かいよう病 レモン 症状防除 農薬管理

かいよう病でレモンの葉や果実が傷む原因と症状、防除時期や農薬選び、知られていない抵抗性品種や管理の工夫まで、現場で生かせる対策を整理してみませんか?
レモンかいよう病対策の全体像
🧐
発生メカニズムと症状

細菌がどこから侵入し、葉や果実にどんな斑点やコルク化を起こすのかを整理し、早期発見に役立てる。

🧪
防除カレンダーと薬剤

3〜9月のどのタイミングで銅剤などを散布するか、地域指導資料を踏まえて年間計画として落とし込む。

🌳
園地設計と抵抗性品種

防風や排水、抵抗性品種導入など、農薬以外の長期的なリスク低減策を組み合わせて安定生産を目指す。

かいよう病 レモン の原因と症状の見分け方

 

レモンのかいよう病は、主に細菌(一般的にはかんきつかいよう病細菌)が葉や果実、新梢から侵入して発病する病害で、特にレモンは他のカンキツより抵抗性が弱いとされている。
葉では小さな水浸状の斑点から始まり、やがて褐色〜黒褐色のやや盛り上がったコルク化した病斑となり、その周囲に黄色いハロー(黄輪)が現れるのが典型的な症状である。
果実では、表面にざらついたコルク状の病斑が多数形成され、見た目が極端に悪化し、ひどい場合にはひび割れや変形を起こして商品価値をほとんど失ってしまう。
新梢や枝に発生した場合には、えぐれたような病斑からの裂傷が進み、枝枯れや樹勢低下を誘発し、翌年以降の着果数や果実肥大にも悪影響が残りやすい。
かいよう病の初期は、黒点病やそうか病など他の病害と見分けがつきにくいが、病斑の盛り上がりと黄輪の有無、葉裏まで貫通したコルク質の硬さを指で触って確認することが有効である。

 

参考)カンキツ病害図鑑|症状や発生要因、防除ポイント・農薬について…

また、台風通過後や雹害の後など、物理的な傷が多発したタイミングで突発的に病斑が増える傾向があり、「傷+雨」のセットが発生したかどうかを発病状況と照らし合わせると診断がしやすくなる。

 

参考)https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00322997/3_22997_189362_up_8adsquti.pdf

家庭菜園レベルでは、多少の病斑があっても果肉は健全で食用自体は問題ないケースが多いが、市場出荷を前提とする場合は外観品質への影響を最優先で考える必要がある。

 

参考)かいよう病レモンは食べられる?茶色い実・葉は病気?みかん・キ…

かいよう病 レモン の発生時期と気象条件

かいよう病菌は主に春〜秋の高温多湿条件で活動が活発になり、特に春葉が伸長する5月上旬〜6月中旬と、果実肥大期の梅雨〜初夏がレモンでの重要感染期とされている。
果実への感染は落花直後から9月下旬頃まで続くとされ、落弁直後の幼果が最も感受性が高く、この時期の防除の徹底度合いが秋以降の果実の被害程度を大きく左右する。
病原細菌は雨滴と風で飛散し、葉や果実の傷口や気孔から侵入するため、長雨や台風、強風雨の前後に発生リスクが跳ね上がる点が、うどんこ病などとは異なる特徴である。
越冬は既存の病斑内や枝上で行われるため、前年秋の果実や葉に病斑が多かった園地では、春の新葉への初期感染源が多く、春の防除強度を上げる必要がある。

 

参考)みかんのかいよう病に効く農薬、防除方法について徹底解説!

一方で、冬季に低温と乾燥が続いた年は越冬菌量がやや抑えられるとされるが、日本の多くのレモン産地は温暖地域に位置するため、油断できるほどの効果は期待しにくい。

 

参考)かんきつの技術情報のページ:農林水産省

最近では、極端気象の増加により台風の大型化や線状降水帯の発生頻度が上がり、局所的にかいよう病の大発生を経験する園地も報告されており、従来より「風」と「雨」のリスク評価を細かく行うことが求められている。

かいよう病 レモン 農薬と散布時期の実践ポイント

レモンのかいよう病防除では、銅剤(ボルドー液、コサイド3000など)やイデクリーン水和剤などの登録薬剤が主要な選択肢とされ、各県の栽培指導資料でも3月・5月を中心とした散布が強調されている。
重点防除時期は多くの資料で「発芽前〜春葉展葉終了」「花弁落下直後〜梅雨時期」「梅雨明けまで」と整理されており、この期間に数回の薬剤散布を組み合わせることで、果実の被害を大きく抑えることができる。
一例として、発芽前(3月中旬〜下旬)にボルドー系、開花期前後に銅剤、落弁直後〜梅雨入り前に再度銅剤やイデクリーン水和剤を散布し、7月に追加散布を行う体系が、レモン成木の防除暦として紹介されている。
ただし、銅剤は過度に濃度が高いと薬害(葉焼け、落葉)のリスクがあるため、クレフノンのような薬害軽減剤と混用することや、マシン油乳剤との散布間隔を14日以上空けるなど、ラベルと地域資料の注意事項を守ることが重要である。

 

