ヤガ類農薬の選び方と防除タイミングの基本

ヤガ類(ヨトウガ・ハスモンヨトウ・ネキリムシなど)による農作物被害を最小化するには、正しい農薬の選定と散布タイミングが命です。同じ農薬を使い続けるだけでは抵抗性が発達して効かなくなる可能性も。あなたの畑は大丈夫でしょうか?

ヤガ類農薬の選び方と防除の基本知識

同じ農薬を毎年使い続けると、3年以内にヤガ類が薬剤抵抗性を獲得して防除効果がゼロになることがあります。


ヤガ類農薬の選び方と防除ポイント
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ヤガ類の種類と主な被害

ヨトウガ・ハスモンヨトウ・オオタバコガ・ネキリムシ(カブラヤガ)など多種が存在。葉・茎・果実を夜間に食害し、気づいたときには手遅れになるケースも。

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農薬の選び方と抵抗性対策

コテツフロアブル・プレオフロアブル・アクセルフロアブル・アニキ乳剤が高い殺虫効果。IRACコードが異なる薬剤をローテーション散布することが必須。

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散布タイミングが防除の鍵

若齢幼虫期(孵化直後)に散布すれば農薬の効果は最大化。老齢になるほど薬剤が効きにくくなるため、卵塊発見後の早期対応が最重要。

ヤガ類の種類と農作物への被害パターン


ヤガ類とは、チョウ目ヤガ科に属する蛾の総称で、農業現場では幼虫が深刻な被害をもたらします。代表的な種類はヨトウガハスモンヨトウオオタバコガ・タバコガ・カブラヤガ(ネキリムシ)など多岐にわたります。それぞれ被害のパターンが異なるため、種類を見極めることが農薬選定の第一歩です。


ヨトウガ・ハスモンヨトウは葉を食い荒らすのに対し、カブラヤガ(ネキリムシ)は苗の茎を地際でスパッと切断します。定植直後の苗が朝になって倒れていたら、ネキリムシを最初に疑うべきです。


これは非常に典型的な被害症状です。


一方、オオタバコガはトマトピーマン・ナスなどの果実内部に侵入して内部から食害するため、表面だけ見ても被害に気づきにくいという厄介さがあります。茨城県の調査によると、ナス栽培においてハスモンヨトウは9月にピーク、オオタバコガ・タバコガは8月上旬と9月上旬にそれぞれ発生ピークがあることが明らかになっています。


参考)https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/nosose/cont/img/r4_seika_04.pdf


  • 🌿 ヨトウガ・ハスモンヨトウ:葉の表皮を残して食害(「窓枯れ」症状)→ 後に葉全体が消える
  • ✂️ カブラヤガ(ネキリムシ):苗の地際部を切断 → 定植直後に多発
  • 🍅 オオタバコガ:果実内部に侵入して食害 → 外見では発見しにくい
  • 🌙 共通点:すべて夜間に活動し、昼間は土中や株元に潜伏する

夜行性という共通の習性があります。


だから日中の見回りだけでは発見が遅れます。



参考)ヤガ|被害の特徴・生態と防除方法


ヤガ類に効く農薬の種類と作用機構の違い

農薬選定で最初に確認すべきは「IRACコード(作用機構分類)」です。IRACコードとは、殺虫剤殺ダニ剤をその作用メカニズムに基づいて分類した国際基準の番号で、同じコード番号の農薬を連続使用すると抵抗性が発達するリスクが高まります。


参考)https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/santoku/documents/2022nasugijutsujoho.pdf


茨城県の試験では、ハスモンヨトウ・オオタバコガ・タバコガの幼虫に対して高い殺虫効果(補正死虫率90%以上)を示した薬剤として、以下の4剤が特定されています。


薬剤名 有効成分 IRACコード 殺虫効果(7日後)
コテツフロアブル クロルフェナピル 13 93〜100%
プレオフロアブル ピリダリル UN 100%
アクセルフロアブル メタフルミゾン 22B 96.7〜100%
アニキ乳剤 レピメクチン 6 100%

IRACコードがすべて異なる点がポイントです。これを順番に使いまわすローテーション散布こそ、抵抗性を防ぐ最大の武器になります。


ネキリムシ(カブラヤガ)には専用のベイト剤(毒エサ剤)も有効です。「ネキリベイト」「デナポン5%ベイト」などを株元にばらまくことで、土中に潜む幼虫を誘い出して駆除できます。通常の散布剤では土中に届かないケースがあるため、ベイト剤を併用するのが現場の定石です。ymmfarm+1
参考:茨城県農業総合センター「県北・県央地域で採集したヤガ類3種の薬剤感受性」では、なす圃場でのヤガ類の発生消長と有効薬剤が詳しく記載されています。


茨城県 ヤガ類3種の薬剤感受性検定結果(PDF)

ヤガ類農薬の散布タイミングと若齢幼虫期の重要性

農薬の効果を最大化するうえで、散布タイミングは薬剤の選択と同じくらい重要です。特にヤガ類は幼虫の齢数が上がるにつれて農薬への感受性が急激に低下します。孵化直後の1〜2齢幼虫と、老齢(5〜6齢)幼虫では農薬の有効性に10倍以上の差が生じることもあります。


