ネダニ類の被害と防除対策

ネダニ類は農作物の根や球根を食害する微小な害虫で、放置すると収量減少につながります。発見が難しく防除しづらいネダニ類について、効果的な対策や発生しやすい条件を知っていますか?

ネダニ類の被害と防除

定植時の薬剤処理を省くと、その後の収穫まで防除チャンスがなくなります。


この記事の3ポイント要約
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ネダニ類の特徴と被害

体長1ミリ以下の微小害虫で、根や球根を食害し生育を阻害する

⚠️
発生しやすい土壌条件

pH5.0~6.0の酸性土壌、有機質が多い砂土や火山灰土で多発

🛡️
効果的な防除対策

定植前の薬剤処理、土壌pH調整、残渣除去が重要な予防策


ネダニ類とは何か


ネダニ類は農作物の地下部を加害する微小な害虫で、ダニやクモの仲間に分類されます。成虫の体色は乳白色でツヤがあり、体長は1ミリ以下と非常に小さいため肉眼での発見は困難です。主にネダニとロビンネダニの2種類が農業被害を引き起こしますが、その見た目は専門家でも区別が難しいほど似ています。


この害虫はネギ、タマネギ、ニラ、ラッキョウなどのネギ属作物のほか、ユリ、チューリップ、スイセンといった球根類にも寄生します。成虫と幼虫の両方が作物を食害し、特に土に埋まった根や茎盤部、球根部に集中して寄生する習性があります。


肉眼では見えないほど小さいですね。


発生は春から秋にかけて年間10回以上繰り返され、特に5月から7月の初夏と、9月から10月の初秋に増殖が活発になります。気温が20度から25度程度の時期に最も繁殖しやすく、施設栽培では1月から3月、露地栽培では4月から6月に被害が顕著になります。世代交代が早く増殖率が高いため、一度発生すると短期間で密度が上昇し、被害が拡大しやすい特徴があります。


ネダニ類は健全な植物だけでなく、腐敗した残渣や未熟堆肥も餌にするため、ほ場の衛生管理が不十分な環境では特に多発します。前作で被害が出たほ場や連作ほ場では、土壌中に残存した虫が次作の発生源となるため注意が必要です。また、苗や球根とともに新しいほ場に持ち込まれるケースも多く、定植前の確認が防除の第一歩となります。


ネダニ類による具体的な被害症状

ネダニ類の被害は地下部から始まるため、初期段階では地上部の症状だけでは判断しにくいという厄介な特徴があります。根が食害されると、まず下葉から黄化や萎凋が始まり、葉の巻きや湾曲といった変形が現れます。にらでは葉が湾曲して出荷調整に時間がかかり、ひどい場合は収穫できなくなることもあります。


根部や茎盤部が褐変して腐敗すると、株全体の生育が止まり、茎数が減少します。


つまり収量が大きく落ちるということですね。


被害が進行すると、株が坪枯れ状に枯死してしまい、ほ場内にまだら状の欠株が目立つようになります。特に幼苗期の被害が大きく、定植直後に食害を受けた苗は活着不良を起こし、その後の生育が著しく抑制されます。


球根類では、球根の根盤部付近にネダニ類が集まって食害し、球根全体が腐敗に至るケースがあります。鱗茎部に褐色の傷をつけたり、内部に潜り込んで食べ進むため、球根の肥大が抑制され、貯蔵中にも腐敗が進行することがあります。チューリップやユリの球根栽培では、この被害によって商品価値が完全に失われることも珍しくありません。


さらに厄介なのは、ネダニ類の加害部位が二次的な病害の侵入口になることです。高温期には軟腐病を併発しやすく、腐敗部にネダニ類がさらに集まって被害が拡大する悪循環が生じます。このため、単なる害虫被害にとどまらず、病害との複合的な問題として対処する必要があります。


被害の発見が遅れると、薬剤防除を行っても十分な効果が得られにくくなります。ネダニ類は土壌中の深い位置に潜んでいることが多く、薬液が虫体に届きにくいためです。したがって、地上部の症状を見逃さず、早期に土壌中の虫の存在を疑うことが重要な観察ポイントになります。


