農薬をきちんと散布しているのに、斑点細菌病が広がり続けているなら、使っている薬剤がすでに効かなくなっている可能性があります。
セロリ斑点細菌病は、葉・葉柄・茎に水浸状の小斑点が現れることから始まります。病斑の周囲が黄化し、進行すると褐色〜黒褐色に変色します。
よく混同されるのが「斑点病(セルコスポラ病)」です。斑点病は糸状菌(カビ)が原因で、病斑の色調がやや異なり淡褐色になりやすい特徴があります。一方、斑点細菌病は病斑の縁が不明瞭で水浸状になる点が特徴です。見た目だけで判断しづらい場合は、農業技術センターや農協に相談するのが確実です。
判断が難しい場合は専門機関への問い合わせが基本です。
早期発見が損失を最小化します。葉柄に症状が広がると商品価値を大きく損ない、出荷停止につながるケースも少なくありません。定植直後から収穫期まで週1回以上の観察習慣を作ることで、発病初期の対応が間に合います。
| 病気名 | 原因 | 病斑の特徴 | 主な発生部位 |
|---|---|---|---|
| 斑点細菌病 | 細菌(シュードモナス属) | 水浸状・縁不明瞭・黄化 | 葉・葉柄・茎 |
| 斑点病(セルコスポラ) | 糸状菌(カビ) | 淡褐色・縁が比較的明瞭 | 葉が中心 |
参考:セロリの病気症状と防除に関する詳細情報
セロリ(セルリー)の病気と害虫|症状の特徴と防除方法 – YMMファーム
病原細菌である Pseudomonas syringae pv. lachrymans は、土壌中の被害作物残さや保菌種子の中で長期間生存します。これが第一次伝染源となり、圃場に持ち込まれます。
重要なのが「飛沫感染」という経路です。降雨や結露によって病斑部の細菌が水滴とともに周辺株へ飛び散り、二次感染が急速に広がります。これはつまり、雨の日の翌日に感染が一気に拡大するということです。
飛沫が広がる状況に注意が必要です。
特に農家が見落としがちなのが「作業道具経由の感染」です。罹病株を触った剪定ばさみや収穫道具を消毒せずに次の株へ使用すると、1本の道具で圃場全体へ感染を広げるリスクがあります。機械で耕起した後も同様で、消毒なしに別の圃場へ持ち込むと感染が連鎖します。道具はアルコール消毒液(70%以上のエタノール)で株ごとに拭う習慣をつけましょう。
参考:病原細菌の伝染経路と種子伝染に関する詳細
病害虫・生理障害情報 セロリ斑点細菌病 – タキイ種苗
斑点細菌病が多発する気象条件は、気温15〜25℃・湿度が高い状態が続く時期です。日本では梅雨期(6〜7月)と秋雨の時期(9〜10月)が特に発生のピークになります。
長野県や静岡県など主要産地では、定植後の梅雨前線の動向が防除タイミングを左右します。この時期に降雨が続くと、1週間で病斑が圃場全体に広がることもあります。
発生時期を事前に把握しておくことが大切です。
ハウス栽培でも安心はできません。換気不足による多湿環境や結露が生じると、露地と同様に飛沫感染が起きます。ハウス内では朝の換気を徹底し、葉面が早く乾く状態を保つことが予防の基本です。
気象情報と連動した防除スケジュールを立てるには、農研機構の病害虫発生予察情報が参考になります。都道府県の農業試験場が発行する「病害虫発生予察情報」も無料で公開されており、発生リスクの高い時期を事前に確認できます。
参考:セルリーの主要病害と発生状況に関する研究情報
セルリーの斑点病(耐性菌の発生) – 北海道立総合研究機構
銅剤(ボルドー液、コサイド3000など)は斑点細菌病の防除に広く使われてきた主力農薬です。しかし、北海道立総合研究機構の調査では、同系統の薬剤を繰り返し使用した圃場で耐性菌の発生が確認されています。
これが大きなリスクです。耐性菌が広がると、従来の銅剤を規定量散布しても防除効果がほぼ得られなくなります。その結果、出荷量が大幅に減少し、場合によっては圃場全体を廃棄せざるを得ない状況に追い込まれます。
同じ農薬に頼り続けることが条件です。
耐性菌リスクを下げるには「ローテーション散布」が有効です。作用機序の異なる薬剤(銅剤、抗生物質系、DBEDC系など)を交互に使うことで、特定薬剤への耐性がつきにくくなります。
農薬の使用に際しては、登録内容を最新の農薬登録情報提供システム(農林水産省)で確認することを推奨します。
参考:農薬の登録情報・使用基準の最新確認先
斑点細菌病の農薬情報 – タキイ種苗 病害虫・生理障害情報
農薬に頼る前にできる予防策が、実は防除コストを大きく変えます。栽培管理の見直しだけで農薬散布回数を2〜3回減らせた事例も報告されています。
まず有効なのが「マルチ資材による泥はね防止」です。ポリエチレンシートや稲わらを株元に敷くことで、雨水が跳ね返って葉に触れる機会を減らせます。泥はねを抑えると、土壌中の病原細菌が葉面へ付着するリスクが下がります。
これは費用対効果が高い対策です。
次に見落とされやすいのが「罹病残さの処理」です。収穫後の葉や茎を圃場に放置すると、その中で越冬した細菌が翌シーズンの一次伝染源になります。残さは必ず圃場外に持ち出し、堆肥化も慎重に行うことが必要です。
独自視点として注目したいのが「作業員の服や手袋による持ち込み」です。圃場をまたいで作業する場合、手袋や長靴に付着した土・葉の破片が新たな圃場への感染媒介になります。圃場ごとに手袋を交換するか、入圃前に靴底消毒マットを使う習慣は、大規模農家ほど効果が大きい対策です。
防除はトータルで考えることが基本です。農薬・栽培管理・衛生管理の3つを組み合わせることで、単独対策よりも大幅にリスクを下げられます。
参考:セロリ栽培全般の病気予防と管理方法
美味しいセロリを育てるために!セロリ栽培で知っておくべき5つの病気と対処法 – 産直プライム