冬越し剪定は強く切りすぎると春の収量が8割減ります。
パッションフルーツの冬越しを成功させるための最大のボーダーラインは「最低気温5℃」です。気温が10℃を下回ると生育は著しく緩慢になり、休眠状態に入ります。5℃を下回ると生育が完全に止まり、0℃以下になると株全体が凍結して枯死するリスクが急激に高まります。
生育適温は20~30℃とされており、パッションフルーツは熱帯・亜熱帯原産の植物です。軽度の霜には耐えられますが、最低気温をマイナス2℃以上必要とします。特に翌年の結果母枝となる秋梢は霜害を受けやすいため注意が必要です。木質化した幹や主枝にはかなり耐寒性がありますが、マイナス4℃以下になると亀裂が生じて枯死します。
品種によって耐寒性に違いがあります。紫色系の品種は低温に比較的強く、水やりを控えめにすれば0℃までは耐えることができます。一方、黄色種は低温に弱く、10℃以上を保つ必要があるようです。寒冷地で栽培する場合は、紫色系の品種を選ぶことで冬越しの成功率が高まります。
室内に取り込む目安として、外気温が連日10℃を下回るようになったら移動を開始しましょう。関東地方では10月下旬から11月上旬、東北地方では10月上旬が目安です。夜間の最低気温を確認し、霜が降りる前に室内へ移動させることが大切です。
温暖な地域では屋外での越冬も可能です。関東地方の温暖な地域では、北風が当たらず、南向きの日当たりの良い壁際などで越冬している例があります。その場合、やや長め(1.5m程度)に残して切り詰め、乾きすぎないようにして冬越しさせます。加温設備(温室等)がある場合は、最低気温を10℃以上に保ち、極端な乾燥を避けることで室内管理と同等の結果が得られます。
寒さに弱いパッションフルーツを安全に冬越しさせるための剪定は、10月から11月にかけて行います。この時期の剪定は、室内への移動を前提としたコンパクト化が主な目的です。冬越し剪定では、パッションフルーツ全体の高さを1.5メートル程度に整えます。
具体的な剪定の目安は、主幹の蔓を1m程度、その他の蔓は40~50cm程度で切り戻すと良いでしょう。鉢植えで室内に取り込めるサイズまで切り詰めることで、厳しい冬を乗り切れます。剪定の際は、葉から二つ下の節で切ることを基本とします。この位置で切ることで、春の新芽の成長に備えた適切な準備ができます。
剪定の強さが翌年の収量を左右します。株のボリュームがある程度以上あると年内に実を付けられることがわかっており、冬越しのコツはできるだけカットしない方がうまくいくという経験則もあります。強く切りすぎると、春の芽吹きから開花までの時間が延び、結果として初期の収量が大幅に減少します。データによると、強剪定を行った株は標準剪定の株と比べて、6月から7月の収量が8割程度減少する傾向があります。
不要な枝をカットすることで、ツルや葉の混み合いを防ぎ、株全体の日当たりと風通しを良くすることができます。これにより病害虫の発生リスクを抑え、健全な状態で冬を越すことが可能になります。また、剪定で切り落とした枝は挿し木に利用できます。適期は6月か8月から9月ですが、冬越し時の剪定枝を水挿しして室内で管理する方法もあります。
地植えの場合は、冬の間だけ鉢植えにして越冬させることも可能です。霜に当たったらまず枯死してしまうため、できれば掘りあげて、プランターか鉢に植えて越冬させた方が無難です。鉢上げする際は、出来るだけ土が崩れないように注意しますが、冬の間は成長が止まって水の吸い上げも少なくなるため、案外雑に扱っても大丈夫です。
パッションフルーツの冬越しにおいて、失敗の原因として最も多いのが「水のやりすぎ」による根腐れです。夏の間は、大きな葉から水分が蒸散するため、1日2回の水やりが必要でしたが、冬は全く逆のアプローチが求められます。
冬のパッションフルーツ栽培で最も多い失敗が、水のやりすぎによる根腐れです。気温が低い時期は土が乾きにくく、夏場と同じ感覚で水を与えると、根が窒息してしまいます。水やりのタイミングは、土の表面が完全に乾いてからさらに2~3日待つ程度で十分です。
具体的な頻度の目安は、春や秋は2~3日に1回、夏は毎日、冬は5~7日に1回程度です。冬の水やり頻度は夏の約5分の1以下になります。室内の暖房が効いた部屋で管理する場合は、やや頻度を上げて4~5日に1回程度とし、乾燥しすぎないよう注意します。
水やりの量にも注意が必要です。与える際は鉢底から少し水が流れ出る程度にとどめ、受け皿に溜まった水は必ず捨てます。受け皿に水が溜まったままだと、そこから根が吸水し続けて過湿状態になり、根腐れの原因となります。特に気温が低い時期は、根の活動が鈍っているため、少量の水でも十分です。
