あなたが使っている薬剤、実は根から病害を悪化させているかもしれません。
ここ数年、イチゴ萎黄病の原因菌「フザリウム属」に対して、一般的なベノミル系薬剤が効かない報告が全国的に増えています。特に2023年の農研機構の調査では、全国のサンプルのうち約42%が薬剤耐性株だったというデータがあります。つまり長年頼りにしてきた薬剤が、気づかないうちに無力化しているのです。
耐性菌を拡大させる最大の要因は、予防目的での定期散布です。長年同じ薬剤を使い続けることで、抵抗性をもったフザリウムが優勢になり、結果的に感染リスクが上がります。
つまり薬剤管理が逆効果になることもあります。
この課題に対応するには、薬剤をローテーション使用することと、物理的・生物的防除を組み合わせることが基本です。ベンチマークとしては「ストロビルリン系+微生物資材」の併用が注目されています。
つまり薬剤単独では解決しない時代です。
土壌pHが6.0を下回る酸性土壌では、フザリウム菌が活発になることが知られています。特に水田から転換した圃場では、この条件が重なり感染リスクが高まります。
同時に、有機物が過剰な条件では根腐れを誘発し、結果として萎黄病の進行を早めるケースも多いです。実際、過去に堆肥を10t/10a投入した農家で発病率が2倍に増加した報告もあります。
有機資材や堆肥を全て否定する必要はありません。しかし「分解状況」と「投入時期」を見極めることが重要です。完熟堆肥を定植の3週間前までに施用すれば問題ありません。
結論は、土づくりのタイミングが鍵です。
農研機構の「野菜病害虫診断ナビ」では、地域別の発病要因と管理法が詳しく解説されています。
灌水管理が不適切だと、せっかくの薬剤が根域まで届かないことがあります。特にドリップ灌水装置の設置位置が浅い場合、薬液が表層にとどまり、病原菌の生息ゾーンに到達しません。
静岡県農林技術研究センターの調査によると、点滴チューブを根の真上に設置した場合と15cmズラした場合で、萎黄病発生率に1.8倍の差が出ました。つまり「ちょっとした配置の違い」で深刻な被害差が生まれるのです。
薬剤の効果を最大化するには、水分量だけでなく、施用時の土壌含水率(目安40〜60%)を一定に保つ必要があります。これが根圏への到達を安定させるポイントです。
つまり灌水セットアップが勝負どころです。
バチルス菌やトリコデルマ菌など、土壌中でフザリウムと競合する微生物資材の研究が進んでいます。特に「トリコデコーナ」や「T-プランツケア」などの生物防除資材は、薬剤耐性問題の緩和に役立ちます。
2024年の現地試験では、薬剤未使用の区画でも70%以上の発病抑制効果を記録した例が報告されています。これは従来の化学防除では達成困難な数値です。
微生物防除の利点は、圃場環境を壊さず、持続的に根圏を保護できる点にあります。ただし、施用タイミングを誤ると効果が出にくいです。
定植直後の10日間が勝負です。
つまり初期管理が命です。
一般的に、萎黄病対応の薬剤・防除費用は10aあたり年間5万円前後ですが、発症してしまうと収量ロスによる損失は平均で20万円を超えます。つまり「予防を怠る=赤字確定」という構図が成り立ちます。
しかし、漫然と同じ薬剤を買い続けていると、その費用が単なる「保険料」に終わることもあります。特に耐性菌が確認された圃場でのベノミル系散布は、コストに見合う効果を期待できません。
防除費を抑えつつ効果を上げるには、薬剤使用頻度を年2回以下にし、生物防除・太陽熱消毒を併用する戦略が効果的です。太陽熱処理では深さ20cmまでの温度を45℃以上に保てば病原菌が大幅に減少します。
つまり長期的視点で最小コストを狙うのが正解です。