ミネックスの「てんろ石灰(転炉スラグ・転炉さい)」は、土壌の酸性を緩和し、その改良効果が持続する特長をうたう土づくり資材です。さらに、石灰(カルシウム)・苦土(マグネシウム)・けい酸・鉄に加えて、リン酸、マンガン、ホウ素など多くの栄養成分を含む点が示されています。
この「微量要素まで含む」という性格が、単なる石灰資材(炭酸カルシウム等)と比較したときの現場メリットになりやすいところで、pHを上げたい圃場でも“作物の微量要素欠乏を起こしにくい”という説明がFAQにもあります。
また、成分によって土壌の地力が向上し、窒素・リン酸・カリの肥効を高める効果も期待できる、と製品ページに明記されているため、「施したのに効きが薄い」問題を肥料銘柄でなく“土台(地力)”から見直す入口になります。
現場メモ
てんろ石灰は、土壌によって必要量が異なるため、緩衝能曲線を作成して施用量を決めるべきだと整理されています。
根こぶ病対策の文脈では「土壌pH7.3以上」を一つの目安として示しつつ、pH7.5目標値から施用量を読み取る例(生土100gに対し投入量4gなら10a当たり4tなど)も掲載されています。
一方で、育苗土はpHが上がりすぎると苗の生育に影響し得るため「育苗土がpH8.0以上になると注意」という注意点も同ページにあり、特に育苗床土への混和は“攻めすぎない”設計が重要です。
施用量設計の考え方(実務向け)
参考)https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/tuti13.pdf
ミネックス側の解説では、てんろ石灰(転炉スラグ)がアブラナ科野菜根こぶ病の対策資材として優れた性能を発揮し、休眠胞子密度を減らす効果や殺菌剤使用量の削減効果なども確認している、としています。
根こぶ病制御のページでは「根こぶ病の退治はてんろ石灰で土壌pH7.3以上」という整理に加え、排水性や下層圧密(大型機械による圧密)にも言及しており、pHだけでなく“水はけ”が再発リスクに直結することが読み取れます。
さらに、育苗段階での初期感染防止として苗の育苗にもてんろ石灰を使う話があり、圃場処理だけで完結させず「育苗→定植→圃場」まで連続した対策として組むのが実務的です。
チェックリスト(根こぶ病のpH矯正で外しやすい点)
根こぶ病対策の「pH7.5程度へ高める」こと自体は、外部の技術資料でも推奨の方向性として示されており、てんろ石灰の位置づけが“現場の経験談”だけでない点は上司チェックでも説得材料になります。
参考)水田土壌の粘土含有量と炭素含有量から根こぶ病防除に必要な転炉…
ミネックスのFAQでは、良食味米づくりでは「窒素を適正に施用する」だけでなく「けい酸を吸収させること」が必要で、良食味米高収量生産のためにケイカルが不可欠だ、という考え方を示しています。
また、ケイカルの効果として、吸収したケイ酸によりイネ体が丈夫になり病虫害抵抗性や耐倒伏性の向上が期待できること、茎葉が直立して受光態勢が良くなり登熟や米品質向上が期待できることなどが列挙されています。
現場的には「たんぱく質(食味)」「倒伏(収量と作業性)」「高温年の老化(品質)」が同時に絡むため、ケイカルは“コストの割に地味”に見えても、収穫後の評価で効いてくる資材として設計に入れる価値が出ます。
散布の壁と運用の工夫
てんろ石灰は“効く場面が明確”な反面、pH矯正を狙うほど施用量が大きくなりやすく、散布・混和のムラが結果のムラとして返ってきます(特に改良深が浅い/局所的に高pHが出る圃場)。
ここで意外に効くのが「設計の単位」を統一することです。例えば、圃場管理メモを“10a当たりkg(またはt)”“作土深cm”“現状pH→目標pH”“散布日”“混和方法(ロータリー回数等)”の5点セットにすると、翌年以降に再現性が出ます。
さらに、ミネックス自身が「JAを通じて販売」「地域の土壌診断や施肥基準をもとに散布肥料の種類・散布量を相談して決める」という運用をFAQで示しているため、現場の最適解は“銘柄固定”ではなく「診断→設計→散布体制」まで含めて組むのが合理的です。
小さな改善で差が出るポイント
権威性のある参考リンク(施肥設計の根拠づけ・上司チェック用)。
土壌診断・施肥設計の考え方(pH・EC、施肥前診断の重要性)
https://www.pref.nara.jp/secure/32827/sehikijun.pdf
土壌改良資材量の求め方(pH矯正後の再測定の必要性など)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/tuti13.pdf