夕方の水やりで徒長や病気を招く
セルトレイ育苗で根鉢形成を成功させるには、トレイを地面から浮かせて管理する必要があります。地面に直接置いたまま育苗すると、セルトレイの底から根が外部に伸びてしまい、根鉢がうまく形成されません。
これは移植作業の効率低下につながります。
トレイ底面が空気に触れることで、根はセルトレイ内部で巻くように成長します。
つまり根鉢が形成されるということですね。
浮かせる高さは地面から最低25cm以上が推奨されています。これはちょうど一般的なビール瓶1本分程度の高さです。浮かせる方法としては、苗置き台が専用品として販売されていますが、プラスチック製コンテナや鉄パイプとコンクリートブロックの組み合わせなど、手持ちの資材を活用できます。
根がトレイ外に出てしまった苗は、移植時に根を切ることになり、活着が遅れる原因となります。さらに根鉢が崩れやすくなり、移植機での作業精度も低下してしまいます。定植後の生育ムラや欠株率の上昇といった問題も発生しやすくなるため、浮かし育苗は必須の管理方法です。
育苗ベンチや育苗台を使うことで、トレイ底面の通風性が確保され、排水性も向上します。これにより根の生育環境が整い、健全な苗づくりが可能になります。浮かし育苗と地面置き育苗では、根鉢の充実度に明確な差が生まれるということです。
井関農機の公式サイトでは、根鉢形成の良い苗を作るための詳細な管理方法が紹介されています。浮かし育苗の具体的な手順や育苗箱の選び方について参考になる情報が掲載されていますので、確認してみてください。
セルトレイ育苗では水管理が成否を分ける最重要ポイントです。水やりのタイミングと量を誤ると、徒長や病気発生、根腐れなどのトラブルが連鎖的に起こります。基本原則は午前中に灌水を完了させ、夕方には培土表面が少し乾いている状態を作ることです。
夕方に水をやってしまうと、夜間に培土が過湿状態になります。この状態が続くと苗が徒長し、茎が細く弱々しい苗になってしまうのです。徒長苗は病害虫への抵抗力が低く、定植後の活着も悪くなります。
夕方の灌水は避けることが基本です。
発芽から子葉展開までの期間は特に乾燥に弱い時期です。この時期に水切れを起こすと、発芽率の低下や生育不良を招きます。一方で発芽後は、朝1回たっぷり水やりすれば十分です。過剰な水やりは根の呼吸を妨げ、根張りを悪くします。
灌水は全体に均一に行うことも重要です。灌水ムラがあると生育にばらつきが生じ、定植適期の苗と未熟な苗が混在してしまいます。播種後から本葉展開時までの水管理のばらつきは、育苗後半まで影響を及ぼすため、初期段階での丁寧な管理が求められます。
底面給水という方法も効果的な選択肢です。トレイを水を張った容器に約1分間浸して底から吸い上げる方法で、均一な給水が可能になります。培土が乾いている場合でも根鉢全体を湿らせることができ、灌水ムラを防げます。ただし底面給水直後は根鉢が過湿になるため、余分な水を切ってから育苗場所に戻すことが必要です。
曇天や雨天時は灌水を控えめにしますが、控え過ぎも問題です。数日間水をやらないと根鉢が乾き過ぎて根の生育が悪くなり、根鉢形成が遅れます。天候に合わせた柔軟な水管理が求められるということですね。
セルトレイ育苗では温度管理が苗の品質を左右します。作物ごとに生育適温が異なるため、それぞれに適した温度帯を維持することが重要です。低温期は保温、高温期は換気によって適温を確保する必要があります。
夏場の高温期は特に注意が必要な時期です。30℃を超えると発芽率が低下し始め、35℃になると著しく発芽が悪くなります。播種から36時間は25℃以下を保つことが良好な発芽揃いのポイントです。遮光資材を活用したり、風通しの良い場所で育苗したりする工夫が効果的です。
徒長を防ぐには温度管理と水管理を連動させることが基本です。日照不足、水やり過多、風通しの悪さ、培土の肥料分過多という4つの要因が徒長の主な原因となります。雨天時や曇天時、夕方の灌水を控えることで徒長リスクを減らせます。
換気による温度調整も重要な管理作業です。積極的な換気を心がけることで、苗が風に当たり茎が締まった健全な苗に育ちます。ハウス内で育苗する場合は、天窓や側窓を開けて通風を確保してください。育苗期間の後半は屋外で管理し、風や夜露に当てて苗を締めるという方法も有効です。
培土選びも徒長防止の重要な要素です。肥料成分が多い培土では徒長しやすくなるため、セルトレイ育苗専用培土を使用し、適宜追肥で肥料を調整する方が管理しやすくなります。窒素肥料が過剰になると特に徒長が進みやすいため、追肥のタイミングと量には注意が必要です。
発芽直後の温度管理ミスは後々まで影響します。発芽揃い直後に夜間の温度を上げすぎないよう注意してください。この時期に高温で管理すると、徒長が一気に進んでしまいます。
セルトレイ育苗では専用培土の使用が成功への近道です。一般的な野菜用培土と比べてセル培土は粒子が細かく、セルという限られた容量でも根が張りやすい特性を持っています。播種時に培土をしっかり詰めることも重要で、セルトレイを5cm程度の高さから2~3回落として培土を締めます。
培土が緩んでいると根張りが悪くなります。きちんと締めた後、凹んだ部分に培土を足すことで、それぞれのセルに均一に培土を詰められます。セルトレイと育苗箱の間に培土が多量に入った場合は、根がセルトレイ外部に伸びて根鉢形成が不十分になるため、取り除く必要があります。
