トウモロコシアワノメイガ対策と防除方法

トウモロコシ栽培の最大の敵であるアワノメイガ。

放置すると収穫ロスは避けられません。


効果的な防除時期と対策方法を知れば、被害を最小限に抑えられるのをご存知ですか?


トウモロコシのアワノメイガ対策と防除

収穫21日前に農薬散布しても被害は防げません。


この記事の3ポイント要約
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アワノメイガの生態と被害

年2~3回発生し、幼虫が茎や雌穂に侵入。茎折損や雌穂落下により収量が約7%減少します

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効果的な防除タイミング

雄穂出始めと雌穂出始めの2回散布が基本。デナポン粒剤なら1株あたり1~1.5gを散布します

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耕種的防除法

早播き・遅播きで発生時期をずらす、収穫後の残渣を速やかに処理し越冬密度を下げることが重要です


トウモロコシのアワノメイガとは



アワノメイガは、トウモロコシ栽培において最も警戒すべき害虫の一つです。このチョウ目ツトガ科に属する害虫は、日本全国に分布しており、トウモロコシだけでなくアワ、キビ、ハトムギなどのイネ科作物も食害します。体長5mm~2cmほどの黄白色をしたイモムシ状の幼虫が、茎や雌穂の内部に侵入して食い荒らすのが特徴です。


成虫は淡褐色の蛾で、夜間に活動します。葉の裏側、特に雄穂周辺に産卵する習性があり、1匹のメスが生涯に産む卵の数は数百個に達します。


卵から孵化した幼虫は、まず雄穂へ向かって移動し、その後雌穂や茎に侵入します。幼虫は体内に侵入すると、外部から駆除することが極めて困難になります。これがアワノメイガ対策を難しくしている最大の理由です。


アワノメイガの発生回数は地域によって異なり、北海道では年1~2回、東北では年2回、関東以西では年3回、暖地では年4回発生します。発生時期は地域や年によって変動しますが、一般的に6月中旬~下旬、7月下旬~8月上旬、8月下旬~9月上旬が成虫の発生ピークとなります。


つまり発生回数が多い地域ほど、被害リスクが高まるということですね。


トウモロコシのアワノメイガ被害の実態

アワノメイガによる被害は、トウモロコシ栽培に深刻な影響を及ぼします。農研機構の調査によれば、防除を行わなかった場合、南ドイツでは被害率が80%に達したという報告があります。日本国内でも適切な防除を怠ると、同様の高い被害率になる可能性があります。


被害の形態は多岐にわたります。まず茎への食害では、幼虫が茎の内部を食い進むことで組織が脆弱になり、強風や機械収穫時に茎が折損しやすくなります。茎が下部で折れてしまうと、機械収穫が困難になり、収穫ロスが発生します。


雌穂への被害も深刻です。幼虫が雌穂柄(雌穂を支える茎)に侵入すると、雌穂柄が折損して雌穂が垂れ下がったり、完全に落下したりします。岩手県での試験では、殺虫剤散布によってアワノメイガの被害を軽減した結果、雌穂柄折損率が低下し、コンバイン収量が約7%増加したという成果が報告されています。


これは使えそうです。


雌穂の子実部分が直接食害されると、商品価値が著しく低下します。食害された部分から糸状菌が侵入し、カビ毒汚染のリスクも高まります。食味や品質の低下だけでなく、食品安全の観点からも問題となります。


完熟期まで栽培する子実トウモロコシでは、黄熟期で収穫する飼料用トウモロコシよりも栽培期間が長いため、アワノメイガの被害がより顕在化しやすい傾向があります。農研機構の調査では、黄熟期よりも完熟期の方が幼虫に食害された株の割合が多いことが確認されています。


トウモロコシのアワノメイガ農薬散布時期と方法

アワノメイガ防除において、農薬散布のタイミングは成否を左右する最重要ポイントです。幼虫が茎や雌穂の内部に侵入してしまうと、薬剤が届かず効果が著しく低下するためです。基本的に防除適期は、幼虫が植物体内に侵入する前、つまり孵化直後の若齢幼虫期となります。


トウモロコシ専用の粒剤として広く使用されているのが「三明デナポン粒剤5」です。使用量は10aあたり4~6kg(4~6g/㎡)で、1株あたり1~1.5gが目安となります。散布時期は雄穂の出始めた時期と、雌穂が出始めた時期の2回が標準です。


雄花が出ないってことですか?


