団粒構造の作り方と有機物!微生物と緑肥で育てる最強の土

農作物が元気に育つ「ふかふかの土」を作るには、微生物と根の働きが鍵です。単に堆肥を入れるだけでは不十分な、科学的なメカニズムと具体的な手順をご存知ですか?

団粒構造の作り方

団粒構造を作る3つの柱
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微生物の「糊」

菌が出す粘着物質が土粒を接着

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有機物の「餌」

堆肥や緑肥が微生物の活動源に

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植物根の「網」

根が物理的に土を締め付け団粒化

農業における理想の土壌とされる「団粒構造(だんりゅうこうぞう)」とは、単に土が柔らかい状態を指すのではありません。微細な粘土粒子や腐植が集まって小さな塊(ミクロ団粒)を作り、それがさらに有機物や微生物の力で結合して大きな塊(マクロ団粒)を形成している多重構造のことを指します 。この構造があることで、土壌には適度な「隙間」が生まれ、水はけ(排水性)と水持ち(保水性)という、相反する機能を両立させることが可能になります。


参考)https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010872653.pdf

しかし、耕うん機で細かく砕いただけの土は、雨が降るとすぐに泥状になり、乾くとカチカチに固まる「単粒構造」に戻ってしまいます。永続的な団粒構造を作るためには、物理的な破砕だけでなく、生物的な「接着作用」を利用する必要があります。本記事では、微生物や植物の根の力を借りて、自然のサイクルの中で強固な団粒構造を作り上げるための具体的な手法とメカニズムを深掘りします。


団粒構造の作り方と微生物の粘着物質


団粒構造を作る上で最も重要な「接着剤」の役割を果たすのが、土壌微生物です。特に細菌(バクテリア)や糸状菌(カビの仲間)の働きは欠かせません。


  • 細菌の役割(初期接着)

    土壌中の細菌は、有機物を分解する過程で「多糖類」などの粘着性物質(バイオポリマー)を分泌します 。これが土の粒子同士をくっつける糊のような役割を果たし、最初の小さな団粒の核を作ります。納豆のネバネバ成分と同様の物質が、土の中で粒子を結びつけているとイメージすると分かりやすいでしょう。


    参考)団粒構造とは? 植物が良く育つ土壌に必要な要素と土の作り方 …

  • 糸状菌の役割(物理的結合)

    カビの仲間である糸状菌は、土の中に長い菌糸を張り巡らせます。この菌糸が、細菌によって作られた小さな土の塊同士を物理的に絡め取り、より大きな「マクロ団粒」へと成長させます 。糸状菌の菌糸は、土壌粒子を包み込むネットのような働きをしており、これが崩れにくい強い団粒構造の骨格となります。


    参考)新有機質肥料講座(総論編)ページ37/57

このプロセスを促進するためには、微生物が活発に活動できる環境を整える必要があります。具体的には、彼らのエネルギー源となる有機物(炭素源)が常に供給されていること、そして呼吸に必要な酸素が土壌中に十分にあることが条件となります。過度な耕うんは菌糸のネットワークをズタズタに切断してしまうため、団粒構造の維持には逆効果になることもあるという点は、近年の土壌学で注目されているポイントです。


土壌微生物の棲み分けや団粒内での分布に関する科学的な知見について
土壌団粒構造中における微生物の棲み分けに関する科学的知見 (日本農薬学会)
参考)土壌団粒構造中における微生物の棲み分けに関する科学的知見: …

団粒構造の作り方と有機物堆肥の質

「団粒構造を作るには堆肥を入れれば良い」とよく言われますが、投入する有機物の「質」と「分解度合い」によって、効果は大きく異なります。


完熟堆肥は、肥料成分としての安全性は高いですが、微生物の餌としてのエネルギー(易分解性有機物)はすでに消費され尽くしている場合が多く、団粒形成の起爆剤としては弱いことがあります。一方で、未熟な有機物や緑肥などの「新鮮な有機物」は、微生物にとってご馳走であり、その分解過程で爆発的に微生物が増殖し、大量の粘着物質が生産されます 。


参考)団粒構造の作り方完全ガイド:ふかふかの良い土を作る方法 - …

  1. C/N比(炭素率)のバランス

    微生物が有機物を分解する際、炭素(C)をエネルギー源とし、窒素(N)を体を作るタンパク源として利用します。もみ殻やバーク堆肥のようにC/N比が高い(炭素が多い)資材を大量に入れると、微生物が土壌中の窒素を奪ってしまい、作物が「窒素飢餓」になる恐れがあります。逆に、鶏糞のようにC/N比が低い資材ばかりでは、分解が早すぎて団粒形成効果が長続きしません。団粒構造作りには、C/N比が20〜30前後の、適度に分解されやすい植物性有機物(稲わら、落ち葉、牛糞堆肥など)が理想的です。


  2. リグニンの重要性

    木質チップやもみ殻に含まれる難分解性の「リグニン」という成分は、分解に時間がかかりますが、その分、腐植として土に残りやすく、長期的な団粒構造の維持に貢献します。即効性のある草質堆肥と、遅効性の木質資材を組み合わせて投入するのが、息の長い団粒構造を作るコツです。


土壌中の有機物動態と団粒形成・崩壊のプロセスについて
土壌中での有機物動態と土壌団粒の形成・崩壊 (土壌物理学会)
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/8434a89ff96ecaf45145a529f78d3fe273f7fc6c