葉があることで、水を吸い上げ、冬越し中の根腐れを防止できるのでむしろ良いという考え方もあります。ただし、寒さで落葉するようでしたら、その分水やりを減らします。葉が全部落ちても株は生きているため、慌てて水やりを増やす必要はありません。春になって気温が上がれば、自然と新芽が出てきます。
夏場の水やりとの違いを理解することが重要です。夏の晴れた日は毎日、時には1日2回の水やりが必要で、水切れを起こすと葉がもろくなり茶色くなります。一方、冬は逆に水のやりすぎで根が腐るリスクの方がはるかに高いのです。この季節ごとの水やり管理の切り替えができるかどうかが、冬越し成功の鍵を握ります。
パッションフルーツを冬越しさせるには、暖房付温室を使う方法と、室内の暖かい場所に取り込む方法があります。温室の場合には、温室代と電気代がかかりますが、最低気温を10℃以上に保てる環境であれば、冬越しも可能です。
室内での理想的な環境は、「明るく、風通しが良く、温度が一定で、適度な湿度がある場所」です。リビングの中央付近など、人の出入りがあり空気が動く場所が、パッションフルーツにとって快適な環境となります。冬の管理で最も重要なのは、温度の維持と乾燥の防止です。
室内に取り込める場合は、日当たりの良い窓際が特等席になります。パッションフルーツは日当たりが良い場所を好むため、日中は窓際に置くようにしましょう。ただし、夜間の窓際は放射冷却により気温が下がりやすいため、夜間だけ部屋の中央に移動させるか、窓とカーテンの間に鉢を置かないようにします。
保管場所による冬越しの成功率には大きな差があります。屋内管理でリビングなど日当たり良好で最低気温10℃程度を保てる場所では、10℃程度の暖かい環境と日当たりを保つことができれば、落葉せずに青々とした状態を維持できます。一方、玄関内など日当たりが悪く最低気温が5℃程度の場所では、冬を枯死させずに生き延びさせることはできますが、葉が落ちて休眠状態になります。
暖房の効いた部屋で管理する場合の注意点もあります。夕刻から夜半までは暖房が入り20℃以上が保たれますが、極端な乾燥を避けることが必要です。暖房により室内の湿度が低下すると、葉が乾燥しすぎて傷むことがあります。霧吹きで葉水を与えるか、加湿器を使用して適度な湿度を保ちましょう。
簡易温室では冬越しはできません。ビニールが農業用でないため保温力はなく、温室内は外気と同じになります。日中に蒸発した水分は夜間に結露し、その水滴が凍結することで株にダメージを与えるため、かえって危険です。確実に冬越しさせるには、室内の暖かい場所に取り込むか、加温設備のあるハウスで管理する必要があります。
厳しい冬を乗り越えた後の管理が、その年の収穫量を左右します。3月下旬から4月頃、最低気温が安定して10度を超えるようになったら、徐々に外の光に慣らしていきます。この「慣らし期間」を設けることで、急激な環境変化による葉焼けや生育不良を防ぐことができます。
春の芽吹きは、気温の上昇とともに始まります。パッションフルーツは晩秋から春まで休眠しますが、その間に葉が落ちてしまった場合でも、葉が生えていたところのすぐ近くに芽が出てきます。春になって気温が上がれば、自然と新芽が出てくるため、焦って水やりを増やす必要はありません。
屋外への移動は、霜の心配がなくなってから行います。関東地方では4月中旬以降、東北地方では5月上旬以降が目安です。最初は半日陰の場所に置き、1週間ほどかけて徐々に日当たりの良い場所へ移動させます。いきなり強い日光に当てると、冬の間に弱った葉が葉焼けを起こす可能性があります。
肥料の再開時期も重要です。基本的には、秋口に与えた肥料の効果が切れる頃からは、追加の施肥を控えます。プロの現場でも、冬場は無肥料で管理し、春の芽吹きを確認してから追肥を再開します。冬越しさせた株には、翌年の生育前の3月に、元肥として粒状肥料を用土1リットル当たり4g程度を株元にばらまきます。
春の植え替えは、3月下旬から4月下旬に現在の鉢サイズより1回りか2回り大きな鉢に植え替えます。植え付け3~4週間後から追肥を行い、肥料の効果が2~3カ月持続する緩効性の肥料を25g/株与えて、株を大きく生長させます。
冬越し後は4月中に栽培を始め、5~6月には開花させ、7~9月に収穫するようなスケジュールで栽培します。気温が25度ぐらいになると一斉に咲き始めます。
6月から7月は毎日受粉作業を行います。
パッションフルーツは「時計草」とも呼ばれますが、開花時間は決まって午前9時30分ごろです。
住友化学園芸のパッションフルーツ栽培ナビでは、地植えと鉢植えそれぞれの詳しい育て方が掲載されています。肥料の種類や施肥のタイミングについて、より具体的な情報が得られます。
タキイ種苗のパッションフルーツ栽培ガイドには、受粉方法や果実の収穫適期の見極め方など、実践的な栽培テクニックが豊富に紹介されています。
初心者から経験者まで参考になる情報源です。