改正で最も影響が大きかったのは茶です。 改正前は10ppmだった残留基準が0.2ppmへと、実に50分の1にまで引き下げられました。 以前と同じ使い方をしていると、基準違反になる可能性がある点を必ず確認してください。


トマト・ナス・ブロッコリーも同様です。 トマトは5.0ppmから0.03ppm、ナスは5.0ppmから0.05ppmと数値が大幅に変わっています。農林水産省の残留状況調査(2008〜2011年)では、トマト26件中6件でアセフェートが検出されており、これは改正前の使い方が改正後の基準でアウトになることを示しています。


現場でありがちなミスとして以下が挙げられます。


  • ❌ 昨年の農薬ラベルや古いマニュアルをそのまま使い続ける
  • ❌ 異なる商品名のアセフェート剤を合算せず、個別に回数をカウントしている
  • 収穫前日数を「前回と同じ」と思い込んで確認しない
  • ❌ 乳剤と粒剤を別物として管理し、総使用回数を超過する
  • ❌ 適用外の近接作物(ニンジンなど)への飛散を軽視する

残留基準超過の具体的な数値については、厚生労働省が公表している基準値一覧を都度確認することが最も確実な対策になります。


厚生労働省「アセフェートの残留基準値一覧(作物別)」(最新の作物別残留基準数値の確認に有効)






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