世界農業遺産 日本 一覧地域特徴と農家視点

世界農業遺産 日本 一覧を整理し、それぞれの地域の特徴と農家にとっての価値やビジネスチャンスをどう見出せるのでしょうか?

世界農業遺産 日本 一覧と特徴

世界農業遺産 日本 一覧の全体像
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日本の世界農業遺産認定数と位置づけ

日本は世界農業遺産(GIAHS)の認定地域数で世界上位にあり、令和7年時点で17地域が認定されています。単なる景観保全ではなく、FAOが「生きた農林水産業システム」として評価する仕組みで、農林水産業・文化・景観・生物多様性が一体となった地域が対象です。

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世界農業遺産 日本 一覧の代表地域

日本の世界農業遺産には「トキと共生する佐渡の里山」「能登の里山里海」「阿蘇の草原の維持と持続的農業」「静岡の茶草場農法」など、地域ごとの農法と暮らしが結びついたシステムが含まれます。東北から九州まで全国に分布し、水田・果樹・畜産・茶・鮎漁など、多様な営みが網羅されています。

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農業者にとってのメリットと活用余地

認定地域ではブランド力向上や観光・教育との連携により、農産物の高付加価値化や新たな収入源の創出が進んでいます。一方で、認定地域外の農家にとっても、GIAHSの考え方や成功事例を学ぶことで、自地域の強みを再発見しブランド化に応用するチャンスがあります。

世界農業遺産 日本 一覧とGIAHSの基本

 

世界農業遺産(GIAHS)は、FAO(国連食糧農業機関)が「Globally Important Agricultural Heritage Systems」として認定する制度で、2002年から世界各地の伝統的農林水産業システムを登録してきました。
単なる「昔ながらの農業」ではなく、現在も生産が続き、地域の生計を支えながら生物多様性や景観、文化を保全している点が重視されます。
FAOの認定基準は、地域の食料・生計への貢献、生物多様性と遺伝資源の豊富さ、伝統知・慣習と資源管理システムの継承、文化的アイデンティティと社会組織、そして人と自然が長年相互作用して形づくった景観の5つの観点で構成されています。

 

参考)https://www.fao.org/japan/highlights/giahs/jp

日本では農林水産省が国内窓口となり、自治体や生産者団体からの申請を審査・現地調査したうえでFAOへの推薦を行う流れになっており、その過程自体が地域の資源を棚卸しするよい機会になっています。

 

参考)世界農業遺産とは:農林水産省

農家目線で見ると、GIAHSは「観光用の看板」というより、地域ぐるみで生産・環境・文化を一体的にマネジメントするためのフレームワークに近く、認定後に作られるアクションプランが、今後10年程度の地域農業の方向性を示す羅針盤にもなります。

 

参考)世界農業遺産とは – 阿蘇地域世界農業遺産

そのため、認定地域内の農家はもちろん、周辺地域の生産者も、GIAHSの活動会議や勉強会に参加することで、販路や情報ネットワークを広げる実利的なメリットが期待できます。

 

参考)【世界農業遺産・日本農業遺産】10地域が認定へ! 世界的に重…

世界農業遺産 日本 一覧 東北〜関東エリア

日本の世界農業遺産一覧のうち、東北〜関東ではまず「トキと共生する佐渡の里山」(新潟県佐渡市)が2011年に日本初のGIAHSとして認定され、棚田・里山・里海が連なる環境の中でトキと共生する米づくりが評価されました。
佐渡では減農薬・生きもの配慮の「生きものを育む農法」の普及とともに、トキとセットにした米ブランドやエコツーリズムが展開されており、環境配慮型米の高付加価値販売の先進事例として注目されています。
同じく2011年認定の「能登の里山里海」(石川県能登地域)は、棚田・雑木林・海が一続きになったモザイク状の景観の中で、稲作・塩づくり・里山利用・漁業が複合している点が特徴です。

 

参考)世界農業遺産とは - 世界農業遺産「峡東地域の扇状地に適応し…

さらに東北では「『大崎耕土』の巧みな水管理による水田システム」(宮城県大崎地域)が2017年に世界農業遺産に認定され、江戸期から続く用水路網と水田輪中、湿地生態系を生かした水管理技術が評価されました。

 

