あなたのリン施肥、実は多すぎて菌を殺しています。
多くの農家は「リン酸肥料を多く与えるほど作物は元気になる」と信じています。ですが、アーバスキュラー菌根菌(AM菌)はリン酸濃度が高すぎると活動を停止します。たとえば、土壌中の可給態リンが30mg/kgを超えると、AM菌の共生率は80%近く低下します。これは京都大学農学研究科のデータでも報告されています。つまり、過剰施肥が根の共生能力を奪っているということです。
過剰なリン酸は作物の初期生育を一時的に促進しますが、長期的には根の探索能が鈍り、かえって吸収効率が落ちます。結果として、乾燥期や低温期に吸水力の差が大きく出ます。
結論はリン酸は「控えめ」が有利です。
対策としては、圃場リン酸を簡易土壌分析キットで測定し、値が20mg/kg前後に収まるように調整するのが理想的です。リン酸過剰なら、菌根菌資材(例:アーバスキュラーミックス)を併用すると回復が早まります。
リン施肥見直しが基本です。
アーバスキュラー菌根共生は、水供給が不安定な圃場で特に効果を発揮します。菌根菌は根の表面積を約1.6倍に広げ、微細な菌糸ネットワークを形成します。長さ10cmの根から約50cm先の水分まで到達できるとも言われます。
つまり、通常では届かない水を吸えるわけです。
この仕組みにより、乾燥ストレス時の葉の萎れ時間が半減するという実験結果もあります(九州大学農学部調査)。収穫時にはうるち米で約8%の増収が報告されています。
つまり水節約でも収量アップが可能ということです。
乾燥に悩む農家には、この特性を活かした菌根菌資材の混和が効果的です。畝立て時に土壌へ直接散布すると定着が安定します。
導入コストは10aあたり2,000円前後。
費用対効果は十分です。
これなら問題ありません。
病気に強くなるというのもAM菌共生の見逃せない効果です。
特に顕著なのが根腐病、青枯病への抵抗性。
アーバスキュラー菌が根に侵入すると、植物は「防御遺伝子」を活性化します。その結果、発病率が平均で半分以下に減少します。
さらに驚くのは、放線菌やバチルス属の有益細菌と共生させると、抗菌物質生産が倍増するという点です。愛媛県農林水産研究所では、ピーマン圃場でこの効果を確認しています。
収量差は最大で23%。いいことですね。
この相互作用を高めるには、殺菌剤との併用を避けることが重要です。特にトリフルムロンやカルベンダジム系剤は菌根菌活性を強く抑えます。
使用する際は剤の選択を慎重に。
つまり「殺菌しすぎ」は禁物です。
作物によって効果の出方には差があります。例えばトマトやトウモロコシは共生しやすく、無施肥条件でも根のリン吸収が2倍近く向上します。逆にキャベツやアブラナ科植物は共生しにくく、菌の活性化には共栄植物(例:ソルガム)の前作設定が必要です。
2024年のJA実証試験では、アスパラガスに菌根菌を接種した圃場で、初年度収量が22%、2年目が35%増加しました。1kgあたり400円の出荷単価なら、10aで10万円以上の増益です。
これは見逃せない数字です。
導入手順としては、播種直前の土壌混和、または苗定植時の根元散布が効果的。菌糸活性を長く維持するには、pH6.5~7.0を保つことがポイントです。
つまりpH管理が条件です。
最後に、共生の力を最大化するための管理術を見ておきましょう。重要なのは、①リン酸過剰を避ける、②農薬の併用を減らす、③土壌のEC値を安定させる—この3点です。特にEC(電気伝導度)が0.5mS/cmを超えると菌が休眠しやすくなります。
また、堆肥の種類も影響します。牛ふん堆肥より、落葉堆肥の方が菌糸形成を促します。水分保持力が高くなるため、根の活性が維持されやすいのです。
つまり素材選びも大事です。
近年は、菌根菌を利用した「微生物共生設計」という考え方も注目されています。コスト削減(肥料30%減)、収量増加(平均15%増)が報告されており、持続的農業への転換が進んでいます。
導入支援制度も始まっています。
これは使えそうです。
参考: 京都大学農学研究科「リン酸濃度と菌根共生率の関係」
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/
参考: 愛媛県農林水産研究所「アーバスキュラー菌と根圏細菌の相互作用研究」
https://www.pref.ehime.jp/h35800/
参考: 九州大学農学部報「菌根菌共生が水分ストレスに与える影響」
https://www.agr.kyushu-u.ac.jp/