ネダニ類が発生しやすい土壌条件と環境

ネダニ類の増殖に好適な土壌pHは5.0から6.0とされており、酸性土壌で多発しやすい傾向があります。この範囲のpHでは虫の繁殖速度が上がり、密度が急激に高まります。一方、土壌をアルカリ性に矯正することで増殖を抑制できることが各地の試験で確認されており、石灰資材の施用が予防対策の基本となっています。


砂土、火山灰土、有機質に富んだ膨軟な土壌では特に発生が多くなります。これらの土壌は通気性が良く、ネダニ類が移動しやすい環境を提供するためです。また、未熟堆肥を大量に施用したほ場や、前作の残渣を十分に処理せずにすき込んだほ場では、餌となる有機物が豊富なため、ネダニ類の温床となりやすいです。


連作ほ場は最も警戒すべき環境です。同じ作物を繰り返し栽培すると、土壌中のネダニ類の密度が年々上昇し、被害が深刻化します。特にネギ類やにらの連作地では、栽培終了後に残存した虫が次作の発生源となり、定植直後から被害が始まることがあります。


発生源は主に2つあります。1つは種苗や球根による持ち込みで、購入した苗や球根にすでにネダニ類が寄生しているケースです。もう1つは前作の残存虫で、栽培終了後の残渣や土壌中に潜んでいた虫が次作に影響を与えます。このため、定植前の苗や球根の確認と、栽培終了後の残渣処理が極めて重要になります。


気象条件も発生に影響します。雨時期のように湿度が高い時期は、土壌中の微生物活動が活発になり、ネダニ類の餌となる有機物の分解も進むため、間接的に発生を助長します。ただし、極端な高温や乾燥条件では活動が鈍るため、季節や気候に応じた管理が求められます。


ネダニ類の効果的な薬剤防除方法

薬剤防除の最も重要なタイミングは定植前です。土壌中にすでに存在するネダニ類や、苗とともに持ち込まれる虫を定植時に処理することで、その後の被害を大幅に軽減できます。フォース粒剤やラグビーMC粒剤などの土壌処理剤を定植時に作条土壌混和することで、長期間の残効が期待でき、年内の収穫まで防除効果が持続する場合もあります。


定植前に処理するのが基本です。


にら栽培では、定植前の全面土壌混和が推奨されています。薬剤を土壌全体に均一に混ぜ込むことで、ネダニ類が生息しやすい地下部全体をカバーし、高い防除効果が得られます。この方法は処理がしやすく、作業性も良好です。また、定植後の土寄せ前に粒剤を処理する方法もあり、薬剤が茎盤周辺にしっかり分布するよう、生育期前半に施用するのがポイントです。


立毛中に被害が確認された場合は、グレーシア乳剤やアプロードフロアブル、ネコナカットフロアブルなどを株元に潅注します。薬液が虫体に触れるよう、適正な水量で根圏部までしっかり浸透させることが重要です。ただし、立毛中の防除は定植前処理に比べて効果が劣る傾向があり、多発してからの防除は困難です。


早期発見と早期処理が成否を分けます。


近年では収穫7日前まで使用できる残効の長い薬剤も登場しており、栽培期間を通じた継続的な防除が可能になっています。しかし、薬剤抵抗性の発達を防ぐため、系統の異なる薬剤をローテーション散布することが推奨されます。同じ薬剤を連用すると効果が低下するため、防除計画を立てる際には薬剤の系統に注意しましょう。


薬剤処理の際は、適用作物と使用基準を必ず確認してください。ねぎ、わけぎ、あさつきなど、作物ごとに登録内容が異なるため、間違った使用は農薬取締法違反となります。使用時期、使用回数、希釈倍数、処理量などを守り、安全で効果的な防除を心がけることが大切です。


タキイ種苗のネダニ類防除ガイドでは、登録薬剤の詳細や使用方法が確認できます。


ネダニ類の耕種的防除と予防対策

薬剤に頼らない耕種的防除は、環境負荷を減らし、持続可能な農業を実現するための重要な手段です。ネダニ類対策の基本は、発生源を断つことと、増殖しにくい環境を作ることにあります。


