チャノナガサビダニの被害と防除・発生時期

チャノナガサビダニはお茶の葉だけでなく、あなたの茶園収量を大幅に下げる見えない脅威です。発生時期・被害症状・効果的な防除方法まで詳しく解説します。防除のタイミングを間違えていませんか?

チャノナガサビダニの被害と防除・発生時期を徹底解説

チャノナガサビダニは体長わずか0.15〜0.20mmしかないため、肉眼での発見が遅れると、摘採後の茶葉が一気に褐変・落葉し、収量が大幅に落ちます。


チャノナガサビダニ 3つのポイント
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体長0.2mm以下の超微小害虫

成虫でも0.15〜0.20mmしかなく、葉裏に潜んで被害が出るまで気づきにくい。 発見が遅れると茶葉が一斉に褐変・落葉する。

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4〜6月・9〜11月が危険期

年2回の密度ピークが存在し、一番茶・秋芽の生育期に集中して発生。 摘採後の防除タイミングが収量を左右する。

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薬剤抵抗性が1990年代から問題化

1990年前後から静岡県・福岡県などの産地で急増。使用薬剤の偏りが抵抗性を生みやすく、ローテーション散布が必須。

チャノナガサビダニを駆除しようと農薬を毎年同じものだけ使い続けると、逆に被害が3倍以上に拡大することがあります。


チャノナガサビダニの形態と生態:なぜ発見が難しいのか


チャノナガサビダニ(学名:Acaphylla theavagrans Kadono)の成虫は体長0.15〜0.20mmで、橙〜橙黄色の細長い体をしています。はがきの横幅(約148mm)を1,000分割した長さ程度、つまり肉眼ではほぼ点にしか見えません。


主に新葉の葉裏に密集して寄生し、やや成熟した若葉を好む傾向があります。卵・幼虫・成虫のすべてのステージで葉裏に生息するため、葉を裏返して確認しないと被害に気づかない点が農業従事者にとって大きな落とし穴です。


成虫で越冬するのも特徴のひとつです。冬の間、茶樹の葉や樹皮の隙間でじっと潜み、春の気温上昇とともに爆発的に増殖します。越冬期の防除が翌年の発生密度を大きく左右するということですね。


発生消長は年2回の山型を示し、4〜6月(一番茶生育期)と9〜11月(秋芽生育期)にピークを迎えます。この時期に早期発見できるかどうかが、その年の収量に直結します。


チャノナガサビダニの被害症状:チャノホコリダニとの見分け方

被害を受けた葉は葉裏が茶褐色に変色し、葉が萎縮して裏面に湾曲するのが典型的な症状です。被害が進むと葉全体が縮れ、ひどい場合は落葉します。これは光合成面積の大幅な減少を意味し、翌年以降の茶樹の樹勢低下にも直結します。


ここで注意が必要なのが、チャノホコリダニとの混同です。似た症状が出るため、誤認して防除が遅れるケースが現場では少なくありません。


項目 チャノナガサビダニ チャノホコリダニ
主な発生時期 4〜6月・9〜11月 8月中旬〜秋
寄生部位 新葉・成熟若葉の葉裏 若芽の表面
被害症状 葉裏が茶褐色・萎縮・湾曲 裏面褐変・サメ肌・表面の縮れ
体の色 橙〜橙黄色 淡黄〜白色

被害部位と時期でほぼ見分けられます。チャノナガサビダニは「葉裏の褐変+湾曲」、チャノホコリダニは「表面のサメ肌+縮れ」が目安です。


これが基本です。


チャノサビダニと混同される場合もありますが、チャノサビダニ(別名チャノキイロダニ)は卵の形状がラグビーボールに似た白色の小顆粒を持ち、より未熟な新葉の裏面に群生する点で区別できます。いずれも似た症状を起こすため、サビダニ類として一括りに防除対策を立てることが現実的です。