追肥のタイミングは子葉の色で判断します。播種後10~14日目頃で培土中の肥料が切れ始め、子葉の色が淡くなってきたら追肥開始のサインです。この時期を逃すと苗の生育が停滞し、活着不良や病気発生の原因となります。追肥のタイミングが遅れると損失が大きいということですね。
液肥での追肥が最も管理しやすい方法です。低濃度の液肥を2週間に1回程度、土の表面が乾いた時に与えます。肥料が直接苗にかからないよう注意してください。窒素成分として株当たり5mg程度を5日間隔で与える方法も効果的です。固形肥料を使う場合は、各セルに1粒ずつ置いていく方法がありますが、手間がかかります。
徒長している場合や高温期の育苗では追肥を控えめにします。肥料が多すぎると徒長が進行し、軟弱な苗になってしまうためです。苗の状態を観察しながら追肥量を調整することが、健全な苗づくりには不可欠です。
育苗培土の肥効日数も確認しておくべき情報です。多くのセル培土は播種後約2週間で肥料が切れてくるため、その前に追肥を計画する必要があります。子葉から黄化が始まると肥料切れのサインですが、その前に対応することで生育の停滞を防げます。
セルトレイでの播種作業では、種まきの深さを均一にすることが発芽揃いの鍵です。播種深さにばらつきがあると、発芽時期にムラが生じ、その後の生育も不揃いになってしまいます。基本的には種子の直径の3倍の深さが目安ですが、好光性種子の場合は浅めに播種します。
播種後の灌水も発芽率を左右する重要な作業です。培土が水をはじいて水が染み込んでいない状態では、種子が十分に吸水できず発芽不良の原因となります。特にピートモス主体の培土は乾燥していると水をはじきやすいため、播種前に培土を予め湿らせておくことが効果的です。
温度が高すぎたり低すぎたりする場合も発芽に悪影響を及ぼします。発芽適温から外れると発芽率が低下し、発芽揃いも悪くなります。キャベツやレタスなどの葉菜類は15~20℃が発芽適温で、25℃以上になると極端に発芽率が悪くなる作物もあります。播種直後の温度管理には細心の注意が必要です。
発芽から子葉展開までの期間は最も乾燥に弱い時期です。この時期に乾燥すると苗が枯死してしまうため、培土表面が乾かないよう注意します。直射日光を避け、涼しい場所で発芽させることが基本ですが、過剰な水やりは避けてください。
鎮圧作業も発芽揃いに影響する要素です。播種後に軽く鎮圧することで、種子と培土の密着度が高まり、吸水がスムーズになります。鎮圧ローラや鎮圧板を使って、播種深さ10~12mmで生育に適した播種穴を作ることができます。セル中央に同じ深さで播種することが健苗づくりのポイントです。
コーティング種子を使用する場合は、溶解途中に乾燥すると凝固して発芽不良の原因となります。播種作業は屋内や日陰で行い、培土表面が乾かないよう管理してください。播種直後から発芽までの管理が、その後の育苗全体の成否を決めるということです。
育苗箱の選択は根鉢形成に直接影響する重要な判断です。穴の少ない稚苗箱を使用すると、セルトレイの底に空気が通らず、水が溜まった部分に根が伸びてしまいます。
これでは健全な根鉢が形成されません。
穴の多い水稲兼用箱やアンダートレイを使用することで、通気性と排水性が確保され、根鉢形成が促進されます。
育苗箱とセルトレイの間に培土が入り込むことも避けるべき事態です。この隙間に培土が多量に入ると、根がセルトレイ外部に伸びて十分な根鉢が形成されません。播種時に隙間の培土を取り除く作業を忘れないようにしてください。
根鉢の乾き過ぎにも注意が必要です。徒長を抑えるために灌水を控えることは重要ですが、控え過ぎると根の生育が悪くなり根鉢形成が遅れます。曇天が続く場合でも、適度に灌水して根鉢の状態を維持することが大切です。乾き過ぎた根鉢は移植時にセルトレイとくっついてしまい、うまく抜けずに崩れてしまいます。
移植の2~3日前から根鉢の状態をチェックする習慣をつけてください。乾いている場合は水を多めにかけて根鉢を湿らせます。この作業を「ドブ付け」と呼び、根鉢を水に浸して十分に吸水させる方法です。ドブ付け後は多めに水を含んだ状態になるため、しばらく水を切ってから移植してください。
独自の工夫として、セルトレイの配置を千鳥状にする方法があります。通常の並べ方ではトレイ同士が密着しますが、千鳥配置にすることで隣接するセルとの距離が広がり、通風性が向上します。この方法により徒長が抑えられ、がっしりした苗に育ちます。特許出願されている資材も販売されており、セルトレイ千鳥プレートを使えば簡単に千鳥配置が実現できます。
底面給水マットを活用した育苗も、労力削減と品質向上の両立につながる工夫です。セルトレイ底が底面給水床に密着するようにまっすぐ並べることで、毛細管現象により乾いたポットには水がたっぷり揚がり、湿気が十分なポットには適度に給水されます。灌水量を従来の4分の1程度に削減でき、灌水回数も少なくできるため、作業効率が大幅に改善されます。
根深ネギや玉ねぎなどの作物では、セル育苗特有の作業として葉切りがあります。徒長した葉を切り揃えることで、苗姿を整え通風を改善します。葉切りのタイミングや方法については、各都道府県の農業技術情報を参考にしてください。
滋賀県の底面給水育苗マニュアルでは、秋冬野菜の底面給水技術について詳細な解説がされています。労力負担を軽減しながら安定した苗づくりを実現する技術として参考になります。

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