ブロッコリー花蕾腐敗病の原因と対策を知り安定収穫

ブロッコリー花蕾腐敗病は農家の収益を直撃する深刻な病害です。原因となる細菌の種類から、品種選定・カルシウム管理・薬剤散布まで、現場で使える総合防除の知識をまとめました。あなたの畑は正しく対策できていますか?

ブロッコリー花蕾腐敗病の原因・症状・対策を総合防除で解説

ブロッコリーの花蕾が腐る場合は、症状だけで原因を一つに決めず、発生場所、雨の状況、施肥、生育段階を合わせて確認します。対策も薬剤だけではなく、排水、品種、窒素管理を組み合わせます。腐った部分を元に戻すのではなく、次の発生や被害の拡大を抑える考え方です。


  1. 傷み始めた部位、発生場所、直前の雨を記録し、診断につなげます。
  2. 水たまりと泥はね、花蕾がぬれ続ける場所を確認して排水を見直します。
  3. 元肥・追肥・堆肥の履歴を整理し、過剰な窒素がないか検討します。
  4. 次作は地域と収穫期に合う品種・作型を選び、薬剤は対象病害への現行適用に従って使います。

ブロッコリー花蕾腐敗病とはどんな病気か:症状と被害の実態


花蕾腐敗病は、収穫する花蕾に腐敗が生じ、商品性や収穫に影響する病気です。ただし、花蕾の変色や腐敗を見つけただけで、病原まで特定できるわけではありません。花蕾、茎、葉のどこから異常が始まったかを確認してください。
石川県の軟腐病の現物事例には、外側の黄化や褐変よりも、内部の腐敗や空洞が進んでいた例があります。外見が軽いから内部も軽症とは限りません。反対に、においの有無だけで病名を決めることも避けます。
発見時は、株全体と患部を撮影し、発見日、直前の降雨、最初に傷んだ部位、周囲の株の状態を記録します。診断を依頼する際は、これらの情報と現物を結び付けると、表面の写真だけより発生経過を伝えやすくなります。
参照:内部腐敗を伴う診断事例

ブロッコリー花蕾腐敗病の病原細菌:軟腐病との違いを正しく理解する

花蕾の腐敗には複数の細菌が関係するため、花蕾腐敗病と軟腐病を、見た目だけで完全に区別できると考えないことが重要です。道総研の原試験は、PseudomonasやErwiniaなどを扱っていますが、当時の菌名をそのまま最新の分類名とは断定できません。
「花蕾が腐った」という症状名と、どの病原によるものかという診断は別です。病名を取り違えると、薬剤の適用確認もずれてしまいます。過去に使った薬がある場合も、今回の症状へ自動的に流用しないでください。
圃場では、雨で泥が跳ねる場所、水たまりが残る場所、発生株の位置を見比べます。道総研は、雨の飛沫で病原が地上部へ運ばれることや、花蕾のぬれと発病との関係を示しています。低い場所に発生が偏るなら、排水の改善を優先して検討する手掛かりになります。
参照:病原と発生条件の原試験、雨と花蕾のぬれの関係

窒素の投入履歴と花蕾のCa/N比を区別して考える

窒素の過剰は見直すべき要因ですが、すべての発病を窒素だけで説明できません。夏の多雨や高い夜温、品種、ぬれ方なども関係します。窒素は生育に必要なので、発病を避けるためにゼロにするという対応も適切ではありません。
道総研が検討したCa/N比は、花蕾組織中のカルシウムと窒素の濃度関係です。肥料袋の成分をCa対Nで一定比に混ぜる、という意味ではありません。試験のグラフにある境目を、家庭菜園の発病率の保証にも使えません。
香川県は、夏作で得られた知見を冬作で検討し、基肥を減らした区で発病が少なかったと報告しています。ただし、その減肥率を全国の畑へ一律に適用することはできません。
実際の見直しでは、元肥、追肥、堆肥の投入履歴を先に整理します。葉がよく茂るから追加が必要とは限りません。発生時期と施肥記録を照合し、地域の栽培基準を踏まえて過剰分を減らします。
参照:冬作での減肥試験

ブロッコリー花蕾腐敗病に強い品種選定:品種間差異を防除戦略に組み込む

品種選びは被害を減らす手段の一つですが、発病しないことを保証するものではありません。道総研の試験には品種間差がありますが、当時比較した条件での結果です。たとえば当時の比較では「サリナスアーリー」「マグナム」「まり緑」は、「緑嶺」「ハイツ」より少発生でした。これは同じ試験内での比較で、現在の全品種や全国の作型の優劣まで示したものではありません。
選ぶ際は、地域での発生傾向に加え、収穫予定期と栽培適性を確認します。試験で比較的発病が少なかった品種でも、自分の地域の播種・定植時期に適さなければ、そのまま置き換える判断はできません。
例年、花蕾が育つ時期に多雨が重なる畑では、品種だけでなく作型の調整も検討します。ただし時期を変える場合も、品種の適期を守り、排水や泥はねへの対応を併せて行います。

ブロッコリー花蕾腐敗病の防除方法:銅水和剤・カルシウム資材・生物農薬の使い方


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三種類は役割が違います。銅剤は適用のある製品による病害防除、カルシウム資材は栄養管理、生物農薬は適用病害に対する予防的な防除として区別してください。

  • 銅水和剤は、ブロッコリーと対象病害への適用を確認した製品を使います。銅剤という分類だけで、別製品を同じ倍率や時期に使えるとは判断できません。
  • カルシウム資材は不足などを検討して使うもので、腐敗した花蕾を治す薬ではありません。Ca/N比の研究を理由に、無条件で追加しないようにします。
  • マスタピース水和剤は、シュードモナスロデシアHAI-0804株の生菌を利用する生物農薬で、銅剤ではありません。花蕾腐敗病への適用がありますが、腐った組織を元通りにはしません。

使用前は、製品ごとの適用、使用時期、希釈倍率、収穫前日数、使用回数を現行ラベルで確認します。メーカーの2015年香川冬作試験と北海道夏作試験も条件が異なり、試験中の散布回数は現在の使用条件の代わりにはなりません。
発病後に薬剤だけを重ねるのではなく、花蕾がぬれる条件、排水、施肥、品種を同時に見直すことが総合防除の要点です。
参照:製品の適用情報、条件別のメーカー試験
あわせて読む:降水量 / 最低気温 / すす病 / 殺菌剤 / 糸状菌 / リン酸 / 排水性 / 早生 / 細菌性病害 / 生理障害 / 土壌 / 炭酸カルシウム

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