サビ病発生原因と予防対策から薬剤防除まで徹底解説

サビ病は糸状菌が原因の伝染性病害で、葉に橙色や褐色の斑点が現れます。発生条件や症状、農薬を使った防除法から重曹などの自然農薬まで、農業従事者が知っておくべき対策方法を網羅的に解説しますが、あなたの作物は大丈夫ですか?

サビ病発生原因と防除対策

この記事でわかること
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サビ病の症状と原因

葉に現れる橙色の斑点の見分け方と糸状菌による発生メカニズム

🌡️
発生条件と時期

春秋の9℃~18℃で多発する理由と湿度との関係

💊
効果的な防除方法

薬剤防除から重曹・焼酎を使った自然農薬まで幅広い対策

サビ病の症状と葉に現れる特徴的な病斑

 

サビ病は葉の表面にオレンジ色や橙黄色のやや盛り上がった小さな斑点(夏胞子堆)ができる病気で、指で触ると橙色の粉が付着します。病斑の中央は橙色で、周囲は黄白色を呈し、やがて斑点の中央が縦に破れて中の粉状の胞子が飛散します。症状が進行すると、この橙色の病斑に接して褐色の長楕円形から紡錘形の病斑が形成され、さらに黒褐色にふくれて縦に破れます。

 

参考)さび病(さびびょう)

晩秋になると橙黄色病斑の周囲に黒褐色の斑点(冬胞子層)を生じ、多数の病斑を生じた葉では黒っぽい小斑点(冬胞子堆)を形成することもあります。病斑が多数生じた葉は黄白色になり、やがて枯死していきます。

 

参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/ane/disease/sabi/

  • 初期症状:葉表面に橙色のやや隆起した小斑点が出現
  • 中期症状:表皮が破れて橙色の粉末(胞子)が飛散
  • 後期症状:黒褐色の冬胞子層が形成され葉全体が黄白色に変色
  • 最終段階:葉が枯死し作物全体の生育に悪影響

サビ病の病斑は鉄のサビのように見えることからこの名前が付けられており、楕円状の形状が特徴的です。

 

参考)さび病|病気について|病害虫図鑑|アースガーデン ~園芸用品…

サビ病原因となる糸状菌の正体と伝染経路

サビ病の原因はPuccinia属の糸状菌(カビ)による伝染性の病気で、多くの種類が存在します。この病原菌には同種寄生菌と異種寄生菌があり、種類によって感染する作物が決まっているのが特徴です。

 

参考)さび病|症状の見分け方・発生原因と防除方法

伝染経路は主に空気伝染で、発病株の斑点が破れると粉状の胞子が周囲に飛散して伝染します。夏胞子によって伝染が繰り返され、風などで飛散した胞子が周囲の葉に付着することで感染が拡大します。意外なことに、気温が低下して環境が悪化すると、感染葉上で暗褐色の冬胞子の塊となって休眠し、翌年の春まで生存し続けます。

 

参考)さび病 - エンビュークロップサイエンス株式会社

病原菌は被害を受けた葉や茎、こぼれ落ちた麦などに付着して越夏・越冬するため、翌年の伝染源となります。特にニンニクさび病の場合、秋季発生の主要な伝染源はネギ上で越夏した夏胞子であることが研究で明らかになっています。

サビ病発生時期と気温・湿度の関係性

サビ病の原因である糸状菌は9℃から18℃の気温で発生し、24℃以上で繁殖が止まります。そのため、4月から5月および9月から10月の春と秋に発生が多くなるのが特徴です。特に低温で雨が多い季節にさび病の発生が増加します。

夏胞子の発芽に適した温度はやや低めの9℃から18℃で、24℃になると発芽率が低下するため、真夏を除いた4月から11月に多く発症します。秋10月から11月、また春の多雨の年に特に発生が多くなります。

 

参考)https://www.takii.co.jp/tsk/bugs/atu/disease/sirosabi/

発症の原因は天候だけでなく、以下の環境要因も関係します。

  • 過湿の土壌条件
  • 肥料の過剰施用
  • ハウス内の高湿度
  • 通風不良による湿気の停滞

夏の低気温や初発生時期が早いと発生量が増え、特に10月の平均気温が高い場合は11月から12月でも発生が見られます。くもりや雨が続く時期は特に注意が必要です。

サビ病対策に効果的な薬剤と散布タイミング

サビ病に対する薬剤防除では、予防効果と治療効果に優れた殺菌剤の使用が推奨されます。新規有効成分ピリベンカルブを含有する「ファンタジスタ顆粒水和剤」は、各種薬剤耐性菌にも効果を示し、予防効果に加えて病斑進展阻止効果を有します。

 

参考)/作物の種類:まめ類/に該当する農薬検索結果|農薬の検索|農…

発病後の薬剤防除は極めて困難なため、発病初期を的確に捉えて早期防除に徹することが重要です。予防散布のタイミングとしては、発生時期の前から定期的に散布を開始し、発生初期に確実に対応することが求められます。

浸透性に優れる薬剤を選ぶことで、散布後に降雨があっても効果にほとんど影響がありません。「アミスター20フロアブル」は各種野菜、畑作物、茶のさまざまな病害に高い効果を発揮し、雨に強く浸透移行性による優れた防除効果があります。

