黒マルチは、遮光による防草と地温確保を組み合わせる資材です。春の昇温優先なら透明、高温期の昇温抑制なら白黒などを比較し、シルバーも製品ごとの遮光性を確認します。湿った畝へ密着させ、雨がフィルム面全体から入ると考えず給水経路を決め、次作前には地温・水分・回収またはすき込みを再点検します。公的な地温比較、設置手順
比べる温度は、フィルム表面・気温・土中のどれかを明記してください。高温の表面に温度計を当てた値を、根がある深さの地温へ読み替えることはできません。大分県の資材比較は畝中央の地下10cmを測っており、以下もこの測温位置と条件を付けて紹介します。大分県の測定方法
黒マルチの防草は、覆った部分の光を遮ることが基本です。透明マルチは日射を土へ通して地温を上げやすい反面、フィルム下で雑草が育ちやすくなります。白黒は白面を上にして日射を反射し、黒層で遮光する構成です。シルバーは銀一色・銀ネズ・銀黒など構成が異なるため、色名だけで遮光性を同じと判断せず、製品表示と圃場での発生を確認します。色別の用途、銀ネズと黒を比較した旭川市の試験
旭川市では寒締めホウレンソウの慣行である銀ネズマルチ下の雑草繁茂を背景に、2018・2019年度に黒・白黒・無被覆と比較しました。銀ネズの生育面の効果はやや高かったものの差は大きくなく、雑草の影響が大きい圃場には黒を推奨しています。これは「銀色なら防草も同じ」としない実在の判断例です。ただし、銀ネズとすべての銀黒製品を同一視はできません。試験の背景と結論
植穴、裂け目、畝端は遮光が途切れる場所です。穴は作物の条間・株間に合わせ、使わない穴を増やさず、定植と根元への灌水ができる大きさにします。例えば長さ10mを2条、株間50cm、両端25cm空けて植える設計なら1条20穴、合計40穴です。これは穴数の計算例で、全作物への栽植密度の推奨ではありません。
多年生雑草の地下部や、フィルムを突き破る雑草まで、遮光だけで完全に防除できるとは考えません。張る前に既存の雑草を処理し、張った後も植穴・畝端・破れを点検します。透明・乳白色の生分解性マルチで雑草が繁茂して突き破る事例は、農林水産省も注意事項として挙げています。透明タイプの雑草対策
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透明と黒の差は常に5℃ではありません。大分県の2008年研究報告は、1999年に透明・黒・シルバー・白黒などを露地とハウスへ張り、畝中央地下10cmの地温を記録しました。作物は植えず、時々灌水して湿った状態を保った試験です。気温と日射をそろえた回帰式による推定値では、次の違いがありました。大分県研究報告、57〜59頁
| 資材 | 露地・4月下旬相当 | 露地・7月下旬相当 | 選択上の意味 |
|---|---|---|---|
| 透明 | 29.8℃ | 41.9℃ | 昇温が大きい。春の地温確保と雑草対策を組み合わせる |
| 黒 | 24.2℃ | 36.7℃ | 透明より昇温が小さくても、高温期には十分高くなる |
| シルバー | 24.0℃ | 35.5℃ | この試験では黒との差が小さく、裸地より冷えるわけではない |
| 白黒・白面が上 | 20.1℃ | 31.2℃ | 黒より昇温を抑えたが、この数値を全製品へ固定しない |
| 裸地 | 20.1℃ | 31.2℃ | 同じ測定・推定条件の比較対照 |
表は原著第21表の推定値で、連続測定値の24時間平均ではなく、推定した最高地温と最低地温の算術平均です。4月は最高気温22℃・最低9.5℃・日日射15MJ/m2、7月は最高31℃・最低22℃・日日射17MJ/m2を想定しています。畝幅150cm、床幅75cm、高さ15cm。透明・黒は厚さ0.02mm、シルバー・白黒は0.025mmです。植物を植えていないため、葉が地面を覆う実際の栽培で同じ温度になるとは限りません。試験方法と第21表
黒でも昇温差が続かない比較があります。旭川市の2018・2019年度、冬霧7を9月27日に定植した無加温ハウス試験では、銀ネズと黒は11月末まで地温がやや高い傾向でしたが、12月以降は処理間の温度差が見られませんでした。内張カーテンのある寒締め栽培の結果で、夏の露地とは分けて読みます。旭川市・2か年度比較