まず、栽培終了後の残渣処理が最も重要な予防策です。ネダニ類が寄生した株や残渣をほ場内に残すと、それが次作の発生源になります。被害株や残渣はほ場外に持ち出し、一箇所に積み上げてビニールで覆うか、適切に焼却処分します。ほ場にすき込む場合は、石灰窒素などを施用して分解を促進し、ネダニ類が利用できない状態にすることが必要です。


土壌pH調整も効果的な予防手段です。ネダニ類の増殖に適したpH5.0から6.0の酸性土壌を、pH7.0程度のアルカリ性に矯正することで、増殖を抑制できます。慣行的には苦土石灰を基肥に施用しますが、福井県の試験では、かき殻石灰を基肥に200キログラム/10アール、追肥時に100キログラム/10アール施用することで、栽培期間後半まで土壌pHを高く維持でき、高い防除効果が得られることが確認されています。


pH調整が予防の鍵ですね。


冬期耕うんは、にらやねぎの栽培で有効な防除法です。栽培終了後の冬期にほ場を深く耕すことで、土壌中のネダニ類や残渣を物理的に破壊し、寒気にさらすことで虫の密度を低減できます。栃木県の試験では、冬期耕うんによってネダニ類の密度が大幅に減少することが実証されています。


湛水処理も選択肢の一つです。栽培終了後に1カ月から2カ月間、ほ場に水を溜めておくことで、土壌中のネダニ類の密度を下げることができます。ただし、この方法は十分な水が確保できるほ場に限られ、排水対策も必要です。湛水処理後は速やかに排水し、次作の準備を進めます。


温水処理は化学農薬を使わない防除法として注目されています。にらの本ぽに50度の温水を60分間潅注処理することで、ネダニ類を効率的に防除できることが農林水産省の試験で確認されています。温水処理はネダニ類に対する防除効果が化学農薬よりも高い場合があり、有機栽培や減農薬栽培に適した方法です。


緑肥作物の導入も検討価値があります。土づくりと併せて土壌中の線虫や病害を抑制する機能を持つ緑肥は、耕種的防除法の一つとして活用できます。ただし、ネダニ類は食性が広く、緑肥作物自体を餌とする懸念もあるため、作物の選定と管理方法には注意が必要です。


ネダニ類の早期発見と独自の監視方法

ネダニ類は体長1ミリ以下と極めて小さく、肉眼での発見は困難です。しかし、被害が進行してから対処しては手遅れになるため、地上部の症状から地下部の被害を推測し、早期に対策を講じる技術が求められます。


地上部の観察ポイントは、下葉の黄化、葉の湾曲や巻き、株の萎凋、生育の遅れや停止です。特に幼苗期にこれらの症状が見られた場合は、ネダニ類の被害を疑うべきです。坪枯れ状に株が枯死している場合や、ほ場内に欠株が目立つ場合も、地下部でネダニ類が増殖している可能性が高いです。


土壌中のネダニ類を調査する方法として、オニオンパウダートラップが開発されています。この方法は、ネダニ類がタマネギの香りに誘引される性質を利用したもので、従来のツルグレン法(土壌を採取して虫を分離する方法)に比べて捕獲効率が71.2パーセントと高く、簡便に密度を把握できます。福井県農業試験場などで実用化されており、発生予測や防除判断に活用されています。


前作で被害が確認されたほ場では、定植前に土壌調査を行い、ネダニ類の密度を確認することが重要です。密度が高い場合は、定植前の土壌消毒や薬剤処理を必ず実施し、被害の発生を未然に防ぎます。また、購入した苗や球根を定植する際は、根部や球根部をよく観察し、白い微小な虫が付着していないか確認します。


ほ場の見回りは定期的に行いましょう。特に気温が20度から25度になる初夏と初秋は、ネダニ類の増殖が活発になる時期です。この時期に下葉の変色や株の生育不良を見つけたら、すぐに株元を掘り起こして根部を確認し、必要に応じて防除措置を取ります。


早期発見が被害拡大を防ぐ唯一の方法です。


発生予察情報や地域の防除暦も活用してください。各都道府県の農業試験場や普及センターが発表する情報をもとに、地域の発生状況を把握し、適切なタイミングで予防措置を講じることが、安定した生産につながります。ネダニ類は目に見えにくい害虫ですが、知識と観察力を武器にすれば、十分に管理可能な相手です。






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