参考)世界農業遺産とは – 大崎耕土「世界農業遺産」

関東エリアでは、静岡県掛川周辺の「静岡の茶草場農法」が2013年認定として知られ、茶園の畝間にススキなどの草を刈り敷くことで、雑草抑制・土壌保全・生物多様性保全を同時に達成する仕組みが注目されています。

 

参考)世界農業遺産・日本農業遺産とは – 峡東地域世界…

静岡では、茶草場農法を活かした高品質茶のブランド化や、茶畑の景観を活用した観光コンテンツづくりが進んでおり、世界農業遺産を「販売戦略」にきちんとつなげた事例として、他産地から視察が相次いでいます。

 

参考)世界農業遺産と日本の茶畑復興 - CLASS EARTH

また、世界農業遺産ではありませんが、関東では埼玉県武蔵野地域の「落ち葉堆肥農法」が日本農業遺産に認定されており、大都市近郊の雑木林落ち葉を用いた循環型農業が評価されています。

このように、「世界農業遺産 日本 一覧」を見ると、豪雪・渇水・都市近郊といった不利条件を、逆に強みに変えた農法が多いことが分かり、現場の経営者が「自分の地域の不利条件は何か?」を見つめ直すヒントになります。

 

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/arp/35/3/35_353/_pdf

世界農業遺産 日本 一覧 近畿〜九州エリア

近畿・中国・四国・九州には、地形や家畜と深く結びついた世界農業遺産が集中しています。
例えば滋賀県琵琶湖地域の「森・里・湖(うみ)に育まれる漁業と農業が織りなす琵琶湖システム」は、山林・水田・内水面漁業が連動した「流域まるごと管理」の好例として世界農業遺産に認定されました。
兵庫県の「人と牛が共生する美方地域の伝統的但馬牛飼育システム」は、但馬牛を育てる放牧と飼養管理、山林利用、堆肥循環が一体化した仕組みが評価され、肉用牛のブランド化と結びつく形で世界農業遺産となっています。

 

参考)世界農業遺産・日本農業遺産認定地域:農林水産省

但馬牛は全国の黒毛和種ブランドの素牛としても知られ、血統や飼育技術の蓄積が「遺産」として意味づけられた点が、他の稲作中心のGIAHSとは異なる特徴です。

四国では、徳島県「にし阿波の傾斜地農耕システム」が、急傾斜地を石積みや畝立てで巧みに耕地化し、雑穀や野菜を栽培してきた技術と景観が評価されました。

 

参考)世界農業遺産「にし阿波の傾斜地農耕システム」

中四国で初の世界農業遺産となったこの地域では、「不利地ゆえに雑草管理が楽」「日照が良く病害が少ない」など、平地農業とは違う利点も認識され始めており、「中山間地=弱み」という固定観念を揺さぶる事例になっています。

九州に目を向けると、阿蘇地域の「阿蘇の草原の維持と持続的農業」、大分県国東半島宇佐地域の「クヌギ林とため池がつなぐ農林水産循環」、宮崎県高千穂郷・椎葉山地域の「山間地農林業複合システム」が並びます。

 

参考)世界農業遺産とは

阿蘇の草原は、火山地形の上で放牧・採草・野焼きが連鎖することで維持されており、観光資源であると同時に牛の飼料基盤でもある「多機能な草地」として世界的評価を受けました。

国東半島宇佐地域では、シイタケ原木用のクヌギ林とため池灌漑、水田・畑作・沿岸漁業が循環する生業システムが特徴で、林業と農業・漁業がここまで密に結びついたGIAHSは世界的にも珍しいとされています。

高千穂郷・椎葉山地域では、焼畑・棚田・林業・畜産が複合する山間地農林業が、過疎化や高齢化に直面しつつも、祭礼や神楽などの文化と一体で存続している点が高く評価されました。

世界農業遺産 日本 一覧と日本農業遺産の違い・意外な活用法

世界農業遺産 日本 一覧を語るうえで外せないのが、農林水産省が独自に運用する「日本農業遺産」との関係です。
日本農業遺産は、世界農業遺産と同じ5つの観点を基準にしつつ、国内レベルで価値が高い農業システムを認定する制度で、ここからさらに選抜された一部がGIAHSとしてFAOに推薦されます。
つまり、日本農業遺産は「GIAHSの予備軍」というより、「国内版世界農業遺産」として自立した意味を持っており、実際には世界農業遺産に匹敵する内容の地域も少なくありません。

