マルチ栽培みかんで糖度を上げる方法と失敗しない管理術

みかんのマルチ栽培は糖度アップに欠かせない技術ですが、やり方を間違えると樹が枯れるリスクもあります。正しい時期・シートの選び方・水分管理のコツを農業従事者向けに徹底解説。あなたの園地に合った実践方法を確認しませんか?

マルチ栽培でみかんの糖度と品質を高める実践ガイド

水分を与えすぎているつもりがなくても、マルチ栽培中に樹が枯れることがあります。


マルチ栽培 みかん 完全ガイド
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マルチ栽培の目的

地面に白色シートを敷いて雨水を遮断し、水分ストレスをかけることで糖度を通常の10度から12〜15度まで引き上げる技術です。

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被覆のタイミング

果汁が溜まり始める7月上旬〜中旬が基本。梅雨明け後に土壌が乾いてから敷くことで、効果的に水分ストレスをかけられます。

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失敗しない管理の要点

水分ストレスのかけすぎは小玉化・高酸化・最悪の場合は樹枯れを招きます。定期的な果実内容検査と必要に応じたかん水が必須です。

マルチ栽培とみかんの糖度が上がる仕組み


マルチ栽培とは、みかんの木の根元周辺に白色の多孔質フィルムシートを敷き、地表への雨水の侵入を遮断することで、みかんの木に「水分ストレス」を与える栽培技術です。 水分が制限されると、みかんの樹は生存のために果実へ糖分を集中させる生理反応を起こします。


これが糖度アップの原理です。


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白色の多孔質フィルムには小さな穴が無数に空いており、上から降る液体の雨水は通さないが、土から蒸発する水蒸気は通す構造になっています。 この特性により、土壌の過度な加湿を防ぎながら蒸散は維持できるため、根腐れのリスクを抑えながら水分ストレスを与えられます。つまり「乾かす」と「蒸らさない」を両立できる仕組みです。purato+1
みかんの糖度は通常の栽培では平均10度前後ですが、マルチ栽培と適切な管理を組み合わせると平均12〜13度、優良果では15度を超える事例も報告されています。 糖度13度以上はプレミアムみかんとして市場で高値がつくため、収益性の向上にも直結します。


これは使えそうです。


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さらに、白色シートが太陽光を反射することで、果実の下側にも光が当たりやすくなり、着色が均一になって商品価値が上がるという副次効果もあります。 糖度と着色の両方を同時に改善できるのが、マルチ栽培の大きな強みです。


  • 🔵 通常のみかんの糖度:平均10度前後
  • 🟡 マルチ栽培みかんの糖度:平均12〜13度
  • 🟠 優良果の目標糖度:15度以上(プレミアムブランド水準)

マルチシートの種類とみかん栽培に合った選び方

マルチシートには複数の種類があり、目的によって使い分ける必要があります。


代表的なものは以下の4種類です。



参考)マルチ栽培でおいしいみかんができるワケ~マルチシートの敷き方…


種類 主な効果 みかん栽培での用途
白色多孔質フィルム 光の反射・水分遮断 糖度アップに最適(主流)
黒色マルチ 雑草抑制・地温上昇 若木期の雑草対策に有効
シルバーマルチ 地温抑制・害虫防除 夏場の根の過熱防止に補助的に使用
透明マルチ 地温上昇 冬季の凍害対策に一部使用

みかんの高糖度化を狙うなら、白色の多孔質フィルムが基本です。 黒マルチは夏に地温を過剰に上昇させ、浅根性のみかんの根を傷める可能性があります。 シートの選択を間違えると、目的とは逆効果になることも覚えておきましょう。farm.sr2+1
農研機構(NARO)が開発した「S.マルチ(シールディング・マルチ)」という新技術では、地中にシートを埋設して下層からの水分供給も遮断する方法が採用されています。 従来のシートを地表面に敷くだけの方法より安定した水分ストレス管理が可能で、特に水はけが悪い園地や平地での効果が注目されています。


マルチシートの敷き方とみかん園での作業手順

マルチシートを敷く時期は、7月上旬〜中旬が一般的な目安です。 これはみかんに果汁が溜まり始めるタイミングに合わせたもので、この時期から収穫まで継続して被覆します。


