発病した茎の株元から茎葉にかけて薬を散布しても、すでに進行した病斑はほとんど治りません。
アスパラガス茎枯病は、Diaporthe asparagi(旧名:Phomopsis asparagi)という糸状菌が引き起こす病害です。 最初は若い茎に縦長の小さな斑点が生じ、やがて褐色の紡錘形の病斑へと拡大します。ecologia.100nen-kankyo+1
病斑の上には黒色の小粒点(柄子殻)が形成されます。この粒の中に胞子が詰まっており、雨や露などの水分に触れると一気に胞子を放出します。 つまり、雨が降るたびに感染が広がる仕組みです。
参考)アスパラガスの茎枯病に有効な対策とは?防除のポイントと対処方…
発病が進むと茎が折れやすくなり、風が吹くだけでポキッと折損します。 茎が枯死すると光合成ができなくなり、根株に蓄えられる栄養が激減します。蔓延すれば株全体が衰弱・枯死し、数年以内に圃場全体の収量が壊滅的に落ちることもあります。chiba-u+1
これは深刻です。アスパラガスは定植から収穫まで2〜3年かかる永年作物のため、株が枯れた場合の損失は年間収入を直撃します。
参考)https://www.jppa.or.jp/archive/pdf/72_01.pdf
| 病害の進行段階 | 主な症状 | 圃場への影響 |
|---|---|---|
| 初期 | 縦長の水浸状小斑点 | 外観上わかりにくい |
| 中期 | 褐色の紡錘形病斑・黒色小粒点 | 胞子放出・2次伝染が始まる |
| 末期 | 茎の折損・枯死 | 茎本数が激減、根株が衰弱 |
最大の感染源は、前年の被害茎に残った病原菌です。 刈り取り後の残茎に形成された柄子殻(黒い粒)が圃場内で越冬し、翌春の伝染源となります。 残茎を圃場に放置したまま次のシーズンを迎えると、前年より確実に発生が多くなります。pref.nagano+1
感染の広がりには水分が欠かせません。雨や灌水時の泥はねで茎に菌が付着し、さらに降雨で胞子が飛散して2次伝染を繰り返します。 露地栽培では梅雨期と秋雨期に特に多発しやすく、ハウス栽培でもサイド部分から雨が吹き込む箇所は要注意です。pref.nagasaki+1
発生しやすい条件をまとめると以下のとおりです。
立茎直後の若茎は表皮が薄く、菌の侵入を許しやすい状態です。
ここが最も警戒すべきタイミングです。
薬剤散布だけでは茎枯病は防げません。
耕種的防除との組み合わせが重要です。
まず最優先で行うべきなのが残茎の徹底除去です。
刈り取り後の茎は地表面から約3〜5cm(りん芽より上)で切り取り、圃場外へ搬出します。 搬出時は胞子を拡散させないよう、必ず袋に密封してから持ち出してください。残さをその場に放置すると、健全な茎への感染リスクが高まります。
地表面に残ったわずかな残さには、バーナーによる焼却処理が有効です。 特に毎年発生が多い圃場では、バーナー焼却を春作業の定番として組み込んでおくと効果的です。
長野県や長崎県の試験成果でも、残茎処理と薬剤散布を組み合わせた体系防除が、単独の薬剤散布より明確に高い防除効果を示しています。
残茎処理が基本です。
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茎枯病の薬剤防除で押さえるべきポイントは、「系統の異なる薬剤をローテーション散布する」ことです。 同じ薬剤を連用すると耐性菌が出現し、薬が効かなくなるリスクがあります。
収穫前日まで使用可能な主な薬剤は以下のとおりです。
散布のタイミングと間隔は時期によって異なります。
| 防除時期 | 散布間隔の目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 立茎期(最重要) | 7〜10日間隔・約40日間 | 立茎後10日は3日間隔が理想 |
| 夏芽収穫期 | 14日間隔 | 収穫前日まで使用可能な薬剤を選ぶ |
| 秋(9月頃) | 重要な防除時期として継続 | 晩秋の株充実期まで継続 |
散布の際は、茎葉だけでなく親茎の株元にも薬液が届くように散布することが重要です。 薬剤のFRACコードを確認し、異なる系統の薬剤を組み合わせることで、耐性菌の出現を防ぎながら防除効果を維持できます。
農薬工業会のFRACコード確認ページを活用すると、系統の分類がひと目でわかります。
【参考】アスパラガス茎枯病の防除対策・薬剤ローテーションの詳細(セイコーエコロジア)
ここでは多くの農業者が見落としやすい視点を取り上げます。茎枯病は「今年の発生を抑える」だけでなく、「根株の体力を維持し続ける」ことが長期的な収量確保につながります。
アスパラガスは永年作物であり、一度株が衰弱すると回復に数年かかることがあります。 茎枯病によって茎本数が減ると光合成量が落ち、根株への養分蓄積が減少します。これが翌年の発芽本数をさらに減らすという悪循環に陥ります。
この悪循環を断つためには、以下の管理が重要です。
長野県や福島県など主要な産地の農業試験場では、毎年アスパラガス病害虫防除暦を更新・公開しています。 登録農薬の変更や推奨薬剤の更新が毎年あるため、昨年の防除暦をそのまま使い回すのは危険です。ja-nagano.iijan+1
防除暦は必ず最新版を入手することが条件です。
また、発生が多い年は翌年の菌密度が高くなります。茎枯病が蔓延した年こそ、秋の残茎処理と越冬対策を例年以上に丁寧に行うことが、翌年の被害を最小化する最短ルートです。
参考)https://www.pref.nagano.lg.jp/enchiku/sangyo/nogyo/engei-suisan/yasai/documents/171006asparaleaf.pdf
【参考・権威性】長崎県林業技術開発センター発行「アスパラガス茎枯病防除マニュアル」(PDF)薬剤の防除効果データや発生生態の詳細が掲載されています。
【参考・権威性】日本植物防疫協会「福島県のアスパラガス露地栽培における茎枯病の体系防除」(PDF)立茎初期の散布間隔と防除価の実証データが掲載されています。
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