 

参考)日本農業遺産の認定地域の紹介

農家の立場から見ると、日本農業遺産の地域も含めて学ぶことで、「世界農業遺産 日本 一覧」に乗っているかどうかに関わらず、自地域の資源をどう編集し直せばブランドになるか、具体的なイメージを持ちやすくなります。

 

参考)世界農業遺産(GIAHS)

あまり知られていない活用法として、GIAHS認定地域では「教育カリキュラム」や「企業研修プログラム」が組まれるケースが増えている点が挙げられます。

 

参考)世界農業遺産認定の活用とその成果

都市部の学校や企業が「世界農業遺産への修学旅行・研修」を設定し、農家が受け入れ側としてガイド・体験指導・商品販売を行うことで、農閑期の現金収入源や若手就農者への仕事づくりにつながっている例も報告されています。

さらに、世界農業遺産 日本 一覧の地域では、環境配慮型農産物の認証や地域通貨、ふるさと納税返礼品を組み合わせた独自の経済圏づくりに取り組む動きも見られます。

これらは「世界遺産だから観光客が来る」という単純な構図ではなく、「地域のストーリーに共感した人がお金と時間を落としていく」仕組みづくりであり、中山間地域の農家にとって、補助金に頼らない第二・第三の収入の柱になりつつあります。

世界農業遺産 日本 一覧から自地域農業を考える独自視点

世界農業遺産 日本 一覧を眺めると、「極端な条件」と「長い時間」が共通キーワードとして浮かび上がります。
豪雪地・傾斜地・島しょ部・火山地帯・都市近郊など、一見すると不利に見える環境を、世代を超えた工夫と慣れで乗りこなしてきた結果が、GIAHSとして認定されていると言えます。
この観点からすると、多くの農家が「うちは平凡だから世界農業遺産なんて関係ない」と感じている地域にも、実は「極端な条件」が隠れていることがあります。

 

例えば、用水路の権利関係が複雑で独自ルールが育っている地域や、特定の病害・害虫への対策として受け継がれてきた独自の輪作・混植パターンなどは、外から見ると十分に「世界的にユニーク」な遺産候補になり得ます。

もう一つのポイントは、「一覧に載るかどうか」よりも、「自分たちで一覧をつくる」姿勢です。

 

自治体やJA、集落単位で、自地域の水管理・土づくり・作付体系・家畜利用・林業との関係・食文化・祭礼などを棚卸しし、「自前の農業遺産リスト」を作ること自体が、ブランドづくりや後継者教育の強力なツールになります。

そのうえで、世界農業遺産 日本 一覧にある地域を視察し、「自分たちのリストとどこが似ていて、どこが違うのか」を比べると、発信の仕方やツーリズム化のアイデアが見えやすくなります。

たとえば、茶草場農法のように「元々当たり前だった作業」をあえて名前をつけて見える化するだけでも、認知度や付加価値が大きく変わることが分かっており、これはどの地域の農家でも今日から真似できるアプローチです。

 

参考)世界農業遺産(GIAHS)とは? 伝統的農業の多様性を次世代…

最後に、GIAHSの議論に必ず出てくるのが「持続可能性」と「若者の参画」です。

 

世界農業遺産 日本 一覧に乗っている地域の多くが、高齢化と担い手不足に悩みながらも、若い世代がデジタルツールやデザインの力を借りて、ストーリー発信や体験プログラムづくりに参加し始めています。

自分の地域で、どの作業・景観・行事なら「若い人が関わりやすいか」を考え、そこから小さな“ローカル農業遺産プロジェクト”を立ち上げることこそ、世界農業遺産 日本 一覧を遠い話ではなく「自分事」に引き寄せる第一歩ではないでしょうか。

 

世界農業遺産・日本農業遺産の制度概要と最新の認定地域一覧が整理されている公式情報です。

 

農林水産省「世界農業遺産・日本農業遺産」
日本の世界農業遺産認定地域の一覧と、地域別の概要・認定理由を確認できる資料です。

 

山梨県山梨市「世界農業遺産とは」
世界農業遺産の仕組みや、日本の認定地域の意義・活用事例を解説した読み物で、地域づくりやブランド化を考える際のヒントになります。

 

SMART AGRI「世界農業遺産(GIAHS)とは? 伝統的農業の多様性と日本農業」

 

 


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