ソルゴーの播種時期は「日平均気温が15℃以上」を一つの目安にします。15℃以下では発芽が非常に悪くなるため、早播きよりも“土が温まってから確実にそろえる”方が結果的に収量・草量が安定します。
発芽適温は20〜30℃とされ、播種後に気温が上がる時期ほど出芽までの日数が短くなります。逆に、低温期に播くと出芽が遅れて土壌病害(苗立枯れなど)のリスクも上がりやすいので、地域の作付けカレンダーと天気予報(低温戻り)をセットで見て判断します。
地域別の播種時期の幅も押さえておくと計画が立てやすいです。たとえば緑肥用の栽培マニュアルでは、寒・高冷地は5月下旬〜7月下旬、一般地は5月中旬〜8月中旬、暖地は5月上旬〜9月上旬が目安として整理されています。これは「播種できる期間が長い=いつでも良い」ではなく、後作までの残り日数(40〜60日で一度すき込み可能)から逆算して、草丈・C/N比を狙って決める、という意味合いが強いです。
意外と見落としがちなのが「土壌水分」です。ソルゴー類は乾燥に強い印象がある一方、発芽と初期成育は“種の周りが乾かない”ことが大前提になります。播種直後に乾きやすい圃場では、浅すぎる覆土や鎮圧不足が出芽ムラの主因になりやすいので、作業の丁寧さが効いてきます。
参考:播種時期(地域別)や播種量、覆土の基本、すき込み時期・C/N比の考え方(後作の植え傷み注意)
農研機構 緑肥マニュアル「第4章 ソルガム」
まず大枠として、緑肥用の基本播種量は「5kg/10a程度」という整理が広く使われています。さらに重要なポイントとして、同マニュアルでは“5kg以上播種しても、10aあたりのすき込み量(新鮮重)は増加しにくい”ことが図示されています。つまり、種を増やしても草量が比例して伸びるとは限らず、過密で倒伏や通風不良、病害の条件を作る可能性があります。
播種方法は、散播(バラ撒き)・条播(すじ播き)・点播の3つを目的で選びます。実務的に整理すると次の通りです。
ここでの「播種量の正解」は用途で変わります。緑肥なら“短期で土づくり・残肥吸収・線虫対策”を狙うことが多いので、発芽を揃えて初期の競争力を出す設計が重要です。一方、飼料・子実目的は管理(追肥や防除、収穫体系)が入るため、機械作業を前提に条播・点播が選ばれやすくなります。
意外な実務ポイントとして、肥料を播種と同時に入れる場合は“肥料焼けの距離感”を必ず取ります。播種穴を深くして肥料→覆土→播種、のように層を分ける手順が紹介されており、現場での失敗(初期生育の停滞)を減らす考え方です。
参考:散播・条播・点播それぞれの播種量、条間・株間、発芽適温、覆土厚の基本
BSI生物科学研究所「ソルガム(栽培管理)」
覆土(種にかける土)の目安は「2〜3cm」が基本です。浅すぎると乾燥の影響を受けて欠株や出芽ムラが出やすく、深すぎると出芽にエネルギーを使って発芽率・初期生育が落ち、結果として草丈の立ち上がりが遅れます。
特にソルゴー類は初期生育が旺盛で、いったん立ち上がると強い一方、最初の“芽が地表に出るまで”が勝負になりやすい作物です。播種後の鎮圧(ローラー等)で土と種を密着させると、毛管水が上がりやすくなり、出芽の揃いに効きます。乾きやすい砂質・風当たりが強い圃場ほど、この差が出ます。
土づくり面では、耕起と整地の質が覆土の均一性に直結します。大きい土塊が残ると“種が土塊の間に落ちて深播き状態になる”場所が出て、そこだけ出芽が遅れます。逆に細かくしすぎて粉状だと、強雨で表面が締まってクラスト化し、出芽を邪魔することもあります。つまり、整地は「均一な細粒」ではなく「覆土が一定になる状態」を目標にするのが実用的です。
また、播種のタイミングと土壌水分の見極めも重要です。土が湿りすぎる日に耕すと土塊が大きくなって整地が崩れ、逆に乾きすぎると覆土後に水が切れてしまいます。播種当日の作業性と、播種後1週間の降雨見込みを合わせて、出芽までの水を切らさない設計にします。
ソルゴーは生育が速く、草丈も伸びるため、いったん優勢になると雑草に競り勝ちやすい作物です。だからこそポイントは「初期」にあります。資料でも、播種直後に土壌処理型の除草剤を使って初期段階で雑草を抑えることが重要で、その後の追加散布が不要になりやすい、という考え方が示されています。
除草剤に頼らない場合でも、初期管理の要点は同じで、出芽を揃えて初期の被覆速度を上げることが雑草抑制に直結します。出芽ムラがあると、空いた場所から雑草が先に伸びてしまい、その後のソルゴーが追いつけず草丈・草量のロスになります。
現場で効くチェック項目は次の通りです。
害虫・病害は緑肥用途では発生ステージに入る前にすき込むことが多く、深刻化しにくい傾向がありますが、大面積では被害が出る場合もあるため、発生を見つけたら種類を確定して早めに対応する、という基本は同じです。
検索上位の“播き方”記事は播種時期・播種量・覆土の話で終わりがちですが、緑肥としてのソルゴーは「すき込みの狙い」から逆算すると播種判断が一段ラクになります。ポイントは草丈とC/N比です。
緑肥マニュアルでは、ソルゴーは生育が進むほどC/N比が高くなり分解しにくく、窒素肥効が出にくくなる、と明確に注意されています。具体例として、播種6週間後で草丈約150cm・C/N比20程度、7週間後で草丈約180cm・C/N比30程度と整理され、C/N比が20以上だと分解が遅れて、すき込みから定植まで5週間あっても後作(例:キャベツ)で植え傷みが出る可能性がある、とされています。
ここから導ける“現場の逆算”は次の通りです。
さらに“あまり知られていない落とし穴”として、肥料成分の少ないほ場ではソルゴー連作障害が起きることがあり、播種2〜3週間後から葉が赤紫化して生育が停滞する事例が紹介されています。原因ははっきりしていないものの、養分欠乏やネグサレセンチュウなどが指摘され、休閑で改善する、連作に強い品種を選ぶ、翌年は別のイネ科緑肥に切り替える、といった対策が示されています。種まき方法の話に見えて、実は“圃場の地力と輪作”が播種成功率を左右する、という点が独自視点として重要です。
参考:草丈とC/N比、腐熟期間、後作の植え傷み、連作障害(葉の赤紫化)の注意点
農研機構 緑肥マニュアル「第4章 ソルガム」