緑肥鋤込み効果とタイミング適期方法

緑肥鋤込みは土づくりと肥料コスト削減の有効策ですが、タイミングを誤ると後作物に深刻な発芽障害を起こします。腐熟期間やすき込み深さ、機械選びまで、失敗しない緑肥活用法をご存知ですか?

緑肥の鋤込みと効果

すき込み直後2週間は後作の種が腐る


この記事のポイント
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適切な腐熟期間の確保が必須

すき込み後2~3週間はピシウム菌が急増し発芽障害を起こすため、夏季は3~4週間、低温期は1か月以上の腐熟期間を設けましょう。

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すき込み時期とC/N比の管理

出穂期以降(C/N比20以上)のすき込みは窒素飢餓を招きます。 イネ科は開花前、マメ科は開花期が適期です。

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コスト削減と土壌改良効果

種子代は1ha当たり2~3万円で、化学肥料の2~4割削減が可能。 深根性により下層土の養分も吸い上げます。


緑肥鋤込みの基本的な効果


緑肥を土にすき込む作業は、化学肥料に頼らない土づくりの基本です。緑肥作物は畑で育てた植物をそのまま土に混ぜ込むことで、有機物と養分を土壌に供給します。


この手法は古くから行われてきましたが、近年の肥料価格高騰により改めて注目を集めています。化学肥料の使用量を減らしながら、土壌環境を改善できる一石二鳥の方法です。


緑肥の最大の特徴は、新鮮な有機物として土に入ることです。堆肥とは異なり、すき込まれた直後から土壌中の微生物が活発に活動を始めます。この微生物の働きにより、作物のリン酸吸収を助ける有用な菌が増えることが研究で確認されています。


マメ科の緑肥作物は根粒菌の働きで空気中の窒素を固定し、すき込むことで後作物の窒素源として利用できます。イネ科やアブラナ科の緑肥は、深く伸びた根で下層土の養分を吸い上げ、それを地上部に蓄積します。


これが土壌改良です。


土壌構造の改善も見逃せません。緑肥の根が土中深くまで伸びることで、硬い耕盤層が物理的に破壊されます。すると主作物の根が伸びやすくなり、ほ場の透水性も向上して水はけが良くなります。


緑肥鋤込みのタイミングと適期判断

すき込みのタイミングは緑肥の効果を左右する最重要ポイントです。早すぎても遅すぎても、期待した効果が得られません。


夏季栽培では播種から2~3か月後、冬季栽培では4~5か月後がすき込みの目安です。ただし緑肥の種類によって最適期は異なります。


イネ科緑肥(ソルゴー、エンバク、ライ麦など)は出穂前にすき込むのが原則です。出穂期を過ぎると茎が硬くなり、C/N比(炭素と窒素の比率)が20以上に高まります。C/N比が高い状態ですき込むと、微生物が分解に多くの窒素を消費し、後作物が利用できる窒素が一時的に不足する窒素飢餓が発生します。


マメ科緑肥(ヘアリーベッチ、クロタラリアなど)は開花期が適期です。クロタラリアなら播種50日後の黄色い花が咲く頃が目安で、このタイミングを逃すと茎の繊維が硬くなりロータリーに絡みつきます。


作業性が著しく悪化するのです。


アブラナ科緑肥は穂が出る前が鉄則です。種子ができてしまうと雑草化するリスクがあり、土中での分解にも時間がかかります。


気温も重要な判断材料です。土壌温度が高い時期(夏季)は微生物の活動が活発で分解が早く進みますが、低温期は分解速度が遅くなります。分解不足の状態で後作を植えると、根の立ち上がりが悪くなり、発芽率が低下します。


緑肥鋤込み後の腐熟期間の重要性

すき込み直後から土壌中では劇的な変化が起きています。緑肥を分解するためにピシウム菌を中心とした微生物が爆発的に増殖するのです。


このピシウム菌が厄介で、後作の種子を腐敗させて発芽に悪影響を与えます。農研機構の研究によれば、すき込み後2~3週間まではピシウム菌が急増するため、この期間に播種すると発芽障害のリスクが高まります。


つまり腐熟期間です。


夏季の高温期なら3~4週間、春秋の低温期なら4週間以上、冬季なら1か月以上の腐熟期間が必要です。地温が10℃前後の時期は特に注意が必要で、ピシウム菌が最も活発に活動します。


