乾燥していても、褐斑病菌は葉の裏で生き続けています。
サルビア褐斑病は、葉に直径数ミリ〜1センチ程度の淡褐色または茶褐色の斑点が現れることから始まります。 病斑は次第に拡大し、中心部が乾いて灰白色に変わり、周囲が濃褐色〜暗褐色の縁取りを持つ円形〜不整形の模様になるのが特徴です。 進行が進むと、斑点の上に黒い粒状の小突起(柄子殻)が形成され、これが胞子の放出源となります。agri.mynavi+2
病状は主に下葉から上へと拡大する傾向があります。 発病した葉はやがて黄変・落葉し、株全体が弱っていきます。
参考)褐斑病(かっぱんびょう)|症状の見分け方・発生原因と防除方法…
似た病気として「斑点病」があります。サルビア斑点病は茎にも発病し、病斑の中心が白く周囲が黒褐色になる点で褐斑病と区別できます。 判断に迷う場合は、病斑の形状よりも「どの部位から発生しているか」を確認することがポイントです。
参考)サルビア斑点病
下葉から上に広がるのが基本です。
褐斑病の原因は糸状菌(カビの一種)です。 カビが原因というと「じめじめした場所だけの話」と思いがちですが、実際には病原菌が土壌や落ち葉の中で越冬し、春に気温が上昇するとともに胞子を形成して活動を再開します。fumakilla+1
発生しやすい気象条件は、気温20〜28℃、湿度が高い状態が続く時期です。 梅雨から夏にかけてが最も危険な時期といえます。
参考)黒斑病・褐斑病
また、病原菌は雨粒や潅水の跳ね返りによって伝染します。 地面に落ちた菌が、雨のたびに葉の裏に跳ね上がる——これがサルビア褐斑病の主な感染経路です。つまり「雨が降るたびに感染リスクが高まる」ということですね。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 病原菌の種類 | 糸状菌(カビ) |
| 発病適温 | 20〜28℃ |
| 発生しやすい時期 | 梅雨〜夏(6〜9月) |
| 主な伝染経路 | 雨水・潅水の跳ね返り、風による胞子飛散 |
| 越冬場所 | 土壌中・落ち葉・枯れ葉 |
前年に発病した圃場は、翌年も発生リスクが高いことが知られています。
これは注意が必要ですね。
参考)いまさら聞けない、褐斑病の原因と症状。薬剤を使った治療法も紹…
多くの農業従事者は「症状が出てから農薬を使えばいい」と考えています。しかし実際には、褐斑病は発病後の農薬散布だけでは効果が限定的で、予防的な散布が基本になります。
発病が確認された葉や茎はすぐに除去し、圃場外に持ち出して処分します。 発病部位をそのまま放置すると、そこから新たな胞子が形成されて二次感染が広がる原因になります。
これが感染拡大の最大のリスクです。
農薬散布のタイミングは、雨が降る前が最も効果的です。 雨の後に散布しても、すでに菌が葉に付着した後になるため、予防効果が大きく下がります。
実際に使用できる農薬としては、以下のような製品が利用されています。
参考)https://www.sc-engei.co.jp/update/pdfs/syo00138.pdf
農薬を使用する際は、異なる作用機序の薬剤を交互に使用することで耐性菌の発生を防止できます。
同じ薬剤を使い続けないことが原則です。
参考)褐斑(かっぱん)病とは?褐斑病が発生する原因と対策について …
農薬の登録内容は毎年更新されるため、農林水産省の農薬登録情報システムで最新の登録作物・使用回数・希釈倍数を必ず確認してから使用してください。
農薬に頼る前に、まず環境を整えることが重要です。褐斑病の予防には、日当たりと風通しの確保が最も効果的な基本対策です。
具体的には、密植を避け株間をしっかり確保すること。株間が狭いと葉同士が重なり、湿度が高い環境を自ら作ってしまうことになります。
栽培管理でできることは意外と多いです。
また、マルチング(敷わら・マルチフィルム)は非常に有効です。 土面を覆うことで、雨水が地面に当たる際の跳ね返りを防ぎ、菌の葉への付着を物理的に遮断できます。
前年に褐斑病が発生した圃場では、翌春の作付け前に土壌消毒を視野に入れた対策が必要です。 これだけで翌年のリスクが大きく変わります。
参考:耕種的防除の詳細手法については以下が参考になります。
マイナビ農業:褐斑病の原因と症状・予防から薬剤治療まで網羅的に解説
多くの農業従事者は、褐斑病の対策として「農薬散布」か「水管理」に注目します。しかし、実際に見落とされやすいのが「株元の老化した下葉」の存在です。
褐斑病の病原菌は古い葉で発病しやすい特性があります。 株の下部にある古い葉は光合成の効率が落ちているため、免疫機能に相当する抵抗力も低下しています。
そこが最初の感染拠点になるわけです。
つまり「見た目が元気そうな株でも、下葉が病原菌の温床になっている」という状況が起こりえます。
定植後から定期的に株元の古い下葉を取り除くことは、農薬散布と同等以上の効果を持つ場合があります。 取り除いた葉は圃場に放置せず、必ずビニール袋に入れて廃棄します。残渣を土に混ぜ込むと、菌を土中に戻すことになるため逆効果です。
もう一点、意外と知られていないのが「摘芯後の新芽」への感染リスクです。切り戻しや摘芯を行った直後、新しく伸びた新芽部分は組織が柔らかく褐斑病菌に侵入されやすい状態になります。 切り戻し後は風通しを確保しながら、必要に応じて予防的な殺菌剤散布を行うとよいでしょう。
この視点を持つだけで、初期感染を大幅に減らすことが可能です。
参考:サルビアの病害・斑点性病気の詳細情報はこちら。
農業害虫や病害の防除・農薬情報:サルビア斑点病の病徴・防除情報