参考)https://ja-kanasei.or.jp/wp-content/uploads/2024/03/5bc29e1526d8a77c715e4914729867ad.pdf

また、かいよう病対策の薬剤散布は黒点病やそうか病と防除時期が重なりやすく、一本のレモンの防除暦の中で複数病害を同時にカバーする計画を立てると、散布回数を無駄に増やさず効率化できる。

 

参考)【生育期の主要病害】かいよう病、黒点病、そうか病、疫病対策

近年は、IPM(総合的病害虫管理)の考え方から、薬剤だけに頼らず、防風対策や剪定、病葉の除去などの物理的・耕種的防除を組み合わせることが推奨されており、農薬散布は「リスクが高い時期に絞る」設計が重要視されている。

 

参考)かんきつ類やトマト、キウイまで襲う「かいよう病」の対策とは?…

レモン成木の年間防除例(かいよう病中心)

時期 主な目的 薬剤例・注意点
3月中旬〜下旬 越冬菌抑制・春葉初期感染予防 ICボルドーやコサイドなどの銅剤を散布。マシン油乳剤とは散布間隔14日以上。
5月(開花期〜落弁期) 春葉と幼果の感染防止 銅剤またはイデクリーン水和剤を適正濃度で散布。薬害軽減剤を加用する事例もある。
梅雨期〜7月 果実肥大期の感染防止 コサイド3000などを追加散布し、黒点病対策と兼ねる体系が多い。
秋〜冬 病斑観察・越冬源管理 病果・病葉の除去や剪定で翌春の初期感染源を減らす。

かいよう病 レモン の栽培管理と園地環境づくり

かいよう病の大きな入口は「傷」であるため、防風垣や防風ネットの設置により、強風で葉や果実がこすれ合うのを防ぐことが、薬剤散布と同等に重要な対策とされている。
剪定では、風通しを良くして樹冠内部の湿度を下げるとともに、既に発病している枝葉を早期に切除することで、園内での菌密度を物理的に下げる効果が期待できる。
剪定枝や落葉、病果を園内放置するとそこが越冬源となるため、畑外に持ち出して焼却または深く埋めるなど、処理方法まで含めてルール化しておくと、長期的に発病を抑えやすくなる。
また、レモンの樹勢が落ちると新梢の発生パターンが乱れ、病気に弱い細い徒長枝が増えやすくなるため、適切な施肥とかん水管理で健全な枝葉を維持することも、間接的なかいよう病対策となる。

 

参考)レモンの栽培マニュアル - レモンの生育

近年の技術情報では、園地の排水性を高めることや、高密植を避けて樹間をしっかり確保することなど、土壌とレイアウトの段階から病害リスクを下げる設計が推奨されている。

さらに、ミカンハモグリガなど他の害虫による食害痕も細菌の侵入口となるため、害虫防除を「傷の予防」として位置づける発想を持つと、かいよう病発生の連鎖を断ちやすくなる。

 

参考)ミカンやレモンを植えたら必読!初夏からやっておきたい病害虫対…

かいよう病 レモン 抵抗性品種と長期的な戦略(独自視点)

実は、レモンの中にもかいよう病に強い品種が存在しており、農研機構が育成した「璃の香(りのか)」は、露地栽培でも一般のレモンよりかいよう病発生程度が明らかに低いと報告されている。
このような抵抗性品種を園地の一部に導入することで、同じ防除体系でも全体として病斑発生を抑えやすくなり、長期的には薬剤散布回数の削減や防除コスト低減につながる可能性がある。
また、抵抗性品種を防風林的に外周に配置し、内側に一般品種を植えることで、風雨にさらされる樹を相対的に病害に強い品種で固める、といった園地設計上の工夫も考えられる。
さらに、近年は「レモン専用品種」だけでなく、かいよう病に比較的強いとされるユズやキンカン、日向夏などを組み合わせた複合園を構成し、病害リスクの分散と収入源の多様化を図る経営も注目されている。

こうした品種戦略を取る場合、収穫期や市場ニーズがそれぞれ異なるため、防除暦だけでなく出荷計画も含めた中長期のシミュレーションが重要となる。

単年度の薬剤散布計画にとどまらず、「10年スパンで園地の樹齢構成や品種構成をどう組み替えるか」をかいよう病対策の視点から逆算して考えることが、今後のレモン農家にとって大きな差別化要因になりうるだろう。

 

参考)果樹茶業研究部門:璃の香(りのか)

レモンかいよう病の発生生態と基本防除方針の詳細は、県の栽培技術資料が参考になる。

 

千葉県「レモンの栽培技術」:レモンのかいよう病と防除時期の解説に関する参考リンク
かんきつ全般のかいよう病症状や他病害との見分け方、防除ポイントは、民間の病害図鑑も写真付きでまとまっている。

 

クミアイ化学「カンキツ病害図鑑」:症状写真と発生要因、防除の要点に関する参考リンク
レモンのかいよう病と抵抗性品種「璃の香」等の育成情報は、農研機構のページが詳しい。

 

農研機構「璃の香」:かいよう病抵抗性を活かした品種導入戦略の参考リンク

 

 


住友化学園芸 殺菌剤 家庭園芸用カリグリーン 1.2g×10 園芸 植物 病気 薬