腐熟期間中には、フェノール性酸などの生育阻害物質も一時的に生成されます。これらが分解されて無害化されるまで待つ必要があります。分解速度はC/N比にも左右されるため、イネ科緑肥はマメ科よりも長めの腐熟期間を設けましょう。


一方、腐熟期間が長すぎても問題です。すき込みから後作の作付けまでの期間が長くなると、せっかく緑肥から供給された窒素成分が降雨で流出してしまいます。特に硝酸態窒素は水に溶けやすく、下層へ移動しやすい性質があります。


ロータリー耕を2~3回繰り返すと分解が促進されます。最初は速度を遅く、ロータリーの回転を速くして緑肥を土に混ぜ込み、その後さらに1~2回耕うんすると分解が進みます。


緑肥鋤込みの適切な機械と作業方法

すき込み作業の効率は使用する機械で大きく変わります。一般的にはトラクターのロータリーが使われますが、緑肥の種類や生育状況によって適した機械が異なります。


ロータリー単独での作業が可能なのは、草丈が低く茎が柔らかい段階です。エンバクやクロタラリアを開花期前後にすき込む場合は、ロータリーだけで十分対応できます。耕深は10~15cm程度が標準で、浅すぎると表層だけで分解してしまい、深すぎると土壌の層構造を乱します。


草丈1.5~2m程度に育ったソルゴーやスーダングラスをすき込む場合は、フレールモアやハンマーナイフモアによる細断が必須です。事前に細断すると、ロータリーへの巻き付きが減り、分解も早く進みます。


フレールモアでの細断作業は、緑肥を5~10cm程度に裁断します。細断後は水分を少し飛ばしてからロータリー耕うんを行うと、さらに作業効率が上がります。


プラウを利用した反転すき込みも有効な方法です。ロータリーに比べて作業能率が高く、大規模ほ場で威力を発揮します。ただし埋没は深くなるため、分解に時間がかかる点に注意が必要です。


ディスクティラーという作業機も注目されています。ロータリーの約3倍の作業速度、約2.7倍の作業量で省力化に貢献します。フレールモアと併用すれば、刈り残しが少なくムラのないすき込みが実現できます。


手作業でのすき込みも小規模ほ場では選択肢です。すき込み深さは5~10cm程度で、スコップやクワを使って緑肥を土に混ぜ込みます。労力はかかりますが、機械が入れない場所や家庭菜園規模なら現実的な方法です。


緑肥鋤込みのコストと経営効果

緑肥導入にかかるコストは思いのほか安価です。種子代は1kg当たり500~800円程度で、播種量は10a(1反)当たり3~4kgが標準です。つまり1haに緑肥を導入しても2~3万円の種子代で済みます。


これに対して削減できる化学肥料のコストは大きいです。マメ科緑肥のヘアリーベッチなら、すき込みによる窒素投入量は10a当たり33~36kgに達し、後作野菜が緑肥から吸収する窒素量は4~6kgです。


この分の化学肥料が不要になります。


イネ科緑肥も下層土から養分を吸い上げるため、施肥量を2~4割削減できる事例が報告されています。肥料価格が高騰している現在、この削減効果は経営に直結します。


機械経費も考慮が必要です。フレールモアを新規購入する場合は35万円程度の投資が必要ですが、複数年使用すれば減価償却費は年間数万円に収まります。すでにトラクターとロータリーを所有していれば、追加投資なしで緑肥導入が可能なケースも多いです。


労働時間の面では、緑肥の播種、管理、すき込みで10a当たり3~5時間程度が目安です。一方、化学肥料の購入、運搬、散布にも時間がかかるため、トータルで見れば大きな差はありません。


土づくり効果による長期的なメリットも重要です。緑肥の継続的な導入で土壌の団粒構造が改善され、保水性排水性が向上します。すると作物の根張りが良くなり、収量の安定化につながります。病害虫の発生も減少傾向になる事例が報告されています。


センチュウ抑制効果を持つマリーゴールドやクロタラリアを導入すれば、殺センチュウ剤のコストも削減できます。薬剤散布の手間も省けるため、労働時間の短縮にもなります。


農研機構の緑肥利用マニュアルでは、各種緑肥の詳細な経済効果が掲載されています。自分のほ場条件に合った緑肥を選ぶ際の参考になる資料です。






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