 

参考)https://www.monotaro.com/k/store/%E3%81%95%E3%81%B3%E7%97%85/

キク白さび病に対しては、以下の薬剤が高い防除効果を示すことが報告されています:​

  • オペラフラワー乳剤
  • ラリー乳剤
  • アンビルフロアブル
  • カナメフロアブル

対象作物に登録があるものを選んで、正しく予防散布することが防除成功の鍵となります。

タキイ種苗のサビ病解説ページ - 発生の仕組みや防ぎ方について詳細な情報

サビ病予防の重曹・焼酎を活用した自然農薬レシピ

化学農薬を使わない防除方法として、重曹や焼酎を活用した自然農薬が効果的です。アルカリ性の重曹は弱酸性の環境下で発生しやすいカビを死滅させる効果があり、うどんこ病、さび病、灰色かび病などに有効です。

 

参考)病害虫に悩まされない自然農薬の作り方 - ノウキナビブログ|…

重曹スプレーの作り方は、水500ccに対して重曹1gの割合(500倍)で溶かし、病気の株全体にスプレーします。野菜類のさび病対策では重曹濃度0.1%程度に薄めたものを150から500リットル/10aの割合で散布します。重曹は病原菌に含まれる胞子の形成や発生を抑える作用があり、病気の予防や初期の発症に効果があります。

 

参考)【被害が広がる前に対処しよう!】灰色かび病の症状と対策につい…

酢と焼酎を使った「ストチュウ」と呼ばれるレシピも、薬剤を使わない農業ではおなじみの病気予防法です。具体的な使用方法として、酢を水で10倍以上に薄め(1対10の割合)、霧吹きで葉や茎に軽く噴射することで、さび病の原因となる菌の繁殖を抑えます。

自然農薬使用のポイント。

  • 予防目的で定期的に散布する
  • 発病初期の段階で使用する
  • 天候を見て雨の前後を避けて散布
  • 葉の表裏にまんべんなくかける

サビ病防除のための耕種的管理と輪作体系

耕種的防除はサビ病対策の基本となる重要な手法です。輪作は同じ耕地に異なる科・属・種の作物を一定の組合せで順番に栽培することで、作付けごとに作物の種類が変わるため、前作の作物に寄生していた病原菌は栄養源がなくなり死に絶えます。

 

参考)https://hesodim.or.jp/north/160/

輪作サイクルは病原菌の種類によって耐久性が異なりますが、3年から5年程度が一般的です。ブロッコリーやカラシナなどのアブラナ科作物を輪作体系に組み込むと、植物体が破砕される際にイソチオシアネートなどの抗菌・静菌活性を有する二次代謝産物が生成され、土壌病原菌の増殖を抑制できます。

圃場管理のポイントとして、以下の対策が有効です。

水はけの悪い圃場は土壌が常に湿った状態になり、病原菌が繁殖しやすい環境となるため、高畝にして排水性を高めることや、圃場周囲に排水溝を設けることが重要です。窒素質肥料の過用を避け、特に生育後期に過用しないことも発病予防に効果的です。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/sig03-15.pdf

ニンニクのサビ病に効く農薬と防除方法の徹底解説 - 予防から治療まで実践的な情報

防除方法 実施時期 効果 コスト
輪作 年間を通じて 長期的な発生抑制
薬剤散布 発生初期 即効性あり 中~高
重曹スプレー 予防・初期 自然由来で安全
圃場改善 栽培前 発生環境の根本改善

サビ病に強い作物選びと土壌ケアの実践方法

サビ病の再発を防ぐためには土壌のケアが欠かせません。病気に強い品種の選択や適切な肥料の使用は基本的な土壌管理で、休耕地を設けたり作物の輪作を行うことで土壌中の病原体の数を減らすことが可能です。

何年も同じ場所の土を使用して育てたり、病源菌がついたタネをまいたりすると健康な株が育ちにくくなるため、元気な株を育てることが病気の発症を防ぐ上で大切です。土壌の状態を保ち、充分な栄養素を与えることで植物の免疫力を高めていきます。

栄養バランスを正しく保ち、適度な水はけと保水力を持たせることが大切で、これによって病原菌の繁殖を防ぎます。加里や石灰を多く施用し、肥料切れを避けることも重要な対策です。

 

参考)ニンニクを守るさび病対策徹底ガイド

定期的なモニタリングと即時の対応が推奨されており、適切な作物の輪作や有機肥料の利用を推進することで、植物本来の健康を支える自然農法を実践できます。感染が疑われる作物周辺での作業時には必ず消毒処理された農具を使用し、作業後も徹底して消毒を行うことが必須です。

さび病の部分を触った手で別の植物に触らないようにし、病斑を切り取る際に使用したハサミはよく洗ってアルコールで消毒することで二次感染を防ぎます。風通しのよい環境を保つために適度に植物の間引きを行い、湿気を避ける育成管理もポイントとなります。

 

参考)さび病対策|さび病に効果的な石灰と重曹の活用方法

 

 


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