みどり認定と農林水産省の税制優遇や融資の計画と申請のメリット

農機具導入のコストを抑えたい方必見。みどり認定を活用すれば税制優遇や無利子融資が受けられます。この記事では複雑な申請手続きや認定計画のポイントを徹底解説します。あなたの経営にメリットはありますか?

みどり認定と農林水産省

みどり認定の重要ポイント
💰
税制優遇の特例

機械導入時に取得価額の32%を特別償却可能

🏦
金融支援の活用

日本政策金融公庫による実質無利子融資の適用

📝
事前申請が必須

設備取得前の計画認定が絶対条件となる点に注意

みどり認定の税制優遇と金融支援のメリット

 

農林水産省が推進する「みどり認定」制度は、正式には「環境負荷低減事業活動の促進等に関する法律(通称:みどり法)」に基づく認定制度です 。この制度の最大の魅力は、意欲ある農業者が環境に配慮した経営に転換する際にかかる初期コストを、国が強力にバックアップしてくれる点にあります。具体的には、税制面での優遇措置と、金融面での強力な支援の二本柱が用意されています。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/attach/pdf/houritsu-26.pdf

まず税制優遇についてですが、これは「みどり投資促進税制」と呼ばれ、認定を受けた農業者が特定高性能農業機械などを導入した場合に適用されます 。通常、農業機械の減価償却は耐用年数(例:7年)に応じて毎年経費計上していきますが、この制度を活用すると、導入した初年度に取得価額の32%を通常の減価償却費に上乗せして特別償却することが可能です 。例えば1,000万円の機械を購入した場合、通常償却分に加えて320万円を一気に経費として計上できるため、利益が出ている年度の法人税や所得税を大幅に圧縮し、キャッシュフローを改善する効果が期待できます。

 

参考)『みどりの食料システム法』のメリットは?認定制度を分かりやす…

次に金融支援についてです。認定農業者は、日本政策金融公庫の「スーパーL資金」などの融資を受ける際に、金利負担の軽減措置を受けることができます 。特に注目すべきは、認定された計画に基づいて実施する事業に必要な資金について、当初5年間は実質無利子化されるケースがあることです(貸付利率の特例措置)。昨今の金利上昇局面において、長期資金を低利または無利子で調達できることは、経営の安定性確保において極めて大きなアドバンテージとなります。

 

参考)https://www.maff.go.jp/j/pr/annual/pdf/midori_nintei.pdf

さらに、補助金採択における加点措置も見逃せません 。農林水産省や各自治体が実施する各種補助事業において、みどり認定を受けていることは「環境負荷低減への取り組み実績」として高く評価され、採択審査時の優先枠や加点ポイントとして扱われる傾向が強まっています。

 

参考)https://www.jaaomori.or.jp/topics/topics_20251101.pdf

農林水産省公式:みどり認定パンフレット(メリット一覧)
※上記のリンクには、税制優遇の具体的な計算例や、融資制度の詳細条件が記載されています。

 

みどり認定の計画作成と申請手続きのポイント

みどり認定を受けるためには、都道府県知事に対して「環境負荷低減事業活動実施計画」を提出し、認定を受ける必要があります 。このプロセスは単なる形式的な書類提出ではなく、自社の農業経営が今後5年間でどのように環境負荷を低減させるかという具体的なロードマップを描く作業となります。

 

参考)環境負荷低減事業活動実施計画の認定(みどり認定)/丹波市ホー…

申請手続きの最初のステップは、自身の営農地を管轄する都道府県や市町村の窓口(農林水産振興課や普及指導センターなど)への事前相談です 。ここで重要なのは、導入しようとしている機械や技術が、その地域の「基本計画」に適合しているかどうかの確認です。みどり法に基づき、各都道府県は地域の実情に合わせた環境負荷低減の目標(基本計画)を策定しています。申請者の計画はこの基本計画の方向性と合致している必要があります。

 

参考)環境負荷低減事業活動実施計画の認定について(みどり認定) -…

計画書の作成においては、以下の3つの取り組み区分のいずれか(または複数)を選択し、具体的な数値目標を設定します 。

 

