落花生の摘心(摘芯)は、結論として「基本的には不要」と整理されることが多く、慣習栽培では一般に必須作業として扱われません。
その背景には、摘心の主目的(わき芽を増やして収量を上げる)が、落花生では必ずしも収量差として安定して現れにくい、という現場知見があります。
ただし「不要=やってはいけない」ではありません。摘心は、圃場条件や作型によって“効くことがある調整作業”です。判断の軸は、次の3つで揃えるとブレにくくなります。
逆に、株が小さい・生育が弱い個体に機械的に摘心を入れると、単純に回復に時間がかかり、結果として開花・結莢のタイミングを崩すことがあります。
「全株一律」より、「勢いの良い株だけ」「過繁茂の列だけ」のように部分適用したほうが、作業のリスクが下がります。
参考:摘心が基本不要で、優先は土寄せ・除草とする整理(考え方の根拠)
https://www.noukaweb.com/peanut-pinching/
摘心をやるなら、最重要は「時期」です。目安としては、本葉が9〜10枚ほど展開した頃に頂芽を摘む、かつ開花前までに行うのがよい、という基準が示されています。
この“開花前”が重要で、開花が進んでから切ると、株が次のモード(結実・子房柄の形成)に入り始めるため、切り口のストレスが管理上のマイナスになりやすいからです。
現場での見極めは、カレンダー日数より株の状態が優先です。例えば同じ播種日でも、地温・水分・土質・風で草勢は大きく変わります。
「本葉が揃ってきた」「頂芽が元気に伸び続けている」「株が混み始めた」という“形のサイン”が出た時に、初めて摘心候補になります。
摘心のタイミングを決めるチェック(簡易版)
「やるなら早め、ただし株が弱いならやらない」。この矛盾を抱えた作業なので、迷ったら“摘心しない側”に倒すのが事故を減らします。
参考:摘心のタイミング(本葉9〜10枚頃、開花前)
https://www.noukaweb.com/peanut-pinching/
摘心の方法はシンプルですが、「切り方」と「衛生」と「天候」で差が出ます。
主茎の先端(頂芽)を手で摘み取る、または剪定ばさみで切り取るのが基本で、はさみを使う場合は消毒を行うことが推奨されています。
また、摘心の作業は天気の良い午前中が基本です。切り口を早く乾かすことで病気のリスクを下げる、という考え方が示されています。
午後に作業して夜露・降雨に当たると、切り口の乾燥が遅れ、結果として株が余計に消耗することがあります。
作業手順(農業従事者向けに事故を減らす形)
なお、摘心で株姿を整えたとしても、落花生は結局「子房柄が土に潜れるか」が勝負です。摘心だけに期待して、肝心の土寄せや除草を落とすのが一番もったいないパターンです。
参考:摘心のやり方、はさみの消毒、晴天午前中が良い理由
https://www.noukaweb.com/peanut-pinching/
落花生栽培で収量を安定させるなら、摘心より優先順位が高いのは土寄せです。落花生は花が咲いて受粉すると子房柄を伸ばし、土中で莢を太らせます。つまり、土が遠い・硬い・乾きすぎ・過湿などで子房柄の“潜り込み”が止まると、株が立派でも収穫が伸びません。
土寄せの実施は、一般に開花の頃を起点に行い、マルチをしている場合は子房柄が伸びる前に撤去する、という流れが紹介されています。
このタイミング設計を誤ると、マルチが“良い管理”ではなく“莢が付かない原因”になり得ます。
ここで意外に効くのが「土の硬さ」の管理です。落花生は粘土質を嫌い、水はけの良い土を好むとされ、土が締まりすぎると子房柄が刺さりにくくなります。
土寄せ前後に雨が少ない年は、表土がカチカチになりやすく、子房柄が土に触れても潜れないことがあるため、軽い中耕で表面をほぐしてから土寄せすると“潜れる土”になりやすいです。
摘心と土寄せの関係(現場での組み合わせ例)
参考:土寄せが最重要、子房柄が土中で実をつける仕組み、マルチ撤去の考え方
https://agri.mynavi.jp/2023_04_11_223489/
ここは検索上位に出やすい“やり方解説”から一歩ずらし、農業従事者の現場で効く省力・再現性の視点で整理します。摘心は、収量の最大化というより「作業性の安定」と「失敗確率の低減」に目的を置くと判断が楽になります。
例えば、こう考えると意思決定が速くなります。
現場での独自ルール例(再現性重視)
この運用にすると、摘心は“全部やる作業”から“必要な場所に入れる調整弁”になります。結果として、摘心の是非で揉める時間が減り、土寄せ・除草・鳥害対策など、収量に直結しやすい作業に集中できます。
参考:摘心は基本不要で、まず土寄せ・除草を重視する考え方(省力設計の土台)
https://www.noukaweb.com/peanut-pinching/