チャノナガサビダニの防除タイミングと農薬ローテーションの重要性

防除のベストタイミングは、一番茶摘採後のできるだけ早い時期です。摘採残葉に大量に残存しているうちに対処することが、秋芽の被害を防ぐ最善策になります。


1990年前後から静岡県・福岡県などの主要茶産地でチャノナガサビダニの発生が急増しました。その背景には、同じ殺虫・殺ダニ剤を繰り返し使用したことによる薬剤抵抗性の発達があります。同一系統の農薬を連年使い続けることで、薬剤が効きにくい個体が選抜・増殖し、防除コストが跳ね上がるリスクがあります。


痛いですね。


農薬の散布で重要なのは、薬液が葉裏にしっかり当たること。ダニ類は葉裏に潜むため、上から噴霧するだけでは防除効果が大きく落ちます。動力散布機や高圧スプレーで葉裏まで薬液が届く散布方法を選ぶことが条件です。


また、サビダニ類の防除においては、カンザワハダニとの同時防除も推奨されています。カンザワハダニも茶園で問題となるダニ類で、同時期に発生することが多く、1回の散布で両方に対応できる薬剤を選ぶことで、作業時間とコストの両方を削減できます。


これは使えそうです。


日本植物防疫協会 | チャノナガサビダニの薬剤抵抗性と検定手法に関する専門資料(PDF)。農薬の効力低下メカニズムと抵抗性検定の具体的な手順が記載されています。

チャノナガサビダニ発生時の圃場確認と早期発見の実践的な方法

肉眼では発見が困難なチャノナガサビダニですが、40〜50倍程度のルーペや携帯型の拡大鏡を使えば葉裏に橙黄色のダニを確認できます。スマートフォン用のマクロレンズアタッチメント(1,000〜2,000円程度)でも代用でき、圃場での簡易確認に役立ちます。


発見のポイントとなるのは、やや成熟した若葉の裏面です。一番茶摘採後の残葉や、秋芽が出始めた9月初旬の新葉を中心に確認しましょう。被害初期は葉裏のごく一部が薄く褐変する程度なので、定期的な巡回でこの変色を早期に見つけることが重要です。


圃場全体で同時多発的に被害が広がるケースでは、隣接する圃場からの移動も考えられます。茶産地では隣の圃場との境界付近から被害が広がるパターンがあるため、境界周辺の葉を重点的にチェックする習慣をつけると早期発見につながります。


サビダニ類は密度が上がってから防除しても落葉・落枝が避けられない段階もあります。「被害が出てから動く」から「発生前・初期に動く」への意識転換が収量ロスを最小化します。


早期発見が原則です。


茶の害虫防除情報 | サビダニ類・チャノホコリダニの防除時期と防除方法をまとめたページ。

H3での防除タイミングの参考情報として。

チャノナガサビダニ対策で見落とされがちな「天敵菌」活用の独自視点

化学農薬中心の防除が主流の中で、見落とされがちなのが天敵微生物(昆虫病原菌)の活用です。チャノナガサビダニに寄生する菌として、Hirsutella thompsonii Fisherの存在が研究で確認されています。この菌はチャノナガサビダニに自然感染し、個体を死亡させる働きを持ちます。


意外ですね。農薬散布が中心の現場では、この天敵菌の存在を知っている農業従事者は少数派です。


Hirsutella thompsoniiは高湿度条件下で活性が高まる特性があります。つまり、雨が続く時期や霧がかかりやすい山間の茶園では、天敵菌が自然に密度を抑制するケースがあることを意味します。乾燥が続く年にダニ被害が急増しやすいのは、この天敵菌の活性が落ちることも一因です。
現段階ではHirsutella thompsoniiを製剤として利用できる商品は日本では一般流通していませんが、圃場の微気象管理(過度な乾燥を防ぐ管理)が間接的に天敵菌の活性を保つことにつながります。慣行農業だけでなく有機農業・減農薬栽培に取り組む茶農家には、この視点が防除コスト削減のヒントになります。


化学農薬に頼らない防除体系の構築に関心がある場合は、各都道府県の農業試験場や茶業研究所が発行している「総合的病害虫雑草管理(IPM)」指針も参照すると、天敵活用の最新情報が得られます。つまり、生物的防除は化学防除を補完する重要な選択肢ということです。


福岡県植物防疫協会 | チャノナガサビダニをはじめとするその他ダニ類の形態・生態情報。

H3の形態解説の参考情報として。




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