春は、植付け前に根域地温を測り、昇温優先なら透明、防草との両立なら黒を検討します。高温期の次作では、春に使った黒をそのまま前提にせず、白黒などの昇温抑制資材、撤去、敷きわらを再検討します。タキイ種苗は高温期の黒マルチについて、撤去、または植穴を切り広げて株元に敷きわらを施す方法を案内しています。穴を広げた部分は防草性が落ちるため、通常時の最小限の植穴とは目的を区別します。敷きわらで必ず10〜15℃下がるという固定値は使いません。高温時の変更方法
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保水と給水は別です。黒マルチは土からの蒸発を抑えますが、乾いた畝に張っても水が増えるわけではありません。タキイ種苗は、雨上がり後など土が十分に水分を含んだ状態で張り、表面を整えてフィルムと密着させるよう案内しています。設置前の土壌水分と密着
整地・密着・固定の手順はタキイ種苗の施工例に基づきます。同ページで上から水が浸透すると紹介される白黒サンサンマルチは透水機能を持つ製品であり、通常の無孔フィルム全般の性質ではありません。透水性の有無を製品表示で確認してください。
資材を替えた後は、同じ灌水間隔でよいかを再確認します。農林水産省の2019年事例集では、茨城県結城市の生産者が、生分解性マルチは通常ポリより土が乾きやすいと報告しています。全製品の定量比較ではありませんが、保水性を確認せずに置き換えない理由になります。灌水労力が一律半減するという数値は採用しません。大嶋聡史氏の利用上の課題
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通常のポリエチレン、光崩壊性、生分解性は、収穫後の扱いが異なります。農林水産省の2019年事例集では、岡山県吉備中央町の吉備高原ファームが光崩壊性マルチを試したものの、切れ端を拾う作業が残り、大きな省力化にならなかった経緯が紹介されています。その後、生分解性を利用し、刈払い、茎葉の粉砕、ロータリーによるすき込みへ作業を変えました。裂けたり細かくなったりするだけの資材を、土壌中で生分解する資材と同じには扱えません。事例集1〜2頁
| 資材 | 収穫後の扱い | 次作までの確認 |
|---|---|---|
| 通常のポリエチレン | 破片を含めて回収。事業としての農業使用では適正な廃プラスチック処理へ | 畝端や土中へ取り残した片がないか確認 |
| 光崩壊性 | 細片化を生分解とみなさず、材質と使用・回収指示を確認 | 飛散と土中残片を点検 |
| 土壌すき込みに対応する生分解性 | 製品表示を確認し、残渣を処理して十分にすき込む | 低温・乾燥、残片の偏り、機械への絡まり、次作の播種・定植への支障を確認 |
農林水産省は生分解性マルチについて2回以上のすき込みを示し、飛散・流出を防ぐよう求めています。水と温度、農薬・土壌消毒剤等も分解の進み方に影響するため、作期と使用資材に合う製品を選びます。通常ポリや留め具、灌水チューブを混ぜてすき込まないでください。家庭菜園からの排出区分は自治体へ確認し、事業用農業の産業廃棄物の説明をそのまま当てはめません。適正処理と利用上の留意点
茨城県結城市の大嶋聡史氏は、ロータリーを2〜3回かけ、寒い時期でも約1か月で畑面のマルチ片がほぼ見えなくなり、次作の定植に支障がなかったと報告しています。これはその農家の観察で、全製品が1か月で完全分解する保証ではありません。見えなくなることと完全な生分解は別なので、次作直前に残片の状態を確認します。事例集3〜4頁
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次作を始めるときは、色、穴、給水、撤去方法を作付け計画へ戻して確認します。春の作物に合った黒マルチでも、次の高温期作物に適するとは限りません。大分県の地下10cm比較では白黒は黒より低く、シルバーと黒の差は小さく、被覆場所や季節でも効果が変わりました。色名だけでなく、作付け時期と根域の実測を使います。色・被覆場所・時期の比較
厚いほど地温・耐久性・作業性のすべてで有利とは限りません。大分県の2000年比較では、透明0.02・0.07mm、黒0.02・0.05mm、シルバー0.025・0.05mmを調べ、厚さの影響は色と被覆場所の影響より小さく、最低地温には厚さによる有意差が認められませんでした。機械適性や使用期間は、材質・伸び・破れにくさを含めて製品仕様から確認します。2000年試験、第22・23表と考察
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