土地利用 データ 農業を考えるときの第一歩は、「筆単位」ではなく「面としての地域」を意識することだと言われる。国土交通省の国土数値情報では、農業地域や土地利用メッシュなどが整備されており、一毛作田・畑・果樹園・牧場といった区分で国土全体の利用状況が把握できる。
このような土地利用データは、個々の圃場の良し悪しではなく「この地域全体がどの作物に向いているのか」「畜産と耕種がどう共存できるか」といった視点を与えてくれる。農研機構では、国土数値情報の土地利用データと農林業センサスの集落データを組み合わせ、1kmメッシュ単位で作物別栽培面積が分かるデータベースも構築している。
農業従事者にとって、土地利用 データ 農業を掛け合わせることは、感覚と経験に頼ってきた「勘どころ」を、広域データで裏付ける作業に近い。土地利用図やメッシュデータを見ることで、「昔から水稲主体だったが、実は野菜や果樹に向く条件が揃っている谷津田がどこに集中しているか」といった、意外な気づきが得られるケースもある。
農林水産省「農地の区画情報(筆ポリゴン)のデータ提供・利用」では、圃場区画や農地の空間情報がオープンデータとして提供されている。
参考)農地の区画情報(筆ポリゴン)のデータ提供・利用:農林水産省
農林水産省 筆ポリゴンデータ提供ページ
土地利用 データ 農業の現場で、最も即戦力になりやすいのが「筆ポリゴン」と呼ばれる農地の区画情報だ。農林水産省統計部が整備したこのデータは、日本全国の農地を対象とした耕地面積や作付面積の標本調査に使われる母集団情報であり、2019年からオープンデータとして誰でも利用可能になっている。
筆ポリゴンの特徴は、「地番」ではなく「形」をベースにしている点にある。農地の多くは入り組んだ形状をしており、紙地図や頭の中だけでは把握しにくいが、ポリゴン化されたデータなら、GISソフトで重ね合わせて見ることで、用水路・作業道・傾斜など他のデータと組み合わせた分析が容易になる。
実務的には、土地利用 データ 農業の掛け合わせとして、次のような活用が現場で増えつつある。
こうした使い方をするために、農業情報に関連するオープンデータをまとめたリンク集も公開されており、各自治体の作付面積や農家数などの統計データをCSVで取り込んで、筆ポリゴン上に可視化する事例も出てきている。
参考)http://linkdata.org/work/rdf1s3179i/agriopendata.html
LinkData.org「農業情報に関連するオープンデータ」には、各自治体の農業統計や作付面積などのリンクが整理されている。
農業情報に関連するオープンデータ - LinkData.org
土地利用 データ 農業の高度な連携として注目されているのが、リモートセンシングとGISによる「上から見る農業」だ。衛星や航空機からの観測データは、温度・水分・植生状況などを数値化し、広域の土地利用状況を短時間で把握できる技術として、環境調査や大規模農業で利用されている。
農研機構の農地利用ユニットでは、GISとリモートセンシングを組み合わせて農地と農業用水の利用状況をマップ化し、水利システム再編や農地利用の最適化に役立てる研究が進められている。例えば、用水路からの給水状況と圃場面積、作物種別を重ね合わせることで、「どのブロックの水利用効率が低いか」「どの圃場に水ストレスが出やすいか」を客観的に評価できる。
実務のイメージを掴みやすい事例として、草地管理への応用が挙げられる。GIS・リモートセンシングの導入事例では、牧草地の生育状況を衛星画像から解析し、地籍データと重ね合わせて、組合員ごと・区画ごとの牧草の状態を「見える化」し、草地更新の優先順位付けや追肥計画に活用した例が報告されている。
これらは一見ハードルが高く見えるが、最近ではクラウド型の農業支援サービスや、ブラウザ上で衛星データを閲覧できるサイトも増え、専門家でなくても土地利用 データ 農業を組み合わせた監視が身近になりつつある。
参考)【GIS基礎知識】リモートセンシングとは?
農業と環境調査におけるリモートセンシング・GIS活用については、農業気象関連のガイドブックで体系的な解説がまとめられている。
農業と環境調査のためのリモートセンシング・GIS・GPS活用ガイド
土地利用 データ 農業の文脈で、まだ現場での認知が高くない指標の一つが「さとやま指数」だ。国立環境研究所が公開しているさとやま指数メッシュデータは、農地を含む単位空間内での土地利用の多様度と非農業的土地利用の割合を反映し、土地利用の不均一性が高く農地の占有率が低いほど高い値を取るように設計されている。
この指数は、「どれだけ農地が混ざり合ったモザイク状の景観か」を示すものでもあり、生物多様性や里山的なランドスケープの評価に活用できる。例えば、同じ水田地帯でも、周囲に雑木林や畑、集落が入り混じる地域はさとやま指数が高く、単一の田んぼが広がる地域は低く出る傾向がある。
農業経営から見ると、この情報は次のような「環境と経営の両立」のヒントを与えてくれる。
意外な使い道として、さとやま指数と観光統計、直売所の売上データなどを組み合わせ、「景観が良い地域ほど直売所の来客数が多いのか」「多様な土地利用がある地域ほど、付加価値の高い加工品が生まれやすいのか」といった仮説検証を行うことも考えられる。土地利用 データ 農業を超えて、地域づくり全体の議論に繋がる点が、この指標の面白いところだ。
さとやま指数の概要と全国データは国立環境研究所のサイトから入手できる。
土地利用 データ 農業を現場で実装するうえで障壁になりがちなのが、「データはあるが、どこから手を付ければよいか分からない」という点だ。国や自治体が公開している土地利用図や農業統計、筆ポリゴン、衛星データなどは豊富に存在するが、バラバラに眺めるだけでは日々の営農判断には結び付きにくい。
そこで実務的には、「小さく始めて、段階的に組み合わせていく」ステップが現実的だと言える。農業センサスの集落別データを基にした「地域の農業を見て・知って・活かすDB」などを使えば、各農業集落の作付構成や農家数、高齢化率などを、地図とグラフで簡単に可視化できる。
例えば、次のような流れで土地利用 データ 農業DXを進めることが考えられる。
参考)ファイル
参考)夢ナビ講義
このように、一つひとつのデータを「経営判断」「地域戦略」という具体的な行動に結び付けていくと、土地利用 データ 農業の活用は、単なる数字や地図の鑑賞から、収益と環境を同時に高める実践的なツールへと変わっていく。農業DXという言葉が先行しがちな中で、まずは足元のオープンデータと無料ツールを組み合わせ、できる範囲から始めることが、長期的なデータ活用型経営への近道になるのではないだろうか。
農業集落別データや土地利用に関する統計は、政府統計ポータルサイトから入手可能である。