参考)ヨトウムシ対策の決定版|農薬の選び方と防除のポイント - F…


若齢期が勝負です。卵塊を発見したら、すぐに散布するのが原則です。


畑では葉の裏側を定期的に確認し、卵塊を早期発見する習慣が大切です。ヨトウガの卵塊はハガキ半分ほどの大きさ(約5〜7cm)にびっしりと産み付けられ、1つの卵塊から100〜300頭が孵化するため、見落としは大きな損失に直結します。fmc-japan+1

  • 📍 散布のベストタイミング:卵塊発見直後〜孵化後3〜5日以内
  • 🌙 散布する時間帯:夕方〜早朝(ヤガ類の活動が活発になる前)
  • 📋 飛来ピーク前の予防散布:ハスモンヨトウは8月末〜9月、ヨトウガは春(4〜5月)と秋(9〜10月)に飛来ピーク
  • 💧 散布方法:葉の表裏が十分に濡れるよう、100〜209ℓ/10aを目安に散布

また、ヤガ類(ナシ吸汁型)のように成虫が飛来して直接果実を加害するケースでは、農薬による防除法がない種類も存在します。その場合は多目的防災網の設置や、忌避灯(黄色蛍光灯)の設置が現実的な対策になります。


参考)防蛾灯を利用したヤガ(夜蛾)対策、効果のほどは? | コラム…


薬剤抵抗性を防ぐローテーション散布の実践方法

薬剤抵抗性とは、害虫が農薬の成分に対して無効化する能力を遺伝的に獲得した状態です。一度抵抗性が発達すると、同じ系統の農薬は効かなくなります。


これは農家にとって深刻な問題です。



参考)ヤガ類


世界的に見ても、殺虫剤抵抗性の発達は年々加速しており、農薬を使い続けるほど選択圧がかかり、抵抗性個体が生き残って増殖するという悪循環が生まれます。農研機構の研究では、同一系統の殺虫剤の連用がヤガ類をはじめとする蛾類害虫に抵抗性を発達させることが確認されており、農薬の多様化が急務とされています。


参考)(研究成果) 超音波でヤガ類の飛来を防ぐ手法を確立


ローテーション散布の実践手順はシンプルです。


  1. 使用する農薬のIRACコードを確認する(ラベル・農薬登録情報システムで確認)
  2. 異なるIRACコードの薬剤を3〜4種類用意する
  3. 散布のたびにコードが重複しないよう順番に使用する
  4. 同一シーズン内で同じコードの薬剤を連続使用しない

IRACコードが異なれば、作用する標的タンパクが違うため交差抵抗性が起きません。


これが原則です。


コスト面でも大きな違いがあります。抵抗性が発達した圃場では防除のために散布回数が増え、最終的に薬剤費・労力費が数倍に膨らむことがあります。適切なローテーション散布で効果を維持することが、農業経営の安定にも直結します。


参考)https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/files/narc_teikosei2013_man_all.pdf


参考:農研機構「殺虫剤抵抗性にどう対処すべきか」では、ローテーション散布の理論と実践的な管理方法が詳しく解説されています。


農研機構 薬剤抵抗性農業害虫管理マニュアル(PDF)

超音波・防虫網など農薬に頼らないヤガ類防除の最新手法

農薬だけに依存したヤガ類対策には、抵抗性発達というリスクが常につきまといます。そこで近年注目を集めているのが、農薬散布を減らしながら防除効果を維持する「IPM(総合的病害虫管理)」の考え方です。


参考)https://www.jppa.or.jp/archive/pdf/72_12.pdf


農研機構は2022年、蛾類が嫌がる超音波をほ場周囲に照射することで、ヤガ類の産卵目的の飛来を未然に防ぐ新手法を発表しました。この方法を導入した試験では、殺虫剤の散布回数を大幅に削減できることが確認されています。はがき程度の範囲(数m²)から大型ほ場まで対応できる超音波発信装置(株式会社メムス・コア製)が商品化されており、化学農薬への依存を下げる現実的な選択肢となっています。


物理的な防除も実績があります。


要点をまとめます。


  • 🔊 超音波発信装置:ヤガ類の飛来・産卵を事前に抑制 → 農薬散布回数の削減が可能
  • 🌐 多目的防災網:物理的に侵入を遮断 → 特に果樹の吸汁型ヤガ類に効果的
  • 💡 忌避灯(黄色蛍光灯):夜間の飛来数を減らす補助的対策
  • 🥚 卵塊の手除去:ヨトウガの卵塊を葉ごと取り除く → 農薬不要で孵化前に駆除
  • 🌱 生物農薬(バイオトピア):ネキリムシ類に登録のある生物農薬で土壌中の幼虫を防除

これらを組み合わせることで、化学農薬の使用量を抑えながら防除効果を高く保つことができます。特に農薬使用の制限がある特別栽培や有機農業に取り組む農家にとって、代替手段の選択肢を持っておくことは経営上のリスクヘッジになります。


参考:農研機構「超音波でヤガ類の飛来を防ぐ手法を確立」プレスリリースでは、技術の詳細と試験結果が公開されています。


農研機構 超音波によるヤガ類防除技術(プレスリリース)




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