雄穂から雌穂へ幼虫が移動するのを防ぐために、この2回散布が効果的です。ただし収穫21日前までに散布を終える必要があります。これは農薬の使用基準で定められた収穫前日数を守るためです。デナポンの散布方法は、株の上から雄穂や雌穂にパラパラと振りかけるだけなので、家庭菜園でも実施しやすい方法です。


農研機構の試験では、クロラントラニリプロール水和剤(商品名:プレバソンフロアブル5など)が高い効果を示しています。絹糸抽出期に1回散布するだけでも効果があり、2回または4回散布ではさらに高い防除効果が得られました。この薬剤は植物組織への浸透性があり、残効性も長いため、幼虫の侵入を効果的に防ぎます。


微生物農薬であるBT剤(Bacillus thuringiensis)は、チョウ目特異的に作用するため天敵への影響が少なく、人畜への安全性も高い特徴があります。ただしBT剤は植物への浸透移行性がなく、長期残効性もないため、使用時期は発生初期、特に孵化最盛期に合わせる必要があります。防除適期からずれると効果が十分に得られないことが試験で確認されています。


大規模栽培では、無人航空機による散布も選択肢となります。トウモロコシは草丈が高く繁茂するため、地上からの散布では薬液が届きにくい部分が生じます。無人航空機による高濃度少量散布は、作業効率が良く、広い圃場でも短時間で散布できるメリットがあります。岩手県の試験では、クロラントラニリプロール水和剤を無人航空機で散布した結果、虫害程度が低減し、全刈り収量が無散布区より約7%増加した事例があります。


農薬を選ぶ際は、必ずトウモロコシに登録のある薬剤を使用してください。2023年5月以降、「飼料用とうもろこし(子実)」に適用拡大された薬剤が増えており、選択肢が広がっています。ダイアジノン粒剤5も、雄穂・雌穂の出穂1週間以内に株の上から散布する方法で使用できます。


農研機構の子実トウモロコシ生産におけるアワノメイガ対策資料(PDF)では、各種農薬の試験結果や散布方法の詳細が解説されています。


トウモロコシのアワノメイガ発生時期をずらす栽培法

農薬に頼らずアワノメイガの被害を軽減する方法として、播種時期の調整が有効です。アワノメイガの発生ピークとトウモロコシの雄穂開花時期が重ならないよう、播種時期を早めたり遅らせたりする「時期ずらし栽培」は、耕種的防除の基本戦略です。


早播き栽培では、アワノメイガの第一世代成虫の発生ピーク(6月中旬~下旬)より前に雄穂開花期を迎えるよう、通常より1~2ヶ月早く播種します。育苗してから定植する方法を採ると、気温の低い時期でも安定した生育が期待できます。早播きにはアワノメイガ回避以外にもメリットがあります。「早播きしたコーンは少し短桿で丈夫な生育をする。したがって倒伏しづらい」「収量は一般に多収になり、病害虫の被害の回避は、とくに暖地で効果的」という報告があります。


逆に遅播き(抑制栽培)では、アワノメイガの発生ピークが過ぎた後に雄穂開花期を迎えるよう、通常より遅く播種します。7月以降に播種することで、真夏から秋にかけて収穫する作型となり、アワノメイガの最盛期を避けられます。


時期ずらし栽培が原則です。


ただし早播き・遅播きには注意点もあります。早播きでは低温期の生育管理が必要で、保温対策を怠ると発芽不良や初期生育の遅れが生じます。遅播きでは、収穫時期が遅れることで秋の低温や台風の影響を受けやすくなります。また、時期ずらしの効果は地域のアワノメイガ発生パターンによって変わるため、地域の発生消長を把握することが重要です。


フェロモントラップを活用すると、アワノメイガの雄成虫を捕獲して発生状況を把握できます。ファネル式のトラップを圃場に設置し、誘殺数を定期的に記録することで、その年の発生ピークを予測できます。この情報を基に、播種時期や農薬散布時期を調整すると、より確実な防除が可能になります。


複数回に分けて播種する「時期分散栽培」も、リスク分散の観点から有効です。すべての株が同じ時期にアワノメイガの被害を受けるリスクを避け、どれか一部は被害を免れる確率が高まります。収穫時期も分散するため、作業負担の平準化にもつながります。


