葉虫駆除と防除とコナガとBT剤対策

葉虫駆除を「見つける→増やさない→適期に叩く」の順で整理し、防虫ネット・BT剤・IPMをどう組み合わせるかを現場目線で解説します。あなたの圃場で最初に見直すべき一手はどれですか?

葉虫駆除と防除

葉虫駆除と防除の要点
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まず発生を見える化

被害葉だけで判断せず、幼虫の齢・発生場所・日内行動まで押さえると、効く手段と適期が決まります。

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防虫ネットは最初の投資

「入れない」だけで密度が上がりにくくなり、散布回数と作業負担を下げる土台になります。

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BT剤は若齢で勝負

食害が軽い段階で当てるほど効果が出やすく、ローテーションの柱として使いやすい資材です。

葉虫駆除の発生初期と若齢幼虫の見分け


葉虫駆除は「何が食べているか」を外さないのが最短です。アブラナ科キャベツブロッコリー等)で多い“葉を穴だらけにする系”は、コナガ・アオムシ類・ヨトウムシ類などが混在しやすく、同じ葉でも加害ステージで対策が変わります。特にヨトウムシ類は、芯部に潜り込む前の若齢幼虫のうちに処理するのが防除上のポイントとされ、齢が進むほど薬剤が効きにくくなる点が重要です。
現場での一次判定は、次の観察で精度が上がります。


  • 被害痕の位置:外葉中心か、芯に近いか(芯に近いほど“潜る系”を疑う)
  • フン(黒い粒)の有無と量:葉裏・株元に溜まるタイプは見逃しやすい
  • 葉裏の卵・若齢:散布の“適期”を逃さないために、葉裏チェックは固定ルーチン化
  • 昼と夕方の差:夜間活動が強い害虫だと、昼の見回りだけでは密度を過小評価しがち

意外と効くのが「1株だけを凝視しない」ことです。畝の端・風上側・周囲の雑草帯など、“最初に入ってくる場所”から点検すると、葉虫駆除の初動が早くなります。


葉虫駆除の防虫ネットと物理的防除

葉虫駆除で最も再現性が高いのは「そもそも入れない」設計です。IPM(総合的病害虫・雑草管理)の中でも、物理的防除として防虫ネット等の資材を設置して害虫の激発を防ぐ考え方が示されています。
防虫ネットを“張ったのに効かない”圃場で多い落とし穴は、ネットそのものより運用面です。


  • 端部の隙間:支柱際・出入口・換気の開け閉めが最大の侵入口
  • 苗の持ち込み:すでに卵・若齢が付いた苗を入れると、ネット内で増えます
  • ネット内の高温:高温期は作物が弱り、少数の食害でも見た目のダメージが大きくなる(換気と両立が必要)

物理的防除は、ネット以外も組み合わせると強くなります。IPMの物理的防除には、防虫ネットのほか資材を用いて害虫の激発を防ぐという位置付けがあります。


参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11281168/

  • 見回り+捕殺:若齢のうちは手作業の費用対効果が高い日があります
  • 被害葉の除去:卵・幼虫の“温床”を圃場外へ(圃場内放置は再侵入と同じ)
  • トラップで発生把握:捕殺目的だけでなく「適期判断の材料」にする

葉虫駆除は「薬で倒す」より、「入れず、増やさず、増えたら適期に最小回数で倒す」ほうが、年を跨いで安定します。


葉虫駆除のBT剤と抵抗性回避のローテーション

BT剤は、チョウ目害虫に対して選択的に効く微生物由来の殺虫剤として広く使われています。
一方で、BT(Bt)毒素に対する抵抗性が問題になり得て、効果低下を招くリスクがあることも指摘されています。
ここが現場の分かれ道で、BT剤は「使えば万能」ではなく「当て方が9割」です。葉虫駆除でBT剤の効果を出す基本は、若齢幼虫期に、食べさせる形で、ムラなく付けることです(葉裏を外すと効きが落ちます)。また、同じ系統に寄せ続けると抵抗性リスクが上がるので、ローテーション(作用の違う薬剤・資材の組み替え)を“暦”ではなく“発生密度”と“齢”で回すほうが事故が減ります。


ローテーション設計の考え方(例)。

  • 発生初期:BT剤+物理的防除で密度を上げない
  • 増加局面:登録のある化学農薬を適期に一発で効かせ、散布回数を増やさない
  • 収穫前:収穫前日まで使える資材があるか等、収穫計画から逆算(登録と使用基準は必ず現物ラベルで確認)

「BT剤が効かなくなった」と感じる圃場では、抵抗性だけでなく、幼虫が大きくなってから散布している/葉裏にかかっていない/散布後に強雨で流亡、など“技術要因”が原因のことも多いです。抵抗性が疑わしい場合も、いきなり強い薬に寄せるより、IPMで複数手段を組むほうが中長期で安定します。

参考:IPMの考え方(耕種・物理・生物・化学を組み合わせる前提)
IPM防除(総合的病害虫・雑草管理)とは?:4つの防除技術(耕種・物理・生物・化学)と、抵抗性対策としての位置付けが整理されています

葉虫駆除のIPMとフェロモントラップの使い方

葉虫駆除を“毎回の散布”で乗り切ろうとすると、コスト・作業・抵抗性が同時に重くなります。IPMは農薬だけに頼らず複数の技術を組み合わせて病害虫管理を行い、経済的損失を最小化する考え方として整理されています。
また、フェロモントラップは、誘引した害虫を計数することで発生時期を知り、防除適期を判断する目安になるとされています。
フェロモントラップは「たくさん捕れたら成功」ではなく、「いつ増え始めたか」を掴む道具として使うと投資回収が早いです。運用のコツは次の通りです。


  • 週1回の定点観測:数の増減を見る(ゼロ→1→増加、が一番価値が高い)
  • 圃場の“入口”に置く:風上側・周縁・周囲に発生源がある側に寄せる
  • 見回りとセット:トラップだけで決めず、葉裏の若齢確認とセットで判断

ここまで整うと、「葉虫駆除=大量散布」から、「葉虫駆除=適期に最小回数」に変わります。IPMの枠組みで、耕種的防除(残渣処理、土づくり等)と物理的防除(ネット)を先に固めると、化学的防除に頼る場面が減ります。

葉虫駆除の独自視点:散布ムラを減らす作業設計

葉虫駆除は“薬剤選び”より、“散布品質”で差が出ます。現場で効きがブレる最大要因は、同じ薬剤でも「葉裏に届いていない」「株の芯・重なり葉に入っていない」「歩行速度が日によって違う」など、ムラが生まれることです。ヨトウムシ類は芯部に潜り込む前の若齢での処理が重要という指摘があるように、適期を外すと同じ散布でも結果が変わります。
散布ムラ対策は、高価な機械更新より先に“手順の標準化”で改善できることが多いです。


  • 事前の散布ルート固定:畝ごとに開始点・終了点を決め、歩行速度を一定にする
  • 「葉裏に当たったか」を確認する簡易チェック:数株だけ葉裏をめくって付着を確認してから全体散布
  • 夕方の短時間集中:日中より害虫が動くタイミングで、葉裏の接触確率が上がる圃場もある
  • 散布後の“答え合わせ”:翌日、同じ地点の食害進行と幼虫の状態を見て、次の一手を決める

散布設計を整えると、BT剤のような「食べさせて効かせる」資材も安定しやすくなります。BTに抵抗性が起こり得ることは研究でも議論されているため、効きが落ちたと感じたら“資材変更”だけでなく“散布品質の点検”も同時に行うのが、結果的に最短です。




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