草地 管理 牧草 を考える出発点は、今ある草地の「見える化」です。1番草の収量、牧草の被度、雑草や裸地の割合を毎年同じ時期に記録すると、数字で劣化が追えるようになります。
北海道などの調査では、牧草密度の低下と雑草増加が目標収量の大幅な低下につながっている事例が多く、雑草割合が30%を超えると「要更新」という指標を設けているマニュアルもあります。
一般的に、
と判断され、雑草防除や追播で立て直すか、全面更新するかを決めます。
参考)一般社団法人日本草地畜産種子協会
意外なポイントとして、1年だけの不作であっても、原因が排水不良や土壌酸性化にある場合は、収量が戻らず慢性的な低収に陥るため、早めに「基盤側」の問題として扱うことが勧められています。
参考)https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/attach/pdf/kousyueki-zirei-139.pdf
草地 管理 牧草 の施肥は、収量だけでなく「年数による草地劣化のスピード」も左右します。寒地型牧草では、オーチャードグラスやチモシーなどの採草地で、早春施肥と1番草刈取後10日以内の追肥が基本パターンとされ、これを守ることで安定収量を確保しやすくなります。
一方で、マメ科牧草が多い草地では、窒素肥料を抑えめにしてリン酸・カリを中心に施肥することで、根粒菌による窒素固定を活かしつつ、マメ科の占有率を維持する手法が紹介されています。
また、全国の試験データを解析した研究では、気温や施肥量、草地更新からの経過年数を組み合わせて寒地型牧草の夏枯れリスクを評価し、施肥量を増やすだけではなく、更新時期の見直しが重要だと指摘されています。
参考)https://www.naro.affrc.go.jp/org/niaes/ccaff/conference2020/abstract_all.pdf
過剰な窒素施肥は、初期には収量増につながるものの、病害の発生や倒伏、土壌酸性化を通じた雑草増加を招き、長期的には牧草の寿命を縮めるという報告もあり、土壌診断に基づいたバランス施肥が強調されています。
参考)https://souchi.lin.gr.jp/skill/pdf/kankyohairyo01.pdf
草地管理ガイドブック(日本軽種馬協会)では、土壌診断の結果をもとに、草種ごと・利用形態ごとの施肥量とタイミングのモデルが整理されており、放牧主体か採草主体かで年間施肥パターンを変えることが推奨されています。
参考)https://jbba.jp/data/booklet/guide/pdf/THOROUGHBRED_guide_all.pdf
草地管理ガイドブックの具体的な施肥・更新の考え方が詳しい参考。
草地 管理 牧草 の更新には、全面耕起して播種する完全更新と、表層だけを攪拌して播種する簡易更新の2つの方法があり、雑草の状況や地形、作業コストに応じて使い分けます。
全面更新は雑草を一掃しやすい反面、土壌侵食や作業コストが大きく、傾斜地ではリスクが高いため、近年は簡易更新や追播で植生を改善する事例が増えています。
雑草防除では、「除草剤処理同日播種」という面白い技術が報告されています。これは、耕起後に雑草が一斉に出芽して牧草の生育を妨げるのを防ぐため、除草剤処理と播種作業を同じ日に行い、牧草への薬害を避けながら雑草だけを抑える方法です。
参考)https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/grass/grass_200207_01.pdf
また、放牧地での更新では、更新前に家畜を強めに放牧して前植生を踏み倒し・食べさせたうえで播種し、その後の掃除刈りで雑草の出穂を繰り返し抑えることで、農薬に頼りすぎない植生改善を図る取り組みも紹介されています。
参考)https://www.nlbc.go.jp/content/published/api/v1.1/assets/CONTAD8D9C0D1FA344788BEFE68C3D2F449A/native?cb=_cache_b06damp;channelToken=a0e768c50357452fad1d4a16f672e0dcamp;download=true
北海道の調査では、更新時の雑草対策をきちんと行った草地ほど、その後の牧草密度が高く維持される傾向が確認されており、「更新=耕して種をまくだけ」ではなく、雑草防除計画とセットで考える重要性が強調されています。
参考)https://www.alic.go.jp/content/000107147.pdf
日本草地畜産種子協会の草地更新マニュアルで、完全更新・簡易更新の手順が詳しく解説されています。
草地 管理 牧草 の収量と持続性を両立させるには、施肥や更新だけでなく「どのように放牧するか」も欠かせません。放牧強度には草種ごとの適正値があり、これを下回ると利用率が低くなり、逆に上回ると牧草が衰退して裸地や雑草の増加を招きます。
日本草地畜産種子協会のQ&Aでは、放牧強度と草高、草地の利用年数の関係が整理されており、特にシバ型草地では、草高10cm以下の過度な踏圧・採食が続くと牧草が弱り、土壌流亡のリスクが高まることが示されています。
放牧様式としては、定置放牧よりもローテーション放牧を導入することで、
といったメリットが指摘されています。
参考)http://www.kouzubokujyo.or.jp/zaidan/pdf-kenkyu/hh/HPsoutikannri.pdf
さらに、簡易更新後の放牧では、播種した牧草が踏みつけで弱らないよう、初期は短期間・軽放牧で「踏圧による種子の埋め込み」を狙い、その後しばらく休牧するなど、成長ステージに応じた放牧管理が有効とされています。
河川敷を放牧地や採草地に利用する事例では、水質保全のため施肥や堆肥散布に制限がある一方で、草刈り作業の省力化や外部放牧地の確保につながるなど、地域ぐるみの草地活用の新しい形も見られます。
参考)https://www.maff.go.jp/j/chikusan/sinko/lin/l_siryo/attach/pdf/231031-10.pdf
河川敷の放牧・採草利用の具体事例がまとまっている資料。
草地 管理 牧草 は、家畜飼料の自給率向上だけでなく、環境保全や気候変動対策の面でも重要な役割を担っています。全国4か所の採草地で行われた調査では、草地が温室効果ガスの吸収源として機能し得ること、施肥や収穫方法によって土壌からの窒素ガス排出量が変わることなどが報告されています。
また、「環境に配慮した草地管理」では、化学肥料の削減と堆肥活用、シバ草地のような低投入持続型草地の導入によって、環境負荷を抑えつつ土壌保全を図る取り組みが注目されています。
気候変動の影響としては、夏季高温による寒地型牧草の収量減少(夏枯れ)が挙げられ、牧草の品種選定や更新時期の工夫、混播によるリスク分散が検討されています。
参考)https://www.snowseed.co.jp/wp/wp-content/uploads/grass/grass_201201_02.pdf
例えば、オーチャードグラスとともに暑さに比較的強い品種を混播したり、冬期放牧に適した冬作牧草を導入することで、年間を通じた牧養力の安定化を図る試験が進められています。
参考)https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/uploaded/attachment/61321.pdf
さらに、野生鳥獣との関係では、牧草地管理がシカなどの個体群動態にも影響し得ることが指摘され、牧草の採食状況と個体数管理をリンクさせた研究も行われています。
参考)https://www.naro.go.jp/org/nilgs/choju/wildlife/subject_j.html
このように、草地管理を「自分の牧場の中だけの話」とせず、周辺環境や地域の生態系との関わりの中で設計し直す視点は、今後ますます重要になっていくと考えられます。
農業分野における気候変動適応の研究概要がまとまっている資料。
農業分野における気候変動適応研究プロジェクト概要(農研機構)