トウモロコシの雄穂除去とアワノメイガ対策

アワノメイガは雄穂の花粉に強く誘引される習性があります。この習性を逆手にとり、受粉後に雄穂を除去することで、アワノメイガの飛来を減らす対策が可能です。雄穂除去は農薬を使わない防除法として、家庭菜園や小規模栽培で実践されています。


雄穂除去の手順は次の通りです。まず雄穂が開花して花粉が出始めたら、トウモロコシの株全体を観察します。十分に受粉が完了したことを確認してから、受粉に必要な分を除いて雄穂を切り取ります。目安としては、5~10本に1本程度の雄穂を残せば、残りの株の受粉に支障はありません。


厳しいところですね。


除去した雄穂は圃場外に持ち出して処分します。圃場内に放置すると、雄穂に侵入していた幼虫が他の株に移動する可能性があるためです。花粉が出終わった雄穂も速やかに除去することで、アワノメイガの産卵場所を減らせます。


ただし雄穂除去には限界もあります。雄穂を切り取るタイミングが早すぎると、受粉不足で粒の入りが悪くなります。逆に遅すぎると、すでにアワノメイガが産卵してしまい、効果が得られません。また、隣接する圃場や雑草地から成虫が飛来する場合、雄穂除去だけでは被害を完全に防ぐことはできません。


雄穂除去と農薬散布を組み合わせると、より高い防除効果が期待できます。雄穂除去でアワノメイガの飛来を抑えつつ、雌穂出始めのタイミングで1回だけ農薬散布を行えば、散布回数を減らしながら十分な効果が得られる可能性があります。減農薬栽培を目指す場合に有効な組み合わせです。


余った雄穂を保存して人工授粉に利用する方法もあります。花粉が出始めた雄穂を切り取り、紙袋に入れて振ることで花粉を採取します。採取した花粉を雌穂の絹糸に振りかけると、確実な受粉が可能です。この方法なら雄穂を早めに除去でき、アワノメイガ対策と受粉確保を両立できます。


トウモロコシ収穫後のアワノメイガ対策

アワノメイガの終齢幼虫は、収穫後のトウモロコシ残渣(茎や葉など)の内部で越冬します。この越冬幼虫が翌春に蛹化し、成虫となって次世代の発生源となります。したがって、収穫後の残渣処理は、翌年の被害を抑えるために極めて重要な対策です。


収穫後は速やかに残渣を圃場から除去してください。残渣を圃場内に放置すると、その中で越冬した幼虫が翌春に羽化し、近隣の作物に被害を及ぼします。農研機構の資料でも「収穫後の速やかな残渣処理」が耕種的防除の基本として強調されています。


越冬密度を下げる基本です。


残渣の処理方法としては、圃場外へ持ち出して焼却処分するのが最も確実です。ただし地域によっては野焼きが規制されている場合があるため、自治体の条例を確認してください。焼却できない場合は、残渣を細かく粉砕して土壌と混和し、速やかに耕起します。耕起により残渣が土中に埋没すると、越冬幼虫の生存率が低下します。


残渣処理後に別の作物を植える輪作も、アワノメイガの越冬密度を下げるのに効果的です。特に田畑輪換では、湛水条件と畑条件で土壌環境が大きく変わるため、トウモロコシに寄生していた害虫を相互に防除できます。輪作により土壌病害や連作障害の軽減も期待できるため、総合的な栽培管理として推奨されます。


堆肥化する場合は、完熟まで十分に発酵させることが重要です。堆肥の発酵過程で発生する高温(60℃以上)により、残渣内の幼虫が死滅します。ただし発酵が不十分だと幼虫が生き残る可能性があるため、未熟な堆肥を圃場に施用しないよう注意してください。


周辺の雑草管理も忘れてはいけません。アワノメイガはイネ科雑草(ヨシ、オギ、ススキなど)にも寄生するため、圃場周辺の雑草を放置すると、そこで増殖した個体が栽培作物に飛来します。圃場周辺の草刈りや除草を定期的に行い、アワノメイガの発生源を減らすことが総合的な防除につながります。


FMC JapanのアワノメイガWikiページでは、生態や防除方法に関する詳細な情報が掲載されており、防除計画を立てる際の参考になります。




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