参考)環境負荷低減事業活動実施計画の認定制度(みどり認定)について…

  1. 土づくりと化学肥料・化学農薬の使用低減堆肥の活用や、局所施肥技術の導入など。
  2. 温室効果ガスの排出削減:施設園芸におけるヒートポンプ導入や、水田の水管理によるメタン抑制など。
  3. その他の環境負荷低減:プラスチック資材の排出抑制など。

特に注意が必要なのは「現状の数値」と「目標数値」の根拠です。例えば、「化学肥料を20%削減する」という目標を立てる場合、単に肥料を減らすと書くだけでは不十分です。「可変施肥田植機を導入することで、生育マップに基づいた適正施肥を行い、収量を維持しつつ窒素投入量を削減する」といった具体的な技術的裏付けを記述しなければなりません 。

 

参考)直進アシスト機能搭載トラクタがみどり投資促進税制の対象機械に…

また、申請書類には「土壌診断の結果」などの添付が必要になる場合が多く、これらは準備に時間を要します 。書類作成から認定までには通常1〜2ヶ月程度かかるため、機械の納品希望時期から逆算して、十分な余裕を持って準備を進めることが鉄則です。

みどり認定の手引き(簡略版):申請フロー図解
※この手引きでは、ステップごとの必要書類や、記載例がわかりやすく図解されています。

 

みどり認定対象の特定高性能農業機械の導入

みどり認定の恩恵を最大限に受けるためには、対象となる「特定高性能農業機械」の選定が不可欠です。これは単に新しい機械であれば良いというわけではなく、農林水産大臣が指定・認定した、環境性能に優れた特定の機種に限られます 。

 

参考)みどり投資促進税制の対象機械リスト:東海農政局

現在、対象となっている機械には主に以下のようなものがあります。

 

  • 可変施肥田植機:センサーやマップデータに基づいて、ほ場内の地力ムラに合わせて肥料の量を自動調整する田植機です。過剰な施肥を抑制し、肥料コストの削減と河川への流出防止を両立します 。

    参考)みのる産業「みどり投資促進税制」対象機種について

  • 高精度畑用中耕防草機・除草ロボット:カメラやセンサーで作物と雑草を識別し、物理的に除草を行う機械です。除草剤の使用量を劇的に減らすことができ、有機栽培や特別栽培への転換を容易にします 。

    参考)https://www.n-simpo.co.jp/weeknews/3431.html

  • 自動操舵システム(条件付き):単なる直進アシストだけでなく、精密な作業履歴の記録や、可変施肥機との連動が可能な上位モデルが対象となることが多いです。作業の重複(オーバーラップ)を防ぎ、燃料消費や資材の無駄を省く効果が評価されます。
  • 紙マルチ田植機:田植えと同時に生分解性の紙マルチを敷設し、雑草の発生を抑える機械です。除草剤を使わない稲作において強力な武器となります 。​

これらの機械を選定する際は、メーカーのカタログに「みどり投資促進税制対象」や「みどり認定対応」といった記載があるかを必ず確認してください。また、対象機種は随時追加・更新されているため、農林水産省の最新リストをチェックすることが重要です 。

 

参考)基盤確立事業実施計画の認定状況及びみどり投資促進税制の対象機…

導入にあたっては、その機械を使うことで「どれだけの環境負荷低減効果が見込めるか」を定量的に示す必要があります。メーカーや販売店は、こうした効果試算のデータを持っていることが多いため、見積もりを取る段階で「みどり認定の申請に使いたいので、削減効果の根拠資料が欲しい」と依頼するとスムーズです。

 

農林水産省:みどり投資促進税制の対象機械リスト(最新版)
※ここでは、メーカー名・型式ごとに、税制優遇の対象となる具体的な機械リストがエクセル等で公開されています。

 

みどり認定と農林水産省が目指す環境負荷低減の現場課題

検索上位の記事ではメリットばかりが強調されがちですが、現場視点での「意外な落とし穴」や課題についても触れておく必要があります。みどり認定は、ただ機械を安く買うための制度ではなく、長期的な営農スタイルの変革を求めるものだからです。

 