ただし注意点が一つあります。



雨明け前に土壌が湿った状態でシートを敷くと、土壌が適正水分になるまでに時間がかかり、水分ストレスの立ち上がりが遅れます。 梅雨明け後、晴天が続いて土壌が十分乾いた8月中旬頃に敷く方が、効果的に水分ストレスをかけられるという考え方もあります。 園地の立地と気候に合わせて判断するのが原則です。


参考)https://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/481088.pdf


具体的な作業手順は以下の通りです。


  1. 🌿 木の両側にシートを広げる(根の広がりと同じ幅を目安に)
  2. 🪨 重石(岩・瓦・土嚢など)を準備する
  3. 📐 傾斜がある場合は低い側のシートを下に重ねる(水が入らないよう)
  4. 🔒 株元の隙間をしっかり閉じ、四方を重石で固定する

重石が軽いと台風時にシートが飛ばされ、そのまま雨水を吸収してしまいます。 せっかく水分ストレスをかけていたのに台風1発でリセットされる、という失敗は現場でよく起きています。


重石の固定は徹底しましょう。



みかん農家では、1丁(100m×100m)規模の園地に毎年全園地の約1/3にマルチを敷く事例もあり、7月の炎天下での照り返し作業は最もきつい作業の一つとされています。 近年は巻き上げ式マルチの導入で作業効率を改善している農家も増えています。


マルチ栽培みかんで失敗しない水分管理のコツ

水分ストレスのかけすぎは禁物です。 乾燥しすぎると果実が小玉化し、さらに悪化すると酸度が上昇して「高酸果」になり、最悪の場合は樹が枯れる危険があります。murai-farm+1
三重県が開発した「水分チェック・ボール」のような簡易土壌水分測定ツールを使うと、土壌の乾燥状態を定量的に把握できます。 感覚だけに頼らず数値で管理するのが、プロの農家が実践している方法です。


参考)https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000396437.pdf


定期的に果実の内容検査(糖度・酸度の測定)を行い、水分ストレスが強すぎると判断した場合はかん水(灌水)を行って調整します。 「マルドリ方式」はこの考え方を体系化したもので、マルチ(水分遮断)とドリップ灌水(点滴灌水)を組み合わせて精密な水管理を実現します。 水分管理の精度を上げたい農家には、ドリップ灌水チューブとの併用が有効です。amairorikka+1

  • ⚠️ 小玉化のサイン:果実肥大が止まった、例年より明らかに小さい
  • ⚠️ 高酸化のサイン:糖酸比(糖度÷酸度)が下がってきた
  • ✅ 対処法:すぐにかん水を実施し、次回から水分チェックの頻度を増やす

マルドリ方式と新技術S.マルチ:みかん農家が知っておくべき最新栽培法

従来のマルチ栽培の弱点は、水分管理が経験と勘に頼りがちな点でした。


これを解決したのがマルドリ方式です。


マルドリ方式では、マルチシートで雨水を遮断しながら、ドリップ(滴下)灌水チューブで必要な量だけ水を補給するため、水分ストレスの強度を数値でコントロールできます。


参考)糖度ぐんぐん上昇で高品質みかんへ!カンキツ農家さんの栽培レポ…


マルドリ方式を導入した農家の事例では、糖度が平均12〜13度で安定し、好条件の年には15度超えを達成したという報告があります。 これは通常栽培比で糖度が約2〜3度高い水準で、ブランドみかんとして出荷できる可能性が大きく広がります。


いいことですね。



参考)甘くて美味しいみかんの秘訣はマルドリ方式×甘彩六花の相乗効果…


農研機構が開発した「NARO S.マルチ(シールディング・マルチ栽培)」は、地中にシートを埋めることで下層からの毛細管水の上昇も遮断する次世代技術です。 特に傾斜地でのS.マルチでは、上段のみシートを埋設する「片側S.マルチ」という方法が実用化されており、導入の手間を抑えながら高い効果を得られると評価されています。


農研機構では技術マニュアル(PDF)やYouTube動画も公開しており、実際の設置手順を映像で確認できます。導入前に一度確認しておくと作業イメージが格段に明確になります。


マルチ栽培に関する農研機構の技術情報(マルドリ方式・S.マルチの導入手引き)。
農研機構:シールディング・マルチ栽培(NARO S.マルチ)技術マニュアル




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