団粒構造の作り方と緑肥作物の根

有機物を外から持ち込むだけでなく、畑で植物を育て、その「根」の力を利用して土を耕すのが緑肥(りょくひ)の活用です。特にイネ科の緑肥作物は、団粒構造形成において最強のツールの一つと言えます。


  • 根の物理的な締め付け作用

    ソルゴー(ソルガム)やエンバク(オーツ麦)などのイネ科植物は、ひげ根を大量に発生させます。この根が土の隙間に高密度で侵入し、成長に伴って土の粒子を強く押し広げたり、逆に締め付けたりします。また、根が水を吸い上げることで土壌が乾燥と湿潤を繰り返す(乾湿の繰り返し)ことも、土の粒子がまとまる物理的な契機となります 。


    参考)https://www.takii.co.jp/green/ryokuhi/kouka/index.html

  • 根圏微生物の活性化

    植物の根は、光合成で作った糖分の一部を「根酸(こんさん)」や「ムシゲル」といった形で土中に放出します。これは、根の周りにいる微生物への給料のようなものです。この分泌物に引き寄せられて微生物が根の周り(根圏)に爆発的に集まり、活発に団粒化を促進します。


緑肥を利用する場合は、地上部が大きくなりすぎるとすき込みが大変になるため、適切な時期に刈り取り、土に混ぜ込む必要があります。すき込まれた生の茎葉は、前述の「新鮮な有機物」として微生物の餌となり、さらに団粒化を加速させます。特に粘土質で水はけの悪い畑では、深根性の緑肥(セスバニアなど)を使うことで、硬盤層を破砕し、縦方向の水みちを作る効果も期待できます 。


参考)緑肥とは?メリット・デメリットや作物の種類、栽培方法を紹介 …

緑肥作物の種類とそれぞれの土壌改良効果(物理性向上)について
緑肥の効果について:土壌の団粒化 (タキイ種苗)

団粒構造の作り方と菌根菌のグラマリン

検索上位の情報ではあまり詳しく触れられていない、しかし近年世界的に注目されている重要な要素が「アーバスキュラー菌根菌」と、それが作り出すタンパク質「グラマリン(Glomalin)」です。


菌根菌(きんこんきん)は、植物の根に共生してリン酸などの養分を供給する代わりに、光合成産物をもらうカビの一種です。この菌根菌が土壌中に伸ばす菌糸からは、グラマリンと呼ばれる非常に粘着力の強い糖タンパク質が分泌されます。


  • スーパーグルー(超強力接着剤)

    グラマリンは、従来の腐植酸や多糖類よりもはるかに強力で、かつ分解されにくい「スーパーグルー」として機能します。土壌粒子を強固にコーティングし、水に浸かっても崩れない「耐水性団粒」を作る上で決定的な役割を果たしていることが分かってきました 。

  • 耕起栽培との関連

    菌根菌のネットワークは、激しい耕うんによって簡単に破壊されてしまいます。慣行農法で頻繁にロータリーをかける畑よりも、不耕起栽培や簡易耕(浅い耕うん)の畑のほうが団粒構造が発達しやすいのは、この菌根菌のネットワークとグラマリンの蓄積が守られるためです。


団粒構造を極めるなら、単に耕して空気を入れるだけでなく、「あえて耕さない期間」を設けたり、菌根菌が好む宿主作物(トウモロコシ、大豆、麦類など)を輪作体系に組み込んだりすることが、実は近道となるのです。逆に、アブラナ科(大根、キャベツなど)は菌根菌と共生しないため、アブラナ科ばかり連作していると、土壌の団粒化能力が低下するリスクがあります。


団粒構造の作り方と土壌診断のチェック

最後に、自分の畑がしっかりと団粒構造になっているかどうかを確認する簡単な診断方法を紹介します。高価な分析機器を使わなくても、いくつかのポイントを見るだけで判断が可能です 。

  1. 水没試験(耐水性団粒の確認)

    乾いた土の塊を一つ取り、コップに入れた水の中に静かに落としてみてください。


    • 良い状態:土の塊から気泡が出てくるが、塊の形は崩れずに残る。水がそれほど濁らない。これは、水の中でも壊れない「耐水性団粒」ができている証拠です。
    • 悪い状態:水に入れた瞬間にボロボロと崩れ落ち、水が泥水のように濁る。これは単粒構造であり、雨が降るとすぐに目詰まりを起こす土です。
  2. 手触りと根の入り方

    適度な湿り気がある時に土を握り、指で軽く押して崩れるかを確認します。良い団粒構造の土は、握ると固まりますが、指で押すとホロリと崩れます。また、作物を引き抜いた際、根に小さな土の粒がびっしりとくっついて離れない状態(根圏土壌が形成されている状態)であれば、微生物活性が高く、団粒化が進んでいる証拠です。


  3. 排水と保水の観察

    大雨が降った翌日に畑に入ってみて、水たまりがいつまでも残っていないか(排水性)、かつ、数日晴天が続いても土の表面下数センチが湿っているか(保水性)を確認します。両方が成立していれば、団粒構造内の「大孔隙(水みち)」と「小孔隙(水ため)」がバランスよく機能しています。


家庭菜園でもできる簡易的な土の状態判断と土作りの方法
団粒&立体構造でふかふかな土作り (YouTube解説)




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