最大の注意点は、「認定を受ける前に機械等の発注・契約をしてはいけない」という厳格なルールです 。多くの補助金と同様、計画の認定通知を受け取る前に購入契約を結んでしまうと、その機械は税制優遇や融資の対象外となってしまいます。納期が迫っているからといってフライングで発注書にハンコを押してしまうと、数百万円単位のメリットを失うことになりかねません。この「タイムラグ」は、急ぎで機械を更新したい農家にとっては大きなハードルとなります。

 

参考)https://www.maff.go.jp/chushi/sesaku/kihon/attach/pdf/midori-21.pdf

また、事務負担とランニングコストのバランスも考慮すべき点です。認定を受けると、計画期間中は毎年度、実施状況の報告義務が発生します 。化学肥料の低減量や、導入した機械の稼働状況などを記録し、報告書として提出しなければなりません。特に、高度なICT機械を導入した場合、その機能を使いこなすための通信費やシステム利用料、データ作成の手間といった「見えにくいコスト」が発生します。これらのコストと労力が、税制優遇額や肥料代削減額を上回ってしまうと、経営的には本末転倒です。

さらに、地域ごとの「温度差」も課題です。都道府県によっては、環境負荷低減に関する基本計画の策定が遅れていたり、対象となる技術品目が限定的だったりする場合があります。自分がやりたい取り組みが、その地域の推奨技術に含まれていない場合、認定のハードルが上がったり、追加の説明資料を求められたりすることがあります。制度が全国一律であっても、運用の柔軟性は自治体によって異なるという現実は知っておくべきでしょう。

 

みどり法関連資料:認定取り消し等の規定について
※この資料には、計画通りに実施されなかった場合の認定取り消し規定など、コンプライアンスに関する重要事項が含まれています。

 

みどり認定制度の今後の拡充と展望

最後に、みどり認定制度を含む「みどりの食料システム戦略」の将来像について解説します。この戦略は、2050年までに農林水産業のCO2ゼロエミッション化、化学農薬の使用量50%低減、化学肥料の使用量30%低減、有機農業の取組面積を25%(100万ha)に拡大するという、極めて野心的な目標を掲げています 。

 

参考)https://www.env.go.jp/content/000168976.pdf

これを受けて、みどり認定制度自体も今後さらに拡充されていくことが予想されます。現在は「特定高性能農業機械」の導入支援が中心ですが、今後は以下のような分野への支援拡大が見込まれています。

 

  • バイオ炭の農地施用剪定枝や竹などを炭化して農地に埋めることで、炭素を土壌に固定する「カーボンクレジット」との連携。
  • サプライチェーン全体での認定:生産者だけでなく、環境に配慮した農産物を加工・販売する事業者や、消費者に届ける流通業者までを含めた認定制度の広がり(基盤確立事業実施計画など) 。

    参考)https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/attach/pdf/houritsu-364.pdf

  • スマート農業との完全融合:AIやドローン、ロボット技術を活用した環境保全型農業(スマート・グリーン農業)への重点的な予算配分。

将来的には、みどり認定を受けていることが、大手流通(スーパーやコンビニ)との取引条件になったり、消費者向けの「環境配慮ラベル」としての機能を持ち始めたりする可能性も十分にあります。つまり、この制度は単なる「機械購入の補助」にとどまらず、将来の農業ビジネスにおける「パスポート」のような役割を果たしていくことになるでしょう。

 

今、みどり認定に取り組むことは、目先の節税対策以上の意味を持ちます。それは、環境規制が厳しくなる未来の農業情勢において、生き残るための経営体質を作り、先行者利益を得るための戦略的な投資なのです。農林水産省も制度の普及に向けて、手引きの改訂や相談窓口の拡充を進めています 。まずは地域の普及指導員やJAの担当者に「みどり認定に興味がある」と声をかけ、情報収集を始めることからスタートしてみてはいかがでしょうか。

 

参考)みどりの食料システム法について:農林水産省

環境省・農水省連携:みどりの食料システム戦略進捗レポート
※国全体での進捗状況や、先行している地域の事例、今後の政策ロードマップが確認できます。

 

 


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