柚子は「いつ入れるか」で結果が変わりやすい果樹なので、まず年内の施肥を“役割”で分けて考えます。高知県の栽培情報では、春肥にあたる2月下旬〜3月上旬に有機配合肥料(12-8-10)を施し、その後に夏肥として5月下旬〜6月上旬、さらに8月下旬〜9月上旬に化成肥料(14-10-13)を入れ、秋肥として10月下旬〜11月上旬に化成肥料(16-10-14)を入れる体系が示されています。これは「春に樹を立ち上げ、夏に果実と新梢を支え、秋に翌年の芽(花芽)を仕込む」という流れに沿っています。
現場でありがちなズレは、夏に“遅い追肥”を効かせすぎることです。8〜9月の施肥は体系上はありますが、そこで窒素を強く効かせすぎると秋まで枝葉が走り、樹勢は良く見えても果実の成熟や翌年の花芽に影響が出ることがあります。逆に、春肥が薄いと初期の葉づくりが不足し、その年の着果量だけでなく樹の回復力も落ちます。まずは上記のように「春・初夏・晩夏・秋」の骨格を作り、樹の反応(新梢長、葉色、落果の出方)を見て微調整するのが安全です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/329dac307d927bb6effe3da6837b8d2b145b6adb
規模の小さい栽培では「毎月少量」の考え方もあり、マイナビ農業の解説では、木を大きくしたい場合に3月〜10月に月1回の施肥、収穫が始まってからは3月・6月・10月の3回追肥で安定生育を確保できると紹介されています。園地・目的(樹を育てる/収穫を安定させる)で回数設計は変わるので、あなたの経営目的に合わせて“回数の型”を選ぶのがコツです。
参考)リン酸直下施肥と組み合わせた窒素・カリウム肥料の施用時期が春…
農業従事者向けに「判断の軸」を作るなら、感覚だけでなく“数値の拠り所”が必要です。高知県の資料では、ユズの施肥として、春肥の有機配合肥料(12-8-10)を80kg/10a、夏肥の化成肥料(14-10-13)を各40kg/10aで2回、秋肥の化成肥料(16-10-14)を60kg/10aとし、年間合計の成分量としてN 30.4、P2O5 20.4、K2O 26.8(いずれもkg/10a)が示されています。
この数値は「そのまま真似る」ためだけのものではなく、あなたの園で施肥が多い/少ないを点検する“ものさし”になります。たとえば、堆肥や油かす中心でやっていても、年間の窒素投入がこの水準より大きく外れていないか、逆にカリが不足していないかを見直せます。特に柑橘は果実を作る年ほど樹体からの持ち出し(収穫で園外へ出る養分)も増えるため、収量が伸びた年に「去年と同じ施肥」をすると不足に陥ることがあります。まずは1年分の投入肥料をN換算で並べ、基準と照合する作業が“コスト削減”にも直結します。
また、施肥基準は土壌条件で前提が崩れます。高知県の資料では、土壌分析でpHが低い園はpH5.0〜6.5を目標に、春肥前(1〜2月)に苦土石灰を160kg/10a施用し、土壌とよく混和することが明記されています。pHが合っていないと、入れた肥料が効きにくい(あるいは特定要素が効きすぎる)ため、「まずpH」が現場では最短ルートです。
参考:土壌pHの目標値と苦土石灰の施用量(春肥前の考え方)
こうち農業ネット「ユズの施肥」
高知県の体系が示唆する重要点は、「春は有機配合肥料、夏〜秋は化成肥料」という役割分担です。春先は根の動き出しから新梢・葉づくりへ向かうため、肥効がじわっと続く設計が扱いやすく、資料でも2月下旬〜3月上旬に有機配合肥料(12-8-10)が組まれています。一方で、果実肥大や樹体維持が同時進行になる夏場は、狙ったタイミングで効かせやすい化成肥料(14-10-13)を入れる体系になっています。
実務のコツは「同じ肥料でも、置く場所で効きが変わる」ことです。根が多いのは幹の近くではなく、枝先の真下〜その外側に広がりやすいので、根域を意識して散布・混和します(幹元に山積みはロスが増えます)。また、有機質は分解に時間がかかるため、低温期は効き出しが遅れます。春肥を“遅らせて有機”にすると立ち上がりが遅れることがあるので、寒地・冷え込みの強い圃場ほど「時期は守り、必要なら一部を速効で補う」という考え方が現実的です。
家庭果樹寄りの管理ですが、マイナビ農業の解説では、収穫が始まってからは3月・6月・10月の追肥で安定した生育を確保できるとされ、月1回の少量施肥という発想も紹介されています。大規模園で同じことをすると労力が増えるため、あなたの経営では「肥効調節型+追肥少数回」など省力型に寄せる判断もあり得ますが、少なくとも施肥のピークが3月・初夏・秋に来る点は共通認識として持つと整理しやすいです。
参考:3月〜10月の施肥の考え方、収穫開始後の追肥時期(実務イメージ)
マイナビ農業「農家が教えるユズ(柚子)の育て方」
施肥設計で見落とされがちなのが、「肥料の前に土」だという順番です。高知県の資料では、1〜2月上旬に石灰質資材の工程があり、さらに“土壌分析でpHが低い園”ではpH5.0〜6.5を目標に、春肥前(1〜2月)に苦土石灰160kg/10aを施用し、土壌とよく混和するとしています。つまり、施肥計画の中に“矯正資材”が組み込まれており、これがベースの効きを決めます。
pHが低いままだと、同じ施肥量でも木の反応が鈍くなったり、葉色が乗らず「もっと窒素を」と追加してしまいがちです。結果的に、窒素過多で徒長→日当たり悪化→病害虫が増える、という悪循環に入ることもあります。まずは年1回でも土壌分析を入れてpHと主要要素の過不足を確認し、必要な年だけ矯正資材を入れるほうが、長期的には資材費も労力も減ります。
現場でのチェック項目を、作業指示に落とし込むなら次のようにするとブレません。
検索上位の記事は「時期・肥料の種類・回数」に集まりがちですが、農業従事者として一歩踏み込むなら、狙うべきは“隔年結果の波をどう小さくするか”です。隔年結果は摘果だけでなく、施肥の効かせ方でも波が増幅します。たとえば、豊作年に秋肥を強く入れすぎると樹が秋まで栄養成長に寄り、翌年の花芽が安定しないことがありますし、反対に豊作年に回復が追いつかないほど施肥が薄いと、翌年が極端な裏年になりやすくなります。
ここで使えるのが、高知県のように「秋肥(10月下旬〜11月上旬)を体系として持つ」考え方です。秋肥は“収穫後のご褒美”というより、翌年の準備の比重が大きい工程なので、収量や樹勢を見て調整します。樹勢が強い園は秋肥の窒素寄りを抑え、カリ寄り(果実品質と樹体維持のバランス)に寄せる、樹勢が落ちた園は秋肥を落としすぎない、という具合に「裏年を作らない」方向に寄せます(この調整の起点が、年間N-P-K合計という“基準値”です)。
実務で使える“波を小さくする”運用例を示します。
この視点の利点は、資材費を増やす話ではなく、「同じ資材費でも、時期と配分で収量のブレを減らす」話にできる点です。上司チェックでも、単なる施肥カレンダーではなく“経営の安定”に結びつく説明は評価されやすいので、現場記録(収量、樹勢、新梢長、葉色、pH)とセットで回すと記事内容も実務も強くなります。

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